遊戯王5D's~似非ペクトの果てに~   作:交響魔人

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青山救出作戦

「よぉ。体調はどうだ?」

「…問題ない。」

「ならちょうどいい。お前にやってもらいたい事がある。」

「私を助けたのはそのためか。」

 

 そう呟く才魔を、近東は真剣な眼で見る。

 

「黒薔薇の魔女には、勝てていたんだな?」

「途中で倒れたのは私。だから私の負けだ。」

「つまり、ダメージが実体化しなければお前が勝っていたんだな?」

 

 その問いに才魔は即答しなかった。だがそれが、答えを雄弁に物語っている。

 

「アルカディア・ムーブメント。それが黒薔薇の魔女が所属している組織だ。」

「…アルカディア。」

「ま、デュエルしたら相手を傷つけてしまうんじゃあ、周囲から孤立するのも当然だがな。どうにも相手を傷つけても癒す事は出来ないみたいだしな。さて、依頼の話に移るぞ。」

 

 

 黒薔薇の魔女とて実質敗北していた以上、リベンジしたいだろう。無論、自分とて再戦は…。

 いや、ダメージを実体化させる相手と再戦はお断りだ。依頼でもない限り。

 

 

「俺の元部下に、青山っていう電気系統に詳しい技術者が居る。」

「青山?」

「今は捕まって収容所に入れられている。」

「何をした?」

「トップスの依頼で修理作業を行った後に報酬を横領された事に抗議したら、濡れ衣を着せられて収容所に送られた。」

「…腐っている。」

「そうだな。俺はあいつを助けるために準備を進めてきた。あいつも脱出するための準備を進めている。」

「それで、私は一体何をすればいい?」

「万が一に備えての足止めだ。」

「デュエル屋を雇ってまで?」

「万全を期したい。このセキュリティホールが見つかれば塞がれてしまうからな。」

 

 

 

 

 

 ダイモンエリアの収容所近辺にて。

 

 

「…夜8時から9時の一時間、警報を妨害する。その間に青山が脱獄する。」

「一年、長かったな…。」

 

 

 何故彼が収容所送りになったのかを、才魔は聞かない。

 依頼とは関係が無いからだ。

 

 事情を知ってしまえば深入りする羽目になるかもしれない。

 

 

 

 

 予定時間になったが、青山は出てこない。

 待つ事10分ほど。突然、収容所から凄まじい絶叫が響き渡る。

 

「…収容所の署長は鷹栖という奴らしいが…。気づかれたか?引き上げを」

「まだだ、まだ待とう。無関係な囚人を甚振っているのかも。」

 

 

 

 

「イーッヒッヒッヒッヒ!」

 

 甲高い笑い声。

 声が聞こえた方向に、才魔は顔を向ける。

 

 

「これはこれは。脱獄計画を企てていた実行犯ですね?」

 

 

 ピエロを連想させる格好の小男。

 とはいえ来ている服は清潔感があり、上質な布地を使っている所から察するに、トップス関連の人間だろう。

 

 

「人を待っているだけだ。」

「ほう?こんな時間に、それもダイモンエリアの収容所近辺で待ち人…ですか?ヒッヒッヒ。」

「遅れているようで少々退屈していた所だ。私とデュエルしないか?」

「ヒッヒッヒ。ゴドウィン長官の懐刀にして、治安維持局特別調査室室長であるこのイェーガーとデュエルを?いいでしょう。どうやらデュエル屋のご様子。」

 

 

 

 そのセリフを聞いた一人が耳打ちする。

 

 

「撤収するぞ。」

「な、何故?」

「治安維持局の幹部が収容所では無くて外回りをしている以上、収容所内に同格以上の幹部が居る。」

「…くそっ。」

 

 

 そんな会話をしり目に、才魔とイェーガーは対峙する。

 

 

 

「「デュエルッ!!」」

 

 

才魔 ライフ4000

手5 フィールド 

    魔法・罠 

イェーガー ライフ4000

手5 フィールド 

    魔法・罠 

 

 

「先攻は頂きます。ドロー!ジェスター・コンフィを手札から特殊召喚!」

「攻撃力0を攻撃表示…。」

「ヒッヒヒヒ…。カードを3枚伏せて、ターンエンド!」

 

 

 

才魔 ライフ4000

手5 フィールド 

    魔法・罠 

イェーガー ライフ4000

手2 フィールド ジェスター・コンフィ

    魔法・罠 伏せ3

 

 

 

「私のターン、ドロー。サイバー・ヴァリーを召喚。」

「おや?そちらも攻撃力0を攻撃表示…。」

「魔法カード、機械複製術を発動。場のサイバー・ヴァリーを選択。デッキから同名カードを2体、特殊召喚。」

「ヒッヒッヒ。レベル1を3体並べたようですが…。どうやらチューナーが居ませんねぇ?」

「サイバー・ヴァリーの効果発動。このカードと場のモンスターを除外して、2枚ドロー。サイバー・ヴァリーを2体除外する。」

「ふむ。手札補充が目的ですか。」

「魔法カード、精神操作を発動。ジェスター・コンフィのコントロールをエンドフェイズまで得る。」

「なんですとぉ?!サイバー・ヴァリーのコストで私のジェスター・コンフィを除外するつもりですね?!カウンター罠、マジック・ジャマー発動!手札を1枚捨て、精神操作の発動と効果を無効にして破壊!」

「カードを2枚伏せて、ターンエンド。」

「おっと。このエンドフェイズにジェスター・コンフィの効果発動!このカードと相手の場のモンスターを手札に戻します。サイバー・ヴァリーには消えてもらいましょう!」

 

 

 手札にサイバー・ヴァリーを戻され、才魔は相手の動きをじっと見つめる。

 

 

 

 

才魔 ライフ4000

手4 フィールド  

    魔法・罠 伏せ2

イェーガー ライフ4000

手2 フィールド 

    魔法・罠 伏せ2

 

 

「私のターン、ドロー!ジェスター・ロードを召喚!」

「攻撃力0…。」

「イッヒヒヒヒ、ジェスター・ロードは他にモンスターが存在しなければ、場の魔法・罠カード1枚につき、攻撃力を1000ポイントアップするのです!」

「場の魔法・罠カードは4枚、攻撃力は4000…。」

「バトル!ジェスター・ロードでダイレクトアタック!」

「リバースカードオープン。サイクロン、右の伏せカードを破壊。」

「なっ?!」

「さらにチェーンして速攻魔法発動、手札断殺。」

「ぬぬぅ?!」

 

 才魔はサイバー・ヴァリーと超電磁タートルを墓地に捨て、イェーガーはジェスター・コンフィとダーク・バーストを捨てて新たに二枚ドローする。

 

「サイクロンの効果を処理。」

「強制脱出装置が…。ですが、ダイレクトアタックは通ります!」

 

 

 ジェスター・ロードの炎の玉が、才魔を襲う!

 

 

「…っつ」ライフ4000から3000

「ターンエンド。」

 

 

才魔 ライフ3000

手4 フィールド  

    魔法・罠 

イェーガー ライフ4000

手2 フィールド ジェスター・ロード

    魔法・罠 伏せ1

 

 

「私のターン、ドロー。サイバー・ドラゴン・ツヴァイを召喚。」

「サイバー・ドラゴン…ツヴァイ?」

 

 そう言うと、イェーガーは手元の小型の機械を操作する。

 

 

「これは…。手札の魔法カードを見せることで、カード名をサイバー・ドラゴンとして扱うサイバー流のモンスター…。ということは、貴女はサイバー流なのですかぁ?!」

「だとしても、お前には関係ない。」

「ヒッヒヒヒ。確かにそうですねぇ…。貴女がサイバー流だろうと何だろうと、私のやるべきことは変わりません。罠発動!奈落の落とし穴!」

 

 

 現れたサイバー・ドラゴン・ツヴァイは奈落の落とし穴に描かれている緑色の人物に引きずり込まれ、破壊される!

 

「さて、ここからどうするつもりですかね?」

「相手の場にのみモンスターが存在するとき。サイバー・ドラゴンは特殊召喚出来る。」

「なっ?!」

 

 現れた黒いサイバー・ドラゴンが吠える!

 

「場のモンスターがジェスター・ロードだけでなくなったことで、攻撃力は0にもどる。」

「ぬぬぅ…。ですが、まだライフは残ります!そうなれば」

「装備魔法、巨大化を装備。」

「なんですとぉ?!ライフが少ない時、装備モンスターの攻撃力を2倍にする…。」

「サイバー・ドラゴンの攻撃力は4200となる。バトル。サイバー・ドラゴンで、ジェスター・ロードを攻撃。エヴォリューション・バーストッ!」

「ヒ、ヒィイイイイイ?!」ライフ0

 

 

 

 まさか負けるとは思っていなかったらしく、イェーガーはその場に崩れ落ちる。

 

 

「私の勝ちだ。」

「…滅び去った残党如きに…。」

「待ち人の事情は変わったらしい。私も失礼する。」

「ぬ?んあ?」

 

 

 気がついたら他の人物も消えていたことで、イェーガーは嵌められた事に気づく。

 

 

 

「…デュエルにも負け、脱獄計画の関係者の検挙も出来ず…ゴドウィン長官に何といえば…いえ、収穫は0ではありませんね。」

 

 サイバー流はシンクロ召喚の登場に伴い失墜したが、失墜した理由は「リスペクト」の名のもとに使用カードに制約を課すという所業をしていたことが要因だ。

 先ほどのデュエル屋は、コントロール奪取カードである精神操作を採用していた。つまり、そういう思想には染まっていないのだろう。

 

 

「今日は引き下がるとしましょうか。鷹栖署長とシグナーの決着もそろそろついている頃でしょう。イッヒヒヒ。」

 

 

 太った体型で無能な権威主義な俗物である鷹栖を、イェーガーは個人的に嫌っている。

 とはいえ、俗物であるがゆえに飼いならしやすい事は事実。

 

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