『緊急!緊急!全冒険者の皆さんは、直ちに武装し、戦闘態勢で街の正門に集まってくださいっっ!』
アクセルの街中に響くお馴染みの緊急アナウンス。
しかし前のアナウンスよりもその声には悲壮感というか、焦燥感のようなものが感じられた。
そのアナウンスを聞いて、俺達もしっかりと装備を整え、現場へ向かう。
そして街の正門に多くの冒険者が集まる中、そこに着いた俺達は、凄まじい威圧感を放つそのモンスターの前に、呆然と立ち尽くした。
デュラハン。
それは人に死の宣告を行い、絶望を与える首無し騎士。
アンデッドとなり、生前を凌駕する肉体と特殊能力を手に入れた、リッチーやヴァンパイアと並ぶ最上位のアンデッドモンスター。
正門に立つ漆黒の鎧を着た騎士は、左脇に己の首を抱え、街中の冒険者が見守る中、フルフェイスの兜で覆われた自分の首を目の前に差し出した。
「……俺は、つい先日、この近くの城に越してきた魔王軍の幹部の者だが…………!」
やがて差し出された首がぷるぷると小刻みに震えだし――――――!
「まままままま、毎日毎日毎日毎日っっ!!おお、俺の城に、毎日欠かさず爆裂魔法を撃ちこんでく!頭のおかしい大馬鹿者は、誰だああああああああああ!!!!」
魔王軍の幹部は、それはもう、お怒りだった。
――――――
ずっと何かに耐えていたが、とうとう我慢できずに切れてしまったというようなデュラハンの叫びに、俺の周りの冒険者達がざわついた。
というか、俺達も含めこの場の誰もが、一体何が起こっているのか理解できない。
なんたって突然、駆け出しのこんな辺境の街の正門に、魔王軍の幹部なんていう大物がやってきたのだから無理もないだろう。
「……爆裂魔法?」
「爆裂魔法を使える奴っていったら…」
「爆裂魔法って言ったら…」
自然と周囲の冒険者達の視線が、俺の隣にいるめぐみんに集まった。
……周囲の視線を寄せられためぐみんは、居心地が悪そうに帽子のツバで顔を隠した。
……もしかして、毎日爆裂魔法をぶっ放してたあの廃城!
酒場で聞いた情報が間違っていて、あの廃城に魔王軍の幹部が住み着いていたのか!?
俺は隣をチラッと見ると、めぐみんが冷や汗を垂らしていた。
どうやらめぐみんも俺と同じ考えに至ったらしい。
俺とめぐみんは頷き合い、意を決して前にでた。
それに伴って冒険者達が道を空けてくれる。
街の正門から少し離れた地点に佇むデュラハン。
そのデュラハンから十メートルほど離れた場所に、俺達は対峙した。
アクアとダクネスも、俺達の後ろについてくる。
「貴様が……!貴様らが、毎日毎日俺の城に爆裂魔法をぶち込んでく、大馬鹿者か!!俺が?魔王軍の幹部だと知って喧嘩を撃っているなら、堂々と城に攻めてくるがいい!その気が無いなら、街で震えているがいい!最初は高レベル冒険者の作戦かと思ったが、撃った後特に何もせずただ徒に城を壊すだけ壊して帰っていきやがってからに!この前など二連続で来たから遂に突入されるかと準備して待っていたのだぞ!!それをまた翌日爆裂魔法で破壊するを繰り返しおって……!!ねぇ、何でこんな陰湿な嫌がらせするの?この街には低レベルしかいないと見過ごして居れば、調子に乗ってポンポンポンポン撃ち込みにきおって……っ!!頭おかしいんじゃないか貴様ら!!!」
連日の爆裂魔法が余程堪えたのだろう。
デュラハンは怒りの余りプルプルと兜が震えていた。
流石に気圧され、俺達は若干怯むも、めぐみんが肩のマントをバサッと翻し……!
「我が名はめぐみん!アークウィザードにして、爆裂魔法を操る者……!」
「…めぐみんって何だ。バカにしてんのか?」
「ちっ、違うわい!」
紅魔族特有の変な名前のせいで、名乗りを受けたデュラハンに突っこまれるが、めぐみんは気を取り直すと。
「我は紅魔族の者にして、この街随一の魔法使い。我が爆裂魔法を撃ち込み続けていたのは、魔王軍幹部のあなたをおびき出す作戦…!こうして連れてきた少数の部下すらおいてまんまと街に一人で来たのが運の尽きです!」
何故だかノリノリでデュラハンに杖を突きつけるめぐみんを後ろで見守りながらL、俺はダクネスとアクアにぼそぼそと囁いた。
「……おい、あんなこと言ってるぞ。毎日爆裂魔法撃たなきゃ死ぬとか言ってたからあの城に魔法を撃ちに行ってたのに、いつの間に作戦になったんだ」
「……うむ、しかもさらっと、この街随一の魔法使いと言い張っているな」
「しー!そこは黙っておいてあげなさいよ!今日はまだ爆裂魔法を使ってないし、後ろに沢山の冒険者達が控えているから強気なのよ!今いい所なんだから、このまま見守るのよ!」
俺達の囁きが聞こえているのか、めぐみんは片手で杖を突き出したポーズをしながら顔を紅くさせた。
しかしあのレベルの敵だ。もし襲ってきたら本当に不味い。
さっきの感じからして自分より弱い者は襲わないタイプのようだし、最悪の場合襲われるのは俺達だけだろう。
俺が緊急に備えテレポートの準備を始めると、デュラハンはなぜか勝手に納得した雰囲気を放ちだした。
「……ほう、紅魔族の者か。なるほど、そのイカれた名前は、別に俺をバカにしている訳ではないらしい」
「おい、両親から貰った私の名に文句があるなら聞こうじゃないか!」
デュラハンの言葉にヒートアップするめぐみんだが、当の相手はどこ吹く風だ。
めぐみんがその気になれば爆裂魔法をその身に受けるかもしれないのに、余裕しかない。
流石は魔王軍の幹部、爆裂魔法すら一発程度なら耐えてしまうのだろう。
「……フン。別に俺はお前ら雑魚にちょっかいをかけにこの地に来た訳ではない。この街にはある調査をしに来たのだが……駆け出しにも関わらず、爆裂魔法を操る魔法使いか…。若い芽は、早めに摘んでおくのが定石かな?」
そう言って、デュラハンは左手の人差し指をめぐみんへと突き出した。
不味……っ!
「『テレポー』…」
「させんよ」
危険を察知した俺は、デュラハンが口を開くより早くテレポートの魔法を発動させようとするが、兜の下にあるデュラハンの赤い瞳と目が合ったと思った瞬間、体の自由が効かなくなった。
なんだこれ…!?条件無視の強制行動停止スキルか!?チートにも程があるだろ…!!
俺が動きを止められて直ぐ、デュラハンはすかさず叫ぶ!
「汝に、死の宣告を!お前は一週間後に死ぬだろう!!」
デュラハンが叫んだ瞬間、その指先からどす黒いオーラがめぐみんに向けて放たれた。
そしてデュラハンが呪いを掛けるのと、ダクネスがめぐみんの襟首を掴み、自分の後ろに隠したのは同時だった。
「なっ!?だ、ダクネス!?」
めぐみんが叫ぶ中、ダクネスの体がほんのりと一瞬だけ黒く光る。
ああクソやられたっ!死の宣告か!!
「ダクネス大丈夫か!?痛むところとかは!?」
先ほどの強制停止スキルで動きを止められるのは数秒なのか、俺は自由になった体でダクネスに駆け寄る。
ダクネスは自分の両手を確認するかの様にワキワキと何度か握り。
「……ふむ、なんとも無いようだが…」
平気そうに言ってのけた。
だが、デュラハンは言った。
一週間後に死ぬ、と。
呪いを掛けられたダクネスをアクアがペタペタと触る中、デュラハンはこちらに宣言する。
「その呪いは今は何とも無い。ふむ、若干予定が狂ってしまったな……。いや、これはこれでまた一興か。……よいか、紅魔族の娘よ。このままでは仲間のクルセイダーは一週間後に死ぬ。お前の大切な仲間は、それまで死の恐怖に怯え、苦しむことになるのだ…。そう、貴様のせいでな!」
「!」
デュラハンの言葉に、めぐみんは顔を凍り付かせる。
その様子を見て満足そうに頷いたデュラハンは、言葉をつづけた。
「くっはっはっはっは!その顔が見たかった!魔王軍幹部に盾突いた己を呪うがいい。だが、俺も鬼ではない。貴様らがこの俺の城に登り、見事最上階にいるこの俺の部屋に辿り着くことが出来たなら、その呪いを解いてやろう!……だが、城には当然俺の配下のアンデッドたちがひしめいている。ひよっこ冒険者のお前たちに、果たして俺のところまで辿り着くことができるかな?ククククククッ、クハハハハハハハハッ!」
デュラハンはそう宣言すると、自身の足元に魔法陣を展開し、魔法使いの見た目をしたアンデッドを呼び出した。
そしてその配下らしきアンデッドモンスターのテレポートによって、城へと去って行った……。
――――――
あまりにもあんまりな唐突すぎる展開に、集められた冒険者達は呆然と立ち尽くしていた。
それは俺も同じ事だ。
俺の隣では、めぐみんが青い顔でわなわなと震え、力強く杖をぎゅっと握りなおす。
そして、一人で街の外へ出て行こうとする。
「おい、俺達になにも言わないで、どこに行くつもりだ?」
俺がめぐみんの手を引っ張ると、めぐみんはこちらを振り向いて言ってくる。
「今回の事は私の責任です。なので、私が決着を付けに行きます。ちょっとあの城に行ってあのデュラハンに、直接爆裂魔法をぶち込んできます」
簡単そうに言うめぐみんの目尻には、小さな粒が浮かんでいる。
……バカだなあ。
「俺も行くに決まってるだろうが。お前一人じゃ雑魚相手に魔法を使って、それで終わっちゃうだろ。そもそも、俺も毎回一緒に息ながら幹部の城だって気づかなかった間抜けだしな」
俺の言葉にめぐみんは渋い表情を浮かべる。
「それに、まだ俺はお前からその杖の購入代返しきってもらってないぞ?というかお前がいなくなったら誰が俺を守ってくれるんだよ」
俺の言葉にめぐみんは、色んな感情が混ざった顔で俺を見ると、やがて諦めて様に肩を落とした。
「……なんというか、本当にカズマらしいと言いますか。……じゃあ、一緒に行きますか。でも、相手はアンデッドがひしめいているらしいです。それに、多くの罠も用意していることでしょう。…行く前に、一旦ちゃんと作戦を練るべきですね」
「俺の敵感知スキルで城内のモンスターを索敵しながら、最小限の接敵コースで行こう。アンデッドに潜伏スキルは効かないらしいが、俺には罠探知もあるし、罠に掛かる心配はない。城内の攻略は俺に任せとけ。もしくは、毎日城に通って、一階から順に爆裂魔法で敵を倒して帰還。毎日地道に削っていく。……一週間の期限があるなら、そんな作戦でもいい」
俺の提案に少しは希望が持てたのか、めぐみんが明るい表情で頷いた。
俺とめぐみんはダクネスの方を振り返ると。
「おいダクネス!呪いは絶対に何とかしてやるからな!だから安心……」
「『セイクリッド・ブレイクスペル』!!」
ダクネスを元気づけようと、俺が声を掛ける最中。
それを遮る形でアクアが唱えた魔法を受けて、ダクネスの体が淡く光った。
そして、アクアが満面の笑みを浮かべて喜々として言ってきた。
「この私にかかれば、幹部だろうとデュラハンの呪いなんてイチコロよ!どう、どう?私だって、たまにはプリーストっぽいでしょう?」
「「…………えっ」」
盛り上がっているアクアを見て、俺とめぐみんは呆然と呟いたのだった。
――――――
騒動が終わり、全て解決したと盛り上がっている冒険者達が各々帰路につき、俺達も冒険者ギルドに向かっている最中。
俺は一人、暗い顔をして歩いていた。
あのデュラハンは、若い芽は早めに摘んでおくのが定石だと言っていた。
つまり、ここで呪いを解呪して奴を倒さなければ、めぐみんはこの先奴に狙われ続ける可能性があるわけだ。
まだ終わっていない。
ヤツが決めたダクネスの呪いが発動するまで一週間。
その間こそ何もないだろうが、その期限が過ぎた瞬間、次はどうなるか分からない。
仲間を見捨てた愚かな冒険者として捨て置かれるかもしれない。逆に、それが奴の逆鱗となり、再び街を襲い今度こそ街ごと滅ぼされる可能性がある。
そう、奴の脅威はまだ終わっていない。
そんな事を考えている間に何時の間にか冒険者ギルドに着いており、俺達はいつも通り晩飯を取るため席に着いた。
「それじゃあ私はクリムゾンビアとー…」
「私もアクアと同じのを飲みたいのですが!」
「おい待てめぐみん!いつも言っているが、お前に酒はまだ早いだろう!」
目の前では三人が、いつも通り楽しそうにメニューを片手に和気あいあいとしている。
その三人を見て俺は少し躊躇うも、覚悟を決める。
「皆、少しいいか?」
俺は三人に声を掛けると、視線を集めた。
俺の真剣な雰囲気に気づいたのか、全員が真面目な顔で俺を見ている。
「……実はな三人とも。俺はこう見えて、ガチで魔王を倒したいと考えている」
俺が突然そんなことを言うと、隣ではめぐみんがそんな話は聞いていないと言わんばかりの顔をしている。
「すまん、今まで言ってなかった。……俺は、どうしても魔王を倒したいって思ってる。そう、俺はそのために冒険者になったんだ。だから、俺達の冒険はこれから過酷な物になるだろう。特にあのデュラハンだ。俺はこれから、アイツに喧嘩を売るつもりでいる。危険度は目に見えているだろう。だから、無理してパーティーに残る必要は……」
こんな脅すようなことを言っているが、正直、本当は皆とこのまま冒険をしていたい。
しかし相手はあのデュラハンだ。今までのようには行かない。皆を危険にさらしてしまう。
その気がないのに無理して付き合ってもらう訳にはいかない。
それに、この戦いで誰かが欠けたら、俺は……。
途端、めぐみんとダクネスが怒った顔をして、椅子を蹴って立ち上がると…!
「いっ!?」
俺の頬をそれぞれぶん殴ってきた。
「おい、喧嘩を売っているなら買おうじゃないか。…この私が、魔王が怖くて、命が惜しくて逃げ出すと、本気で思っているのですか?」
「うむ、見くびってもらっては困る。クルセイダーが…いや、この私が命惜しさにお前の元から去ると思っているのか?」
そう言って俺に詰め寄ってくるめぐみんとダクネス。
二人の勢いに気圧され、呆けている俺にアクアが言った。
「汝、迷った末に出した答えはどちらを選んでも後悔するもの。どうせ後悔するなら、今が楽ちんな方を選びなさい」
突然そう言って、満面の笑みを浮かべるアクア。
俺の悩みを見透かしての発言だろうが、
なんて助言だ。
女神が言うセリフじゃねえ。
…でも。
ああそうか。
俺はこの世界に来て、最高の仲間を得たらしい。
そうだ、俺達は冒険者、いつ命を落としてもおかしくないことをやっているんだ。
それなのにデュラハンとの戦いで死んで欲しくないからって、パーティーから遠ざけるのは、おかしいよな。
「俺が悪かったよ…皆、これからもよろしくな」
目頭が熱くなるのを抑えながら、俺は皆に笑いかけるのだった。
――――――
デュラハンに喧嘩を売ると決めた俺達は、まず奴についての情報収集から始めた。
ギルドに保管された魔王軍幹部の情報や、紅魔の里で共有される魔王軍の情報など、現存する情報を粗方調べた俺達は、デュラハンの能力を纏めていた。
「何この化け物」
呟いたのは俺だった。
纏め終えたデュラハンの能力は、文字通り化け物の一言。
現状判明している情報は以下の通りだ。
ベルディア(デュラハン)
異名:勇者殺し
苦戦した際は死の宣告を振りまき、配下のアンデッドウィザードのテレポートによって魔王城に逃げるという最悪な戦法を取る。
剣の腕は魔王軍最強であり、過去、剣聖と謳われた黒目黒髪の勇者を一対一で撃破した事例がある。
弱点は聖属性魔法のはずだが、魔王による加護が付与された鎧によって一定レベルの破魔魔法が通用しない。
また挑発に弱く、意外と怒り易い。
現状その他の弱点は見つかっておらず、攻略の鍵は鎧の破壊である。
また、本人は自分が幹部であることに誇りを持っており、ベルディアの配下と戦っている間は手をだしてきたことはない。実際、『ボスは最後に戦うものだ』という発言が記録されている。
ベルディアはベルゼルグ王国王都への侵攻を先導しており、幾つもの戦いの記録が残っており、以下はその戦いの記録から判明したベルディアの能力である。
魔眼(仮):視界内の生命の動きを未来予知レベルで予測する。頭を空へ投げる動作で予測可能。
邪眼(仮):目が合った生命の動きを一時的に止める。止まるのはせいぜい数秒程度かつ、聖属性の加護でレジストは可能。
死のオーラ(仮):ベルディアが内包する死属性のオーラを分散する能力、これに充てられると恐怖心が増し、強者であっても身がすくむ。最悪の場合恐慌状態となり死に至る。聖属性の加護や魔法でレジスト可能。
各種呪い:体力吸収、生命力低下、防御力低下、速度低下等、ステータスを著しく下げる呪いを持つ。支援魔法によって打ち消し可能。また解呪魔法によって打ち消し可能。
呪いの魔法:魔法を放つのに隙が出来るが、その分威力が強力。炸裂魔法クラスで、闇の波動を半径5メートル範囲にまき散らす。この波動には上記の死のオーラや呪いが付与されている。
配下召喚:配下であるアンデッド達を召喚する能力。配下全てに魔王から与えられた聖属性への強力な耐性を得る鎧が着用されている。過去の記録から最大観測で配下の量は100体程。中にはドラゴンゾンビといった強力なアンデッドも複数確認されている。
死の宣告:ベルディアを勇者殺しと至らしめたスキル。時間指定型強制即死の呪いである。相手の魔法抵抗力によって死ぬまでの間隔は伸びるが、どんなに高い魔法抵抗力があっても、延命はせいぜい一カ月が限界である。強力な分ベルディアの魔力の5分の1も喰らうが、一回の発動で最大5人にかけることが出来る(複数人にかける場合、その場にいる最も魔法抵抗力の高い者の死への時間が全員に適用される)この呪いの解呪は過去一度も確認されておらず、この呪いを受けた即ち死を意味する。
デュラハン……もとい、ベルディアの能力を見て俺達は絶句していた。
これは…俺より先に来たチート持ちが、全然魔王を打ち倒せていないのにも納得だ。
まず死の宣告が無法すぎる。どんなに強くてもこれを喰らえばその時点で終わりってのは、余りにも理不尽過ぎやしないか?
呪いによるデバフや配下召喚も厄介だ。
邪眼やら魔眼で本体性能もバカみたいに高いのに、更にこちらの能力を低下させ、配下を召喚することで数で攻めても返されるなんて……。
余りの強さに俺達は絶句するが、しかし俺はこの情報を見て、希望を見出した。
「攻略の鍵は…アクアか」
そう、こいつの能力は、基本聖属性の魔法や加護で無効化できるものが多いのだ。
特に最後の、死の宣告は解呪された事例がないとあるが、こいつはダクネスに掛けられた呪いを簡単に解呪してみせた。
それを踏まえれば呪いや邪眼といった能力は全て対策できるかもしれない。
なんなら魔王の加護を貫通し、そのまま浄化出来る可能性も…。
いや、流石にそれは甘く見過ぎか。
「なあアクア。もしベルディアに魔王の加護が無ければアイツを浄化できるか?」
「この私を誰だと思っているの?魔王の加護さえなければ、あんなデュラハンいちころよ!」
デュラハンの能力を見て先ほどまで怯えていたが、頼られたのが嬉しいのか自信満々に言うアクア。
実際コイツはリッチーであるウィズを下位のターンアンデッドのみで消し去りかけた。
こいつもあの時よりレベルは上がっているし、それを踏まえれば鎧さえなければ、イケるはずだ。
「ふむ…」
「カズマ、私の爆裂魔法を直撃させられれば、かなりのダメージを与えられるはずです。もしかしたら鎧も破壊できるかも」
考えている俺に、めぐみんが意見をくれる。
確かに爆裂魔法ならあの鎧を破壊できるかもしれない。
だが、念には念を入れる必要がある。
それに、奴の配下が厄介だ。どちらかといえば、爆裂魔法はそっちに使いたい。
「これまでのクエストのおかげで私もかなり防御力が上がっている。私なら、最低でも十分はヤツの攻撃に耐えられるはずだ」
確かに、一撃熊の攻撃すら結構余裕そうに耐えられるダクネスだ。
ベルディアの攻撃力が如何に高くても壁役としては十分すぎるほど役割を果たしてくれるだろう。
…………アクアの能力、ベルディアの能力、めぐみんの爆裂魔法、配下との戦いでは手を出してこない、配下召喚、ダクネスの防御力、配下のテレポート、挑発に弱い、加護が付与された鎧、戦闘への拘り、圧倒的な剣の技量、そして…、
勇者殺し。
「いい案が浮かんだ。全員で話し合ってこの計画を完成させよう」
――――――
翌朝、俺とダクネスはベルディアが待つ廃城の入口まで来ていた。
対策は立てた、緻密な作戦も練った。
あとは、天運次第だ。
「よし、ダクネス準備はいいか?」
「ああ、覚悟は出来ている」
「そう気負うなよ。最悪テレポートで逃げるからな」
そう言って俺とダクネスは、城の扉を開ける。
「さあ、幹部退治、いってみよう!」
裏設定
カズマさんが一人でデュラハンに勝負を持ち掛ける場合、デュラハンに自分が予言の存在であることを伝え、自分の命と引き換えに、めぐみんを見逃してほしいということを言うつもりでした。自分の命だけで仲間が助かるなら、それでいいとか熱血主人公みたいなアホなこと考えてたからそれを三人に見透かされて殴られたんですね~
ベルディアの能力は一部このファンのベルディアさんを参考にしてます。名声クエストで出てきた当時は全然勝てなくて、やっとの思いで勝った時狂気乱舞した思い出。
辻褄合わせコーナー
ベルディアさん来てるときミツルギどこいったん?
→どっかのチンピラからグラムを買い取って王都へレベル上げ兼金稼ぎしに戻った。
原作でもベルディアって意味わからんほど強いですよね。強化前とは言えめぐみんの爆裂魔法にも耐え、ダクネスも軽くあしらったりと。カズマ達の流れに引き込めたからこそ勝てたものの、正面からちゃんとぶつかり合えば負けてた可能性の方が高いという。