もう一人の勇者   作:Katarina T

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IF 少女、実験開始

「はぁ~~~~なんと愛らしんでしょう………。」

 

大人びた生徒は少女を自身の胸に抱きしめながら、どこかウットリとした表情を浮かべている。

 

「長く透き通った黒髪に大きくつぶらな瞳!!そしてまだあどけなさの残ったその表情!!!ああ~~もうっ全てにおいてパーフェクト完璧ですね!!!!」

 

「????」

 

少女は突然抱きしめられている現状に困惑しているようで、何も発することもなく、パチリ、パチリとただ瞳をまばたかせている。

 

大人びた生徒はそんな少女の様子を気にすることなく、ドンドンテンションが上がっているように声のボリュームが上がっていく。

 

「はっ!いえ、ちょっと待って下さい!!?よーく見れば、……なんなんですか!その服装は!!!こんな薄汚れた服装では、せっかくの貴方の魅力が損なわれてしまいます!これは由々しき事態です!早急に手を打たないと!!大丈夫、何も心配することはありません!私が可及的速やかに貴方にぴったりな素敵な洋服をご用意しますので!!ですから貴方は難しく考えることなどせず、ただ私に身を任せて貰えば良いのです!!ええ、何も問題など有りません!!私のことはどうぞお気になさらずその辺の石の数でも数えていてください!!私はその隙に貴方の身体を隅々までじっくりと堪能しt」

「その子から離れなさい!!」

 

大人びた生徒の顔が少女の顔とあと数センチで接触するかというところで、ポニーテールの生徒の飛び蹴りが大人びた生徒の脇腹に命中し、少女から吹き飛ばした。

 

「あう…。いきなり何をするですか…副部長。」

「それはこっちのセリフですっ!この変態!!初対面の人に何しようとしてるんでか!?」

 

ポニーテールの生徒が大人びた生徒から庇うように少女を自身の背中に隠しながら、警戒するように大人びた生徒と対峙する。

 

一方、吹き飛ばされた生徒は飛び蹴りが直撃したわき腹をさすりながら、心底恨みがましい表情を浮かべ、ポニーテールの生徒の方に視線を向けた。

 

「いきなり人に飛び蹴りして変態とは………少し失礼ですよ副部長。第一私は変態ではございません。わたしはただ一人の先輩として、後輩の身だしなみを良くしようと思ったまでですよ。」

 

「あんな鼻息荒くしながら詰め寄っておいて、どの口が変態じゃないなんて言ってるんですか!!あんな光景100人が見たら100人が事案としてヴァルキューレに連絡する場面ですよ!!」

 

「あら?近ごろのキヴォトスは物騒なんですね。そんな簡単にヴァルキューレの方々のお手数を増やしちゃいけんませんよ。」

 

「あ、ん、た、が言うな!!いったいこれまで何度今回と同じようなことして、ヴァルキューレから厳重注意を貰ってるか分かってるんですか!!」

 

「逆にお聞きしますが、副部長はこれまで食べてきたパンの枚数をちゃんと記憶しているですか?わたしは些細なことは気にしないようにしているですよ。」

 

「ヴァルキューレに注意されることは全っ然、些細なことじゃなーーーーい!!ていうか、パンのくだり関係ないじゃないですか!!」

 

二人の生徒がそのように騒いでいる様子を少女がぽけ~~っと眺めていると、後ろから白衣の生徒が声をかけてきた。

 

「あっはっはっは!ビックリさせてしまったかな!だとしたら申し訳ない。彼女はうちの部員の一人で凄く優秀な子なんだが………。如何せん君のような…………その……なんていうか………。背丈が小さな子が好きなようでね。ついつい可愛がってしまうようなんだ。……ま、まあ、多少愛情表現が過激に見えるかもしれないが、ラインは越えないはずだから安心してくれたまえ。………………多分な。

 

「………?はい、わかりました。気にしないようにします。」

 

「う、うむ!そうしてくれると助かるよ!………さて、いい加減装置の試運転を始めるとするか!!」

 

少女たちがそのように会話をしていると、二人の下に一人トラックから降りて来なかった眼帯の生徒が、少しふらつきながらやって来た。

 

「………部長、待たせたな。我の荒れ狂っていたマナもようやく元の状態まで回復したようだ。」

 

「おお!!丁度いいところに復活したな!!車酔いはもういいかい?」

 

「あれは車酔いではなく、我のマナが少し均衡を崩していただけだ!!……くっくっく、だがもう安心しろ部長。今や全てのマナは、我の支配下にある。貴様の如何なる願いもこの我が叶えてやろう。だが気をつけることだ。古来より願いには、それ相応の代償がつくものだ。この我と契約を交わしているとはいえ、貴様にもそれ相応な………」

 

「よおぉぉぉーーし!!これで役者も揃ったことだし、実験を始めていくぞ!!」

 

「って、こら!まだ我の話の途中だろうが!!」

 

「あらあら、もう始めるんですか?まだ私そこの少女のテイスティングが済んでいなのですが。」

 

「まだ言うんですか!貴方は!!もういい加減にしてください!!」

 

「…………。」

 

少女たちは、運んできた機械の前にパソコンやバッテリーなどの他の機材の設置を済ますと、少し離れたところで観察するように一列に並んだ。

 

 

 

「さあ!これから我が”新エネルギー開発部”の実験のスタートだ!!」

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