ちっちゃいTS魔女ちゃんによる、異世界ダンジョン探索配信   作:龍翠

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リヴァイア丼

 

 豪華客船にしばらく揺られて、少ししてから小型の船で出発することに。客船の底部に小型の船があって、客船の壁が開くとそこから出発するという謎仕様。いや本当にどういう構造なんだこれ。

 ともかく。そこから小さい船でさらに少し移動して、釣りの開始だ。アスティが用意した竿を使うことに一抹の不安はあるけど……。まあ、きっと大丈夫だよ。フラグって言うな。

 ちなみに。危なくないようにどこかのでっかいウミヘビっぽいものはアスティによってさくっと取り除かれました。量産型とはいえ、リヴァイアサンは泣いていい。今はアスティが客船の方でさばいてる。焼いたら美味しいのだとか。

 

「リヴァイアサンってどんな味かな?」

「ウナギ、とか? リオンちゃんのお母さんが作ってくれた鰻重、美味しかったね」

「ウナギみたいな味なら期待ねー」

 

『こいつら順応性高すぎない?』

『ばっかお前、あいつらの面構えを見てみろ』

『(アスティの被害という)地獄を見てきた者たちだ、面構えが違う』

『つまりただの現実逃避』

 

 言わなくていいんだよそんなこと。

 いやだって、あのバカ、あれちょっと危険ですね処理してきます、とか言ったと思ったら、遠くに見えるリヴァイアサンを真っ二つだよ! あの時の理解不能っぷり! お前らに分かるかこのやろう!

 

「リオンちゃん、落ち着いて。ね? はい、温かいお茶」

「クレハちゃんは優しいなあ……どこかの女神にも見習ってほしいなあ……」

「絶対に無理だと思うわよ」

「せめて希望ぐらいは持ちたい……!」

 

『信じる者はすくわれる』

『足をすくわれるんですね分かります』

 

 余計なことは言わなくていいんだよ!

 のんびり釣りをして、一時間ほどして船は自動的に客船の方に戻っていった。自動操縦というものらしい。多分アスティが遠隔で動かしてるだけだと思う。

 ちなみに釣果は、バーバラさんが四匹、クレハちゃんは六匹だ。ボク? ボウズだよ。しょんぼりしていたらリオンちゃんが二匹譲ってくれたよ。クレハちゃんはとてもいい子。

 

「おかえりなさい皆さん! 一匹も釣れなかったけどクレハちゃんに譲ってもらって誤魔化そうとしたリオンさん! ご気分はいかがですか!」

「アスティさん。わりとリオンちゃんへこんでるので、そういうのはやめた方がいいと思う」

「あ、はい。ごめんなさい」

 

『少女に注意されて大人しくなる女神様がいるらしい』

『そういうところだぞ邪神様』

『リオンちゃんマジでへこんでるから空気読もうな?』

 

「社会不適合者どもに説教されるなんて……」

 

『殺意がわいた』

『ちゃんと仕事してるわクソ女神!』

『少なくともお前よりは適合してる自信がある』

 

 よし……。ちょっと落ち着いてきた。ずっと落ち込んでいても仕方ないよね。別に釣りが趣味ってわけでもないんだし、切り替えていこう。美味しいお魚がボクを待っている! はず!

 

「アスティ! 魚料理が食べたい!」

「はいどうぞ。ウナギ丼改めリヴァイア丼です」

「なんて?」

 

 目の前に出されたのは、ウナギとは似ても似つかないもの。というより正直、普通のお肉の方がイメージが近い。ごろごろとした大きなお肉がお米の上に盛られた丼だ。焼き鳥丼とか言われた方が近いと思う。

 いや、そうだよね。うねうねしてるからウナギみたいなものかも、なんて思ったけど、あれを開いても人間が手軽に食べられるサイズになるわけがなかった。

 でも食べてみるとすごく柔らかいお肉だ。見た目とは全然違って、濃厚なたれの味がしっかり絡んでとても美味しい。これは、うん……。悪くない。

 

「美味しい」

「思ってた見た目じゃないけど……美味しい……」

「たれが美味しいというのはある意味ウナギね……」

「ウナギ好きさんを敵に回すよそれ」

 

 小骨はあるけど、それでもやわらかくて美味しいんだよウナギは。

 しっかり食べて、改めてボス部屋に向かうことになった。ボクたちが釣った魚はアスティのアイテムボックスっぽい魔法へ。お母さんが調理してくれる、かも?

 さて。それじゃあ、ボス部屋。つまりボス戦だ。たっぷり遊んでいざボス戦! なんかボス戦が緊張感も何もない適当なものになってしまってる気がするけど、気にしちゃいけない。

 

『情報としてももう意味はないからなあ』

『多分誰も六層から下にはいかないと思う』

『よほどの命知らずくらいか?』

 

 そうだろうと思う。難易度調整やっぱり失敗してるんじゃないかな。やけくそ調整になってない?

 アスティを見る。口笛を吹きながら目を逸らされた。まあ今更か。

 

「で、アスティ。ボスは?」

「見えてますよ?」

「は?」

 

 アスティが指差す先に見えるのは、対岸の大陸だ。その大陸がちょっとずつ動いて……。

 いや、対岸の大陸って、なにそれ。そうだよそれがある時点でおかしい。

 大陸が、ゆっくりと、浮き上がった。

 

「このエリアにボス部屋はありません。言うなれば、全てがボス部屋です」

「あわわわわ」

「え、え、え」

「なにこれ……」

 

 でかいとか、そんなレベルじゃない。なんかもう、やばい。なにこれ。なあにこれえ……。

 

『でかすぎて笑えてくるwww』

『エリア全部がボス部屋って、下手に遊んでたら襲われるってことお!?』

『襲われる=即死じゃないかふざけんな』

 

 サイズが違いすぎるよ。あんなものに襲われたらひとたまりも……。

 

「では次のエリアにいきましょー!」

 

 リヴァイアサンはようやくこちらに向けた首をたたき落とされました。知ってた。

 

「…………。ボスはまだかな?」

「リオンちゃん、現実逃避はだめだと思う。津波がきちゃってるよ」

「あの巨体が落ちたらそうもなるわね。まあ邪神様の結界で防いでくれてるけど」

「さらっと邪神って言わないでもらえます?」

 

 邪神じゃなければ大邪神とかそういうのかな? いや本当に……。いいんだけどさ。

 なんというか、ちょっとだけ悲しくなった一日でした。リヴァイアサン、君のことは忘れない。いや、インパクトしか覚えてないんだけど。

 

「リヴァイアサンは強敵でしたね!」

「お前は黙れ」

「そんなー」

 

 その後は特筆することもなく。次のエリアに下りる前に、一度家に帰って休むことになりました。お魚は喜ばれたよ。晩ご飯の魚料理は絶品でした。

 




壁|w・)異世界ダンジョン名物、リヴァイア丼。多分美味しい。
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