キィィィィィン
レテア大陸のとある国家ソーリア
その西端に位置するソーラ基地
その上空を翼端を白く染めた一機のFー15Cが飛行していた
ソーラ基地所属の第8飛行師団試験飛行隊ダークスター隊
試験飛行隊が戦闘機に乗って飛んでいるのには訳がある
1ヶ月前、アラル海を挟んだ先にある
大国レモラが、突如宣戦布告と同時に航空機による攻撃を行った
この戦争はアラル海戦争と呼ばれることとなる
開戦からほぼ毎日、海を超えてこの基地にも爆撃機が飛んでくる
何度も空襲を受け、スクランブルを繰り返していれば
損害も出る 戦力が少なくなったため、
試験飛行隊も戦闘に駆り出されているのだ
⦅ダークスター1より管制塔へ 着陸許可を求む⦆
⦅こちら管制塔 着陸を許可する 1番滑走路に侵入しろ⦆
⦅All right⦆
艦載機乗りの独特な着陸方法で着陸した
すぐに機体付きの整備員がかけ寄ってくる
そしてFー15Cのコクピットが開き
パイロットの青年が顔を見せる
「よぉ芹奈 空戦見てたか?」
第8飛行師団試験飛行隊ダークスター隊隊長であり1番機
駆道 空音
コードネーム 白虎
それを迎える整備員
中空 芹奈
これは、この2人の戦争を駆け抜けていく様を描いた物語である
………………………
なぁ芹奈 スーパーフランカーいつ直るんだ?」
「どっかの大馬鹿野郎がぶん回したせいでエンジンが焼き付いてる
部品の供給も滞ってるから早くて2ヶ月後だな」
どっかの大馬鹿野郎に思い当たりしかない空音は空を見上げる
ふと、気づく
「……ん? あの黒点……」
その正体に気づいた空音は叫ぶ
「敵機東方20km!ステルス爆撃機! 芹奈エンジン回してくれ!」
「…は? あ、わかった」
管制塔にもすぐに連絡しようとするが
管制塔でも気づいたらしい
⦅ブーッ ブーッ ブーッ 敵爆撃機編隊接近 スクランブル発進急げ!⦆
スクランブル要員のパイロットたちが格納庫に向かうが
すでに爆撃機編隊は基地上空に差し掛かっていた
Fー15のコクピットの中から外を覗く
「くそっ Bー2かステルスだから映らないわけだ」
Bー2爆撃機 ステルス性が非常に高い全翼機で
隠密行動で敵の基地を破壊することをミッションとする機体だ
Bー2の爆弾倉が開いた
数発が格納庫や滑走路に突き刺さり
爆炎をあげる
管制塔にも直撃弾が………
着弾からコンマ数秒遅れて
ガラスが吹き飛び黒煙を上げる
生き残っているものはいないだろう
滑走路に出ている機体も滑走路上で被弾し動けなくなっていた
⦅ダークスター1より2へ 残った第3滑走路から離陸する 続け⦆
⦅了解 1に続く⦆
エンジンを吹かしながら誘導路を飛ばして
第3滑走路の発進位置につく
最低限の動翼動作チェックをして
発進
機体後部から噴き出る青い炎が噴き出すとほぼ同時に機体が加速する
500mほど滑走したのちに離陸
離陸と同時に機体を滑らせて敵弾を避ける
2もそれに続く
レーダーを見るとBー2は映らないが
護衛戦闘機隊は離脱しつつある
すでに爆撃はし終わったのだろう
⦅1から2へ 長距離ミサイルで敵護衛機を減らしたあと格闘戦に移るぞ⦆
⦅了解 FOX3!FOX3!⦆
Su-37とF-15Cから投下されたXLAAがブースターから火を吹き敵機に向かう
マッハ4で放たれた矢は、寸分違わず敵機のエンジンに吸い込まれていった
⦅赤5被弾!エンジン停止 イジェクト!イジェクト!⦆
⦅青9 応答しろ!⦆
⦅赤3 主翼大破 脱出する⦆
敵機のパイロットの断末魔が混線して流れてくる
こちらに気づいた敵機が反転してくるのが見える
(MiG-29か)
互いに向き合うヘッドオンの体勢
相対速度マッハ3ですれ違う瞬間に
20mm機関銃が火を吹く
敵機に吸い込まれていく曳光弾
すれ違った瞬間、血まみれになったコクピットが見えた
(嫌なもん見ちまった)
ダークスター2はと見ると
Bー2に食らいついて1機を撃墜している
⦅2へ爆撃機は任せる⦆
⦅了解しました!⦆
敵戦闘機部隊にミサイルを放つ
⦅白虎 FOX2!⦆
サイドワインダーが機体を捻って回避しようとする
ファルクラムの背中に突き刺さり爆炎をあげる
敵機の撃墜を確認した時にレーダーを見ると
敵部隊は半壊
爆撃機は5機中3機撃墜 戦闘機は12機中4機撃墜
敵部隊は撤退していった
基地にどう帰るかを考えていると
コクピット内に警報が鳴り響く
⦅ビービービー UNKNOWN UNKNOWN!⦆
戦闘機乗りの勘というべきか咄嗟に操縦桿を引く
その瞬間、何か早いものが下を滑り抜けていった
前進翼にカナード翼を装備した機体
両翼の下には四角形の何かを懸架、レーザー兵器だろうか
見たことのない機体だ
その機体は2の元へと向かう
⦅2!アンノウン!ブレイク!!!!!⦆
2には伝わったかもしれない
だが、もう遅かった
敵機から放たれた赤いレーザーが
Su-37のコクピットを貫通し機体を真っ二つにしていた
(なっ………)
混乱している場合ではない
早く動かなければ……
そう思うが、体が戦闘を拒否していた
圧倒的強者に刃向かうなと
刃向かえば死ぬと、そう告げていた
⦅Fー15のパイロット 君があの白虎かね?⦆
⦅さっきの攻撃を避けるとは大したものだ またどこかの戦場で会うのが楽しみだ⦆
40代後半くらいだろうか初老の男の声が
無線を通して聞こえてきた
⦅名は……なんという⦆
⦅セントス・マリアー レモラ空軍少佐だ⦆
⦅そうか、、俺はいつかお前を墜とす⦆
⦅楽しみにしているよ⦆
そう言いながらアンノウン機は東方に急速に退避して行く
その姿を追う気力はもう空音には残っていなかった