バイトの給料を貰い目標額に達し、浮かれていた俺は閉店間際の武器屋で剣と、おまけしてもらった弓を購入し、浮かれ調子で床に就いた。
そして日が昇り始めた時間帯に目を覚まし、意気揚々とあの憎きカエルを倒さんと街を出たのだ!
同じ轍は踏まないと魔法攻撃はそこそこに、物理攻撃多めでカエル共をバッサバッサと斬り倒していたのはいいのだがー!
一向に数が減らなかった。
後々聞いたところ、ここ最近アクセルの街に出没する"爆裂魔"なる者が爆裂魔法を放ちまくるせいで、大量のカエルが冬眠から目覚めていたらしい。
バイト中、確かに爆発の音や突如出来たでかいクレーターで仕事が増えたことはあったが、まさかアレのせいでモンスターが増えてるなんて知らなかった。
まだチートをもらったことで調子に乗り浮かれていたのだろう。情報収集を怠った俺は遂に集まったカエルに囲まれて……再び呑み込まれ、ぬるぬるになりながらテレポートで逃げた。
「おかしいだろ……。俺の華々しい異世界生活の第一歩だってんだぞ……」
俺は泣きべそを書きながらバイトの同僚に教えてもらった大浴場で真っ先にカエルの粘液を洗い落とし、冒険者ギルドへ向かった。
そう、仲間を募集するためだ。
俺は同じ過ちを繰り返さない男!今回の失敗を分析した結果、1人だったからああなったんだと判明したのだ。
そう、仲間さえいれば、もうカエルに呑み込まれず粘液まみれになることもないはず!
そう思い足早に冒険者ギルドに着いた俺は、メンバー募集の掲示板に貼り紙を貼った。
—————
「全然来ねぇ」
募集の紙を貼って何時間たっただろうか、昼頃からずっと待っていたが一向に人は来ず、既に日は落ち初め、空はオレンジ色に輝き始めていた。
この数時間、俺の前には誰一人として冒険者はやってこなかった。やはりこの前のカエル粘液を身にまとったままギルドに来たのが失敗だったのだろうか。
あれで悪い評判が広まったとか…。
実際にパーティーを組めば実力を見せることが出来るし、大丈夫だと思っていたが…それ以前の問題ではどうしようもない。
今日は一旦諦め、次は趣向を変えて他の人のパーティーに入れさせてもらうか…。
はぁ、やっぱり冒険者ってだけでパーティーに入ろうとは思ってくれなくなるのかなぁ。
俺は今日の募集を諦め、夕食にしようと席を立つと―――激しい轟音が鳴った。
正門の方からだ、まるで強い衝撃でがれきが大量に崩れたような…。
『緊急!緊急!上位悪魔が正門を破壊!壁の内側に侵入しました!住人の皆さんは直ちに避難を!街にいる冒険者の各員は、直ちに武装し、戦闘態勢で街の正門に集まってください!繰り返します!……』
マジで?
壁を破壊して内側に侵入って、かなり不味いんじゃないか?
っ!そうだ、ここでその悪魔を倒して新進気鋭の冒険者ってのをアピールできる!憎きカエル共を倒して今のレベルは6…。朝のカエルとの戦闘は魔力を温存していたおかげで全体の10分の1程度しか消費していない。
悪魔に有効な破魔魔法や、武器を購入したことで近接系のスキルも大量に使える。今朝は物量で遅れを取ったが、相手が一体だけなら勝算は十分にある!
「『テレポート』!!」
俺は確かな勝機を感じ、意気揚々と街の正門に向かうのであった。
——————
テレポートの光が収まり、いつも俺が逃げている街の正門にたどり着くと…
朝までは平和そのものだった光景が、家も道も街も何もかもが変貌しており、この短い時間で愛着すら湧いていた光景がなんの面影もなく消失していた。
マジかよ…。こんなボロボロになってるなんて一体どれだけ暴れたんだよ。
魔法で貫かれたのだろうか、大穴が空きバランスを崩して崩れ落ちた石造りの家、所々に炎が残り舗装の跡形もない道。…そして、崩れ落ち、モンスターの侵入を防ぐという機能を失った正門。
俺は余りの被害の大きさに恐怖がこみ上げ立ち尽くしていた。
呆然としていると、突如ドゴン!!!という音が鳴り驚いてそちらを見ると…
そこには悪魔の名が相応しいほどに悪魔らしい見た目をした巨大なモンスターが荒れ狂っていた。先にここに着いていた冒険者だろうか、魔法使い風の紅い目をした少女二人が戦っている。
あ、あれが上位悪魔…。
目当てのモンスターが目の前にいる。あの見た目でこの被害だ。あいつを倒せば多くの名声と金を得られるに違いない、特典をもらい、倒す作戦もある。
俺のゲーム脳が打算的な思考をして、あのデカブツをぶっ倒してやれ。逃す手はない、あの女の子の助太刀をするんだ、仲良くなれるかもしれないぞ!と言っている反面———俺の足は動かなかった。
当たり前だ、ここはゲームじゃない。現実で、本当の異世界なんだから。俺は漸くその事実に気付き、初めて死を間近にして恐怖してしまった。
カエルの時は面白いように何十体も倒せたし、最悪テレポートで逃げることが出来ていた。
しかし、今回そんな保険はない。死んでしまったら終わりなのだ。
普段慎重な癖に特典をもらって浮かれていた。いつもだったら絶対しないような判断を安直にしてしまった。
恐怖のせいで踏み出す勇気が湧かない。勝てる見込みがあっても恐ろしいものは恐ろしい。
ああクソッ、やっぱり俺は肝心な時に動けない、意気地なしだ。あの時も恐怖に負けて逃げてしまった。ずっと同じだ。チートをもらって何か変わると思っていた。力を得ればなんでも出来るって思っていた…!あんな小さな少女達ですら戦っているのに、どうして俺は…!
後悔が募り足が竦む中、ワンドを持つ少女が隣の娘が使ったスクロールを使い姿を消した直後だった。
突然前方にいるトンガリ帽を被った女の子から尋常ではない魔力のうねりがあふれ出した。
「テメエ正気か!?こんな街中でなんてもん使おうとしてやがる!!」
肌がビリビリする程の超魔力に驚いている中、あの悪魔も身の危険を感じ取ったのだろう、信じられない者を見る目で少女に叫んでいる。
なんなんだよこの魔力、上級魔法ですらこんな魔力は必要ないんだぞ!?人間が使う魔法でこんな膨大な魔力を使う魔法って…。
——ふと、天界のカタログで見た爆裂魔法という魔法のページを見た記憶が頭をよぎった。
魔力に特化した紅魔族ですら、撃てるかすら怪しい膨大な魔力を使用する魔法。莫大な魔力を使うその魔法は魔王や悪魔、果ては神ですら、あらゆる存在に問答無用でダメージを与える最強の魔法だ。しかしバカみたいに魔力を喰うその魔法は、射撃範囲が広く、どんなに絞ったとしても敵が近くにいれば自分にまで食らってしまう欠陥魔法で…。
まさかあの娘、悪魔を巻き込んで自爆する気か!?
「待てよオイ!俺たちには残機があるんだぜ?完全に命の無駄遣いだ!バカなのか!?」
「そんなことはないでしょう。今の残機を減らせば契約は終わり。私の使い魔を狙う必要もなくなります。それに、こうすれば関係のない人たちを巻き込まずにすみますしね」
何か因縁があるのだろうか、悪魔が叫ぶが少女の止まる気配はない。
あの魔力の光を見てから俺の中であの女の子を死なせてはいけないと訴えている。しかしそれでも恐怖で足が動かなかった。
動け、動けよ!ここで動けなかったらまたダメなままだ、また同じことの繰り返しだ!またあいつ等に顔向けが出来ない!また———。
——あと少し、あと少し何かあれば一歩を踏み出す勇気が
「死にたく、ないなぁ」
巨大な魔力が渦巻、悪魔が騒ぐ中なぜかハッキリと、少女の声が聞こえてきた。理由は分からない。数10メートルも離れている少女の呟きが、俺の耳に届くわけがない。俺のただの妄想かもしれない。
だけど
それは俺を動かすのに、十分すぎる理由となった。
「やってやらああああああああああああああ!!!」
―――――――――
「やってやらああああああああああああああ!!!」
気合いを入れて叫ぶと、悪魔と魔法使いの少女が驚いたようにこちらに振り返った。
今だ!
「『カースド・クリスタルプリズン』ッッ!!」
此方の気配に気づいた悪魔を氷の上級魔法で氷漬けにすると、俺は未だに魔法の準備を止めない少女を見た。
思ってたより通りが浅い!
「おいそこの魔法使い!その魔法をコイツに当てれば倒せるのか!?」
「ッ!もちろんです!我が最強の一撃ならあんな悪魔跡形もなく消し飛ばしてやれますよ!」
「よし!あの悪魔も氷からそろそろ出てくる!俺があいつを街の外に引きつけるから、俺が逃げたタイミングでその最強の一撃とやらを頼む!お前の因縁なんだろ!しっかり決着つけてくれよ!」
「わ、分かりました!」
俺がそう言うと少女は魔法を中断し駆けていった。
さあ、ここからが正念場だ。俺が気合を入れなおすと目の前の氷が砕け散り、中から悪魔が飛び出してきた!
「不意打ちとはいえこの俺様を氷漬けにするたぁやってくれるじゃねーか」
「はっ、こちとら駆け出し冒険者だぜ?お前の魔法抵抗力が低いだけだろ」
「安い挑発だな。…あん?さっきの危ねえ小娘がいないじゃねーか。…なるほどな、お前が囮で決定力を持っているあの小娘にトドメをささせる気か」
悪魔はこっちの計画を見破り、ニタァっと笑みを浮かべた。
おいおい、魔力も高くて知力もあるのか…。なんでこんなのが駆け出しの街にきてるんだよ!
「隠れさせても無駄だぜ!アイツにはウォルバク様の匂いが染みついてるんだ!簡単に見つけ出して…「行かせる分けねーだろ!」あ?確かにお前の魔法は脅威だが、もう同じ手には」
悪魔は己から大量の魔力を吹き出し魔法抵抗力を上げているが…。
「『デコイ』ッッ!!」
俺は敵を引き付ける上級職・クルセイダーが好んで使うとされている囮スキルを発動した!
「囮スキルだと!?テメェ魔法職じゃなかったのか!!??」
魔法職だと勘違いしてくれていた悪魔は、俺が囮スキルを使ったことで困惑の声を上げた。
「敵に自分の手の内を教えるわけないだろ?……これでも喰らいな!『狙撃』!『狙撃』!『狙撃ーッ!!』」
デコイスキルの発動を確認し、俺は街の外に出るため正門に向かって駆けだした!
昨日購入した弓を使い悪魔の集中力を妨げつつ、挑発目的も込めて何発も狙撃してやる。
「クソが!いいだろう!テメェを八つ裂きにした後でウォルバク様を回収してやる!!」
やっぱり狙撃だけだと大したダメージにはならないか。爆裂魔法を当てる為にもう一度ヤツの動きを止めたいのだが、先ほどの魔法に警戒してかそんな隙を一切見せない。
そうして挑発しながらなんとか街の外に出ると、とうとう堪忍袋の緒が切れたのか、悪魔がこちらに向かって手をかざし――!
「今度は俺様の番だぜ!くたばんな!『インフェルノ』ーッッ!!!」
炎の上級魔法!防ぐ手段は色々あるが、この後の事を考えるなら……。
「『クリエイト・アース』ーッッ!!」
かなりの魔力を込め、目の前に悪魔の姿が見えなくなるほどに大量の土を生み出す。
「ーは?グワッ、アッツ!」
出現した土に炎を防がれ、自らに吹き返ってきたのだろう、悪魔が悲鳴を上げる。
俺はさっき思いついたコンボを繰り出すため、大量に召喚した土にてをかざし…!
「スクロールを使っている様子もねぇ!テメェマジでなん「『クリエイト・アースゴーレム』!!」な…んだ?」
俺の持つ全体の半分もの魔力量を込めて創られたアースゴーレムは、長身のホーストを凌ぐ、巨体を以て生み出された。
こいつの手札がまだ見えてない中で闇雲に接近しての攻撃は危険だからな。
ゴーレムを使ってコイツの力を力を把握してやる。
ゴーレムの後ろから、俺は不敵に笑い
「まだまだ、戦いはこれからだろ?」
「クソがー!」
―――――
「どういうことだ!?スクロールも使わずになんで魔法が使える!?デコイに狙撃にさっきからちょいちょい撃ってくる魔法に!テメェマジでなんなんだよイタァ!!」
迫りくるゴーレムから距離を取ろうとしながら、様々なスキルを使って邪魔をする俺を見て、悪魔がイライラしたように言葉を発する。
「敵に自分の手の内を教えるわけないだろ?……『狙撃』!『ライトニング』『狙撃』!『ライトニング』『狙撃ーッ!!』」
「いでっ!グハッ!ぐうッ!こ、この野郎……」
中級魔法も大したダメージにならない。弱らせて動きを鈍らせ、爆裂魔法を当てるのは無理か…。
やはり『カースドクリスタルプリズン』を当てて動きを止めたいんだが、さっきから全く隙を見せない。
闇雲に撃てば絶対に避けられる!
どうする…ッ!矢が尽きたか
その瞬間、矢が尽きたことで俺が攻撃を止めたほんの一瞬の隙をついて悪魔はゴーレムに魔法を発動した
「『カースド・クリスタルプリズン』!……フン!!」
一瞬で全身を氷漬けにされたゴーレムが殴られ、粉々に砕け散った。
「なっ!?」
あの大きさのゴーレムを完全に氷漬けにしやがった……!
しかもそれを殴ってぶっ壊す!?
頭も魔法も物理も強いとか本当に初心者の街に来るレベルじゃないだろ!
「チッ、かなり魔力を使っちまったぜ…やるなあテメエ、この俺様をここまで消耗させるとは」
悪魔は感心したように言いながら、こちらに手を向ける。
「半殺しにしてヴォルバク様と交換するための人質にしようと思ったんだが……てめえは危険だな。こっからはガチに殺す気でいくぜ?『カースド・ライトニング』ッッ!!!」
雰囲気の変わったホーストから、黒い雷が放たれた!
「『リフレクト』―!!」
反射魔法を使い雷を反射する。
自分の魔法が返されるとは思っていなかったのだろう。
焦った悪魔が、向かってくる黒い稲妻をなんとかかわす。
上級魔法を避けられても、高速で当たるこの魔法は避けられないはず!
焦って躱したせいか、動きが単純になった悪魔に向かって——
「『セイグリッド・ハイネス・エクソシズム』!!」
最強の退魔魔法を放った!
悪魔にこれは効くだろ?
ビームの様に輝きを放つ光は悪魔に突き刺さる!
「ぐうッッッ!?」
避けきれなかった悪魔は半身が焼かれるが…こっちに突っ込んでくる!?
「くそっ!!」
天眼スキルと超回避スキルを使い、迫りくる拳をなんとか躱す。
が、避けられることを見越していた様な動きで悪魔は、次々に拳で攻撃を仕掛けてくる。
先ほどゴーレムを粉々に砕いた通り、あの拳を受けるのは不味い!
天眼スキルを超回避スキル、そして自動回避スキルのおかげで避けれてはいるがこのままじゃジリ貧だ。何とかダメージを与えて、隙を作らないと……!
俺は鞘から剣を取り出し構える。
剣を取り出したのはいいものの、こいつの攻撃を何度も受けたら俺の筋力も、この剣ももたない!
あの子の魔法を撃ちこむ隙を作るなら、やはり魔法で動きを止めないと……ッ!!
剣を取り出した俺を見て最初の攻撃を警戒してか、ホーストがさらにスピードを上げて攻撃を仕掛けてきた。
避ける事が出来ないと判断した俺は高速準備スキルと速攻スキルを使い、取り出した剣で攻撃を受け止める
おもっ!両手でとめないと俺の押し切られるっ!?てか俺の腕がメキメキ言ってるんですけど!!
「ほう…、俺の拳を止めるか。退魔魔法といいこの腕力といい……どうなってんだ?さっきから使ってるスキルもバラバラだし、意味わかんねえな…………お前の職業、ちょいと俺に教えてくれよ」
拳を止められているホーストが、まだ余裕があるとでもいうように、俺に話しかけてくる。……なんでコイツこんな余裕そうなんだよ!!
俺は止めてるだけで精一杯なのに!!
一瞬でも力を抜けば、殴り飛ばされそうだ。
「そういや、最近この街の方角からおかしな魔力を感じたんだ。勇者でも光臨したような魔力を、な。俺ァてっきりあの魔力は最近戦った、魔剣の兄ちゃんのかと思ってたが……」
ホーストが何か言っているが、全然耳に入ってこない。
……どうする!この態勢じゃ魔法も使えない!なにか手はないのか!?
「……だんまりか。まあいい、どうせここで死ぬんだ。てめえが勇者かどうかなんて、関係ねえよな」
そういってホーストは、右手で攻撃したまま、空いた左手に魔力を込める。
やばいやばいやばい!!
この状況で魔法なんて撃たれても、防ぐ手段がない!
「終わりだ。最期に名前ぐらい聞いといてやるよ。…名乗りなてめーの名を……ッッッ!?」
―――そう言い掛けた瞬間だった。
チートをもらった俺ですら震えてしまうような超魔力。
それこそ、世界を変貌させかねないほどの凄まじい魔力を感じ、思わず力を抜きそちらの方角を見てしまう。
それを感じ取ったのは、俺だけじゃなかったようだ。
「……!!??おいおい、なんだよ、この魔力は…。いや、これは……神気か………!?」
まるで天敵にでも出会ってしまったかのように恐れおののいた表情で、悪魔がひどくおびえている。
その顔はアクセルの街を向いており、いつのまにか俺に対しての力が抜けていた。
勝機!
バックステップでホーストから離れ、ありったけの魔力を込めて魔法を発動する
「『カースド・クリスタルプリズン』!!」
「しまっ!!」
放たれた魔法によって、ホーストの肩まで下を氷漬けにして。
「『テレポート』ッッ!!」
テレポートを使い破壊された正門まで退避に成功する。
「これで拘束できたと思ってんのか?無駄だ!俺ならこの程度の氷、すぐに砕いてくれるわ!!」
悪魔は残念だったなとでも言いたげな声色で、俺に向かって言い放ち力を込めているが……。
「……砕けない?テメエどれだけ魔力を込めやがった!?」
どれだけ力を込めても、魔力を込めても氷から出られない悪魔
が叫んだ。
当然だ。テレポートで使う以外のほぼすべての魔力を込めて創りだした氷なんだぞ、そう簡単には出てこれないだろう。
おかげで体はだるいが、完全に動きを止めたんだ。これなら仕留められるよな!?
直後、俺の隣から物凄い魔力があふれ出した。
先ほど感じた魔力よりも一回りデカい。これは……中断していた少女の詠唱が完成したようだ。
「この魔力の規模は…おいガキ!!そりゃなんだ!!!」
「あなたの同僚であるアーネスを倒した、我が必殺魔法です」
「……お前がアイツをやったのか。なるほどなあ、この魔力の規模を考えると、アイツに耐えられるとは思えねえ」
少女の周りから、完全に練り切れていない魔力があふれ、あたりの空気を細かく震わせ、そして小さく帯電させている。
「助太刀、深く感謝します!いきますよ。我が必殺の、爆裂魔法!!」
爆裂魔法と聞いた悪魔が、実に人間臭い仕草で深いため息を吐きだした。
……悪魔顔なので表情はわからないが、同じく苦笑を浮かべているのだろうか。
「まったくよお……。もう魔力もすっからかんだ。…本調子なら、なんとか耐えられたかもしれないぜ?今朝、あほみたいに硬いクルセイダーと盗賊の二人組に襲われなきゃ」
いまだ身動きが取れないままで。
「しかも、そこの小僧にここまで消耗させられちまって……」
悪魔は、まるで愚痴る様に独白すると。
「《残機》が一人、減っちまうなあ。ヴォルバク様との契約も、強制解除で晴れてフリーか。……まいったな。この流れだと、いつか本当にあのガキんちょに喚び出されて、使役されちまいそうだ」
そんな、よくわからない事を満更でもなさげに呟いた。
「…………『エクスプロージョン』ーッッッ!!」
「まったく、なんなんだよこの街は!巨大な魔力が二回も落ちてくるなんてよォ!!クソっタレが―――!」
ホーストとの戦いの中ゆんゆんが消えたのは、めぐみんがテレポートのスクロールを使ってアクセルの避難所に転移させたからです。
分かりづらくて申し訳ありません。
第三話のホーストと出会うまでのカズマさんは、まだゲーム気分が抜けず調子にのっている状態でした。らしくない行動があったらそれは調子に乗っていたせい…という名の後付け設定。
余裕があればめぐみん視点のホースト戦を書いてみたいけど、ちょっと厳しいかも