遊戯王5D's~似非ペクトの果てに~   作:交響魔人

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アカデミア編入!

 デュエルアカデミアに編入した才魔は、サイバー流の使い手という事で遠巻きにされていた。

 

 わかった、分かっていた事だ。故に必要最低限の会話に留め、没交渉することで人間関係を問題視しない方向に進めよう。そう思っていたのだが。

 

 

「俺、金鶴 太一(かねつる たいち)!よろしくっ!」

 

 馴れ馴れしく話しかけて来る少年がいた。トップス出身だろう。苦労を知らずに育った感じがする。

 容姿は黒髪童顔で整っており、身長も高い。やや細身で身なりは整っている。

 そう思っていると、髪の毛を勝手に触られている事に才魔は気付き、嫌悪感で鳥肌が立つ。

 

 ダイモンエリアで好奇な視線にさらされることはあったが、デュエルに勝ち続けたことで実害を受けた事はほぼ無い。

 故にこういった免疫は皆無に等しい。

 

「なっ、や、やめろっ!」

「あっ、ご、ごめんね…。これ、あげるから許して。」

 

 

 二歩後ずさった才魔に、金鶴はカードを差し出す。

 才魔がそのカードを確認すると。

 

 

 ヘルフレイムエンペラーだ。

 正直、自分のデッキと相性は良くない。

 

 というより、これを受け取る事で先ほどの行為を帳消しにされたくはない、と思って返そうとしたときには、既に金鶴は居なかった。

 

 

 

 

 その日以降、金鶴は才魔につき纏うようになった。

 呼んでも無いのに押しかけ、自分の話ばかりする。どこに行っても居場所を突き止め、話しかけてくる。

 

 そのたびに何かしらのカードを渡されるが、自分のデッキに合わないカードばかり渡してくる。これが有用なカードであれば、まだ耐えられたのだが。

 

 二週間後。

 ジュラック・メテオのカードを眺めていた才魔は、ついに決心した。

 放課後に、はっきり伝えようと。

 

 

 

 

 

「金鶴、話がある。」

「才魔ちゃん?!何かな?」

「お前が今までくれたカードを、全部返す。だからもう、話しかけるな。」

 

 

 邪悪なるバリア -ダーク・フォース-、不死王リッチー、超合魔獣ラプテノス、ハイドロ・ジェネクス、地霊術-「鉄」、創世神、魅惑の女王 LV5、神竜-エクセリオン、雲魔物-アイ・オブ・ザ・タイフーン、召喚師のスキル、バスター・テレポート、紫炎の老中 エニシ、緊急同調、ヘルフレイムエンペラーとジュラック・メテオを才魔は金鶴の前に置く。

 

 

「…えっ。どうして?これ、全部レアカードだよ?」

「要らない。」

 

 

 かなり厳しい口調で断言したものの、才魔はこれらのカードに価値がないとは思っていない。

 デッキによってはキーカードなり、エースモンスターとして扱える物もあるだろう。

 だが自分のデッキには合わないし、それらを主軸に置いたデッキをそれぞれ組めるほどカードは無いし、新たに買いそろえるだけの資金はない。

 

 これを全部売り飛ばせばざっと7桁ぐらいにはなるだろうが、大金の誘惑より嫌悪感が勝った。

 

 

「…いら、ない?」

「カードはむやみに渡す物ではない。」

 

 

 そう言い残し、才魔はその場を離れる。

 これでもう自分に話しかけてくる者は居ないだろう。だが、不快なウザがらみをされるよりマシ。

 何より、女子トイレの前で待ち伏せは一線を越えている。

 

 

 これで話は解決したと才魔は思っていた。この時までは。

 

 

 

 

 

 

 

 二日後。才魔は教員に呼び出された。

 

 

 

「んまぁっ!貴女ね!うちの太一ちゃんを虐めたのは!」

「は?」

 

 

 知らない女性からヒステリックな罵声を浴びせられ、才魔は驚く。

 

 

「貴女が太一ちゃんを虐めたせいで、太一ちゃんがストレスから電子レンジと炊飯器を壊したのよ!弁償しなさい!」

 

 

 こんな言い掛かりはダイモンエリアでデュエル屋をやっていた頃でさえなかった。

 フラれた腹いせに物に当たって壊しておきながら、壊した品物の代金を請求するなど筋が通らない。

 

 担当教員は才魔を睨みながら口を開く。

 

 

「やはりサイバー流か。リスペクトに反するとか言い掛かりをつけたんだろう。金鶴様。ここはデュエルアカデミア、トラブルはデュエルで解決しようではありませんか。」

「デュエルで?」

「どうでしょう。金鶴さんが勝てば息子さんの意見を全面的に受け入れる、万が一、金鶴さんが負ければ才魔の意見を受け入れる。」

「いいでしょう。うちの子が負けるはずありませんもの。」

 

 

 解決したと思えば余計なトラブルが…。まぁ、これで今度こそ決着をつけられる。

 才魔は気持ちを切り替えてデュエルに望む。

 

 

 

 

 

 デュエル当日。

 それなりに見物人が集まる。おそらく自分が負けるのを見たがっているのだろう、と思っていると。

 

 やけに同情的な視線が自分に向けられている。

 同性が多い。もしや、このようなトラブルを以前から起こしていたのだろうか?

 

 そういう事なら、色々とつじつまが合う。何故、周囲から遠巻きにされている自分に関わろうとするのか?

 他に関わり合いになってくれる者が誰もいないから。

 

 何故、そこまで嫌われているのか?

 物で釣ろうとし、それを拒否されれば暴れるような性格破綻者だから。

 

 

 

「さて、それではこれよりデュエルを開始するが…。お互い、相手に何を望む?」

「今後、緊急時を除いて私と関わらない事を望みます。」

 

 

 

「なるほど、金鶴君、君は?」

「俺が上げたカードを『要らない』と言った事に対する謝罪した上でカードを改めて受け取る。家電の賠償金を払ってもらう。その後、俺と交際してもらう。」

 

 

 数秒、才魔の脳はその言葉の理解を拒んだ。

 もしもこの場に才災が居れば「君の言動は女性に対するリスペクト精神に反する」と説教するだろう。だが、彼はもう居ない。

 

「…は?え?なんで?どうして?」

「当然だろう、僕から大量のレアカードを受け取るんだから。」

 

 

「よろしい。」

「ま、待て待て待て、そんな条件は飲めない!」

「異論があるなら勝てばいい。さぁ、始めてもらおう。」

 

 

 

 

「「デュエルッ!!」」

 

 

金鶴 ライフ4000

手5 フィールド 

    魔法・罠 

才魔 ライフ4000

手5 フィールド 

    魔法・罠 

 

 

「先攻は俺だ、ドロー!俺は魔法カード、火炎地獄を発動!お前は1000ポイントのダメージを受け、俺は500ポイントのダメージを受ける。」ライフ4000から3500

「っつ!バーンデッキか。」ライフ4000から3000

「魔法カード、盗人ゴブリンを発動!500ポイントのダメージを与え、俺は500ポイントライフを回復する」ライフ3500から4000

「……」ライフ3000から2500

 

 どうりで。あれだけのレアカードを惜しげもなく渡せるわけだ。

 自分が使わないカードだから差し出せるのだろう。

 

 …まぁ、自分で使えるカードなら自分で使うから当然と言えば当然ではあるが。

 

「モンスターをセット、カードを1枚伏せてターンエンドだ。」

 

 

 

 

金鶴 ライフ4000

手2 フィールド セットモンスター

    魔法・罠 伏せ1

才魔 ライフ2500

手5 フィールド 

    魔法・罠 

 

 

「私のターン、ドロー!サイバー・ドラゴン・ドライを召喚!バトルだ、サイバー・ドラゴン・ドライでセットモンスターを攻撃!」

 

 リバース効果モンスター、それかマシュマロンのようなバーン効果。

 だが、ステルスバードのようなサイクルリバースモンスターである可能性を考慮し、才魔は踏み込む決意を決めた。

 

 攻撃が通り、セットモンスターの正体が明らかになる。

 

「…ドラグニティ-アキュリス?カードを2枚セットしてターンエンドだ。」

 

 

 

 

金鶴 ライフ4000

手2 フィールド 

    魔法・罠 伏せ1

才魔 ライフ2500

手3 フィールド サイバー・ドラゴン・ドライ 

    魔法・罠 伏せ2

 

 

「俺のターン、ドロー!俺はドラグニティ-レギオンを召喚!効果発動!召喚成功時、墓地のドラグニティを装備する。アキュリスを装備!ここでレギオンの効果発動、アキュリスを墓地に送り、サイバー・ドラゴン・ドライを破壊する!」

「チェーンして罠発動!サイバネティック・レボリューション!サイバー・ドラゴン扱いのドライをリリースする事で、サイバー・エンド・ドラゴンを特殊召喚!」

「ここで装備状態から墓地へ送られたアキュリスの効果発動!サイバー・エンド・ドラゴンを破壊する!」

「くっ…。」

「バトルだ、レギオンでダイレクトアタック!」

「っつ…」ライフ2500から1300

 

「どうだ!俺のデッキは!バーンカードを組み込んだドラグニティ!バーンデッキが苦手なモンスターはドラグニティで除去し、ドラグニティが苦手な相手ならバーンカードで焼き切る!」

「…で」

「えっ?」

「これで、ターンエンドか?」

「な、ならばメインフェイズ2で魔法カード、昼夜の大火事を発動!800ポイントのダメージだ!」

「……」ライフ1300から500

「ターンエンドだ。」

 

 

 

 

金鶴 ライフ4000

手1 フィールド ドラグニティ-レギオン

    魔法・罠 伏せ1

才魔 ライフ500

手3 フィールド 

    魔法・罠 伏せ1

 

 

「私のターン、ドロー!サイバー・ドラゴン・ツヴァイを召喚。手札の魔法カード、パワー・ボンドを公開する事で、カード名をサイバー・ドラゴンとして扱う。パワー・ボンドを発動!」

「チェーンしてカウンター罠、マジック・ドレインを発動!これで融合召喚出来ないだろう!」

「私は魔法カード、サイバー・レヴシステムを捨てることで、マジック・ドレインの効果を無効にする。」

「何っ?!」

「場のサイバー・ドラゴン扱いのツヴァイと手札のサイバー・ドラゴン・フィーアを墓地に送り、キメラテック・ランページ・ドラゴンを特殊召喚!」

「攻撃力2100?!」

「パワー・ボンドにより攻撃力は元々の攻撃力分アップする。攻撃力は4200!さらに特殊召喚に成功した事で効果発動!融合素材としたモンスターの数までフィールドの魔法・罠カードを対象として破壊する。その伏せカードを破壊!」

「永続罠、超古代生物の墓場を発動!これでキメラテック・ランページ・ドラゴンの効果は」

 

 だが、キメラテック・ランページ・ドラゴンのブレスが超古代生物の墓場を破壊する!

 

 

「ど、どうして?!」

「そいつが封じられるのはLv6以上。キメラテック・ランページ・ドラゴンはLv5だ。私はデッキから機械族・光属性モンスターを2体まで墓地へ送る事で、墓地へ送ったモンスターの数まで1度のバトルフェイズ中に攻撃できる!サイバー・ドラゴン・ヘルツとファロスを墓地に送る。墓地へ送られたヘルツの効果発動、デッキからサイバー・ドラゴンを手札に加える。バトル!キメラテック・ランページ・ドラゴンで、レギオンを攻撃!」

「う、うわあああああああっ!」ライフ4000から1000

「キメラテック・ランページ・ドラゴンでダイレクトアタック!」

「うわぁあああああああああ!」ライフ0

 

 

 

 

 ライフを削り切り、才魔は勝利を収めた。

 勝利したものの、心は晴れない。嫌悪感だけが募っていく。

 

 

「すごいな、あいつに勝っちまうなんて。」

 

 そんな才魔に話しかけてくる男子生徒が居た。

 金髪で陽気な少年だ。

 

 

 

「…矢薙(やなぎ)か。」

「覚えていてくれたんだ。」

「良く目立つからな。」

 

 

 トップス階級の出身だが、差別意識を持たずサテライト出身だろうと気軽に接する。

 それでいて、不正や悪事には毅然と立ち向かう高潔な精神。

 その在り様が自分には眩しく、これまで遠ざけてきた。

 

 

「アキラって呼んでくれ。今度、俺とデュエルしようぜ!」

「わかった。受けて立つ。」

 




今回のオリキャラは「こんなヤツ居ないだろう」と思いながら執筆しました。
もう一人登場しましたが、彼は矢薙の爺さんの孫です。
彼の親族が登場する二次創作はこれが初ですかね?
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