もう一人の勇者   作:Katarina T

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IF 少女、それぞれの考え

ドッカーーーン!!!

 

「どわーーー!!また失敗だーー!!」

 

ミレニアム郊内の廃墟区。周りには瓦礫の山やすでに使い物にならなくなった何らかの機械の残骸が転がっており、滅多に人が立ち入るような場所ではなく、普段であれば空虚な風の吹く音しか聞こえて来ないような場所。

 

そんな本来静かな場所で本日7()()()となる爆発音が鳴り響いた。

 

「いやーー!!これまた派手に爆発したもんだなあ!」

 

そんな事を言いながら白衣の生徒は、頭を掻きながら爆発の発生地を見る。

そこには自分たちが苦労して持ってきた機械がプシュー―!っと煙を上げながら鎮座していた。

 

「のんきな事言ってる場合じゃないですよ部長。もうこれで何度目の失敗だと思ってるんですか。」

 

白衣の生徒の後ろで、モニターとキーボードを操作していたポニーテールの生徒が呆れたような声色で話けてくる。

その口調と同じくらい呆れたような冷たい視線を白衣の生徒に向けているが、向けられている本人は、特に気にするような雰囲気もなく相も変らぬ高笑いを響かせている。

 

「はーはっはっは!そう言うな副部長!いつも言っているだろう失敗無くして成功なし!何度失敗しようとも構わない!大事なのはその失敗を乗り越え、最後までやり遂げることだと!!我々がすべきことは、この失敗を嘆くことではない!失敗を糧に更なる成長を遂げることなのだよ!」

 

「はあーーー………。そうは言いますけど…………。さっきの失敗で何か分かったことがあったんですか?」

 

「ふっふっふ………。それはなあ…………。特に無いな。」

 

「おいっ!!」

 

ポニーテールの生徒は、捜査していたキーボードを勢いよく叩くとそのままの勢いで立ち上がり白衣の生徒に詰め寄っていく。

白衣の生徒は詰め寄らてながらも先の実験データを見比べながら改善策を模索している。

 

そんな騒がしい二人の様子が気になったのか、少女は小走りで二人もの下に向かって行った。

 

「どうかしたんですか。」

 

「ん?ああ、君か。なぁに少しばかり厄介な迷路に迷い込んでしまったみたいでね。どう攻略してやろうか考えていたところだよ。」

 

「めいろ……こうりゃく………ですか。」

 

「ああ、正解がどこにあるのか分からない。行ったり来たりの繰り返しの迷路攻略だよ。………やれやれ、こういう回り道が多い所は正しく人生と同じように感じるね。まあそこが楽しいんだけどね。」

 

「全く、…………また訳の分からないこと言って。……すいません部長はこう言う言い回しが好きなだけですから、あまり真に受けないでくださいね。」

 

「…………うまくいかなくても…………たのしいんですか。」

 

少女は白衣の生徒を見ながらポツリとこぼした。

少女の表情は相変わらず無表情で、何を考えているのかよくわかないが、白衣の生徒には今の問には何か、少女の想いが含まれているようなことを感じていた。

だからこそ白衣の生徒の生徒は、少女の目を真っ直ぐむ据えると、ニヤッと先ほどよりも深い笑みを浮かべて話掛ける。

 

「ああ楽しいとも!困難も苦労もある回り道だが、私はその過程が何よりも楽しいのさ!だってそうだろう、その回り道は一見無駄なようにも見えるが、そこには多くの発見が未知が眠っているんだ!そこで得て積み上げたものは決してなくなることのない財産になっていく。その積み上げてきた財産が報われる時、私は自分がこの道を歩いてきて良かったと実感できるのだよ!!何もかも自分の思い通りにいく、そんなつまらない道路よりも私はこの行き止まりばかりの迷路の方がよっぽど面白く楽しいのだよ!!」

 

そう語る白衣の生徒の表情は、眩しいくらいの笑顔であり、その言葉がなんの嘘でも強がりでもないことを証明していた。

隣で聞いていたポニーテールの生徒も呆れているようで、しかしどこか嬉しいそうな困った笑顔を浮かべている。

 

「失敗することが楽しいなんて…………部長くらいですよ、そんな馬鹿なこと言うのは。」

 

「おいおい、この大天才を捕まえて馬鹿とはなんだ、馬鹿とは!そう言うならそんな馬鹿な研究に毎度付き合っている君はどうなんだい!」

 

からかわれたと思い白衣の生徒は、ポニーテールの生徒を指さしながらそう問いかける。

 

指をさされたポニーテールの生徒は、一度ゆっくり息を吐くと再び笑みを浮かべて困ったように話出す。

 

「もちろん、そんな馬鹿な部長に振り回される、()()()ですよ。………ふふふっ

 

「あっまた笑ったね君は!なんだいそんなにさっき言った事は可笑しかったかい!?」

 

「いえいえ、そう言う訳じゃないですから。」

 

その後、二人の会話はドンドンヒートアップしていき、止まらなくなっていった。

 

「…………。」

 

少女はそんな二人の様子をしばらく眺めると、また機械の方に戻って行った。

 

 

 

 

 

「あら~~。部長さんたちの方に行ってましたけど、もう用事は終わったんですの?」

 

少女が機械の方に戻ると、次の実験の準備を行っていた大人びた生徒が少女に気付き話しかけてきた。

 

「……部長さんたち、さわがしくしてたけど、まだあきらめてなかった。」

 

「ふふふ、あの二人ですからね。この程度の失敗でへこたれたりしませんよ。」

 

「……それにたのしそうにしてた。あなたもそう、うれしそうにしてる。……しっぱいつづきなのになぜ?」

 

少女は、先ほど白衣の生徒と交わした時に、どこか懐かしい奇妙な感覚を感じていた。

そして、今も目の前の生徒との会話でも同じような感覚を感じ、その理由を求めるように少女は問いかける。

 

大人びた生徒は少し驚いたように目を丸くするが、すぐに優しい笑みを浮かべて少女を見る。

 

「そうですね、確かに実験は失敗続きで、好ましい結果は出ていません。けど、私はそれでもいいのですよ。」

 

「??しっぱいでもいいのですか?」

 

「ええ。私にとって大事なのは、今皆さんで共に過ごしているこの時間その物なんですから。」

 

「……みんなですごす……じかん。」

 

「はい。私とこの新エネの部員方々で過ごすこの時間は、私にとって成功という結果よりも大きな何よりも代えがたい大切な思い出なんですよ。……それに今回は貴方も居ますからね。いつもより、もっと楽しい時間過ごせて居ますよ。」

 

「そうなんですか。」

 

「ええ!ええ!そりゃあもう!!貴方のような天使さんが私のすぐ隣にいるという事実たけで、いつもの何万倍も私は幸福でありますよ!噓だと思われるのでしたら、今ここで私作曲の幸福の歌を披露して差し上げても………ってあら?」

 

大人びた生徒が自身の懐からマイクを取り出したところで、少女は機械の裏手の方に向かい歩き出していた。

 

 

 

「む、貴様は先のゴーストレディ。こんなところで何をしている。」

 

少女が機械の裏手に回り込むと、頭上から声をかけられた。

 

少女が上の方に視線を向けると、眼帯をした生徒が組まれた足場に上り、機械を弄っている様子が見えた。

 

眼帯の生徒はその足場から少女の下まで降りると、ニヤリとした笑みを浮かべた。

 

「よもや、もう次なる祭典を執り行うのか。いささかこと急いているようにも思えるが、まあ良いだろう……。我がマナの力でこの祭具の状態も非常に良いものとなったことだしなぁ。もはや如何なる不遜な事態もおこらぬであろう。………して、娘よ。祭事の開催はいつだ。」

 

「…………?きいてないです。」

 

「え、……そうなの。」

 

「はい。つぎには、まだじかんがかかりそうです。」

 

「そ、そうか……。ま、まあ焦りは禁物だからな!思わぬところで足元を掬われてはたまらんし、仕方ないであろう!」

 

眼帯の生徒は、うんうんと首を振っているなか、少女はジッと眼帯の生徒のことを見つめている。

 

「……なんだ娘よ。この我に何か用事か?」

 

「あなたも、いまのこのげんじょうを……たのしいとおもってるんですか?」

 

少女の視線に気づいた眼帯の生徒が少女に問いかけると、少女は先ほどと同じ様な質問を投げかけた。

少女の当然の問に困惑したように眼帯の生徒は首をかしげるが、直ぐにふんっと鼻を鳴らして応えだした。

 

「無論、楽しいわけなかろう。」

 

「え?そうなんですか。」

 

眼帯の生徒の答えに驚いたのか、少女の目が見開かれた。

 

「当たり前だ。この我がわざわざ手を貸してやっているというのに、こんな結果になっている。全くもって不甲斐ない。」

 

「じゃあ……なんでつづけてるんですか?」

 

少女は、不思議そうに首をかしげながら、伺うように目の前の生徒の顔を覗き込んだ。

少女の真っ直ぐな視線に眼帯の生徒は一瞬たじろいでしまったが、コホンと一度咳ばらいをすると平静を装いつつ話始めた。

 

「………奴らが、部長がまだあきらめていないからだ。」

 

「…………???」

 

「貴様には関係ないことではあるが………我は、初めからこの地に居たわけではない。他の場所より移転してきた異邦人なのだ。」

 

「いほうじん……。ほかのばしょ…………。」

 

「この地に来たばかりの我は今とは違い、孤高ではなく、孤独であった。この世界は自分の居るべき場所ではないと、勝手に思ってふさぎ込んでしまっていた。」

 

少女は黙って眼帯の生徒の言葉に耳を傾けている。

この話を聞き逃しちゃいけないと思い、真剣に目の前の生徒を見る。

 

「そんな腐っていた我を拾い、あまつさえこんなよくわからん集いの中に引き入れたのが、あの部長だ。」

 

眼帯の生徒は、何かを懐かしむように一度目を閉じると、少女のほうに向き直った。

 

「我だけではない。他の連中も皆、あの部長に拾われてきた奴らよ。この部活はな、そんな寄せ集めの集団なのだよ。…………だが、そんな連中だからこそ気の許せる仲間でいられる。少なくとも我はそう思っている。」

 

「なかま…………ですか。」

 

「そうだ。そいつらがまだ諦めていない。部長が、最後までやり遂げようとしている。………なら、どれだけ面倒であろうが、最強の堕天使たるこの我が、真っ先に諦めるわけにはいかぬのだよ。」

 

「………………。」

 

「ふ、ふん、少々話過ぎてしまったな。そろそろ部長たちの下に向かおうか。」

 

「…………そうですね、もどりましょう。」

 

眼帯の生徒は、自分が言ったことに恥ずかしくなったのか、少し顔を赤らめながら、足早に白衣の生徒たちがいる方向に進んでいく。

 

その少し後ろを少女は、何か考え込むように下を向きながらついていく。

 

 

その時の少女の表情は、どこか………………()()()()であった。

 

「わたしにも…………いるんでしょうか。」

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