もう一人の勇者   作:Katarina T

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IFアビドス 少女達のハッピーエンド

あの日、生徒会室でユメがアビドス砂祭りの開催を宣言してから、アリア達は寝る間も惜しんで準備を進めた。

ユメの宣言で、ユメの言うそんな有り得ない夢物語をアリアとホシノも叶えたい実現させたいと思ったからだ。

 

しかし、現実はそううまくいかず、作業は全くと言っていいほど進まなかった。

 

過去の資料を読み漁り、アビドス砂祭りがどいったものなのかの調査から始まり、各施設の設営準備にスケジュールの組み立てなどなど上げていけばキリがなく、とてもでは無いが三人だけで回せる仕事量ではない。

 

三人がどうしようかと悩んでいるそんな時、アビドス砂祭り開催に協力してくれるという柴関ラーメンの大将や図書館の管理人さんを始めとした、多くのアビドスの住民の皆さんが協力を申し出てくれた。

 

「へ、暇してる連中かき集めきた!好きに使ってくれアビドスの生徒さんたち!」

 

「君たちが頑張ってるって言ったら、居ても立っても居られなくなってね~微力ながら協力させて頂戴ね。」

 

「あたしも!」「俺も!」「まだまだ若いもんには負けんよ!」「こういう時こそド派手にやりましょう!」

 

などなど、皆がやる気に満ちた表情で、アビドス砂祭りに……このアビドスを盛り上げることに力になりたいと集まって来てくれた。

 

「みなさん……。よーーーしっ、絶対に成功させましょう!みなさん私たちに力を貸してください!」

 

「「「「「「「おおおおおーーーーー!!!!」」」」」」」

 

 

そんな人たちの力も加わり、作業は驚くほどのペースで進んでいった。

 

その場にいる全員が一丸となって、今を変え、未来を築こうとしているその姿は、かつてユメが一人で署名活動をしてた時のような、全てを諦めてただアビドスが衰退していくことを嘆くしかしてこなかった姿など欠片もなく、やる気と希望で満ちていた。

 

準備に動く、人々の慌ただし足音や楽し気な笑い声、活気あふれる話し声が、その空間に満ちている。

 

そんな様子をホシノはジッと嚙みしめるように眺めていた。

 

まるでアビドスが息を吹き返していくようなそな光景を。

 

 

 

そうしてあっという間に数週間が経過し、とうとうアビドス砂祭り開催当日になった。

 

アリア達三人は、アビドス砂祭り開催場所であるオアシスで、開催時間になるのを待っていた。

 

「ホシノちゃん!アリアちゃんちゃん!いよいよだね!」

 

「はい!この日を本機は心待ちにしていました!とっても楽しみで昨日は全く寝ていません!」

 

「うんうん!私も一睡も出来なかったよーー。おかげでちょっと寝不足かも~~。ふあ~~~~。」

 

「もう、小学生じゃないんですから……。ユメ先輩しっかりしてください。もうすぐ開催時間なんですから。時間になったら、開催の挨拶と宣言をするでしょう、もっとシャンっとしてください。」

 

「う、うん!わかってる!ここまで協力してくれた人達のためにも……私、頑張ってくるよ!!」

 

緊張した様子のユメが、設置された壇上に上がり、そこから広がる光景を見る。

 

復活したオアシスを会場に辺りには、夏祭りで使う出店や移動式屋台、その他にも休憩するためのテントやちょっとしたカフェみたいなものなど、多くの店が並んでいる。

 

壇上の周囲には、この日の為に協力してくれた街の人たち、アビドス砂祭りの噂を聞きつけ、わざわざこのアビドスに来てくれた人たち、そんな大勢の人々が壇上にいるユメを見ていた。

 

そして、ユメのすぐ下には、ここまでずっとユメを支えてきてくれた大切な友達であり、仲間であるホシノとアリアがいる。

 

ユメはここに立って、漸く今が現実なんだと、夢じゃないんだと、改めて実感する。

 

こんな奇跡のような現実が起こるなんて、夢にも思っていなかった。

 

生徒会長になったばかりの時は、何度も現実は理想通りにはいかないことを思い知らされた。

何度もくじけそうになった……。青春なんて、きっと私には来ないものだと思っていた。

 

……でも、そうじゃなかった。

 

ユメは瞳からあふれ出そうになっているものを必死にこらえる。……きっと一度溢れてしまったら止められなくなるだろうから。

 

ユメは大きく深呼吸をして、あの日のように……今度はアビドスにいる全員に届くような思いを込めて宣言した。

 

「―――ここにアビドス砂祭りを開催します!!」

 

 

 

 

 

―――夢でも見ているんでしょうか。

 

砂祭りを楽しむ人々を見ながら、小鳥遊ホシノは一人そう考えていた。

 

だって、あまりにも現実味が薄いのだ。

 

ホシノがアビドス高校に入学した時には、既に大半の生徒がこの地を去り、残った生徒も次々とアビドスを去っていった。

残っているのは、不良やチンピラ、アビドスの治安の悪さを利用して悪事を働く汚い大人。

その他は覇気もなく、ただ衰退したアビドスのように腐っている無気力な住民たち。

 

そして、毎日毎日失敗ばかりの先輩と

 

―――理想だけは一丁前で、何も解決できない無力な自分。

 

正直、もう終わっているような場所だった。

 

息つく暇もなくやってくる砂嵐や止まらない砂漠化、……きっとそれを抜きにしても、もっと違う何かが終わっていたのかもしれない。

 

きっとこのままアビドスは終わる。どんなに足搔いたって、私たちが報われることなんてない……そう思ってた。

 

 

 

――でも、ある時から少しずつ、その考えを改めるようになりましたね。

 

「ユメ!とってもかっこよかったです!本機何だか感動してきちゃいました!!」

 

「えへへっありがとうアリアちゃん!せっかくみんなで頑張って開催したんだもん!絶対に成功させなくちゃって思って、頑張ったんだーー!」

 

「はい!ユメはとっても偉いです!」

 

ふと、そんなやり取りが聞こえてきて、ホシノがそちらを向くとユメ先輩とアリアが相変わらず、おバカなやり取りをしていた。

 

 

思えばあの時、ユメ先輩が宝の地図を見つけよーー!って言ってきたのが始まりだった。

 

あの日は本当に大変だった……。思い返しただけでも色んな事が起きたてよく分からない日だったですね。

 

結局、行った先にはお宝なんてなかったけど……でも代わりにそれ以上に大切なものを見つけられた気がします。

 

「ホシノ~~!何やってるんですか!本機たちもお祭りを楽しみにいきましょう!!」

 

「ホシノちゃーーん!!早く早く、何だか見たこともないようなお店がいっぱいあるよ!!」

 

二人の騒がしく賑やかな声がホシノを呼んでいる。

 

ホシノは今を噛みしめるように瞳を閉じる。

 

そう言えば、ユメ先輩はよく奇跡が起きたらとか言っていた。

この前も今のアビドスはまるで奇跡みたいだとも。

 

奇跡……。そんな言葉、信じる気にもなれなかった。

奇跡なんて起こりっこないってそう思っていた。

 

 

 

―――――でも、今のこの瞬間が奇跡というのなら。

 

こんな騒がしくて、忙しくて、大変なことばっかりで…………そして幸せな、こんなありふれた景色が奇跡だというのなら。

 

 

 

ホシノはひとみを開けると、二人の下に走り出した。

 

「うへへ♪待ってくだい二人とも!」

 

―――そんなの私には、………私達とっては最高の奇跡だ!

 

 

その日三人は、アビドス砂祭りを心良くまで楽しんでいった。

 

その顔には、輝かしい笑顔が溢れ、最後まで消えることはなかった。




これにてアリアちゃんの物語、IFアビドス編は終わりとなります。

最後までお付き合い頂きありがとうございました!

もし需要があれば、シロコやノノミとの出会いも書こうかなとも思っています。

それでは、これで…………うん?





































「アリアはアリスのお母さんです!!ですからアリスとずっと一緒にいて欲しいです!!離れたくありません!!!」

「アリスの言うとりです。母様は私とアリスと一緒にいなければいけません。なのでこのままミレニアムで一緒に暮らしましょう。アリア母様。」

「うへ~~、どうしてこうなっちゃたの?」

「本機にもよくわかりません。」


――どうやら、まだまだアリアちゃんは大変みたいですね。
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