未OCGカードが登場します。
才魔は可能な限り身なりを整えて、治安維持局前まで来ていた。
依頼主が治安維持局。となれば、金払いは良いが厄介事だろう。
「お待ちしておりました。デュエル屋。」
「初めまして。」
イェーガーに対し、シレっと初対面の振りをする才魔。
「イーッヒッヒッヒ。それでは、ご案内いたします。」
連れてこられた部屋には、デッキケースとサイバー・ドラゴンを模したデュエルディスクが置かれていた。
「貴女に依頼があります。あるデュエリストの一派と戦って頂きたい。」
「わかった。」
「おや?事情は聞かないのですか?」
「話してくれるのなら、聞きます。」
「いえ、引き受けてくれるなら結構。サイバー流を使う貴女に前払いの報酬を用意しました。どうぞ。」
デッキケースの中身を確認し、カードテキストを熟読する才魔。
「サイバー流において、選び抜かれた精鋭にのみ支給されたというカード。まぁ、それをもってしても敗北した訳ですが。」
「そうね。」
「デッキを組み終わりましたら、あるデュエリストと腕試しにデュエルして頂きます。イッヒヒヒヒ」
治安維持局のお偉方を楽しませる見世物になれ、という話だが、才魔は気にも留めない。
こっちこそ、その対戦相手を新デッキのテストプレイにしてやろう、という心境だ。
治安維持局のデュエル場。
そこへ踏み込んだ才魔に、多くの視線が突き刺さる。敵意、警戒心…そして、好奇心。
「お前が噂のサイバー流か。」
「そうだ。」
相手は奇抜な青い髪の男だ。
「俺は氷室。お前の相手だ。では、さっそく始めようじゃないか。」
その言葉への返事を、デュエルディスクを起動する事で応えた。
「「デュエルッ!!」」
才魔 ライフ4000
手5 フィールド
魔法・罠
氷室 ライフ4000
手5 フィールド
魔法・罠
「先攻は貰うぞ。ドロー!俺はトリオンの蟲惑魔を召喚!」
「蟲惑魔…。」
可愛らしい少女が現れるが、それは疑似餌。本体はそのすぐ近くに潜んでいる昆虫族。
「効果発動、デッキから落とし穴、またはホールと名の付く罠カードを手札に加える。俺は、奈落の落とし穴を選択!こいつを手札に加える。カードを3枚セットして、ターンエンドだ。」
才魔 ライフ4000
手5 フィールド
魔法・罠
氷室 ライフ4000
手3 フィールド トリオンの蟲惑魔
魔法・罠 伏せ3
「私のターン、ドロー。」
三枚の伏せカードには、必ず奈落の落とし穴が入っているはず。
「手札からサイバー・ドラゴン・ネクステアの効果発動!手札のサイバー・ドラゴンを捨てて、手札から特殊召喚!効果発動、墓地の攻撃力か守備力2100の機械族モンスターを特殊召喚する。」
「お前の墓地には、先ほどコストにしたサイバー・ドラゴンがいるはず。となれば。」
「墓地からサイバー・ドラゴンを特殊召喚!」
黒い機械竜が現れ、軋み音を上げる。
「サイバー・ドラゴンはサイバー流のキーカード。最も、今は制限カードに指定されている…。ならば、ここで発動だ!罠発動!奈落の落とし穴!サイバー・ドラゴンを破壊してゲームから除外する!」
「チェーンして速攻魔法発動、サイバー・ロード・フュージョン発動。場のサイバー・ドラゴン扱いのネクステアとサイバー・ドラゴンをデッキに戻し、融合召喚を行う。」
「ほぅ?」
「二体のモンスターをデッキに戻し、キメラテック・ランページ・ドラゴンを特殊召喚!」
「奈落の落とし穴は不発になる。」
「さらに、キメラテック・ランページ・ドラゴンが融合召喚した時、融合素材としたモンスターの数までフィールドの魔法・罠カードを対象として破壊する。よって」
「『融合召喚した時』、と言ったな?ならばチェーン2以降で融合召喚したそのモンスターは、効果発動のタイミングを逃すはずだ。」
氷室の指摘通り、キメラテック・ランページ・ドラゴンは動かない。
「だが、攻撃力2800で二回攻撃出来るサイバー・ツイン・ドラゴンを差し置いて融合召喚したという事は…連続攻撃が攻撃力上昇といった厄介な効果がありそうだな…決めた!罠発動、スライム・ホール!」
「スライム・ホール?」
「相手がモンスターを特殊召喚した時に発動!そのモンスターの元々の攻撃力分ライフを回復し、その後、そのモンスターを破壊する!」ライフ4000から6100
「っつ!私は、サイバー・ドラゴン・ドライを召喚!」
「罠発動、落とし穴!そいつを破壊する!」
落とし穴に嵌って破壊されるサイバー・ドラゴン・ドライ。だが、これで伏せカードは尽きた。
「魔法カード、サイバー・リペア・プラントを発動!墓地にサイバー・ドラゴンが存在するとき、デッキから光属性・機械族モンスターを手札に加える。サイバー・ドラゴンを手札に加える。」
「くっ…。」
「相手の場にのみモンスターが存在するとき、サイバー・ドラゴンを特殊召喚出来る!バトル、サイバー・ドラゴンでトリオンの蟲惑魔を攻撃!」
黒いサイバー・ドラゴンが火炎放射をトリオンの蟲惑魔に浴びせ、焼き尽くす。
「ぐおっ?!」ライフ6100から5600
「カードを1枚伏せ、ターンエンド。」
才魔 ライフ4000
手0 フィールド サイバー・ドラゴン
魔法・罠 伏せ1
氷室 ライフ5600
手3 フィールド
魔法・罠
手札を使い切った物の、何とか氷室の場をがら空きに出来た。
一方の氷室も、まさか1ターンで盤面を崩されるとは思っていなかったらしく、やや驚いている。
『流石氷室。わずかな情報で見切ったか。』
『えっ?タイミングを…逃す?』
遊星が感心し、龍亜が頭に疑問符を浮かべ。
無表情なゴドウィン長官と、口角をわずかに持ち上げたイェーガーが見守る中。
デュエルは続く。
「俺のターン、ドロー!俺はティオの蟲惑魔を召喚!効果発動、召喚成功時、墓地の蟲惑魔を守備表示で復活できる。戻ってこい、トリオンの蟲惑魔!」
再び現れるトリオンの蟲惑魔。先ほど焼き尽くしたサイバー・ドラゴンを目にして、敵意をむき出しにする。
「トリオンの蟲惑魔のモンスター効果発動!特殊召喚に成功した場合、相手の魔法・罠カードを1枚破壊する!その伏せカードを破壊する!」
「チェーンして罠発動!サイバネティック・レボリューション!サイバー・ドラゴンをリリースする事でサイバー・ドラゴンを融合素材とする融合モンスターを、エクストラデッキから特殊召喚!サイバー・エンド・ドラゴンを特殊召喚!」
「何だとっ!」
かなり驚く氷室。
『あれが…サイバー・エンド・ドラゴン…。』
『すっげぇ、攻撃力4000かよ!』
『…あれが、サイバー流、か。』
周りのギャラリーもそのステータスにやや驚いている。
直後に表情を取り繕い、手札を見つめる。
「カードを1枚セット。ターンエンドだ。」
才魔 ライフ4000
手0 フィールド サイバー・エンド・ドラゴン
魔法・罠
氷室 ライフ5600
手2 フィールド ティオの蟲惑魔 トリオンの蟲惑魔
魔法・罠 伏せ1
「私のターン、ドロー。サイバネティック・レボリューションで特殊召喚したモンスターは直接攻撃出来ず、発動ターンの次のエンドフェイズに破壊される。」
「ってことは、このエンドフェイズでお陀仏か。」
「装備魔法、巨大化をサイバー・エンド・ドラゴンに装備。これで攻撃力は二倍になる。」
「サイバー・エンド・ドラゴンの攻撃力が8000だとっ?!」
「バトル、サイバー・エンド・ドラゴンで、トリオンの蟲惑魔を攻撃!サイバー・エンド・ドラゴンが守備モンスターを攻撃するとき、その攻撃力を守備力が超えていれば、その数値分、ダメージを与える!」
またしても狙われたトリオンの蟲惑魔は隣の同胞に助けを求める視線を送るも、ティオの蟲惑魔はそっと視線を逸らす。
『見捨てられた―!』と涙目になっているトリオンの蟲惑魔を、サイバー・エンド・ドラゴンの火炎放射が襲う!
「ぐ、がああああああああああっ!」ライフ0
ギリギリだった。勝てはしたが、まだデッキが馴染んでいない。
「…俺の負けだ。まさか一撃でライフを削り切られるとは。良いデュエルだった。」
「そっちこそ、良い腕だ。」
素直に賞賛する才魔。
強化する前のデッキであれば、負けていた。
というわけで、氷室戦でした。大牛鬼がOCG化されていないので、拙作では【蟲惑魔】を使わせています。
5D’sの時代に蟲惑魔はパワーカードすぎる気もしますが、エクシーズもリンクも無しなら妥当だと思います。
未OCGカード
スライム・ホール
通常罠
モンスターが特殊召喚された時に発動可能。
自分はそのモンスターの攻撃力分のライフを回復する。
その後、そのモンスターを破壊する。
ライフゲインと破壊を行うカード。蟲惑魔なら除去札として使える…と思っているのですが、どうでしょう?