シャーレオフィスにて、先生である私は、日も暮れた頃ようやく本日の業務が終わり、座りっぱなしで固くなった体を伸ばす。
"う、うーーん!今日はこれで終わりかな"
「先生、今日もお疲れ様でした。はい、コーヒーです。どうぞ。」(…コト)
今日の当番に来ていたヒフミが、私を労いながら、コーヒーの入ったカップを机の上に置いてくれる。
"ありがとう!ヒフミもお疲れ様。ごめんねこんな遅くまで手伝わせちゃって"
「いえ、気にしないで下さい。先生には、いつも助けて頂いていますから、当番の時くらい遠慮せず頼って下さい。」
生徒に遅くまで業務を手伝わせていることに、思うことがないわけじゃないけど、とても一人で終わらせられる量じゃないし、ここは大人しく生徒たちの厚意に甘えておこう。
それより私には、気になる事がある。
それは、今日1日のヒフミの様子だ。
一見するといつも通りの振る舞いに見えるけど、時折ぼーっとしたように呆けることがあり、いつも真面目なヒフミであればしないようなミスをするなど、何処か心ここにあらずといった感じだった。
私はヒフミの先生として、何か困っているなら力になりたいと思い、どう見ても何かあった様子のヒフミに問いかけた。
“ヒフミ何かあった?”
「えっ?」
“何だか今日1日元気がないようだったから、気になってね。何かあったなら私が力に成れるかもしれないし、良ければ話してくれないかな。”
ヒフミは友達を大事にする優しい生徒であるが、それが原因で厄介ごとなどに巻き込まれやすい生徒でもあるため、もしかしたら何かトラブルに巻き込まれてそれを抱え込んでいる可能性も捨てきれない。
だから多少強引ではあるが、話を進める。
突然のことで、驚いていたヒフミも先生なら、と口を開きかけた時、
「せんせーーい!!あの子のこと何か分かった!!」
ドアをバン!と音を立てながら、いきおい良く入ってくるモモイにさえぎられてしまった。
「もう!お姉ちゃんドアはもう少し静かに開けようよ。はぁ……あ、先生こんばんは。お仕事お疲れ様です。」
「こ、こんばんは…先生。」
モモイの後ろからは、同じゲーム開発部の仲間である、妹のミドリ、ユズ、そして…………
「先生、ちょっとお時間いただきます!」
モモイと同じくらい、元気いっぱいのアリスが入ってきた。
いきなり現れたモモイ達に、驚いているであろうヒフミには、後でフォローを入れようと思いながら、きっと“あの件”について聞きに来たのであろうモモイ達を迎えようと体ごとモモイ達の方を向いた。
“あはは……みんないらっしゃ「あああああああ!!」うわっ!?”
((((ビクッ!))))
すると今度は、ヒフミがいきなり大声を上げてきた。
それに驚いた私も思わず声を上げてしまい、モモイたちも肩を跳ねさせていた。
"ヒ、ヒフミいきなりどうしたんだい"
「ああ!ご、ごめんなさい先生、つい。い、いえそれよりも!」
ヒフミは、驚き固まってしまったゲーム開発部の方に向くと、アリスの方に近づくと、興奮した様子で話し出した。
「あの!やっぱり私、あの時のことが気になって……私じゃ力不足かもしれませんけど、ほっとけなくて……あなたのこともっと教えてくれませんか!?困っていることがあるなら力に成りたいんです!!」
「うわーん!いきなりそんなこと言われても、アリス何が何だか分かりませーん!そもそも、あなたは誰何ですか!?」
「とぼけないで下さい!私ですよ私!阿慈谷ヒフミです!この前会ったばかりじゃないですか!」
勢いよく捲し立てるよう言葉を浴びせるヒフミに、話の内容が理解できず困惑するアリス、突然のことに呆然と固まる他のゲーム開発部と先生、あまりのカオスな空間のなか、いち早く正気に戻ったモモイがヒフミを止める。
「ちょっとちょっとストップストーーープ!何が何だか分かんないけど、一旦落ち着こうよ!」
“そうだよヒフミ。先ずは落ち着いて何があったのか教えてくれないかな”
「そうですね。実は…………」
……ヒフミの話を聞くと、どうやらブラックマーケットで出来た友達のことが、気になっていたようで、今日の様子もどうやら原因はそれだったらしい。
「私、あの後も最後にみた、あの子の顔が忘れられなくて、なんだかあの時のアズサちゃんを見ているみたいで、ほっとけなくて……それで………」
「それで、アリスちゃんを見て、あんなに取り乱していたんですね。」
「でもアリスは今日初めて、ヒフミと会いました。」
「そ、そうだね。アリスちゃんはその日、私たちと一緒にいました。」
「で、ですが、確かに………私は………」
「…………っは!?先生これって!」
“うん。間違いないと思うよ”
私は、ヒフミの話を聞いてある考えが浮かんでいた。
どうやらモモイも同じようなことを思ったのか、私の方に視線を向けて来た。
当然だろう。何せモモイだけは“その子”に直接会っているのだから。
ミドリ達も、私とモモイのやり取りにまさかという驚きの表情を浮かべ、ヒフミは状況が分からず、頭に?を浮かべていた。
“ヒフミ、その子についてもう少し詳しく教えてくれないかな”
「それは、いいですけど、一体なにが……」
“ごめん、詳しいことは、私にも分からないんだ。だから今わかっていることをヒフミに話すよ”
私は、あの日ゲーム開発部で話したことを思い出しながら、ヒフミに伝えた。
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その日、私はシャーレ当番に来たアリスに誘われ、ゲーム開発部の部室にサボりっ…………顧問としてアドバイスをしにやって来ていた。
モモイは、どうやら出かけていたらしく、部室にはミドリとロッカーの中に入っているユズがいた。
私は、モモイが戻るまでアリス達とゲームを楽しんでいると、唐突にミドリのスマホが鳴り出した。
「あ、お姉ちゃんかもしれませんね。ちょっと待っててください。」
ミドリは、そういうと私たちから少し離れて、スマホに出た。
「あ、お姉ちゃん新作のモソアソ買えた?」
「お姉ちゃんどうしたの?かなり慌ててるようだけど」
どうやら電話相手は、モモイだったらしいが、何やら様子が変であり、明らかにミドリは混乱している。
私とアリス、ユズの三人はゲームをしている手を止め、様子をうかがった。
「え?アリスちゃん?アリスちゃんならここで先生と一緒にゲームしてるけど」
「ん??ミドリ、どうかしましたか?」
「え!?ちょっとお姉ちゃん!?」
どうやらスマホの通話が切れたようで、ミドリは自分の耳からスマホを離した。
先ほどのやり取りが気になった私は、混乱しているミドリに問いかけた。
“ミドリどうしたの。もしかしてモモイに何かあったの?”
「い、いえ。私にもサッパリです。なんだかお姉ちゃん慌ててたようで、……アリスちゃんを探してだとか。」
「???私ですか?」
“なんでアリスを…”
「さあ?詳しいことは戻って話すからって、電話切っちゃったし……」
私たちは、疑問を抱えながらモモイが戻ってくるのを待った。
焦ったように部室に戻って来たモモイから、私たちは、アリスによく似た少女と会ったこと、その少女が苦しんでいたこと、モモイから逃げ去ってしまったこと、そして、
…………寂しそうに泣いていたことを聞いた。
「先生。私は、もう一度あの子に会いたい!会ってなんで泣いていたのか理由を聞かなきゃいけないの!!だから先生協力して!!!」
モモイが真っ直ぐに私の目を見て訴えてくる。眩しいくらい強い決意の籠ったその目に私の返す言葉は、決まっていた。
“もちろん一緒にその子を見つけ出そう!”
私は先生だ。友達のことを思って行動しようとする生徒に手を貸さない理由も、困っている生徒をほおって置く理由もない。
ゲーム開発部の皆もモモイの意見に賛成なようで、特にアリスは、自分と姿が似ているということもあり、力強く頷いていた。
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“これが、私たちが知っていることだよ”
「そ、そうだったんですか…………」
ヒフミは、今の話を聞くと、少し考えるように下を向いたかと思えば、いきよい良く顔を上げて
「先生!ゲーム開発部の皆さん!私にも協力させて下さい!」
強い意志の籠った声でそう提案してきた。
「私も大切な友達が困っているなら、力になりたいんです!ですから私にもあの子を探すお手伝いをさせて下さい!!」
ヒフミの提案に私たちは、
「「「「“もちろん(です)!!”」」」」
と揃って答える。
「パンパカパーン!ヒフミが仲間に加わりました!」
新しい仲間を加えて、私たちは少女の行方を追う。
…………大切な“仲間”を救うために。
さあ!なんと先生とゲーム開発部にファウストさんが加わり、アップを開始し始めました!
………どうすんのこれ(-_-;)
後書き ※読み飛ばして貰って大丈夫です。
どうも皆さんKatarinaTです。
もう一人の勇者を読んで下さり、誠にありがとうございます。
こんな、私の妄想垂れ流しの怪文書を読んでいただけて、更には、お気に入りやコメントを頂き、もう夢なんじゃないかと感謝でいっぱいです。
皆様のコメントは全てチェックし、返信させていただいております。
今後も、少女の冒険を暖かく見守っていただけると私は嬉しいです。
ええ、何故急にこんなことを話しかというと…………誠に申し訳ないのですが、今後、ご都合主義の展開が強くなっていきます。
そういうのが、苦手な方には少々見ているのがきつくなって、しまうことになりなすので、きつくなりましたら、気にせずに回れ右してください。
それでもいいという方は、引き続き楽しんで読んでいってくれると嬉しいです。
(え、今までもご都合主義の塊だっただろって………まあ、そうですかね。)