ソードアート・オンライン 心優しき阿修羅の男   作:路地裏の作者

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すこし短いですが書けました。

スランプ脱出のいい方法ってないかなぁ……



010 シールドクエスト5~決闘

 

「はあ!」

 

 決闘の先制は絶剣ユウキ。その手に持つ黒曜の片手剣を、袈裟懸けに斬りかかる。その一撃は、レイジの持つ真新しい黒鉄の円形盾(バックラー)に防がれた。一瞬の停滞。その隙を逃さず、手刀が黄色のライトエフェクトを伴ってユウキの顔面目がけて放たれた。

 

「おわっと!」

 

 完全に不意をついたはずの一撃は、大げさな挙動で首を傾げるだけで避けられ、そこから息もつかせぬ斬撃の嵐となった。

 

「ぐうっ……!」

 

 盾との鍔迫り合いから、後ろに距離を引きながらの横薙ぎ。防ぐと同時に、手首を柔らかく回して、変則的な下からの切り上げ。それを回避してすぐの打ち下ろし。防がれた衝撃で開いた距離を、一気に詰める突き……。

 

 剣士としての分類は、間違いなくスピードタイプ。それも、極上の。だが同じスピードタイプの剣士である≪閃光≫アスナとは、明らかな違いがある。あちらは彼我の距離を一気に縮める閃光のような突きが主体だが、こちらは武器が片手剣。突きに高ダメージやクリティカルが期待できる細剣(レイピア)と違い、斬撃も突きも同レベルの攻撃となる片手剣だけあって、攻撃に変化の幅がある。その分引き出しが多くなって、高速で変幻自在の攻撃を繰り出す『超高速攻撃特化型(ハイスピード・ダメージディーラー)』ともいえるタイプだ。

 

(つまりは、アスナさん並みのスピードで、キリト並みのダメージ効率をたたき出す……いや、下手したらそれ以上か?)

 

 冷静に判断するレイジだったが、内心冷や汗ものだった。なぜならSAOトッププレイヤーのいいとこ取りをしたような理不尽の塊が目の前にいるのだから。違う意味で理不尽の塊だった、ヒースクリフといい勝負だ。

 

(勝てるとしたら、攻撃の合間を縫ってのカウンター。もしくは……)

 

 頭の中でこの後の戦いを組み立てながら、勝てる可能性を模索する。結論、非常に勝ち目は少ないという事実の確認になった。実際、彼女との戦いは、絶剣の噂を知っての興味本位。それが動機である以上、レイジにここで必死になる理由がないのも事実だったのだ。

 

 それなのに、レイジは未だにギブアップもしていなければ、リメインライトにもなっていない。それは一体何故か。

 

(……いや、ホント、一体なんでだろうね?)

 

 実はその理由はレイジにも掴みきれてはいなかった。ただ、対峙して彼女の瞳を覗いたとき、見てしまったのだ。

 

(みなぎる『闘志』、この決闘への『喜び』……その中にほんの少しだけのぞく『必死さ』と……これは『哀しみ』?)

 

 それは、既に半ば失われてしまったMHCPとしての能力。もうすでに『そんな気がする』程度に感度が落ちてしまった、昔のチカラ。それによって感じてしまったソレが、レイジをここから下がらせなかった。

 

「せやあッ!!」

 

 まるで踊るように繰り出される連続の横薙ぎ。それをしのぎながら、盾を前に押し出し、懐へと突進する。

 

「ハアアアアッ!」

 

「うひゃ!? ととと……」

 

 さすがに地力の差があり、攻撃を弾きながら懐へと入れたが、それでもその代償は大きい。レイジはパワータイプでしかも壁戦士(タンク)。一撃でやられるほどには消耗していないが、それでも身体にはいくつもの傷痕が刻まれ、その左手の盾も、一面にキズが見られた。

 

「……ホント、硬いよね。これがトップギルドの一角で、壁戦士(タンク)のリーダーを張る人か……」

 

「……別に≪風林火山≫は、トップでもなんでもないけどね」

 

 最近人数が増えてきたこともあって、≪風林火山≫はALOでも有数の実力派ギルドとされている。名声が嬉しくないわけでもないが、かつてのSAOでの、アットホームで一致団結しての生存を主眼に置いていた時代を知るものとしてはやはり寂しい思いも強かった。

 

「――やっぱりあの噂って、本当なの? ≪風林火山≫は、SAOから誰も死なずに帰還した奇跡のギルドだって」

 

 ……その話は、割と広範囲に広まっている噂だった。元々≪風林火山≫は人数こそ少なかったものの、≪攻略組≫の一角。その上SAO帰還後は、『全員生還』という付加価値までついた。ソロプレイヤーで、至近距離で顔を確認したことがあるのは、高レベルプレイヤーのみというキリトよりも、今やSAOプレイヤー憧れの存在となっていた。

 

 ……ちなみに、なんと実はクライン目当てのファンクラブまであるのだ。女性プレイヤーも相当数いるのだが、彼女らはALOでクラインに近づくことは出来ない。主にレイジ以外の≪風林火山≫古参プレイヤーが、『リーダーだけ抜けさせたりはしねェ!』『そうさ、俺達は漢のギルド!』と言って、クラインに彼女が出来る事態を未然に防いだからだ。……哀れなことに、知らないのはクラインのみである。

 

 それはともかく。

 

「『奇跡』なんかじゃないさ……皆が皆、必死になって掴んだ結果だ。『奇跡』なんて安い言葉で片付けてほしくないな」

 

「ふふ……そうだね。でも、正直、『努力』が『奇跡』を呼び込んだんだとしたら……」

 

 後半は口の中で呟かれたのか、ほとんど聞こえなかった。だけど、レイジは感じた。この感情は………………『羨望』だと。

 

「……最後の言葉は、君のほんのわずかな『焦り』と関係があるのかな?」

 

「!」

 

 その反応は、事実を裏付けるもの。それが彼女の核心だと悟る充分な根拠だった。

 

「……さっき戦ったキリトって人もそうだけど、鋭いね。こりゃ、おにーさんもダメかな?」

 

「……?」

 

 その後に語られた言葉の意味が分からず首を傾げる。次の瞬間、これまでの戦闘をはるかに超える速度で、レイジの懐にユウキは、いた。

 

「な……!」

 

「悪いね、決着だよ!」

 

 至近距離で放たれた突きを、左手の盾で防ぐ。しかしそれは、彼女の最後の攻撃の序の口に過ぎなかった。

 

「はあああああああッ!!」

 

 盾で防がれているにも関わらず連続して放たれる超高速の突き。それらは全て盾へと吸い込まれ、ガキガキと金属音を立てていたが、やがて――

 

「……っ!」

 

 盾を構える左手を、貫き、手首から先を斬り飛ばした。何のことは無い、盾の一点目がけて同じ攻撃を繰り返し、耐久の著しく劣る箇所を作り出したのだ。恐らく≪閃光≫アスナにも出来る芸当。しかし、彼女以外には決して出来る者はいなかったであろう芸当。この時点で彼女の剣技は、アスナに比肩できる存在と証明した。

 

「あああ……ハアッ!!」

 

 気合一閃。そのまま胸を貫いた片手剣によってレイジのHPバーは消し飛び、勝敗は決した。

 

 レイジVSユウキ、勝者ユウキ!

 




決闘話、結局勝者はユウキでした……アスナ以上の速度でキリト以上の反射神経、更にオーソドックスな片手剣で、その分ソードスキルも多いであろうユウキ……何だこの無理ゲーwマザロザすら出させられず終わりました。

次は少々時間が飛ぶかもです。そろそろ……『シールドクエスト』の伏線も張らないとw
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