ちっちゃいTS魔女ちゃんによる、異世界ダンジョン探索配信   作:龍翠

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ふりーふぉーる!

 

 八層は雪原……いや雪原かなこれ。ともかく、雪原エリア。なんかすごい場所にきた。

 

「はい。ここは雪原エリア改め、氷山エリアです。氷の洞窟を進んでいくエリアですね……! ちなみに洞窟に入らずに山を登ればスキーができますよスキー!」

「スキーはこの前やったでしょ」

「えー」

 

 えー、じゃないが。さすがに短い期間で何度もやりたいとは思わないよ。インドア派だからね。

 

「もしかしてこのエリアって、エリア全てが一つの氷山なの……?」

「さすがバーバラさん、察しがいいですね。そうです、この大きな氷山でエリアを形成しています! なので! 一番高いところからならスリル満点のスキーが楽しめますよ!」

「たどり着くまでに死ぬ未来しか見えないね」

 

 ここから山の頂上はかすんでいてよく見えない。かなり高い山だっていうのは分かるけど……。どれだけ高いことやら。

 

『下りてきた階段でだいたいの高さは分かるんじゃない?』

『そういえば階段を下りる時は配信してなかったな』

『何段ぐらいあったん』

 

「落ちた」

 

『え』

 

 比喩表現でもなんでもない。この場所には、上の階層から落ちてきたんだ。

 いや、ね。最初は階段だったよ? リヴァイアサンを倒して、さらに海を進むと小さい島があって、そこに下に下りる階段があったんだ。その階段を下りていったわけだけど……。

 いきなり階段が途切れていて、真っ暗な穴がありました。何を言ってるのかボクだって分からないし理解したくなかった。

 クレハちゃんたちと顔を見合わせていたら、邪神が一言。

 

「れっつふりーふぉーる!」

 

 こいつ実はボクを殺す気じゃないかって思ったね。

 実際はそんなことはなくて、安全な落下でした。いや、飛び降りたら、というか突き落とされたら、そのまま真っ直ぐなかなかの勢いで落ちていったんだけど、途中でスピードが緩やかになったんだよね。多分アスティが何かしてくれたんだと思う。

 

「まあそれでも死ぬかと思ったのは間違いないわけだけど」

「いやあ、楽しかったですね!」

「歪ませたい、この笑顔」

 

『草』

『まさか配信の外側でそんなことになってたとはw』

 

 そういうのを語ったら、同情の声をもらえました。さすがだよアスティ。

 

『でも確かにそれだと高さはよくわからないか』

『こういう時のための女神様だろうが!』

『はい女神様! 山の高さはどれぐらいですか!』

 

「一万メートルぐらいですかねー」

「は?」

『は?』

 

 いやいくらなんでも高すぎるだろ何考えてんだこの女神。加減しろバカ。

 そもそもとしてダンジョンみたいな閉鎖空間にそんな高い山が入るわけ……。

 

「察してるとは思いますけど、ダンジョンというのは一種の異空間です。どんな場所があってもダンジョンの外には影響しないので、惑わされないでくださいね」

「あ、はい……」

 

 そんなダンジョンがいくつもある異世界がわりと怖いと思いました。

 ともかく。一万メートルの山だ。地球にあるどんな山よりも高いものになる。さすがにこれを登るのは怖すぎる。

 

「ちなみに普通の探索者はここに来るまでに落ちて死ぬと思います」

「いやそこはちゃんと手段を用意しろよ」

 

 他の探索者さんは飛び降りて生還しないといけないってこと? いやまあ確かに、リヴァイアサンを倒せるぐらいに強いのなら何か方法があるかもしれないけど……。それにしても、ひどいと思う。

 

『落ちたらどうなるんです?』

『死ぬに決まってんだろ』

『ミンチよりひでえや』

 

 どうなるんだろうね。想像したくもない。

 ともかく。今回はスキーじゃなくてダンジョンだ。ボクたちはアスティの案内に従って、氷山の洞窟に入っていった。

 

「あれ、ちなみにこの洞窟を見つけられなかったらどうなるの?」

「遭難ですね!」

「うわあ……」

「そこは、そうなんですか、と返してくださいよ!」

「…………」

「いや、はい……。ごめんなさい……」

 

 わけの分からないノリに巻き込むなってやつだ。

 さて。氷山エリアをさらに改め、氷の洞窟なわけだけど……。

 

「わあ……綺麗……」

 

 クレハちゃんが言うように、かなり綺麗な洞窟だった。天井からは水晶のようなつららが垂れ下がっていて、神秘的な雰囲気になってる。

 どこかに何かの光源があるのか、そんなつららがきらきらと輝いていて、とても綺麗だ。いい場所だと思う。

 

「で、アスティ。ここのモンスターはなに?」

 

 六層でフェンリルとケルベロス。七層でリヴァイアサンだ。正直もう何が来ても驚かない自信がある。受け入れたくない気持ちもあるけど。

 

「上と同じくフロストドラゴンです」

「へえ……。あれ、なんか、リヴァイアサンと比べるとましになったね」

「そうでしょうそうでしょう!」

 

 まさかの難易度低下かな?  いやドラゴンで難易度低下というのもおかしな話だけど、実際にそう感じてしまうのは確かなわけで。

 そうして、アスティの案内のもと進んだ先にいたのは、とても大きなドラゴンでした。

 山の中とは思えないほどに広い部屋にいる、超巨大なドラゴン。どれぐらい大きいかと言うと、ドラゴンの頭が見えなくなってるほどにはでかい。なあにこれ。

 

「フロストドラゴンばーじょんつー、です!」

「バージョンツーってなんだよ!」

 

『ばーじょんつーw』

『つまりアップデートされたフロストドラゴンですね分かります』

『アップデート一回で大きくなりすぎじゃありませんか……?』

 

 ボクもそう思う。いくらなんでも大きすぎる。頭が見えないってよっぽどだよ。どれぐらいの大きさがあるんだよ。

 

「これがザコだったりする?」

「いえさすがにそれは。道中ザコがいない代わりにボスを強くしてみました」

「何やってんの?」

 

『難易度調整下手すぎるだろw』

『ゲームならまあ理解できるけど、さすがに実際に死ぬダンジョンでその仕様はクソだと思います』

『普通の人なら回れ右して逃げ出すレベル』

 

 ボクも逃げたい気持ちが強いけどね。こんなドラゴンに勝てる気がしないから。

 




壁|w・)アスティにとっての激うまギャグ、遭難ですよそうなんです。
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