もう一人の勇者   作:Katarina T

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IF 少女、次なる場所へ

「はあ、はあ、ひ、一先ず落ち着いてくれましたか?」

 

「うむ!もちろん問題ないぞ!我としたことがとんだ痴態を晒してしまったが、種さえ分かれば簡単なこと………。もはや我に、この程度の幻術何の役にもたたぬと知れ!」

 

「は、はあ………。とにかくこの子がお化けじゃないことが伝わったのなら、良かったです。」

 

「ああ……その者の事は既に我が頭脳(マインド・スペース)に眠る英知溢れる禁書棚(アカシックレコード)に記憶されたからな………今後、我があのような過ちを犯すことなど、絶対にないであろう。………それにしても貴様、一時とはいえ、この最強の闇の使い手たる我に、あのような幻術を使用できるとは………一体何者だ?」

 

「………。………?」

 

少女は、眼帯の生徒の言っている事が理解できていないようで、頭をかしげながら不思議そうに目の前の生徒を眺めている。

眼帯の生徒は、そんな少女の様子に困惑したような顔を見せるが、一瞬の間ののち、何か合点が言ったように「ああ。」と声上げると、左手で大きくマントを翻し、右手を眼帯にかざしながら、先ほどよりも自信の籠った声を張り上げて来た。

 

「どうやらその様子……。我の事を知らぬようであるな小娘よ。まあそれも仕方ないことであろう………、なにせ我はこの表舞台の裏………つまりは深淵を統べる者であるからな。ふっふっふ、通常であれば、只人風情に我が真名を教えるなど、決してしないが………。一瞬とはいえこの我の平静を奪ったその実力と愚かしさを讃えて、特別に我が名を知る権利をくれてやろう………。しかとその魂に刻むがいい!我が名はルシフェル!!嘗て天界に住まい神の座を手にしようとした明けの明星にして、この世のあらゆる闇を支配する最強の堕天使であるぞ!!

 

ババ――――ン!!!

 

と言った効果音が後ろで流れそうなくらいの勢いで、眼帯の生徒は自信満々に決めポーズを取っている。

 

(ふわ~~~………。完全に決まった!!これもう完璧な名乗りだよ!!こんな時の為にいっつも鏡の前で練習しておいて良かった~~!でも、なんか反応がないような………。ああっ、きっとあまりの格好良さに声もないんんだよねっ。もうしょうがないな~///)

 

「フッ………。我が真名を聞いて、余りの衝撃に声も出せないか………。まあ無理もない、何せ最悪と恐れられるあの堕天使が目の前にいるのだからな。恐怖で身を固めてしまうのは自然なことであろうからな。しかし恐れる必要はない、如何に我といえど見知らぬ小娘一人に手を出す暇など………………あれ?」

 

眼帯の生徒が閉じていた瞳を開け、少女が居たであろう方を向くと、そこには誰も立って居なかった。

 

 

 

「そうそう、その調子だ。ゆっくりとだぞ!何処か壊れてしまっては大変だからな!!」

 

「人にお願いしてる立場なのに、なんでちょっと偉そうにしてるんですか!そんなに言うなら部長も少しは手伝って下さい!」

 

「私は今こうして大事な発明品が傷付かないか、見守ってるんだからしょうがないだろう!第一私じゃあ持ち上げるどころか、そのままぺしゃんこになるだけなのは目に見えてる!」

 

「だとしてもっ私と一緒に引っ張り上げるくらいできるでしょうが!はあ……全くもう、すいません頼りきりで、重くはないですか?」

 

「はい。この程度なら、大丈夫です。」

 

「はーーー、改めて見るとホント凄い怪力だな!!」

 

少女は、ポニテの生徒と共に白衣の生徒の指示のもと、例の機械をトラックの中に運び込んでいる真っ最中であった。

 

「って、こら――――!!」

 

「うん?ああ、もう終わったのかい。だったら副部長たちをを手伝って欲しいのだが。」

 

「あ、はい。分かりました。直ぐに手伝いを………って、違う!!せっかくの我の名乗りを無視するとは何事だ!!」

 

「いや~すまない。少々長くなりそうであったから、先に詰め込みを終わらせようかと思ってな。」

 

「それならそうで!なぜ我一人ほったらかしにしておくんだ!!」

 

「………邪魔しちゃ悪いと思って。」

 

「余計な気遣いはいらん!!!」

 

「そんな事どうでもいいですから!!いい加減二人とも手伝って下さい!!!いつまで私たちだけにやらせるつもりですか!!!!」

 

「「あ、はい。ごめんなさい………。」」

 

 

 

 

その後、なんやかんや4人で無事にトラックに機械を詰め込み終えた少女たちは、目的地に行くために全員でトラックに乗り込んだ。

 

「ぶっっすーーーー………。」

 

「あの………。いい加減機嫌直して下いよ。ほおっておいた事は申し訳ないと思ってますので。」

 

「べっつにーー気にしてないもん。我は所詮深淵に生きる者。孤高な存在である我があの程度のことで心を乱されたりなど、絶対にしないもん。だたちょーーーっとは、我が言霊に耳を傾けてくれてもいいんじゃないかなって思っただけだから。」

 

「ああ、ええっと………。」

 

「まあまあ、そのくらいでいいじゃないか!!君の話がスルーされるなんて、いつもの事だろう!!」

 

「な、部長までそんなことを言うのか!?それでもこの我と崇高なる盟約を交わした契約者か!!?」

 

「はっはっはっ!!まあ気にするな!!過ぎたことを気にしてるといつまでも小さいままだぞ!!」

 

「我は小さくない!!!ちょっと成長期が来るのが人より遅いだけで、直ぐに部長より大きくなるはずだ!!」

 

「そうか!そうか!それは楽しみだ!はーはっはっはっ!!」

 

「笑うなあーーー!!うう……部長なんて嫌いだーー!!」

 

「ああ、泣かないで!ほら、よーし、よーーーし………いい子、いい子。」

 

「頭を撫でるなーー!子供扱いするなーーーー!!

………でも、ぎゅーーはそのままして。

 

「………。(ぽけーーー………)」

 

一行を載せたトラックは慌ただしそうに、街中を進んで行った。




ヤバイ………少女ちゃんの影が薄くなり始めた。
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