もう一人の勇者   作:Katarina T

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IFアビドス 少女の趣味

≪………内部電力、が……残り僅か……です。王女よ………最後に私の内部に………保存、されている、全データを……貴方、に送ります。こ、このデータが……貴方の求める、ザザザ……未来の一助に……なることを……願います。ザザザ……ザ…………王女よご武運を……。≫

 

≪…………データの移行を開始。≫

 

「あ……。待ってくだい。それってどういう……。―――――!?う、ぅぅぅ……。」

 

機械音声がそう告げると、アリアが止める間も無く、画面にデータをダウンロードするようなバーが表示させれると、アリアが苦しそうに頭を抱えてうずくまってしまう。

 

「アリアちゃん!?」

「ちょっと大丈夫ですか!?」

 

ユメとホシノが突然苦しみ出したアリアに焦って駆け寄り、声を掛け続けた。

 

しかし、アリアは頭に襲い掛かる痛みのせいで二人の声に反応返すことができず、ただうずくまり、声を押し殺しながら、この痛みが治まるまで必死に痛みに耐えることしか出来なかった。

 

≪……69%。……ザ……75%…………93%…………ザザザ……100%……データの移行が完了。同時に内部バッテリー……の残量が、尽きました……全システムの機能をて、いし……しま、す……。≫

 

やがて、その様な記載がディスプレイに表示されると、電源が落ちるように真っ黒になりなんの反応も示さなくなった。

そしてそれに連動するようにアリアは自身を襲っていた痛みがなくなったことを感じ、何事もなかったように立ち上がった。

 

立ち上がったアリアにホッとしたユメとホシノは、アリアにどこか体におかしなところはないか訪ねる。

アリアは、自身の体をペタペタと触り不調がないことを確かめると二人に向かって頷きながら、異常がないことを伝えた。

 

「良かった~~アリアちゃん何ともないみたいだね。」

 

「全く、いきなり苦しそうに蹲るので、何かあったのかと思いましたよ……。」

 

「ご心配をおかけしてすいませんでした!本機に異常はありません!寧ろ調子がいいくらいです!」

 

「……あれ?なんか、キャラ変わってませんか。」

 

「ええ?そうかな~~?アリアちゃんなにか変わった?」

 

「いえ!本機の名前はアリア!全くもって性能に変化ありません!」

 

「だよね!アリアちゃん変わらず可愛いよ!」

 

「ありがとうです!ユメもとっても素敵ですよ!」

 

「ありがと~~!」

 

「…………。」

 

ホシノはアリアとユメのやり取りと聞きながら、ああ……、突っ込んだらダメな奴だ……。と諦めたような顔で、二人が飽きるまでの間そのやり取りを見つけた。

 

 

結局、その日は本人は大丈夫と言っているが、何時アリアの体調に変化が起きるか分からないとのことで、廃墟の探索を切り上げて、アビドス校に戻りそこで解散となった。

 

ユメはアリアちゃんが心配!っとアリアの体調を気にして、その日はアリアと一緒に学校に泊まることになった。

 

ホシノも急に蹲ってあんなに辛い表情を浮かべていたアリアのことは、大変心配に少しは心配いていたが、本人様子を見るに元気そうなこととユメ先輩が傍にいるということなので、大人しく帰ることにした。

 

 

次の日。ホシノが生徒会室に入ると……。

 

「おはようございます。昨日は大丈夫……でしたか……。」

 

ホシノは部屋の中の光景に啞然として固まってしまう。

そんなホシノに部屋の中に居たユメが声をかけてきた。

 

「ホシノちゃん……。おはよう……。」

 

「……おはようございますユメ先輩。取り敢えず来て早々申し訳ないんですけど……あれ、なんですか?」

 

ホシノは部屋の奥の一角を指さしながら、ユメに問いかける。ユメもホシノが指している場所に視線を向けつつどう答えたらいいのか分からず、目を泳がしてしまう。

 

「ええっと……なんていうか、その~~。」

 

「……分かりました、質問を変えます。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

ホシノの言う通り、そこには昨日まで無かったはずの大量の本が、無造作に積み上がっており、その規模は部屋の約3分の1を埋めるくらいの広さで、一番上は天井に到達しそうな、まさしくほんの山となっていた。

 

一体どこからこんなに大量の本をかき集めてきたのか?いや、そもそもこんなに本を集めてどうしようというのか?っと、姿の見えないこの事件の首謀者を今すぐ問い詰めに行きたくなっているホシノにユメが恐る恐ると言った様子で声を掛ける。

 

「ええっと……ホシノちゃん。その~~」

 

「ユメ先輩、用事なら後で聞きますので、取り敢えずアリアは何処にいるのか教えてください!」

 

「それは……。あのお山の中です。」

 

「……は?」

 

「だから、あの山の中にアリアちゃんはいます。」

 

ホシノが……何言ってんだこの先輩、っと思いながら、半信半疑で本が積まれた中心部まで向かい、中を覗き込んむと、そこには沢山の本を読み漁っていたであろうアリアが、紙になにかを必死に書き留めいた。

 

「あ!ホシノ!おはようございます!」

 

「……本当にいた。ッじゃなくて、アリア何やってるんですか!」

 

「ふふんっ!情報取集ですよ!情報収集!!」

 

「情報収集って……一体なんの?」

 

「ああ、そこからは私が説明するよ!」

 

二人の会話に割って入るようにユメが話に加わってきた。

 

ユメ曰く、あの後ホシノが帰宅した後で、アリアが持ち帰ってきた銃が長い間放置された事で不備があるかも知れないとメンテナンスをする事にしたらしい。

しかし、アリアには銃に関する知識がなく、悩んでいる様子だったので、せっかくならと市街区の案内がてら図書館に行くことにした。

 

その図書館に着いて直ぐにアリアが一冊の本が気になったようで、その場でその本を読んだらしく、その様がとても楽しそうにしていたらしい。そのタイトルは『不思議の国のアリス』というホシノも知ってる童話であった。

 

……そこから、アリアが徐々に暴走し始めた。

 

まず片っ端から図書館に保管されている童話を凄まじいスピードで読み漁り、童話がなくなると本来の目的であった銃に関する物やドローンやAIなどの工学に関連する書物、童話とは違う文学作品などを時間の許す限り読み漁り、閉館時間となる直前に大量の本を抱えてカウンターに持っていき半ば強引に本を借りて持って帰ってきた。

 

それだけでなく、アビドス校で本が保管されている場所をユメ先輩から聞き出すと、保管庫から全ての本を引っ張り出して、図書館から借りてきた本と一緒に全て生徒会室に並べた。

 

その後は寝る間も惜しんで、ずっと本を読み込んでいたようで、ユメ先輩が何を言ってもほとんど反応しなかったらしい。

 

「―――というわけなの。アリアちゃん全く休憩も取らなかったけど……大丈夫?」

 

「問題ありません!本の内容は全て本機の内部データにインプットしました!今の本機は昨日までとはスペックが雲泥の差です!なんでも聞いてください!」

 

「あれ……全部読んだんですか……。一体どんな速度で読んでたんですか。」

 

「本機に不可能はありませんよホシノ!二人ともこれから本機のことを遠慮なく頼って下さい!必ず期待に応えてみせます!」

 

「わ~~。なんだか頼もしいねホシノちゃん!」

 

「いえ、頼もしいというか……むしろ不安というか……。ていうかアリア、絶対に性格変わってますよね!」

 

「気のせいです!」

 

「そんなわけあるか!?」

 

ホシノとアリアのやり取りを微笑ましそうにユメが眺めていると、一つ思い浮かんだ……というより思い出したことがあったので、せっかくならとアリアに尋ねてみることにした。

 

「じゃあじゃあ、アリアちゃん!」

 

「はい!なんですか?」

 

「私たちアリアに会う前に宝探しをしたんだけど……あんまり成果でなくって……宝物が眠ってそうな場所知ってるかな?」

 

「ちょっとユメ先輩!何聞いてるんですか!」

 

ホシノが自分達の黒歴史、確かじゃない情報に踊らされてスク水姿で砂漠を掘っていたことを突然話題に出されたことに若干の腹を立てる。

 

言ったユメは、半分以上冗談のつもりで言っただけであり、そこから自分たちの事をもっと知って貰おうと思っていた。

 

 

「ううーん……。お宝とは違いますが……希少金属が使われた花火が埋まっている場所なら、私のデータに入ってますよ!」

 

しかし、アリアはそんなユメの予想を裏切るように、事もなげにあっさりとした口調で言い切った。

 

「「………えええええ!!!!」」

 

アビドス校に二つの大きな絶叫が鳴り響いた。

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