ネオドミノシティ。そこにはあるデュエルモンスターズの塾が存在する。
デュエルアカデミアネオドミノ校へ入学出来なかった子供を対象に、デュエルモンスターズのイロハを教えてくれる私塾。
会費は少し値が張るが、受講する前と後では大きく腕が上がる事もあり、少しずつ評判を上げている。
「はぁっ、はぁっ、はぁ…」
一人の小柄な少年が走る。
その後ろをガラの悪い連中が追う。どうみても何かしらの事件が起きているのだが、人通りが少ない事もあり、助けの手は来ない。
そう思っていたからこそ、彼らは少年を追うルートにしていた。
だからこそ、誰かが現れた時。少年だけでなく不良達も驚いた。
「下がっていなさい。ここは私が。」
「な、何だ!邪魔するな!」
デュエルディスクを構える女性に、不良もまたデュエルディスクを構える。
「サイバー・ツイン・ドラゴンで攻撃!」
「くっそぉおおおお!お、覚えていやがれ!」
圧倒的な力の差を見せつけた女性は、追われていた少年に向き合う。
「大丈夫か?」
「あ、ありがとうございます…。」
「何があった?」
「…デュエルモンスターズが弱いから、アンティルールだ、カード寄越せって脅されて。」
「それで、どうしたい?」
「えっ?」
「強くなって自分の身を守れるようになりたいのか。それとも今日みたいに誰かに助けてもらいながら、逃げ続けるのか。立ち向かいたいというなら、私が力になる。」
「貴女は…。」
「私は 矢薙 詩織。サイバー流のデュエリストだ。」
「サイバー流…。」
夷藤(いとう)少年は、サイバー流の私塾に通いつつ腕を磨いた。
いじめっ子の投稿ルートを避け、遭遇しないように気を付けて行動していたが。
「探したぞ。さぁ、レアカードを寄越せ。持っていないなら盗んでこい。」
「断る。レアカードが欲しいなら、僕とデュエルしろ。」
「お前が俺と?まぁいい、デュエルの申し出ならうけてやろう。」
「そっちが勝てばレアカードが手に入るなら、僕が勝った場合、何をする?」
「もしもお前が勝ったらお前の要求を一つ飲んでやる。それでいいだろう。始めるぞ!」
「「デュエルッ!!」」
夷藤 ライフ4000
手5 フィールド
魔法・罠
いじめっ子 ライフ4000
手5 フィールド
魔法・罠
「先攻は俺だ、ドロー!魔法カード、おろかな埋葬を発動する。デッキからスクラップ・ビーストを墓地へ送る。そして手札からスクラップ・キマイラを通常召喚。召喚成功時のモンスター効果でスクラップ・ビーストを特殊召喚!レベル4スクラップ・キマイラに、レベル4のスクラップ・ビーストをチューニング!打ち捨てられたくず鉄共、龍になって復讐しろ!シンクロ召喚!現れろ、スクラップ・ドラゴン!カードを4枚伏せてターンエンドだ!」
夷藤 ライフ4000
手5 フィールド
魔法・罠
いじめっ子 ライフ4000
手0 フィールド スクラップ・ドラゴン
魔法・罠 伏せ4
「ぼくのターン、ドロー。フォトン・ケルベロスを召喚。効果発動、召喚に成功したターン、このカードが表側表示で存在する限り、相手は罠カードを発動出来ない。」
「ちっ、だがそんな雑魚。次のターン、俺のスクラップ・ドラゴンが粉砕してやる!」
「魔法カード、パワー・ボンドを発動。手札のブローバック・ドラゴンとリボルバードラゴンを墓地へ送り、ガトリング・ドラゴンを融合召喚。パワー・ボンドによりその攻撃力は元々の攻撃力分アップする。」
「攻撃力5200だとぉ!」
「バトル。ガトリング・ドラゴンでスクラップ・ドラゴンを攻撃。ダメージステップに速攻魔法、リミッター解除を発動!攻撃力10400だ。」
「ぐああああああああっ!」ライフ0
一瞬でライフを削り切り、夷藤は肩で息をする。
勝てた、勝ててしまった。
「く、くそ!サイバー流ごときに、この俺が!」
「僕の勝ちだ。僕の要求はただ一つ。もう僕に関わらないで。」
圧勝した夷藤は、私塾へ向かう。
「…こんにちは、先生。僕、勝てました。」
「気分はどう?」
「まだまだ、未熟です。ご指導、よろしくお願いします。」
「そう、いい心がけね。」
そう言いながら、詩織はジェネクス・コントローラーとサイバー・ドラゴン、A・ジェネクス・アクセルのカードを並べながら指導を開始する。
「シンクロ召喚については知っているわね?」
「はい。チューナーとそれ以外のモンスターのレベルの合計がシンクロ召喚するシンクロモンスターと同じに合わせる、つまり、足し算です。」
「おおむねその通りだけど、召喚するシンクロモンスターによっては特定のチューナーを指定したり、種族や属性、素材のモンスターの数も異なる。単なる足し算という認識では不十分。」
「はい、先生。」
サイバー流だからといって、必ずしもサイバー流を使わねばならないわけでは無い。
大事なのはその精神にあると定義した彼女は、今日も本来のリスペクト・デュエルを広める活動に精を出す。