遊戯王5D's~似非ペクトの果てに~   作:交響魔人

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次回が最終回になります。


龍亞の修行

その日。一人で泣きじゃくっている初等部の生徒を見かけた才魔は、彼に寄り添った。

 

 

 

 

 

「お、俺…皆からデュエルを申しこまれるから、てっきり、に、人気者何だと思っていたら…。ただ単に、俺相手なら勝てるからっていう理由だったんだ!」

 

 冗談か、あるいは本音か。ただ、何気ない言葉が彼を深く傷つけてしまったようだ。

 

「強くなりたいなら、手を貸すわ。」

「やってやる!やってみせる!」

「そう。だけどその前にやる事がある。」

 

 

 洗面所に行かせ顔を洗わせた後で、才魔は龍亞を連れてアカデミアの資料室へ連れていく。

 

 

 

「私はサイバー流のデュエリストだから、リスペクト・デュエルについて話をさせて貰う。」

「リスペクトって、尊敬って意味だよね?」

「そう。相手の全力を見極め、そこに必殺の一撃を放つ。必殺技があるなら最初から使えばいい、というのは未熟者。放つべきタイミングを見極められないようでは、まだまだ甘い。だけど私はこの道に歩ませるつもりはない。」

「でも、才魔さんは凄く強いよ…。」

「龍亞には、龍亞にあった戦い方がある、それはリスペクト・デュエルではない。というわけで、私は守りを重視したり、力を受け流す方針は不得手。それよりも、方針を決めるべき。」

「方針?」

「エースモンスターである、パワーツールドラゴンを主軸に置くのか、それともディフォーマーの効果を重視するのか。」

「えっと…それって両立は出来ないの?」

「まずは一つに絞る。私はそうやって強くなった。パワーツールを主軸におくなら、ディフォーマーの非チューナーはレベル4、チューナーはレベル3で統一するとシンクロ召喚を狙いやすくなる。」

「そっか!シンクロモンスターのレベルと同じレベルになるように、チューナーと非チューナーのレベルを統一すると出しやすいんだ!」

 

 初等部の教員は一体なにを教えているのか?と思ってしまう才魔。

 いや、龍亞の記憶力がさほど長けているわけではないのかもしれないが。

 

 後に「自由にのびのびとデュエルさせる事」という事を知り、「もう少し色々具体的に教えても?」と才魔が訝しむようになるのは別の物語である。

 

 

 

「モバホンはデッキに入れられないの?」

「モバホンはデッキからディフォーマーを特殊召喚する効果があるから、最優先で投入するべき。他の方法としてはパワー・ツールのシンクロ召喚を狙わず、ディフォーマーのコンボで戦うという戦術。ラジオン、ラジカッセン、ボードンを主力に、D・バインドで攻撃を阻止する。もちろん、パワー・ツールのシンクロ召喚も出来ないわけでは無いけど、前にあげた方法より使い辛くなる…。まぁ、このカード群で戦うなら、ディフォーマーでコンボを繋げ、機会をうかがってパワー・ツールの攻撃でトドメ、という流れを狙うといいかもしれないわ。」

「ディフォーマー達で頑張って、それでも突破出来ない時にパワー・ツール…。うん、良い!」

「なら、シミュレーションを使って実戦する。」

 

 

 

 簡易的なデッキを作成できるシミュレーションマシンを才魔は起動する。

 かつて、海馬コーポレーションの社長はこの手の機械を使い、ライバルとデュエルした場合の勝算を研究したという。

 

 

 

 

「「デュエルッ!!」」

 

 

才魔 ライフ4000

手5 フィールド 

    魔法・罠 

龍亞 ライフ4000

手5 フィールド 

    魔法・罠 

 

 

「私の先攻、ドロー。モンスターを召喚、D・モバホン。」

「モバホン?!」

「魔法カード、機械複製術を発動。デッキからモバホンを2体特殊召喚!2体のモバホンの効果発動、1~6からランダムに選ばれる。」

 

 期待値は3.5である。それが3体なのだからある程度展開できると思った才魔だが。

 

 

「1、2…。カードをめくる。D・スピードユニット。堕落とデーモンの斧だから手札に加えない。」

「あれ?デーモンの斧はともかく、堕落?」

「3体目の効果発動。出た目は3、三枚捲る…。チューナーモンスター、D・スコープン。守備表示。」

「えっ?守備表示?」

「守備表示のスコープンはレベルを4として扱う。レベル1のモバホン3体に、レベル4のスコープンをチューニング!起動せよ、鋼の逆鱗!シンクロ召喚!パワー・ツール・ドラゴン!」

「パワー・ツール・ドラゴン!そっか、スコープンは守備表示の効果もあるんだった…。」

「ここでパワー・ツール・ドラゴンの効果発動、パワー・サーチ!装備魔法、堕落、デーモンの斧、魔導師の力を選択。」

「うっ、真ん中のカード!」

「このカードを手札に加える。魔法カード、おろかな埋葬を発動。デッキからモンスターカードを1枚選択して墓地へ送る。暗黒魔族ギルファーデーモンを墓地へ。」

「あ、暗黒魔族?」

「このカードが墓地へ送られた時、場のモンスターの装備カードとなり、攻撃力を500ポイント下げる。パワー・ツール・ドラゴンに装備。」

「攻撃力を下げちゃった?!」

「カードを1枚伏せてターンエンド。」

 

 

才魔 ライフ4000

手2 フィールド パワー・ツール・ドラゴン

    魔法・罠 暗黒魔族ギルファーデーモン 伏せ1

龍亞 ライフ4000

手5 フィールド 

    魔法・罠 

 

 

「俺のターン、ドロー!よしっ!速攻魔法、サイクロン!その伏せカードを破壊!」

「鎖付きブーメラン。チェーン発動はしない。」

「D・スコープンを召喚!効果発動、手札のDを特殊召喚!D・ラジオンを特殊召喚!」

「レベルの合計は7、となれば」

「レベル4のラジオンに、レベル3のスコープンをチューニング!世界の平和を守るため、勇気と力をドッキング!シンクロ召喚! 愛と正義の使者、パワー・ツール・ドラゴン!」

 

 場に二体のパワー・ツール・ドラゴンが対峙する。

 

「パワー・ツール・ドラゴンの効果発動!ダブルツールD&Cを3枚選択するよ!」

「選択の余地が無いわね。右のカード。」

「そのままパワー・ツール・ドラゴンに装備!攻撃力を1000ポイントアップ!攻撃力3300!バトルだ、パワー・ツール・ドラゴンで、パワー・ツール・ドラゴンを攻撃!クラフティ・ブレイク!」

「……パワー・ツール・ドラゴンの効果発動」ライフ4000から2500

 

「装備カードを墓地に送って、破壊を免れる効果だよね。」

「暗黒魔族ギルファーデーモンを墓地へ送る。そして墓地へ送られた暗黒魔族ギルファーデーモンの効果発動、場のモンスターの装備カードになる。私のパワー・ツール・ドラゴンに装備。」

「…あれ?もしかして、そっちのパワー・ツール・ドラゴン、戦闘では破壊されない?」

「そういう事。さぁ、どうするのかしら?」

「ターンエンド。でも、攻撃力はこっちが上だ!」

 

 

才魔 ライフ4000

手2 フィールド パワー・ツール・ドラゴン

    魔法・罠 暗黒魔族ギルファーデーモン 

龍亞 ライフ4000

手3 フィールド パワー・ツール・ドラゴン

    魔法・罠 ダブルツールD&C

 

 

「私のターン、ドロー。場にデーモンと名の付くモンスターが存在する事で、装備魔法、堕落を発動。相手モンスターのコントロールを得る。」

「あ、ああああっ!パワー・ツール・ドラゴンが!」

「二体でダイレクトアタック。」

「うわあああああっ!」ライフ4000から1700、1700から0

 

 

 

「うう…。負けちゃった…。」

「私はデュエル屋をやっていた頃、【デーモン】デッキを使うデュエリストと戦った事がある。これはその時に学んだ戦術。こういう戦術もある。残りの手札は…。D・ラジカッセン、D・バインド、D・チャッカン…か。龍亞、先ほどのターンはパワー・ツール・ドラゴンのシンクロ召喚ではなく、D・ラジカッセンかラジオンのどちらかを召喚。D・バインドとサイクロンを伏せてターンエンドしていれば、次のターン、私の堕落にチェーンしてサイクロンで破壊すれば、D・バインドで私は攻撃出来なかった。」

「あっ…。」

「もしもデーモン関連カードについて知っていたら防げた。こういう経験を繰り返し、なぜ負けたのか?について考えることで少しずつ強くなっていけばいい。次はこのデッキだ。」

 

 

 

 才魔はグラヴィティ-バインド-超重力の網-でロックを仕掛け、ステルスバード、デス・ラクーダ、イナゴの軍勢、スカラベの大軍といったサイクルリバースモンスターで場を荒らす。

 

「龍亞、ロックコンボは決まれば強いが、一度突破されると脆い。だからこそ、突破されないようにカウンター罠が必要になる。」

 

 

 デュエル屋をやっていた経験をもとに、才魔はアドバイスをする。

 デュエルアカデミアに通っているうちに、才魔は進むべき道として教師への道を考えていた。

 

 そのためには、後進の指導が出来なければならない。

 どうやら、龍亞は筋が良いようだ。

 

 

 

「卑怯だぞ、龍亞!」

「何が?」

 

 

 通りすがりの矢薙 アキラは初等部のデュエルを見かけてやや驚く。

 龍亞の場は、D・ビデオンにD・コードを装備。D・ラジカッセンにダブルツールD&Cを装備。D・バインドで攻撃と表示形式の変更を妨害した上で、対戦相手の魔法・罠カードを毎ターン破壊する戦略を使っている。

 

 

「相手の攻撃を一方的に封じて、安全圏から攻撃しない、ふざけるな!こんなのデュエルじゃあない!」

「デュエルだよ。コンボを決めて、確実に勝ちを狙う。」

 

 

「まぁ、それが龍亞のデュエルよね。」

 

 幼いころからD・マグネンUを使った通称マグネロックとD・チャッカンによるロックバーン戦術を使われ続けた妹は呟く。

 

 

「それにしても、かなりデッキが洗練されてる。一体いつの間に…。そういえば、最近放課後に見かけなかったけど。誰かから教わった?遊星でも先生でもなく、デュエルの腕が立つ人…アキさん?いや、アキさんは遊星のところに入り浸っているから…。」

 

 

 

 その発言からアキラは一人の少女の顔を思い浮かべる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺はこれでターンエンドだ!」

 

龍亞 ライフ4000

手3 フィールド D・モバホン D・ラジカッセン

    魔法・罠 伏せ2

ルチアーノ ライフ4000

手5 フィールド 

    魔法・罠 

 

 

「じゃあ行くよ、僕のターン、ドロー!僕は機動砦のギア・ゴーレムを召喚!」

「攻撃力800を攻撃表示、何かあるな。」

「手札を1枚墓地に送り、装備魔法発動!閃光の双剣-トライス!ギア・ゴーレムの攻撃力は500ポイントダウン。機械複製術を発動!デッキから機動砦のギア・ゴーレムを2体特殊召喚!ここで魔法カード、右手に盾を左手に剣を!これでギア・ゴーレムの元々の攻撃力と守備力を入れ替える!」

 

 場に三体の機動砦のギア・ゴーレムが並ぶ。

 

「デッキから特殊召喚した2体の機動砦のギア・ゴーレムのモンスター効果発動!ライフを800払う事でこのターン、機動砦のギア・ゴーレムはダイレクトアタックが出来る!攻撃力2200のダイレクトアタック二回で僕の勝ちだね!バトルだ!」ライフ4000から3200、3200から2400

「メインフェイズ終了時に永続罠、D・バインドを発動!レベル4のそいつは攻撃出来ない!」

「キャハハハハ、速攻魔法、サイクロン発動!D・バインドを破壊するよ!」

「カウンター罠、マジック・ジャマー!手札を1枚捨てて、魔法カードの発動と効果を無効にして破壊する!」

「なっ?!カードを1枚伏せて、ターンエンド。」

「このエンドフェイズに、機動砦のギア・ゴーレムの攻撃力は2200から300に下がる。」

 

 

龍亞 ライフ4000

手2 フィールド D・モバホン D・ラジカッセン

    魔法・罠 D・バインド

ルチアーノ ライフ2400

手0 フィールド 機動砦のギア・ゴーレム 機動砦のギア・ゴーレム 機動砦のギア・ゴーレム 

    魔法・罠 閃光の双剣-トライス 伏せ1

 

 

「俺のターン、ドロー!D・モバホンに装備魔法、D・コードを装備。モバホンの効果発動、ダイヤル~オン!出た目は4!4枚捲る…よし、D・ラジオンを特殊召喚!俺はモバホンを守備表示に変更、D・コードの効果で、お前の伏せカードを破壊する!」

「攻撃の無力化が!?」

「ラジオンが場にいる限り、俺のディフォーマーの攻撃力は800ポイントアップする。バトルだ、ラジオンでトライスを装備している機動砦のギア・ゴーレムを攻撃!」

「うわああああっ!」ライフ2400から900

「D・ラジカッセンでもう一体の機動砦のギア・ゴーレムを攻撃!!」

「ま、負ける?!この僕が、う、うわぁあああああっ!」ライフ0

 

 

 ルチアーノは、本気では無かったとはいえ、敗北した事にショックを隠し切れない。

 

 

 

 その様子を見ていた才魔は、自身の進路を決める。

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