もう一人の勇者   作:Katarina T

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少女、お別れする

無事に目的のアイテムをゲットした少女とヒフミは、仲良くアイスを食べながらブラックマーケットの出口へと移動していた。

 

日も暮れて来た頃、ようやくブラックマーケットの出口に到着し、ヒフミは改めて少女に向かってお礼を述べていた。

 

「今日は、本当にありがとうございました。あなたが諦めずに一緒に回ってくれたおかげで、とっても楽しかったです!頂いたペロロ様キャップ大切にします!」

 

「はい。私もヒフミと冒険出来て、とっても楽しかったです。また、一緒に冒険したいです。」

 

「はい!その時は、私の友達も誘ってみんなで冒険しましょう!」

 

「ヒフミの友達ですか?」

 

「ええ!みんなとっても優しい人たちなので、是非あなたに紹介したいですし、みんなにもあなたのことを紹介したいです。」

 

「わあぁ。とっても楽しみです。」

 

少女は、ヒフミの言葉に嬉しそうに、反応する。

 

そんな少女を見ながら、ヒフミはずっと気になっていた、“疑問”を少女に投げかける。

 

「あの…最後に一ついいですか?」

 

「?何ですか?何でも聞いてください。」

 

ヒフミは、少女を真っ直ぐ見ながら、意を決して問いかける。

 

 

 

 

 

 

「あなたの“名前”を教えて頂けませんか?」

 

 

 

 

 

……そうヒフミは、ずっと少女の名前を知りたかった。

初めて会った時、自己紹介をしたが、その時は騒ぎを大きくしない為、移動することを優先して、聞くことが出来なかった。

その後も、お店を見て回ったり、不良生徒を撃退したり、少女の突拍子もない行動を止めたりと名前を聞く暇がなかった。

 

 

……もしくは、少女が名前を聞かれるのを、無意識のうちに避けていることを、なんとなく感じ取っていたからだろうか。

 

 

それでも、ヒフミは新しく出来た友達の名前をどうしても知りたかった。

 

ヒフミの質問に対し、少女は先ほどまでの楽しそうな雰囲気が鳴りを潜めて、代わりにとても焦ったような、それでいて何処か儚いような雰囲気を漂わせた。

 

 

「あ、え、えっと……私の名前は……」

「…………私は、まだプレイヤーネームが設定されてない、役職なしです。」

 

「……え?」

 

ヒフミは、少女が言っていることが、一瞬理解できず、小さく声を上げて固まってしまう。

 

そんな状態のヒフミに対し、少女は言葉を続ける。

 

「でも、大丈夫です。私は今転職に向けてレベルアップ中です。今回の冒険でも順調に経験値を稼げました。このまま行けば、役職に就くのもそう遠くありません。」

 

少女は、先ほどの雰囲気を収めると、元気よく声を上げながら、話を続ける。

 

しかし、ヒフミは相変わらず混乱の渦中にいる。

 

「ですので、私は何の心配もありません。ヒフミ今日は、本当にありがとうございました。さようなら。」

 

「え?いや?ちょっと待って!」

 

少女は、一方的に話を切り上げると、ヒフミの静止を無視して、ブラックマーケットの中に戻っていった。

 

ヒフミが慌てて少女を引き留めようとするが、気付いた時には、少女はブラックマーケットの喧騒の中に消えていった。

 

ヒフミは少女からもらった、ペロロ様キャップを見つめながら、一人立ち尽くした。

 

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