IFすば   作:来世カズめぐ部屋の観葉植物になりたい者

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色々お忙しくなってきたので投稿頻度落とします。すみません


第六話 この駄女神と再会を!

翌日、俺とめぐみんは昨日話した通り、新たなパーティーメンバーを迎え入れるため、冒険者ギルドにやってきていた。

隣にいるめぐみんは、昨夜あんなことを言っておいて何の気なしにいつも通りの態度でいる。

昨夜言いたいことだけ言ってとっとと寝たこいつに、何か報復してやろうとも考えたが、借りている宿だし、今日は新メンバーが加入するかもしれないという大事な日であるため流石に自粛した。だが、俺はやられたらきっちりやり返す男…、いつか絶対に報復してやる!

 

「な、なんでしょう。今何か悪寒を感じました…」

「風邪か?体調が悪いようなら無理するなよ。戦力確認は俺だけでもできるから」

「いえ、風邪とかではないので大丈夫ですよ。…それで、今日はなんのクエストを請けるか目星は付けてるんですか?」

「もちろん。安定のカエル…といきたい所だが、俺たちは毎回カエルにやられているからな…今回はゴブリン討伐を請けようかと思ってるよ」

 

駆け出しの街アクセルにある、美味しいとされているクエストは主に二つ。

一つはお馴染みのカエル討伐だ。

大きな音さえ出さなければ基本的に一〜二匹で行動しているし、囲まれる心配もない。

また、やつらは金属が苦手であるため、フルプレートが一人でもいれば特に危険なく倒せる。

いつも俺らは戦う際爆音が響くため、毎度五十匹以上のカエルに囲まれているのだが…。

普通はカエル一匹倒すのにあんな爆音を流す必要はないし、音が出なければ地面で寝ているカエルが起きることもない。

俺たちが特殊すぎるのであって、普通の冒険者であれば本当に美味しい部類のモンスターなのだ。

そして、もう一つの比較的美味しいとされているクエストが、ゴブリンの討伐である。

駆け出しの街周辺に住むゴブリンは身体能力が低く、装備がボロボロで簡単に倒せる上に、一匹の討伐で二万エリスもの報酬が得られる。

ただ数が多いのと、稀に初心者殺しという雑魚モンスターを使い人間を釣るサーベルタイガーのような恐ろしい猛獣が隠れていることがある。

それによってジャイアントトードより人気がなく、しかし他のクエストに比べると圧倒的に命の危険が少ないことから、駆け出しから駆け出し上がりにかけて人気なクエストなのである。

俺とめぐみんはこの前初心者殺しを討伐できたし、いないにこしたことはないが初心者殺しがいても特に問題はない。

このクエストでお互いの能力を見て、お互いパーティーに加入するか、受け入れるかを決めるのだ。

 

「すまない、遅かっただろうか」

 

それは背後からの突然の声。

振り向いて見れば、そこにはガチガチのフルプレートメイルに身を包んだ金髪ロング碧眼の美女。

そう、昨夜パーティーに入りたいと言ってきたあの女騎士だった。

 

「いや、俺たちも丁度今来たところだ。とりあえず改めて自己紹介を。俺の名はカズマ。サトウカズマだ。冒険者だがスキルとステータスには自信がある。一応このパーティーのリーダーってことになる。よろしくな」

 

次にめぐみんに自己紹介を促すと、待ってましたと言わんばかりにバサッとマントをひるがえし、

 

「我が名はめぐみん!アークウィザードを生業とし、爆裂魔法を操りし者...!」

 

しまった、自己紹介となるとコイツが変にハイテンションになるのを忘れていた。

 

「めぐみんは紅魔族なんだ。だから名前は間違いじゃなし、揶揄ってるわけじゃないから安心してくれ」

 

そう俺がフォローを入れると、女騎士さんが納得したように頷いた。

しかし、俺の完璧なフォローが気に入らなかったのか、ジト目をしためぐみんが手の甲をつねってくる。

話が進まないから口での抗議ではなく、物理的な抗議にしたらしい。

その心がけは嬉しいけど、地味に痛いから手の甲をつねるのは止めてほしいんだが……。

なぜか女騎士さんが羨ましそうな目でこちらを見ているのは気のせいだろう。

 

「では私も改めて自己紹介だ。名はダクネス。職業はクルセイダーだ。一応両手剣を使ってはいるが、火力としては期待しないでほしい。なにせ不器用すぎて攻撃がほとんど当たらない。だが、壁になるのは大得意だ!よろしく頼む」

 

女騎士さん改め、ダクネスは自己紹介をすると、俺達に自分の冒険者カードを手渡した。

 

「冒険者カードは偽造できませんし、特に問題なさそうです。クルセイダーはとても強力な前衛として有名ですし、断る理由はないでしょう」

「うし、それじゃあこれで正式に加入ってことで。ダクネスもそれで平気か?」

「! ああ!ありがとう。とても嬉しい。これからよろしく頼む!」

 

俺達のパーティーに新たな仲間が加わった瞬間だった。

パーティー加入の歓迎もそこそこに、俺は早速この後の予定を話す。

 

「それじゃ、お互いの能力確認のためにもモンスター討伐に行こう。丁度ゴブリン退治のクエストがあったから、それを請けようと思うんだが、ダクネスもそれで良いか?」

「ああ、問題ない。囮や壁代わりに遠慮なく使ってほしい。役に立って見せよう」

 

そうして俺達はクエストを受注し、近くの山道に住み着いたゴブリンの討伐に向かうのだった。

 

 

――――――

 

 

「ほう、ではカズマは魔法だけでなく剣術や狙撃、回復に支援魔法まで使えるのか!器用貧乏ではなく本当に万能とは驚いた」

 

俺達はゴブリンが目撃されたという山道へ向かいながら、お互いのスキルについての情報交換を行っていた。

 

「いやいや、死蔵させてるスキルもかなりあるし、そんな大したもんじゃないよ。ダクネスやめぐみんみたいに一つに特化している奴には勝てないしな」

「カズマは謙虚なのだな...本当に御伽噺に出てくる勇者のようだ」

 

人に褒められて悪い気はしない。

むしろこんな美人にこんなに褒めてもらえるととても気分が良い。

しかし異世界に来たばかりの頃、調子にのったが故に失敗したため、調子にだけは乗らない様気を付けなくては。

だが、嬉しいものは嬉しいため頬が緩んでしまう。

 

「…………ダクネスも凄いじゃないですか。駆け出しでレベルもさほど高くないのに、クルセイダーが習得できる防御スキルを全て取っているというのは相当の才能がある証拠。頼もしい前衛が来てくれてとても嬉しいですよ」

「そう言ってもらえると嬉しいな」

「ちなみに武器の習熟スキルをとる気はないのか?アレを習得するだけで攻撃が当たらないってのは解消できると思うんだが」

「すまないが、その気はない。これは私のこだわりみたいなものなんだ」

 

めぐみんと同じようなもんか。まあ、火力に関しては超火力のめぐみんと色々使える俺でカバーできるから特に問題はないか。

 

「そっか、まぁそういうことならとやかく言うつもりはないよ...っと、そろそろだな。敵感知に反応がある。かなり多いな。……よし、じゃあ事前の打ち合わせ通り俺とダクネスはゴブリン共を直接叩くぞ。もし初心者殺しとかの強力なモンスターの気配があれば直ぐに知らせるから、めぐみんは爆裂魔法をいつでも撃てるように頼む。よし、それじゃあ作戦開始!」

 

全員に粗方の支援魔法を掛けた俺は作戦の開始を宣言すると、ダクネスと共にゴブリンの群れへと突っ込んでいった。ゴブリンの数は20前後とかなり多く、もしこれが俺一人であれば時間が掛かっていただろうが今回は頼れるタンクがついている!

 

「ダクネス!囮スキルを!俺は奥の弓使いからどんどん倒していくから、こっちにやつらが来ないよう時間を稼いでくれ!」

「任せろ!この戦いで私の壁力を見極めてくれ!さあ行くぞゴブリン共!その錆びた武器でこの私にダメージを与えてみせろ!『デコイ』!!!」

 

ダクネスが囮スキルを発動させた瞬間ゴブリンたちの注意が全てダクネスへ向き、俺は見向きもされなくなった。

かなりの数だが大丈夫かと案じたが、ダクネスは特に問題なく...?う. うん、若干頬を赤らめてはいるが、攻撃を受けても全くダメージを負った様子はなく、問題なさそうだ。

俺はヘイトが全てダクネスへ向かったことを確認すると、弓を引いているゴブリンにむかって魔法を解き放つ!

 

「させねーよ!『ブレード・オブ・ウインド』!!」

 

幾つもの風が刃となり、弓を引いていたゴブリンたちに襲い掛かった!

魔法を受けたゴブリンたちは抵抗することもできず、悲鳴を上げながらバラバラになってい

く。

 

「後衛は片づけた!ダクネス!今からそっちの援護を...」

 

振り返るとそこには、沢山ものゴブリンに囲まれもみくちゃにされているダクネスの姿が。

 

「ちょ!ダクネース!今助k」

「おのれゴブリン共!このような屈辱……私は屈しはしないぞ!弱きゴブリンたちに囲まれ、もみくちゃにされるこのシチュエーション...たまらん!」

 

喜んでる!?

まさかのダクネスはドMだった。

いや、何かおかしな所はあった。

粘液まみれになりたいとか、違和感を感じたことはあったんだ。

それは攻撃が当たらないことだと思っていたが、それは正解ではなく、ドMを感じたものだったとは…!?

 

「敵感知に反応がある!初心者殺しだ!頂上へ向かう山道!数は...五!?」

 

ぐだぐたになっている中、突然強力なモンスターの気配を感じ取った俺は、敵感知スキルを発動させた。

すると基本群れないはずの初心者殺しの反応を五つも感じ取り、俺は少し焦りだす。

 

「めぐみん!爆裂魔法の準備は!?」

「いつでもいけます!」

「ダクネスは...ああもう!『ルーン・オブ・セイバー』!!」

 

ダクネスは相変わらずゴブリンにもみくちゃにされていた。

脱出は難しそうだと判断し、俺はソードマスターの剣撃スキル『ルーン・オブ・セイバー』を発動させ、ダクネスにくっついている塊になっているゴブリン達を切り裂いた。

それでも離れない奴は一匹ずつ処理し、ゴブリンを引き離すことに成功すると、何事もなかったかのようにダクネスがケロッとしながらこちらへ走ってくる。

え!?さっきあんなにもみくちゃにされたのにダメージなしだと!?凄いなどんだけ硬いんだよ。

っと、ダクネスの防御力に関心している場合ではない。

 

「めぐみん!分かってると思うがこんな山道で爆裂魔法の直撃はさせんなよ!上空に撃って牽制を頼む!爆風で何体かは絶対倒せるはずだ!ダクネス!めぐみんの爆裂魔法で倒れなかったやつらは俺らで相手するぞ!さっきのゴブリンたちと同じ要領で...」

「何を言っているのですかカズマ!初心者殺し五匹同時討伐なんていう折角の好機、この私が見逃すはずないでしょう!!憂さ晴らしに持って来いです!!!」

「え?ちょ、おま何言って―――」

「哀れな獣どもよ!さあ、私の糧となるがいい!!『エクスプロージョン』ッッッ!!!」

 

快晴の空のした、アクセルの街付近の山の山道に、爆裂魔法が突き刺さった―――!

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

「おい、そこの自称天才魔法使い」

 

前方の地形が抉り取られ、未だプスプスと煙を上げている地面を背に、俺はうつ伏せになっているこの惨状の原因に声を掛けた。

 

「自称とは失礼な...私は紅魔の里でも歴代でトップの魔力を持つ正真正銘の天才ですから!」

 

「反省は?」

「ありません。ええ、ありませんよ!元はといえばカズマが牽制のために使おうとしたのが悪いのです。必殺は必殺なのだから必殺技として扱って悪いことがあるだろうか!それに、カズマのクリエイトアースで地形は元に戻せるくらいの威力に済ませました!そう配慮した私をむしろ褒めてほしいのです!」

 

こんのアマ―!!!

 

「...そういえば、昨晩の仕返しもまだすんでいなかったな」

「し、仕返し?」

 

俺はやられたら必ずやり返す男。目の前にいるのがいたいけな少女でも、理不尽に暴力を振られたら遠慮なく反撃ができる男だ。

 

「スティールってスキル知ってるか?盗賊職のスキルで、対象の身に着けている物を一つランダムで奪うことが出来るスキルなんだが…今のめぐみんに使ったらどうなると思う?」

 

俺の言わんとしていることが分かったのか、倒れたせいで杖と帽子を手放しているめぐみんの顔がサーッと青くなる。

 

「まあ、俺も鬼じゃない。クリエイトウォーターかスティール、どっちか選ばせてやるよ」

 

「ちょ、カズマ?身動きできないいたいけな少女にむかって何をする気ですか?き、聞いていますかカズマ?あの、その手をワキワキさせるの怖いので止めて欲しいのですが。ご、ごめんなさいカズマ!か、カズマ様ぁ!」

 

止まらない俺を見て本気であると悟ったのか、めぐみんが半泣きになりながら謝ってきた!

 

 

――――――

 

 

それから少しして、俺はクリエイトアースとクリエイトアースゴーレムを使い、めぐみんが作ったクレーターを直していると、上半身が土に埋まって抜け出すのに苦戦したらしい全身土まみれなダクネスに声を掛けられた。

 

「な、なあカズマ。お前はめぐみんに何をやったんだ?」

 

そういってダクネスがめぐみんを見る顔には、少し羨望が混じっている。

「こんなアホなことしたんだ。お仕置きだよ。これに懲りてもう同じ過ちをしないようにキツめのな」

 

そう言ってめぐみんを見ると、地面に倒れながら顔を少し赤く染めてしくしくと泣きべそをかいている姿が目に映った。

 

「うぅ、汚されてしまいました...私はもうお嫁に行けません」

 

「な、なんと羨まし、けしからんことを!」

「いっとくがやましいことはしてないからな!ていうか今、羨ましいって言った?」

「言ってない」

 

言っただろ。

っと、そうこうしているうちに漸くクレーターの跡がなくなるくらいには土が盛れた。

ゴーレムを使いちゃんと固まったか確認を行うと、しっかり修復できそうだったので作業を終える。

 

「...うし、こんなもんだな。まだ魔力に余裕があるから、テレポートで戻ろうか。ダクネスは土まみれだし、めぐみんも風呂に入りたいだろうから、先に公衆浴場に行っててくれよ。俺はギルドに報告へ行ってくるから」

「済まないな、先に行かせてもらって。では報告の方は頼んだ。折角だ、風呂が済んだらギルドで一杯やろう」

 

おういってダクネスはめぐみんを背負う。

めぐみんを背負った際にダクネスが、「何か湿っぽいな...?」と言ってめぐみんの顔を真っ赤にさせたが、俺は気にしない。

少しニヤついている俺の顔をみためぐみんが真っ赤な瞳で睨んでいるが、それも気にしない。

俺は寛大な男なのだ。

 

「うし、じゃあ行くぞ。『テレポート』!!!」

 

こうして新たな仲間を加え三人体制になった俺達パーティーの初クエストは、無事?に終わったのであった。

 

 

――――――

 

 

ギルドの受付に報告を終えた俺は、めぐみんとダクネスを待つためギルドの椅子に座っていると、少し離れた席が騒がしくなっていた。

なんだろうなと振り返ると、丁度解散するところだろうか。そこには見たことのある筋肉隆々のオッサンが、これまた筋肉隆々の男たちと共に酒を飲み終え、ギルドから出ようとしている姿が目に映った。

 

あれは……土木工事の親方たちか!

異世界に来たばかりの頃は本当に世話になったなー。

まだそこまで時間も経っていないはずだが、めぐみんとの冒険が濃密すぎてかなり前の言の様に感じてしまう。

そうして俺が懐かしさに浸っていると、突然どこからか声が――――

 

「あー----!!!いたー---!!!」

 

突然の声に驚き、声の主を見てみるとそこには、見覚えのある青い髪をした少女がこちらを指さしていた。

え?あれってあの時の女神だよな??なんでここに居るんだ?

 

「見つけたわよクソニート!あんたのせいで私帰れなくなったんですけど!!責任取って私を養いなさいよ!」

 

青髪の女神ーーアクアは、怒りながらこちらにズンズンと足を進める。

帰れなくなった?どういうことだ?俺は特典貰ったから結局アクアを特典にはしなかったのに。

 

「ちょっと聞いてるのこのクソチート!あんたのせいで私がどれだけ……っ!ちょ、クリス離してよ!あのニートに制裁を加えるの!聖なるグーよ!私の聖なるグーが火を吹くの!」

 

俺が呆けていると、いつの間にか登場していた銀髪の少女がアクアを羽交い締めしていた。

頰に小さな刀傷があり、ちょっとスレた感じだがサバサバとした明るい雰囲気の銀髪の美少女だ。

 

「アクアさん落ち着いて!一旦冷静になりましょうよ!キミ!明日、明日の朝方このギルドで会えないかい!2人は知り合いなんだろ!?」

「あ、あぁ。一応知り合いだし、明日の朝方ギルドで会うのも問題ない」

 

勢いに流されたような気がするが、まぁ女神が地上に居るとかいう大事件だ。

事情は聞いておくべきだし問題は無いだろう。

 

「よし!それじゃあ明日!明日私とこの人でここに来るから!詳しい話は明日話そう!ほら、今日は一旦帰りますよアクアさん……力強!この人本当に力強すぎるよぉ!」

 

そう言って半泣きになっている銀髪の美少女はアクアを引き連れ冒険者ギルドを出ていった。

 

なんだったんだ……?

 




漸くアクア出せた……。
次回はアクアの堕天理由やらなんやら回です。お楽しみに
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