もう一人の勇者   作:Katarina T

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少女、初めてのクエスト

少女がスケバン少女たちに追い回されていた女の子、ヒフミを助けたあと、二人は騒ぎが大きくなる前に先ほどまでいた場所より移動していた。

 

「本当に先ほどは、ありがとうございます。もしあのまま捕まっていたらどうなっていたか。」

 

「気にしないでください。困っているNPCを助けるのは、冒険の醍醐味です。………ただ報酬がなかったことは残念です………(ショボーン)」

 

少女は、ドロップアイテムを獲得できなかったことが悔しいのか、少し肩を落としてしまった。

 

「NPC??ああえっと、そんなに落ち込まなくても………うーんでも流石に人の物を勝手に持って行かせるのは…………あ!そうです!」

 

ヒフミは、何か思いついたのか、自分が背負っていたバックをゴソゴソとあさりだした。

 

「じゃーーん!!モモフレンズアクリルストラップのペロロ様ストラップです!」

 

ヒフミの手には、手の平ほどの大きさで、ヒフミや少女が持っているバッグと同じキャラクター、ペロロ様のストラップが握られており、少女に向き直ると、見つけたストラップを差し出してきた。

 

「助けて頂いたお礼にこちらを差し上げます!良ければ受け取ってください!」

 

「おお。ぱんぱかぱーん。クリア報酬ゲットです。」

 

少女は、受け取ったストラップを、嬉しそうに掲げながらそう言うと、無くさないようにマントの下から肩に掛けていた鞄を取り出し、中に入れようとした時、

 

「ああああ!!そ!それはまさか!!!」

 

「ッ!?」(ビクッ)

 

突然にヒフミがこれまでで一番の大声を上げ、少女はそれに飛び上がるほど驚き、肩をはねさせた。

ヒフミは、そんな少女に構うことなく、目を大きく開けて少女に、いや正確には少女の持っている鞄に詰め寄った。

 

「ま、間違いありません。これは、モモフレンズが出た当初、初めて行われた一番くじのラストワン賞………ペロロ様ショルダーバッグ!!開催当初は、まだモモフレンズ自体の知名度が低かったため、地域のごく限られたコンビニでしか引くことが出来ず、その造形の粗さや売れ行きが芳しくなかった理由で、今でも再販を行うことがないため、ネットでは最早、ほんとにあったのかという疑問の声や、ある種都市伝説の類にまでなっているはずのあの初代ペロロ様アイテムですよね!!!!」

 

「????????」(???????)

 

ヒフミの突然の豹変ぶりと、まるでマシンガンのように理解できない言葉を浴びせられた少女の頭の中は、大混乱であり、昨日受けたものとは、また違った頭痛を感じるほどであった。

 

「あ、すいません、突然。あまりのことに驚いてしまって。あははは………」

 

驚いたのは、どう見ても少女のほうである。

未だ混乱中の少女に、申し訳なく思いながらヒフミは話を続ける。

 

「それにしてもそんなレアグッズを持っているなんて、あなたもモモフレンズファンなんですね!ということは、ここにはやっぱり“あれ”を探しに来たんですか!?」

 

「??あれとは、なんですか?」

 

少女はようやく混乱から回復した様子で、ヒフミに問いかける。

 

「あれ?ご存知ではないのですか。私はてっきり私と同じ物を探しているとばかり………ああ、ちょっと待って下さい。」

 

そう言うとヒフミは自分のスマホを操作すると、表示された画面を少女に見せてきた。

 

「これです!ペロロ様限定キャップです!」

 

画面にはこれまたペロロ様の顔がデフォルメされた、正直言ってきもt…………何とも個性的なデザインをした帽子が映し出されていた。

 

「もう販売終了しているんですが。どうやらブラックマーケットで見たってSNSで上がってきたんで居ても立っても居られずに、ここに来たんですが………はぁ結局見つけられませんし、不良には追われますし、諦めるしかないんでしょうか………」

 

ヒフミは、目当ての商品が見つからず、落ち込んだように表情を暗くした。

 

それを見て少女は、

 

「はい。分かりました。探索クエストですね。」

 

ヒフミの手を取って、ブラックマーケットを歩きだした。

 

 

「え?な、なんですか?」

「諦めるのは、まだ早いです。探索を続けましょう。大丈夫です。諦めなければ必ず道はあります。」

 

少女は、言っていることが分からず、混乱しているヒフミの手を握りながら小走りで進んでいく。

 

 

 

少女にとって、初めてのクエストが開始された。

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