遊戯王5D's~似非ペクトの果てに~   作:交響魔人

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アンチリスペクト物の続編なら、ARC-Vより5D'sの方が良いというご意見を戴いた事。今更ながら、この時期のOCGではサイバー・ドラゴンが制限指定と不遇だったので、試しに投稿します。


サイバー流VSパワー・インセクトデッキ!

 ダイモンエリア。

 シティの無法地帯であり、トップスから追い出されたもののサテライトまで落ちぶれたくない連中のたまり場。

 その一角。細かい所まで手入れが行き届いてはいないが、相応に整えられた室内にて。

 

 

「来たか、デュエル屋。」

 

 サングラスを掛け、白いスーツを着こなした男が眼前の少女を見る。

 

 黒髪のおかっぱ頭。肌は日焼けしており、黒と灰色で構成された服を纏っている。

 相応に整った顔立ちにも拘わらず、強い目力が美しいというより怖い物に変えてしまっている。

 

 

「…女?」

「見た目で判断するな、新入り。」

 

 

 自分を侮る不良に毛が生えたような少年には目もくれず、少女はボスを見据えて口を開く。

 

 

「要件は?」

「おい、資料を渡せ。」

「は、はい!」

 

 

 少年から少女に渡された資料には、青い髪の男が写っている。

 

 

「瓜生。トップスで暴行事件を引き起こして実家から勘当。マーカーを付けられた後、サテライトへ送られるはずがダイモンエリアへ逃亡して住み着いた…。それだけならまぁいいんだが、ウチの若いモンにも因縁をつけてアンティルールでカードを奪った上に暴行を加えやがった。」

 

 

 なるほど。メンツをつぶされた訳か。それは放置しておけないだろう。

 

 

「報酬は?」

「39万。ただし、負ければお前はサテライトスラム行きだ。」

「わかった。受ける。」

 

 

 淡白すぎる返しに、少年は驚く。

 

「ええっ?!ま、負ければサテライトスラム送りになるのに…。」

「勝てば問題ない。」

 

「そういう事だ。あの雑賀が推薦したという腕。期待しているぜ。」

 

 

 一礼し、少女はその部屋を後にする。

 

 

 

 

 

 

 三日後。

 ダイモンエリアの広場では人だかりが出来ていた。

 

 

「よぉ。来てやったぜ。俺のDホイールは何処だ?」

 

 大きな顎が印象的なサングラスを掛けた男と、にやけた顔で指を鉄砲の形にしている取り巻き二人を引き連れ、角のような青い髪型の男、瓜生はニヤニヤと笑う。

 

「そうがっつくな。勝てばくれてやるよ。」

 

 

「はっ、俺を誰だと思っていやがる!」

「シティ産まれの瓜生さんに、勝てる奴なんてダイモンエリアに居る訳ねぇ!」

「シーッシッシッ!」

 

 

「おい、出番だ。デュエル屋。」

 

 雇い主に言われ、少女は広場の中心に歩み出る。

 

 

「ヒュー!女かよ!」

「さっさと始めるわ。」

「その前に、自己紹介しろよ。俺は」

「興味ない。」

「だとしても、そっちだけ知っているのはずるいだろう?」

 

 

 答えようとする気配がない少女を見て、雇い主の男が口を開く。

 

 

「才魔だ。」

「そうか、才魔ちゃんか。」

 

 

 名前を勝手に教えたことに、才魔 詩織(さいま しおり)は咎めるように睨みつけるが、雇い主は涼しい顔で受け流す。

 

 

「どうせサテライトスラム行きになるんだ。知っていた所で何が出来る。」

 

 

 

 

 

「「デュエルッ!!」」

 

 

才魔 ライフ4000

手5 フィールド 

    魔法・罠 

瓜生 ライフ4000

手5 フィールド 

    魔法・罠 

 

 

「先攻は譲ってやるよ、才魔ちゃん。」

 

 親しくも無いのに、ちゃん付けで呼ばれる事に若干の嫌悪感をにじませながら、才魔はデュエルディスクに手を伸ばす。

 

 

「私の先攻、ドロー!私はカード・ガンナーを召喚。効果発動、デッキの上からカードを3枚墓地に送る。」

「送ったカード1枚につき、攻撃力が500ポイントアップする…だが、それはエンドフェイズまで!」

 

 

「って事は、先攻でやっても意味無いって事っスね!」

「シーッシッシ!」

 

 

 笑われる中、才魔は墓地に送られたカードと手札を見て戦術を練る。

 

「カードを2枚伏せ、ターンエンド。エンドフェイズに、カードガンナーの攻撃力は元にもどる。」

 

 

 

才魔 ライフ4000

手3 フィールド カードガンナー 

    魔法・罠 伏せ2

瓜生 ライフ4000

手5 フィールド 

    魔法・罠 

 

 

「攻撃力400を攻撃表示でターンエンド?」

「シシシシシ!」

 

 取り巻き二人が嘲笑う中、瓜生はデュエルディスクを構える。

 

「俺のターン、ドロー!電動刃虫を召喚!」

 

 現れた攻撃力2400の昆虫族。その攻撃力に周囲が一斉にざわめく。

 

 

「装備魔法発動!団結の力!これで攻撃力と守備力が800ポイントアップ!さらにぃ!魔導師の力を装備!これで装備モンスターの攻撃力・守備力は、俺の魔法・罠カードの数×500アップする!」

「…攻撃力4200。」

「バトルだ!行け、電動刃虫!その雑魚を攻撃!」

「リバースカードオープン!月の書!場の表側表示モンスターを選択、そのモンスターを裏側守備表示にする!」

 

 月が刻印された魔導書が表側表示になり、その魔力が解放される!

 

「何?!」

「やべぇ、装備魔法は裏側守備表示にされると破壊されてしまうぜぃ!」

「シシシシー?!」

 

 

「私は、カードガンナーを裏側守備表示にする!」

「はぁ?わざわざ自分のカードガンナーを?ならそのまま破壊しろ!電動刃虫!」

 

 裏側守備表示になったカードガンナーを、電動刃虫が打ち砕く!

 

 

「…電動刃虫が戦闘を行った事で、私はカードを1枚ドロー。さらに、カードガンナーが戦闘破壊されたことで、カードを1枚ドロー。」

「俺はこれでターンエンド。サレンダーするなら受け付けるぜ、才魔ちゃん。」

 

 

才魔 ライフ4000

手5 フィールド 

    魔法・罠 伏せ1

瓜生 ライフ4000

手3 フィールド 電動刃虫 

    魔法・罠 団結の力 魔導師の力

 

 

「私のターン、ドロー。リバースカードオープン、リビングデッドの呼び声!墓地からサイバー・ドラゴン・ツヴァイを特殊召喚!」

 

 

 黒い機械族のドラゴンが現れ、耳障りな金属音をかき鳴らす!

 

 

「な、なんだぁ?」

「シ、シシシィ?!」

 

 瓜生の取り巻き二人がやや怯えて一歩下がる。

 

「速攻魔法、地獄の暴走召喚を発動。攻撃力1500以下のモンスターの特殊召喚に成功した事で、デッキ・手札・墓地から同名カードを可能な限り特殊召喚。デッキから2体のサイバー・ドラゴン・ツヴァイを特殊召喚。」

 

 さらにデッキから現れる二体のサイバー・ドラゴン・ツヴァイ。

 

「だが、地獄の暴走召喚は俺にも適用される!デッキから現れろ、二体の電動刃虫!」

 

 瓜生の場にも、新たな昆虫族が出現する!

 

 

「どぉーだ!これで俺の電動刃虫の攻撃力はさらに1600ポイントアップ!なんと攻撃力5800だぁ!」

「関係ない。手札の魔法カード、パワー・ボンドを公開することでサイバー・ドラゴン・ツヴァイの効果発動。カード名をサイバー・ドラゴンとして扱う。これで、3体ともサイバー・ドラゴンとなった。」

「サイバー・ドラゴンにパワー・ボンド…。まさか、【サイバー流】か?!」

 

 

 瓜生の表情が驚愕に歪む。

 

 

 

「…ボス、サイバー流って?」

「かつて、デュエルモンスターズ界を席巻した融合召喚を主軸においた流派。今ではすっかり廃れてしまったが…。パワー・ボンドに三体のサイバー・ドラゴン扱いのモンスターか。これは面白い物が見れるぞ。」

「へ?」

 

 雇い主と少年が会話している中、才魔は手札の一枚をデュエルディスクの魔法・罠ゾーンに滑り込ませる。

 

 

「魔法カード、パワー・ボンドを発動!フィールドから3体のサイバー・ドラゴンを墓地に送り…サイバー・エンド・ドラゴンを融合召喚!」

 

 

 現れるのは、シャドウバージョンのサイバー・エンド・ドラゴン!

 黒光りする三つ首機械竜が、耳障りな金属音を奏でながら咆哮を上げる!

 

 

「パワー・ボンドにより特殊召喚された機械族モンスターの攻撃力は、元々の攻撃力分アップする。」

「こ、攻撃力、8000!?」

 

 

「スゲェ…。でも、なんであいつわざわざサイバー・ドラゴン扱いになるモンスターを使っているんですかね?」

「知らねぇのか。サイバー・ドラゴンは、制限カードに指定されている。デッキに入れられるのは1枚だけ。にも拘わらず、サイバー・エンド・ドラゴンまで繋げるとはな。良い腕だ。」

 

 

 雇い主の男が口元を歪める。それと同時に、小さく合図を出す。

 その合図を受け、観客の中で数名の男たちが不穏な空気を醸し出す。

 

 

 

「バトル。サイバー・エンド・ドラゴンで、強化されていない電動刃虫を攻撃。エターナル・エヴォリューション・バーストッ!」

 

 

 攻撃宣言を受けたサイバー・エンド・ドラゴンは、火炎放射を電動刃虫に浴びせる!

 

 

「きょ、強化されていない電動刃虫を?!うがあああああああっ!」ライフ0

 

 

 

 

 

 ライフが尽きた瓜生は、その場にへたり込む。

 

「う、瓜生さん?!」

「シシシィ?!」

 

 

 そんな中、広場に潜んでいた雇い主の子飼いの部下が一斉に姿を見せる。

 

 

「さて、お前の負けだな。約束通り、奪ったカードとお前らの金は没収。そのうえで、サテライトへ送ってやる。」

「い、嫌だぁ!サテライトへ行くのはァ!」

 

 

 瓜生達は暴れようとするが、力づくで取り押さえられて連行されていく。

 

 

 

「よくやったデュエル屋。報酬だ。」

 

 

 分厚い封筒を受け取った才魔は素早く中身を確認すると懐に仕舞う。

 

 

「良い腕だ…。ところでサイバー流はリスペクト精神を掲げていたはずだが。」

「…それが何か?」

「お前のデュエルからは、相手に敬意を払う気配が感じられなかった。勝てばいいと言わんばかり。リスペクト精神は捨てたのか?」

「リスペクト精神は捨てた。私は勝って金が手に入ればそれでいい。」

 

 きっぱりと言い切る才魔。

 

「なるほど。お前、俺の部下にならないか?」

「考えて置く。」

 

 

 そう言って去っていく才魔をボスは見送る。

 

 

 

「ボス。カードは取り戻しましたが…。デッキごと没収しても良かったのでは?」

「俺は虫が嫌いなんだ。行くぞ。」

 

 

 そうボスは告げると、部下を率いてアジトへ帰還する。

 

 

 

 

 ダイモンエリアの裏路地にある雑居ビル『トレード☆イン』

 その一室にて。

 

 

「疲れた…。」

 

 備え付けの狭いシャワールームで汗を流す才魔。

 瓜生と取り巻き二人からの嘗め回すような視線が未だに残っている感じがしたため、念入りに身体を洗う。

 

 とはいえ、金は手に入った。才魔は久々に良い物を食べる事にする。

 

 

 フィッシュアンドチップスの屋台にて、ミディアムサイズを注文。

 酢と塩をかけ、ホクホクの魚と芋の食感を堪能。

 

 多少は貯蓄しているが…デュエルに負けてしまえば全てを失い、サテライトへ送られるかもしれない。

 その恐怖をどこかに感じているため、彼女は刹那的に生きている。

 

 

 




遊戯王5D'sではトップス(シティ)>ダイモンエリア>サテライト>サテライトスラムという生活圏の格差があるので、何かしらの事件を起こしてトップスから追放された瓜生はいきなりサテライトに落ちるのでは無く、ダイモンエリアで一旦留まろうとすると思います。
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