侵入してきたSCAVをボコボコにする話   作:奥の手

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お久しぶりのスカボコ更新です。
普段は品行方正なタルコフ小説を書いていると反動でお遊びしたくなってしまいます。
お食事中の方はいったん目の前の食事を全部胃の中に入れてから、今話をお読みいただくことをお勧めします。


侵入してきたSCAVと遊ぶ話

 俺のハイドアウトに戻ってきたら、入口が吹っ飛んで二人の死体が転がっていた。薄汚い私服に粗末なショットガンが二丁転がっている。

 不幸な空き巣の正体はスカブというわけだ。年齢は分からない。一人は顔面がなくなっているしもう一人は胸から上の形が判別できない。

 もう二度と起き上がることはないということは分かる。

 

 俺は階段を下りてきた足を止めることも遅くすることも、逆に早くすることもなく同じペースで動かした。

 この先にはニーナがいる。俺のハイドアウトへ数日前に侵入してきた不届き者の大飯食らいで、面白いガキが待っている。

 

 ……生きているか? 

 そうだな。確かに、罠を仕掛けた入口が期待通りの仕事をしているのだから、生きている可能性は高いだろう。部屋の隅でガタガタ震えているかもしれない。

 

「……」

 

 いや。

 ────前言撤回だ。確実に生きている。()()()()()()

 

 カビ臭く薄暗い防空壕の、マットレスや寝袋を置いている奥の一画から、つまり俺の前にあるコンクリ壁の角の向こう側から、ニーナのすすり泣く声と、人間の体が等間隔で打ち付けられて響いている音が、不幸なことに俺のヘッドセットへ反響を増幅させて聞こえてきた。

 

 まぁ、ニーナが殺し損ねたんだろう。命があるだけでもよかったじゃないか。渡した手榴弾が使えなかったのか、あるいは慌てた末にピンを抜かずに投げてしまったか。結果的に、確実に一人は侵入を許してしまっている。これはニーナのミスだ。自分のケツは文字通り自分で拭うしかない。殺されなかっただけ本当にマシだったのと、殺される前に俺が帰ってきたのは幸運だったな。

 

 さて。

 

 それはそれとして。

 

 俺の()()に許可なく手を出して遊んだクソ野郎で、俺は遊ぶとしようかね。

 

 ○

 

 

「ピルはねぇなぁ……」

 

 ストリートまで行けばおそらく薬局で手に入るか。カスタムズのコンビニを探すのも手かもしれない。

 そもそも子供が出来ちまうような年なのか、それも分からん。()()()()()で生理用品をインターチェンジから持ってきたが、腹がデカくなるまで〝どっちかわからん〟というのは最悪だ。こんな設備で産むのは無理だぞ。

 

 とりあえず俺はニーナの怪我を処置して体を清潔にした。俺が飛ばした指はせっかく生えそろいそうだったのに、また全部切られちまっている。足は大丈夫だが爪がはがれている。ひでぇ遊ばれ方をしたもんだ。この後あいつらには同じ目に合ってもらう。

 

 侵入を許したのは三人。つまり五人の小汚い来客のうち二人は入口でミンチになり、残りの三人は逆上してニーナを使った。

 

 出入り口にはよく見ると安全ピンの抜かれていない手榴弾が二つ転がっていた。

 あぁ……やっぱ付け焼刃じゃだめだ。人は慌てると何かを忘れる。それが致命傷になることもある。

 

「う……ぅ……ぁ……」

 

 お。

 ニーナが目を覚ました。沈痛剤も効いているからひとまず正気は保てるか? 五分五分だな。

 

「起きなくていい。帰ってきたぞ。体は治療した。男どもは俺が処理する。お前は寝ていろ」

 

 俺の寝袋の上で瞼を震わせながら目を開けたニーナは、起き上がろうとするそぶりも見せず、目に涙を浮かべた。

 

「らゔ……れ……ふ」

「あぁ。もう大丈夫だ。次はしくじるなよ。……よく頑張った」

「……」

 

 頭をなでてやると目を細めて、目の端に溜まりきって堪えられなかった涙が寝袋の上に流れていった。口元に安心したような笑みがこぼれる。

 

 服を着せないまま寝袋にくるませてしまったのは、少し後悔している。寒いかもしれん。毛布でも上からかけてやろう。

 

「俺は少し用事を済ませてくる」

「あ……らゔれふ……たり……たりない」

「?」

「いく、たりない」

 

 あぁ、そういうことか。

 〝行くな〟か。

 

「心配するな。奥の部屋にいる。何かあればこのボタンを腕で強く押せ」

 

 しっかりとスイッチを押し込めば無線式の起爆剤に点火できる装置を、ニーナの右腕の近く、寝袋の中に入れた。触れたくらいで反応するようなものじゃないからこの位置でも大丈夫だろう。まぁナースコールの代わりだ。

 

 爆薬はどこかって? 

 これから仕掛けるんだよ。

 

 ニーナの両耳を覆うようにヘッドフォンを付けて、携帯式のミュージックプレイヤーを起動させた。安眠できるようゆっくりとしたジャズを流す。まぁ目的は寝かせるためというよりは汚い男どもの悲鳴を聞かせないためでもある。

 

 ニーナは一度俺を見て、心地よいのかにこりと笑って目を瞑った。おう、寝ろ。

 

「よっこらせ」

 

 俺は立ち上がって、ニーナへ宣言したとおり奥の部屋へ入った。この部屋は唯一扉がある。念のため閉めておこう。

 

 それから、無線点火式の信管を突っ込んだパイプ爆弾を、俺がハイドアウトへ入った時に熱心に腰を振っていた男のケツにプレゼントして、部屋の隅に転がした。当然手足はピクリとも動かせないように縛ってあるし、俺からのプレゼントを地面に落とすなんてこともできないようにしてある。

 

 爆発したら俺も危ないかって? 大丈夫だ、たぶん。人間の体の内圧はそれなりにある。火薬の量も最小限だ。むしろ即死できないだろう。喜んでくれ。

 俺のおもちゃで勝手に遊びつくしたお前らへのプレゼントだ。長く遊んだんだろ? 何時間遊んだんだ? あぁ、聞いてみるか。

 椅子におとなしく座れるようにした男にとりあえずご質問だ。

 

「で、どれくらい前にここへ来た」

「やめてくれ……話すから……頼む、謝るから……」

「質問に答えろよ。ロシア語が分からないのか?」

「いや、いやわかる……わかった……」

「いつ来たんだ」

「今朝だ……時間は知らない。日が昇ってちょっと経ったくらい……」

 

 ほう、なるほど。

 つまり12時間以上経過しているのか。そうかそうか。

 

「ずいぶん遊んだみたいだな? 俺はその倍楽しませてもらうぞ」

「た、たのむよ……知らなかったんだ」

「何をだ? 道徳か? 奇遇だな俺も知らないんだ。勉強は苦手でな、基地に置いてきちまった」

「ち、ちが──」

 

 とりあえずこいつには黙ってもらおう。ケツにパイプ爆弾をプレゼントした時に剥ぎ取った男のパンツを、こいつの口に入れてやる。

 

 なかなか気に入ってもらえたようだ。そんなに泣くなよ。うれしかったんだなよかったよかった。ダクトテープのオプションはどうだ? 今なら五周くらい口と後頭部を回してやるよ。そうか、そんなに喜んでもらえて俺もうれしいよ。鼻は開けといてやる。

 

 三人目は天井から吊るしている。服はもともと着ていなかった。

 ニーナのマットレスを勝手に使って爆睡していたからな。寝るときは服を脱ぐ派と脱がない派があるらしい。こいつは前者だろう。

 

「それで、お前たちは何者なんだ?」

「……」

「お前に聞いてるんだ。それとも目を開けたまま眠ってんのか?」

「……」

 

 あぁ、寝ているらしい。

 

「わかった。お前は寝るときには服を脱ぐようだから、そのまま眠れるよう()()()()()()()

 

 よく切れるバヨネットナイフを手に取り、まずは男の左腕から〝脱がしていく〟ことにする。

 

 お? 

 起きた起きた。なんだ根性のない奴だな。まだたった十センチ四方だぞ。

 

「寝るんじゃなかったのか? 寝やすいように脱がせてやるよ」

「まて……待ってくれ、質問に答える」

「質問? 何のことだ」

 

 男がおもしろい顔をしているがだからどうしたということはない。別に俺は本気でお前から何かを聞きたいわけでも、話してほしいわけでも、まして相談に乗ってほしいわけでもない。

 

 言うなれば慈善事業か? 寝やすいようにひと肌脱がせてやってるんだ。なぁに対価はいらない。お安い御用だ。

 

 それからしばらく両腕、肩、背中と()()()()やってから、プロピタル注射器を男の首筋に打ち込む。俺は近くに置いていた簡素なパイプ椅子に腰かけて、ずいぶんと涼しそうな恰好になった赤色の男に数十分前と同じ質問をする。

 

「何者だ?」

「……カ……カスタムズの……スキーヤーから……」

「あぁ、あのゴロツキの部下だったのか」

「い……いや……俺たちは、部下じゃ……ない……」

「じゃあ結論から話せ。社員教育がなってねぇな? 研修のオプションもつけるか。地獄で同僚に自慢できるようによ」

「や、やめてくれ……質問には答える……うそじゃねぇ……ま、まっ──」

 

 パイプ椅子から立ち上がって、続きの脱衣補助……いや脱皮補助? をしようとした時、部屋の隅でくぐもった爆発音がした。それから男の悲鳴とも断末魔とも言える猿轡越しのナースコールが、俺の動きを止めた。ニーナが呼んでいるらしい。

 

「少し離席する。次のナースコール役はゲームでもして決めるか」

 

 言い残して、部屋を立ち去った。何やら脱皮中の男が喚いていたので、やはり教育が必要なようだ。ナースコール役は椅子に座っている男にしよう。

 

 それからニーナの元へ行くと、ニーナは包帯で団子になっている右手で腹をさすりながら、

 

「らゔれふ……はら、たりない」

「腹減った、だな」

「はらへった」

「わかった。飯にしよう。そうだ道中で調味セットを手に入れた。香草がある。魚の缶詰もあるからそれで粥でも作るぞ」

「はらへった。ニーナ、たりる」

 

 にへ、っと笑いながら寝たまま何度も頷くニーナに、俺も頷き返して飯の用意をすることにした。




「殺した方が簡単で安全で正しかったとしても」侵入してきたスカブを殺さないラヴレフおじさん、やってることは別世界の白金髪ナイスバディガールと同じなのに印象真逆なのこれ如何に……?
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