もう一人の勇者   作:Katarina T

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少女、発見する

少女は、ヒフミと共に、ブラックマーケットを歩き回りながら、ブラックマーケットについて詳しい内情を聞いていた。

 

ヒフミから聞いた話によると、ブラックマーケットとは、

 

 

学園を問わず生徒が集まる所であり、表で広く名の知られる有名企業や医療機関にとって、後ろ暗い試験や実験を行う場所としても重宝される危険領域であり、

規模は市場を越えて街と言える規模まで拡大しており、現在もなお、その広さを増している。

 

 

何よりあの連邦生徒会の目も届かない悪党たちの楽園。

 

 

 

要するに、ブラックマーケットとは、キヴォトスの闇が集う危険な場所である。

 

そんな場所にグッズを買いにくるのは、危ないだろ…とツッコミを入れてくれる存在は此処には、いない。

 

話を聞いた少女も、「つまりここは、裏ステージなんですね。」と言っており、何なら現況を楽しんでいる雰囲気を漂わせている。

 

少女は、ブラックマーケット内をお目当てのグッズを探すために、あちこち見て回る。

 

時に路上に商品を広げている所へ、時に露天のお店を見て回り、更に、何やら怪しそうな雰囲気を漂わせた店の中へ入ろうとした所をヒフミに止められ、時折ヒフミを誘拐しようと絡んできた不良生徒を少女がボコし、ドロップアイテムを取ろうとした所をやっぱりヒフミに止められるなど、少女二人はドタバタと歩き回る。

 

「なかなか見つかりませんね。」(モグモグ)

 

「うーん?これは、重要なフラグを踏んでないからです。」(モグモグ)

 

「フラグですか?」(パクパク)

 

「はい。レアアイテムを入手するには、重要イベントをこなして、フラグを立てなければいけません。ですので先ずは、イベントを消化しましょう。」(パクパク)

 

「と言ってもそのイベント?が何処であるのかも分かりませんけど……」(モグモグ)

 

「そ、そうでした。」(モグモグ)

 

少女は、ヒフミと露店で売っていたクレープを食べながら、(少女の分はヒフミが出した)話していると、少女が不意に立ち止まって、路地裏の方に目を向ける。

目を向けた先は薄暗く、人通りがないのか、静まり返っていた。

 

「どうかしましたか?」

 

ヒフミも少女が急に立ち止まったことが気になったようで、少女が向いている路地裏に目を向ける。

 

「そう言えば、正面の通り沿いばかり気にして、路地裏の方は行ってなかったですね。でも、何だか不気味そうですし、止めておいた方がいいんじゃ………」

 

ヒフミは路地裏の雰囲気に当てられて、行くことに戸惑っているようだった。

 

少女は、持っていたクレープを食べきると、躊躇なく路地裏の中に足を進めた。

 

「あ!ちょっと!(モグモグ…ごくん)待ってくださーーい!」

 

ヒフミも急いでクレープを食べきると、少女の後を追い、路地裏に入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

「うぅぅ………やっぱり不気味ですね……」

 

「隠しルートでしょうか。」

 

………少女二人が暫く薄暗い路地裏を進んでいく。

 

少女は、いつも通りの雰囲気で路地裏を興味深そうに見渡しながら歩いているが、ヒフミはやはり怖いのか、足取りが若干重く、少女の手を握りながら歩いていた。

 

そのように歩き続けていると、道が途切れ、開けた空間に出た。

その空間に入った二人の目の前に、古ぼけた民家があった。

 

……いや正確には、駄菓子屋だろうか。

 

よく見ると脇に幟が掛けられ、家の前にベンチが設置されており、風鈴の音が、チリン…チリン…と優しく鳴っている……

 

「こんなところに駄菓子屋なんて、あったんですね。」

 

「うーんこれは、何やら匂います。早速入ってみましょう。」

 

「え!?大丈夫でしょうか?」

 

「平気です。何かあってもヒフミは、私が守ります。では、行きましょう。」

 

二人はガラス戸を開けると、中に入っていった。

 

 

民家の中は、普通の駄菓子屋のようで、様々なお菓子が並べられており、天井にもお面や提灯、おもちゃの剣などがぶら下がっていた。

 

「「うわ~~~」」

 

少女二人は珍しい光景に目を輝かせて、駄菓子屋の中を見回していた。

 

そんな二人に店の奥から声が掛かる。

 

「あら、お客さんかい。いらっしゃいませ。」

 

中から出てきたのは、一人の年老いた猫のおばあさんだった。

 

おばあさんは、少女二人を視界に収めると、先ほどと同じようにゆったりとした口調で話しかける。

 

 

「ここいらでは、見ない顔をしてるねぇ。何かご入り用かい?」

 

「はい。私たちは今、探索クエスト中なのです。」

 

「…ん?探索クエスト?」

 

「あ、その…私たちは、この商品を探してるんです。」

 

 

ヒフミは、そう言いながらペロロ様キャップが写っているスマホ画面を見せる。

 

おばあさんは、それを見て「ああ、それなら…ほら、あそこ」と言い店の一角を指さした。

 

そこには、棚に並んだペロロ様キャップが置かれていた。

 

「ああ!これですよ!これ!やっと見つかりました!」

 

「ぱんぱかぱーん。レアアイテム発見です。」

 

ヒフミと少女は嬉しそうに、喜び合いながら、両手でハイタッチをする。

 

ヒフミは、早速購入しようとおばあさんに話しかける。

 

「おばあさん!これいくらですか?」

 

「残念だけどねえ、お嬢ちゃんそれは売り物じゃなくて、クジの景品さ。」

 

「…っえ!?」

 

確かによく見れば棚のそばには、クジ引きという垂れ幕がかかっており、棚の中にはペロロ様キャップの他にも様々な品が並べられていた。

 

「そんなぁ~」

 

「??買えないんですか??」

 

「お嬢ちゃんたちが、クジで当てたら、あげるよ。」

 

折角見つけた品が売り物じゃないことにショックを受けたヒフミは肩をおとす。

ヒフミも流石に当たるまでクジを買えるほどのお金は手元には残っておらず、今日のところは少女と一回ずつやって、また後日買いに来ることにしようと考えて、顔を上げる。

 

「折角ですし、一回ずつやってみましょうか?おばあさん二回お願いします。」

 

「はい。まいどあり。じゃあ気張ってひきな。」

 

「はい。必ずレアアイテムをゲットして見せます。」

 

ヒフミと少女は、揃ってクジの入った箱の前に立つと、ドキドキしながら「「せーのっ!」」同時にクジを引いた。

 

 

「おやおや、うふふふ。」

 

 

おばあさんは、二人が引いたクジを確認すると当たった景品を差し出した。

 

ヒフミが当てたのは、アイス一個無料券であり、いわゆるハズレ枠であった。

 

そして少女が、当てた物は、

 

「お嬢ちゃん、幸運だったねぇ」

 

お目当てのペロロ様キャップだった。

 

「ぱんぱかぱーん。やりました。今度こそ、レアアイテムゲットです。」

 

「うわ~~!やりましたね!!」

 

少女は、おばあさんからペロロ様キャップを受け取ると、ヒフミの方に差し出してきた。

 

「はい。ヒフミ、どうぞです。」

 

「え!?い、いや!それはあなたが当てた物ですから、いただけませんよ!」

 

「いえ。受け取って欲しいんです。」

 

ヒフミは少女が折角当てたのだから、貰うことなどできないと、手を前で振りながら遠慮する。

 

しかし、少女はヒフミの方を真っ直ぐ見ながら、言葉を続ける。

 

「今日の冒険で私は、知らないことや見たことないことにいっぱい出会えてとっても楽しかったです。その上、ヒフミが一緒にいてくれたおかげで、もっともっと楽しさゲージが上がりました。ですからお礼に受け取って欲しいんです。」

 

少女の真っ直ぐな瞳と言葉に、何だか恥ずかしくなってしまい、ヒフミは少し顔を赤くし、言葉を失ってしまう。

 

そんな中、やり取りを眺めていたおばあさんが話しかけてきた。

 

「受け取っておやりよ。その娘は、本気であんたに感謝してるみたいだからねぇ。」

 

「はい。受け取ってください。ヒフミ!」

 

おばあさんと少女の言葉に動かされ、ヒフミは若干ぎこちなく少女から、ペロロ様キャップを受け取った。

 

「……ありがとうございます。大切にしますね。」

 

「はい。ぱんぱかぱーん。これにて、探索クエスト完了です。」

 

少女二人は、笑い合っていた。

こうして少女の初クエストは無事に成功した。

 

 

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