楽しみにしてくれてる人がいるみたいなので……続きます
名前も記憶も無い謎の少女改め、アリアを廃墟の中から連れ出したユメとホシノは、そのままの足でアビドス高校のいつも自分たちが活動している生徒会室まで帰って来た。
「ねえ、ねえ、ホシノちゃん!ちょっと見て!」
戻て早々にアリアを連れて別の部屋に飛び出して行ったユメだったが、少しすると興奮気味に生徒会室へと戻って来た。
「今度はどうしたんですか……。今日はいろんな事事があたので、これ以上の面倒事は勘弁してほしいんですけど……。」
「ふっふっふっ……。残念ながら、面倒事なんかじゃないよ。―――じゃーん!!」
ホシノの若干冷めた視線をもろともせず、ユメは自信満々の表情を浮かべながら、連れまわしていたアリアの肩に手を添えてホシノに見せびらかした。
そんなユメの行動に呆れつつホシノは、このアホな先輩に付き合わされた哀れな被害者の方を向くと、確かにアリアの格好が先程までとは違っているようだった。
「どうどうホシノちゃん!アリアちゃんすっごく似合ってるよね!」
「似合ってるって……、確かにあんな格好のままにしておくよりはいいんですけど。それ
ホシノの言う通り、アリアの格好は白いシャツに紺のスカートで青のネクタイが特徴のユメとホシノが着ているものと同じアビドスの制服姿であった。
いきなり自分たちの高校の制服着せないで下さいよ……。ホシノが若干頭を抱えている横でユメは得意げな顔を浮かべている。
「うん、その通りだよ!ちょうど予備の制服が余ってることを思い出したら、着せてあげたんだ!どうアリアちゃん。気に入ってくれた?」
「……肯定。衣服装着による本機の活動に問題なし。良好です。」
ユメの問いにアリアは若干口角を上げながら答えると、それに嬉しくなったのかユメがやったー!気に入ってくれて嬉しいよ――!っとはしゃいでいる。
そんな二人の様子に相変わらず呆れていたホシノがため息を漏らしていると、そのすぐ前にアリアがやって来た。
「な、なんですか……。私に何か用事でも?」
「肯定。今後、この姿で活動するためにあたり――意見を求めます。」
そう言いながら、アリアはホシノ前で両手をバッと上げると、そのまま手を上げた状態で固まり、ジッとホシノの方を凝視し始めた。
ホシノは突然のアリアの行動に対して、目的が何なのか分からないため、渋い顔をしながら行動の意図を探ろうとアリアを若干睨むように様子を伺う。
そんな互いになにも言わない、にらめっこのような状態で固まってしまった二人をユメは苦笑いを浮かべながら、話し出した。
「……ああ、もしかしてアリアちゃん。ホシノちゃんから感想を聞きたいんじゃないかな?」
「感想って……。この制服姿のですか?」
「そうそう!だよねアリアちゃん!」
「肯定。今後の活動に支障がないよう、より多くの意見を求めます。」
「だってさ!ほら、ホシノちゃんもちゃんと褒めて上げて!」
アリアの回答にマジですか……。と若干引き気味のホシノであり、出来れば何も言いたくはない様子ではあるが、このままだと、なにか言うまで付きまとわれるかもしれないと思い、仕方なく口を開いた。
「……まあ、さっきの痴女みたいな格好よりかはマシですよ。その格好なら町を出歩いても問題は無いでしょうし……。」
「もう、ここは素直に似合ってるって言ってあげなくちゃ!」
「そんな義理はありません。」
「……意見の収集を完了。服装に問題がないことを確認。―――ありがとうございます。」
アリアは二人に向かって薄く微笑みながら、頭を下げる。
その時の声は、ほんの少し嬉しそうであった。
「さてと、せっかくアリアちゃんがアビドス高校に来てくれたんだし、アリアちゃんには私たちの学校のことた~~くさん知って欲しいから、今から校舎内を案内するよ!」
そう言い、ユメはアリアを連れて、校舎中を歩き回った。
残念ながら、ホシノは付いてく来ることはなく、ここで書類を片付けておきます。と生徒会室に残ってしまったが、それでもあの生徒会室でのやり取りで、二人なら絶対に仲良くなれると根拠のない自信をユメは抱いていた。
そんなユメとアリアが校舎中を一回りし終え、最後に生徒会室にほど近い一つの空き教室の中に入った。
「この部屋は普段あまり使わないけど、箒や雑巾なんかの日用品を収納してるんだ。だからここは比較的きれいだと思うよ。」
ユメの言う通り、この部屋はほかの部屋とは違い、ちゃんと整理がされていた。
アリアは部屋の中を観察するように部屋全体を見まわすと、肯定するように頷いた。
「肯定。この空間は他の空間より清潔に保たれています。……しかし、他の場所は砂などの不純物が目立ちます。」
「あはは……びっくりしちゃったよね。……うん、この学校も前まではここまで砂まみれじゃなかったんだけど……今は、ちょっとね。」
そう言うユメの顔には少し陰りが見えており、どこかやり切れない思いを感じさせた。
アリアがユメの態度に疑問を持ち口を開く前に、ユメが慌てた様子で話し出した。
「ああ、ゴメンね!こんな愚痴みたいなこと言って!と、とにかくアリアちゃん帰るところ無いでしょ!だからこの部屋を使って貰おうと思って!……どうかな嫌かな?」
「……否定。この部屋を本機の待機場所に希望します。」
「そう!良かった~~~。そう言ってもらえると嬉しいよ!自分の家だと思って自由にしていいからね!」
そのようなやり取りの後、ユメはホシノがいるであろう生徒会室にアリアを連れて戻って行った。
……結局その後もアリアはユメに何も聞くことはできず時間が過ぎていき、気付けば日が傾いていた。
その日の夜。
ユメもホシノも帰ってしまい、アリア一人となった校舎内で、ふと昼間のことをアリアは思い出した。
『あはは……びっくりしちゃったよね。……うん、この学校も前まではここまで砂まみれじゃなかったんだけど……今は、ちょっとね。』
この言葉と共に見たユメの表情が何故か頭から離れずにいた。
「……本機の内部データに、該当する情報なし。――――とるべき対応を変更。行動による処置に切り替えます。」
アリアはそう言うと、横になっていた部屋から抜け出し、夜の廊下を歩き出した。
次の日の朝。
ホシノはいつもより早くアビドス校に登校していた。
理由はもちろん……。
「はーー……。昨日は、なし崩し的にあの少女を学校に泊めることになってしまいましたけど……。よく考えると、あいつが夜学校になにかするかもしれませんでしたね。」
ホシノはまだアリアのことを信じてはいないらしく、もし学校内を破壊していたら、ユメ先輩に知られる前にアビドスから追い出してやろうと思っていた。
そうしてホシノがアビドス校に着くと、ある違和感がホシノの頭に浮かんで来た。
「……あれ?この校門……こんなに
そう疑問を抱きながらもホシノはいつもの生徒会室に向かっていき、中に入ると……中の光景に驚き固まってしまう。
「なっ……!?き、綺麗になってる!」
そう、ホシノの言う通り、昨日までは書類が至る所に散乱し、砂やほこりまみれの部屋がどういう訳か書類は綺麗に整頓されている上に床には埃どころか砂粒一つない。
こんな綺麗な生徒会室を見たのは始めてのことであり、いったい何が起きたとホシノの頭は混乱していた。
「ま、まさかユメ先輩、黙って清掃業者でも呼んだんでしょうか?いやそれにしたって綺麗になるのが早すぎる。―――まさか!?」
「――ホシノ。おはようございます。」
ホシノがある一つの結論に達したその時、後ろから声をかけられた。
すぐに振り向くとそこには、先ほどの結論を肯定するように頭に三角巾を巻いて、箒や雑巾、バケツを下げたアリアの姿があった。