それは、本当に何でもないごく普通の朝に突然起こった。
私は、
ここ最近は、毎日のように訪れている廊下を進み目的の場所へと行くと、いつもの様に元気な姿の彼女たち、ゲーム開発部の皆が話しているのが見えた。
“やあ、おはよう皆。今日も朝早くからだね。”
「あ!先生、おはよう!」
私に気が付いたモモイが元気な声で挨拶を返してくる。
ミドリとユズ、アリスもモモイの後に続いて、おはようと挨拶を返す。
彼女たちも私と同じくとある用事を一緒に行っており、ここ数日は忙しくしていたはずだが、全く疲れた様子を見せることなく、寧ろ元気が有り余っているといった具合だ。
そんな彼女たちに私も元気を貰っていると、私の後ろから声が掛けられる。
その声はつい最近知り合ったばかりだが、ここ数日で聞きなれた声だ。
「やあやあ!ゲーム開発部の皆、朝から元気が良くていいね!!でも廊下のど真ん中で騒がしくしちゃいけなよ!」
「一番騒がしくしてるのは部長ですよ。先生、ゲーム開発部の皆さん、おはようございます。」
「はーはっはっは!我、降臨!!皆の者出迎えご苦労!!」
「あら~~、本当に朝からみんな可愛いわ~~。………今から転部ってできないかしら。」
「あ!新エネじゃん!」
声を掛けてきたのは、新エネルギー開発部の皆だ。彼女たちも私と同じとある用事を片付けるために動いているらしく、その用事の最中に私たちと知り合い行動を共にしている。
それにしても今まで色んな学区で多くの生徒と交流をしてきたけど、なんというか個性的な子達だ。
ああ、いやでもまだ大人しい方なのかな………。
私がそんな事を考えていると、小柄な背丈のわりに随分大きな白衣をまとった生徒、たしか新エネルギー開発部の部長である生徒が、腕を組みながら会話を切り出してくる。
「さて、今日も昨日までと同じように探しに行こうともうのだが、君たち、何か当てはあるのかい?」
「ううん、昨日も色んな所を探したんだけど、ぜーんぜんだったよ。はあ~~、何か手掛かりが見つかったらいいんだけど。」
「あの、新エネの皆さんの方は、どうですか?」
「すいません。こちらも全然です。見かけたという方はちらほらと居るんですが、かなり広範囲で、しかも場所の規則性もないので、どこにいるのか絞り込むのは難しいですね。」
「そ、そうですか……。じゃあ、一体どこを探せば……。」
「ふん、案ずることはない、この我の
「あらあら、頼もしいですね。それじゃあ遠慮なく頼りにしていますよ~。では、先生、ゲーム開発部の皆さん、私たちは今日は実習センターのほうに行こうと思っています。何か分かればすぐに連絡いたしますね。」
“うん、ありがとう。頼りにしてるね。”
「はい!アリス達も張り切って捜索を開始します!」
その様に話をすると、新エネルギー開発部は「善は急げだーーーー!!」といいながら、走って実習センターにある方向に行ってしまった。元気がいい子たちだなぁーーー。
「それでは、アリス達も行動を開始しましょう!」
「よおーーし、今日こそ見つけるぞーーー!」
「み、みんな、頑張ろうね。」
「うーーーん。でも、どこに行けばいいんだろう?先生、何かアドバイスなんかありませんか?」
アリスの元気に載せられ、モモイとユズのやる気が上がっている中、ミドリが私に悩ましげな顔を向けてくた。
どうやら昨日もほとんど成果がないから、なにか糸口になるものが欲しいみたいだ。
“そうだね、やみくもに探しても埒が明かないし…………。ここは一度、見かけた生徒に話を聞きに行ってみたらどうかな。”
「なるほど!聞き込みってやつだね!よくドラマの刑事さんとかがやってる!」
「イベント達成に向けた情報収集ですね!それならアリス大得意です!早速、聞き込みに行きましょう!」
「ああぁ……。二人とも、まってよ~~~。」
「お姉ちゃんまだ何処に行くか決めなっ………ってもうあんな遠くまで!先生、私たちも急いで追いかけましょう!」
“そうだね。おいて行かれないようにしないと。あ、でも廊下はあまり走っちゃいけないよ。”
そうして、私たちが色んな生徒に聞き込みを初めて数十分くらい時間がたった頃。
突如、私たちのいる部屋の照明が消えた。
「うわっ!!え、な、なに!」
「て、停電かな……。」
「一体、なんで。」
「突発イベントですか!?」
「え、え、なにこれ。」
「ちょっと、なんで電気消えたの!」
「誰か明かり付けて!明かり!!」
「だめ!スイッチ入れても反応しないよ!」
(わああああああ―――!!!わああああああ―――!!!)
いきなりの出来事にゲーム開発部だけじゃない、周りにいる生徒も何が起こったのか分からず、さわぎだしてしまい、その場で若干のパニックが起きてしまっている。
これは不味いと思い、一先ず外の様子を確認するために、モモイ達と一緒にこの教室から出ることにした。
「うそ……、教室だけじゃなく、廊下まで真っ暗。」
モモイの言うように廊下に出た私たちが最初に目にしたのは、一切の明かりのいない廊下の光景。
それは照明だけでなく、いつもは文字を表示させている電光掲示板や自動販売機の照明も含めて、灯りという灯りが全て消失してしまっている。
技術の最先端であるミレニアムでは、ありえないような光景が広がっていた。
「先生、これって、一体どうなっているんですか!?」
「た、大変!ここでもさっきの教室みたいに、みんなパニックになってる!」
「うぅぅぅ……。狭くて暗い所は落ち着くけど…………、こんなの落ち着かないよ~~。」
「先生!みんなが困っています!アリス達はどうしますか!」
はっきり言って、私も何が起こっているのか、まるで分からない。
でも、先生である以上、このまま黙っているわけにもいかない。
私は不安そうに私の方を見ているゲーム開発部の皆に視線を向けると、これ以上不安にさせないようにできる限り落ち着て話かける。
“とりあえずユウカの所に行こう。もしかしたら何があったのか知ってるかもしれないし。”
私は普段から大変お世話になっている青色の髪をした生徒の顔を思い浮かべる。彼女は、このミレニアムサイエンススクールの生徒会に当たる組織、セミナーに所属している生徒だ。
ミレニアムに起きた異常には、どこよりも早く情報が回って来るだろうし、なにより私は彼女はこの様な事態の時、誰よりも早く解決のために動くと信頼している。
私の言葉にゲーム開発部の皆も賛成するように首を縦に振るう。
やっぱり、なんだかんだ言ってユウカのことを信頼しているらしい。
そのことにそんな場合でないと分かってはいるが、顔がほころんでしまう。
いけない、いけない。今は何が起きているのか早く知ることが大切だ。
そう思い、私たちは急いでセミナーの部室のある階まで、向かった。
「はぁ……はぁ……。」
「ひぃ……ひぃ……。」
「つ、つかれたーー……。」
「ーーーー(チーン。)」
「うわーーん!皆の体力ゲージが真っ赤になってしまいましたーー!皆しっかりしてください!」
な、舐めてた……。まさかエレベーターとエスカレーターまで止まってるなんて……。
おかげで、ミレニアムタワー上層にあるここまで階段ダッシュをすることになるとは……。
こんなことなら日頃からもっと運動しておくんだった…………。
そんな事を考えながら、地面に這いつくばっている私とアリス以外のゲーム開発部の皆。
どうやら彼女たちもこの階段ダッシュはなかなかに堪えたらしく、へたり込んでしまっている。
この中で唯一元気なのは、アリスだけだ。
アリスは、動けない私たちの様子を見てあわあわとあっせた様に声を掛けてくるが、もう少し待ってほしい。流石にまだそんな年じゃないとは思っているが、普段事務仕事ばかりのこの身にはもう少し休息が必要なのだ。
そうして私たちが、とういかアリス一人が騒いでいると、その騒ぎを聞きつけたのか、二人の生徒が私たちの居る方にやっきた。
「ちょっと!そこに誰かいるの!今は大変なことが起きてるんだから騒ぐんなら他所で――って先生っ!!?アリスちゃん達も!!?」
「先生たちでしたか、これは丁度いいところにってやつですね。」
“や、やあ、ユウカ、ノア。”
やって来たのは、ここに来た目的の人物。
ミレニアムサイエンススクール、セミナー所属のユウカとノアの二人だった。