此方この作品の辻褄を合わせるため、爆焔で起こった出来事を一部改変した内容となっております。そのためちゃんとした本編は次回以降となります。
プロローグ 勇者と魔法使いの邂逅
——————そこまで言い掛けた時だった。
爆裂魔法を操る私ですら身震いする様な超魔力
それでいて体を優しく包み込むような温かな魔力を感じ、思わず詠唱を止めそちらのほうを見てしまう。
それを感じ取ったのは、私だけではなかったらしい。
ゆんゆんもビクッと震え私と同じ方角を見る。
そして
「……!?な、なんだこれは……!魔力!?いや、それだけじゃない…。この光は一体……?勇者でも降臨したかのような……」
酷く困惑した表情で、アーネスが魔法を中断させて凝視していた。
まるで、ありえないことが起きていると驚いているように。
それは、私の目的地であるアクセルの街だった。
アーネスはよほど驚いていたのだろう。
手に抱いたちょむすけが、スルリと逃げた事にしばらくの間気付かなかった。
「……ああっ!!」
空に浮かんだアーネスが、今更ながらに失態に気づく。
慌ててちょむすけを追おうとするも、その先にゆんゆんが猛ダッシュしているのを見て思いとどまる。
ゆんゆんが、落っこちてくるちょむすけをキャッチした。
それを見て、ホッとした表情を浮かべたアーネスは、
「…な、なな、何だそれは…!?」
自分に向けて杖を構える爆裂魔法の詠唱を終えた私に視線を向けた。
私の杖の先には、既に膨大な魔力が圧縮され、白い光が輝いている。
馬車の中から成り行きを見守っていた乗客達が、息を呑んでその光を見守っていた。
魔力のない彼らでも、この光が尋常ではないものだと本能的に悟ったのだろう。
アーネスが、真っ青な顔で唾を飲む。
「……それはなんの魔法だ?」
「爆裂魔法です」
私の即答を聞いて、アーネスがビクリと震えた。
ちょむすけを抱いたゆんゆんがこちらにかけてくるが、アーネスはそれどころではなく、私から目を離せずにいる。
「……分かった、今回は引き下がるよ紅魔族。口だけなんて言って悪かったね」
「別に謝らなくてもいいですよ。紅魔族は戦闘において容赦のない種族なのです。このまま見逃すほど甘くはないですよ?」
それを聞いたアーネスが空に浮いたまま固まった。
そして。ひきつった笑みと共に、素早く手をこちらに向け……!
「『カースド・ライトニ』」
「『エクスプロージョン』!!!!!!!!」
アーネスが魔法を放つより一瞬速く。
私の必殺魔法が、この日初めてアクセルの空を揺るがした―!
アーネスとの戦いが終わりアクセルの街へ馬車で向かっているなか
「ねえめぐみん。そういえば、さ」
ゆんゆんが神妙な顔つきで。
「あの時、アクセルの街のほうから、一瞬だけど凄い魔力を感じなかった?まるで……。そう、まるで、神様の奇跡級の魔法でも使ったみたいな」
……それは私も気になっていた。
「アレは一体何だったんでしょうね。あれから何も感じませんし。というか、タイミングが良すぎですよ。もしかすると、気まぐれな神様が手助けしてくれたのかもしれませんよ?」
「ええっ!?でもどうしよう、私あの時、いろんな神様に…。それこそ、邪神や破壊神にまで、思いつく限りの神様にお願いしていた様な…」
……。
「ま、まあいいじゃないですか。こうして皆助かったんですし」
「そ、そうなんだけど。この街で何が起こったのか気になるわね…」
そう言って考え込むゆんゆんを尻目に、私は少しだけみを起こし、窓の外に視線をやった。
私達を乗せた馬車は、ちょうどアクセルの街へと入った様で、安全のため速度を落とす。
石造りの街中を、馬車が音を立てながら進んでいく。
と、そんな中。
好奇心に目をキラキラさせたおかしな服を着た茶髪の少年が目についた。
私より少しだけ年上だろうか。
「…異世界だ。……おいおい、本気で異世界だ。え、本当に?これって夢じゃなくて本当に異世界?俺ってこれからこの世界で魔法とか使ってみたり、冒険とかしちゃったりすんの?」
開けた窓から少年のそんなつぶやきが聞こえてくる。
この人もアクセルに来たばかりなのだろうか。
なんだろうこの人は。無性に目を引くというか気になるというか。
私達をのせた馬車が、そんな変わった少年の横を通り過ぎる。
……あれっ?今この人から先ほど放たれた魔力を感じたような…。
いや、気のせいだろう。今は何も感じない。
私はこれからどうしようか。
いつの間にか、私の隣で寝息を立てているゆんゆんをみて。
なぜか後ろ髪惹かれる少年から目線を外し、私も眠ることにした。
この街に来て一週間が過ぎた。昨日の悪魔の襲撃で街は警戒態勢となり、多くの冒険者が外に出払っている中、私はメンバー募集の紙が張り出された掲示板へと向かう。
ああ、ひもじい。もう贅沢は言っていられない、こうなったらメンバー募集している冒険者にからんで食事の1つでもねだって――――
と。ガランとした冒険者ギルドで大きな魔力の気配を感じ私は振り向くと、食事をとっている少年を見て固まった。
そこには変な服を着た茶髪の少年。あの少年は昨日、ホーストと戦った時助太刀してくれた人だ。なんでこんな駆け出しの街にいるのか分からないくらい豊富なスキルを持っていた―――。
ふと、頭の中で作り途中だったパズルが完成したような感覚になる。
膨大な魔力、見た事もない服を着た職業冒険者、そしてアーネスとの戦いで感じ取ったあの魔力。
強いのに冒険者を選ぶ変人だが。なぜだろう、無性に気になってしまうこの人との生活は、なぜだかとても楽しいものになると確信がある。
何の根拠もないのに湧き上がる謎の確信に戸惑いつつも、私は意を決めて少年の元に足を進め―――。
「———すいません、あなたは今パーティメンバーを募集していませんか?」
私は上級職だが、パーティーを組んでくれるだろうか。
私が爆裂魔法しかつかえないことを言えば、また断られるのだろうか。
不安に思いながらも、私はぽかんと見上げる少年に、マントをバサッと翻し―――!
「———我が名はめぐみん!アークウィザードを生業とし、最強の攻撃魔法、爆裂魔法を操る者…!」
ということで辻褄合わせのプロローグでした。
ここまで閲覧してくださりありがとうございます。
是非次以降もお楽しみいただけたら幸いです。