ちっちゃいTS魔女ちゃんによる、異世界ダンジョン探索配信   作:龍翠

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世界がそれを求めていた

 ボクもクッキーを食べる。さくさくと。これはとてもいいもの。

 

「あの……。リオンちゃん」

 

 クッキーをかじっていたら、クレハちゃんが声をかけてくれた。

 

「なあに?」

「リオンちゃんは、何ができるの?」

「一応、魔法、かな? ちょっと問題もあるけど……」

「問題?」

 

 杖のせいで強力すぎる、というのは言ってもいいのかな。ただなんとなく、それを言うのはかなり恥ずかしい。だってそれは、ボクの力じゃないんだから。

 さっとアスティに視線を向ける。アスティがぐっと親指を立てた。対策してくれた、ということかな? それなら、大丈夫か。

 

『なんだ今の視線のやりとり』

『目と目で通じ合っている、だと……!?』

『つまり、リオンちゃんもアスティに染まりつつある?』

 

「え、それはすごく嫌」

「どういう意味ですか!?」

 

 思わず言葉に出て、それにアスティが反応した。どういう意味も何もそのままの意味だよ。言わせんな恥ずかしい。

 クレハちゃんとバーバラさんが目を白黒とさせてる。コメントが聞こえてない二人からすれば、ボクらの会話は意味不明そのものだろう。気をつけないと。

 

「えっと……」

「あ、ごめん。多分、大丈夫。魔法なら任せて」

「わあ……。私は魔法が使えないから、羨ましい……」

 

 この世界の忍者は魔法が使えないらしい。いや日本の忍者も使えないけど。使えないはず。

 

「ボクは忍者に詳しくないんだけど、クレハちゃんは何ができるの?」

「私は……近接、かな。スピードには自信があるよ」

「おー」

 

 ゲームで言うところの、盗賊とかシーフとか、そのあたりのイメージかな。攻撃力や防御力はあまり高くないけど、回避力や手数、クリティカルで勝負する、そんな感じ。

 リアルなダンジョンにクリティカルなんてさすがにないとは思うけど。

 

「じゃあ、クレハちゃんが敵を引きつけてくれてる間に、ボクが攻撃、みたいな流れかな」

「うん……。リオンちゃんは、私が守ってあげる……!」

 

 気合いを入れるみたいにぎゅっと握り拳を作るクレハちゃん。とても頼もしくてかわいい。気付けばボクも自然と会話できるようになってるし、最高のパートナーかも。

 

「よろしくね、クレハちゃん」

「うん! がんばろうね、リオンちゃん」

 

 にこにこにこー。どうしよう、なんだかすごく楽しい。心がぽかぽかしてくる。

 

『てえてえ?』

『その判定は早すぎるわw』

『でもええやん、仲良し幼女はいいことかな』

『さすがに幼女は失礼だと思う』

『ところで』

 

「ふふ……やはりあたしの見立てに間違いはなかった……。妹とかわいい子が仲良くしてる……かわいい……うえへへへ……」

 

『あっちの姉もやばない?』

 

 見てみる。笑顔がやばい。間違いなくやばい。

 

「ふふ……分かりますよバーバラさん……。かわいいとかわいいが合わさってとてもかわいい。まさに至高。世界がそれを求めていた」

「その通りね。アスティさん、あたしはあなたを誤解していたわ」

「いいえ、人は誰しも間違えるものですから」

 

 がっしと握手するアホとバカ。これは間違い無くやばい人たち。

 

「クレハちゃん……」

 

 クレハちゃんを見ると、遠い目をしていました。なんだろう。とても強い仲間意識が芽生えてきたよ。不思議だね、涙が出ちゃう。

 

「お互い大変だね、クレハちゃん……」

「がんばろうね……リオンちゃん……」

 

『類は友を呼ぶというか、変人は惹かれあうというか……』

『こんなパーティで大丈夫か?』

『(リオンとクレハは)大丈夫だ、問題ない』

『ならあんな保護者で大丈夫か?』

『大丈夫じゃない、問題だらけだ』

 

 とても悲しいね。ボクたちが一番不安だよ。

 ボクとクレハちゃんはお互いに目を合わせ、小さくため息をついた。

 でも。理解者が増えて、ボクはとても嬉しいよ。そもそも理解を求める必要がないようにしてほしいけどね。

 

 

 

 クッキーとジュースを味わって、改めてダンジョンに向かうことになった。とりあえずはお試しで、一層だけ。お昼過ぎには帰って、昼食を食べて解散するという予定だ。

 ちなみに。こっちの世界の人たちは、最初のスライムだけの階層は入り口としか呼んでいないらしい。ダンジョンと呼べるほどのおのじゃない、ということかな。

 

『悲報、俺たちが彷徨ってる階層、初心者以下の場所だった』

『そんなことってある?』

『ボス以外死ぬことがなさそうな場所だから仕方ないかもしれんけど』

 

 魔石を抜き取ったら倒せちゃうスライムしかいないからね。妥当な評価なのかも。

 

「でもヒュージスライムは強いんじゃないの?」

「なんですかそれ……?」

「え」

 

 ばっとアスティを見る。さっと視線を逸らされた。おい。

 

「アスティ?」

「日本から入れる区画は専用の場所、なだけです……。ヒュージスライムは本来ダンジョンにはいません……」

「なるほど」

 

『つまり、どういうことだってばよ』

『異世界の人たちはまた別の、ボスがいない道を通ってるってことだと思う』

『なにそれずるい』

『いや命の保証がある状態でボスと戦えるのは恵まれてるだろ』

 

 ボクもそう思う。魔石を集めるだけならスライムだけでもよさそうだしね。

 




壁|w・)姉枠がまともなわけがないだろうがいい加減にしろ!
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