もう一人の勇者   作:Katarina T

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IF 少女、目的地到着と………

────────ミレニアム郊外

 

廃墟近くであり、周りに建築物の類がない開けた空間。

そこは見渡す限り何も無い空間であり、売店などの販売店はおろか人を集めるような建築物は何一つない。

その上、近くの廃墟を巡回するオートマタからまれに攻撃されることがあるなどの危険がある為、ミレニアム生や他の住人もめったなことでは立ち入らない場所である。

 

そんな本来ならば、人気もなく時折風が吹く音かオートマタの足音しか聞こえないはずの場所に大きなエンジン音が鳴り響いた。

 

ブロロロロロローーーーーーキキィィィィ

 

エンジン音の正体は少し大型のトラックであり、郊外の入り口から広場の中央付近まで進むとこれまた大きなブレーキ音を鳴らしながら停車した。

 

トラックが完全に停車するとそこから数人の女子生徒達がトラックより下りてきた。

 

「うぅうーーーん。ようやく到着だな。やはりここまでは来るのは時間かかるな。はあ、腰いった………。」

「部長はまだ助手席に座ってましたからいいじゃないですか……。荷台の中に居た私はあまりの揺れで吐きそうでしたよ………。」

「う、うーん。それについては悪いとは思っているが、ここまでの道を私以外知らなかったんだし、しょうがないじゃないか。帰りは変わるから許してくれ。」

「いえ、怒っているわけじゃないのでいいんですが……というか帰りもこれなんですよね。はあ………。あの貴方は大丈夫でしたか?酔って気分が悪くなったりしていませんか?」

「………はい。私の体調に変化はありません。」

「そうですか。それなら良いんですが、無理はしないでくださいね。ただでさえ私の面倒ごとに付き合って貰っているわけですし。」

「はっはっはっ!君なかなかガッツがあるね!うんうんっそう言う根性は研究においても大切な心がけだからな!大切にするといい!!───ところで、うちの運転手はいつまで運転席にいるつもりなんだね?」

「うっぷ………。ぶ、部長。い、今は我に話しかけるでない……。今、我は己の内からこみ上げてくる闇のエネルギーを抑えるので精一なのだ……。」

「はあ!?もしかして君、酔ってしまったのかい!?運転手なのに!!」

「ち、ちがう!!うっぷ。我のような強大で誇り高き堕天使が車ごときに屈すなど!あるはずが、うっ、ないだろう……。これは日頃押さえ込んでいる闇のマナが我が体内で暴れておるのだ。な、なーーに案ずることはない。うっぷ……。少々瞑想すれば、この内で暴れる闇のマナもすぐに支配下にして見せるさ。だからっしばらく我のことはほおっておけ………。」

「あ、うん。お大事にな。」

「部長?彼女どうかしたんですか?」

「………彼女は今、己と戦っている真っ最中なのだよ。だから我々は手出しせず、このままそっとしておこう。」

「は、はあ。今一言っていることがよくわかりませんが分かりました………。」

「………ここが目的地。ここで、何するんですか。」

「ああ!そうだった、そうだった!説明がまだだったね!!ただちょっと待ってくれ!私たちの発明に興味を抱いた君に、今直ぐにでもこの私たちの天才的な発明をとことん説明したいところではあるのだが、その前に先にここで準備してくれているであろう我が部員と先に合流しなくてはならないからな!!説明はそのあとたーーーーぷりとしてあげようじゃないか!!楽しみにしたまえ!!」

「…………?はい、わかりました。」

「部長、どう見てもそこまで気になっている様子じゃないんですけど、──って、ちょっと待ってください!?先に来ている部員ってまさか!?」

「ああ。彼女にはここにつく少し前に連絡入れといたから、多分もう直ぐ来ると「部長さ~~ん。」っお、噂をすればだな。」

「……誰か走って来ました。」

 

少女たちが声のした方に視線を向けると、奥の方から茶色のロングヘアーでどこか大人びた雰囲気の女子生徒が少女たちの居る方に小走りで向かっていた。

 

「部長さん。副部長さん。お遠い所わざわざお疲れ様です。」

 

「君もな調査係君。平日の昼間っからこんなところに呼び出してすまない。」

 

「いえいえ~、もう慣れましたから。はい、こちら頼まれていたデータです。この区画の調査は一通り終わりましたので、確認しておいてください。」

 

大人びた女子生徒は、そういいながら胸の谷間からUSBメモリを取り出すと、白衣の生徒に手渡して来た。

白衣の生徒は、満足そうにUSBメモリを受け取ると眺めるように上に掲げた。

 

「うむ、ご苦労調査係君!相変わらず仕事が早いなぁ君は!!」

 

「いやっその前にどこから出してるんですか貴方は!?もっと他にしまう場所ありますよね!なんなら今来てる制服に胸ポケットついてるじゃないですか!?」

 

「ええ、でも。こう言う大切なデータは、いつも肌身離さずもっておかないと~いけませんし~~ねえ。」

 

「ねえって……。肌身離さずの意味が違いますよ………。」

 

「はーはっはっはっ!細かい事はいいじゃないか!副部長!それより待っている間、何か気になったことはなかったかい?」

 

「いえ、取り立てて気になることは何もありませんよ。しいて言うなら……いつもより廃墟内を巡回しているオートマタの数が少ないような気がするくらいでしょうか。」

 

「そうか!それならむしろいつもより安全に作業ができそうで、こちらとしてはありがたいことだな!」

 

「うふふ、そうなりますね。───ところで~~~。さっき程から副部長は背中に何を隠しているんですか~~??」

 

大人びた生徒の視線がゆっくりとポニーテールの生徒へと向けられる。

 

その視線を受けたポニーテールの生徒は肩を大きく跳ねさせると、傍から見ても分かるくらい動揺しながら、視線を明後日のほうに向けて大人びた生徒と視線を合わせないようにしている。

 

「ギクッ!い、いえ!誰も隠してなんておりませんよ!ですから、こっちに来ないでください!!」

 

「ええ~?そう言われると、益々気になっちゃうじゃありませんか~。何を隠してるんですか、意地悪しないで見せて下さいよ。」

 

「いやホント何でもないので!!ホント近寄らないで下さい!!」

 

そうやって二人が一定の距離を保ち続けていると、ポニーテールの生徒の後ろでいた、ポニーテールの生徒が何故か必死に隠そうとしていた少女が、腰の辺りから顔を覗かるような形で顔を出した。

 

「………あの。いつまでこのままここに居ればいいんですか。」

 

「ちょっと!!?今出たらだめですって!!?」

 

ポニーテールの生徒が慌てて少女を背中に隠そうとするが、その前に少女と大人びた生徒の視線がバッチリと合ってしまった。

 

「──────っ」

 

少女と目が合った瞬間、大人びた生徒は先ほどまで妖艶にポニーテールの生徒を追い回していた動きがピタリと止まり、まるで石にでもなってしまったかのように硬直してしまった。

 

「………?どうかしたんですか。」

 

彼女の様子が気になったのか、少女はポニーテールの生徒の背中から離れると、様子を伺うように近寄って行った。

 

「あ!?近寄いちゃダメです!!離れて下さい!!」

 

「───え。」

 

ポニーテールの生徒が焦ったような声を上げながら少女を連れ戻そうと手を伸ばす。

 

───しかし、その前に別の手が少女の体を引き寄せた。

 

 

 

「わっぷ………。」

 

少女を引き寄せたのは、先ほど急に固まった大人びた生徒であり、彼女は少女を引き寄せるとそのまま自身の豊満な胸に少女の顔を埋もれさせた。

 

少女は突然起こった出来事に反応出来ずにされるがまま抱きしめられたが、そのおかげで抱きしている彼女の体が小刻みに震えていることに気が付いた。

 

少女はその生徒がなぜ震えているのか疑問に思い、彼女の表情を伺うように顔を見上げると、俯いているため瞳が前髪で隠れており見えないが、口元が小さく震えているのが見えた。

 

少女はそんな女子生徒にどう声を掛けるべきか悩むように小首を傾げ、とりあえず何か話した方が良いと思ったのか口を開こうとした。

 

…………び

 

しかし、その前に抱きしめている女子生徒が小さく何か呟いた。

 

「び、何ですか。」

 

あまりに小さな声の為、少女は聞き返すように声をかけるが、まるで少女の言葉が届いてないように少女を抱きしめている大人びた生徒は、突然ばっ!と顔を上に上げると先ほど比べものにならない声を上げた。

 

 

 

「美少女、キターーーーーー!!!!!きゃあああああ!!!!可愛いいいいい!!!!!!」

 

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