もう一人の勇者   作:Katarina T

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少女、ゆるさない

少女とユメが先生と便利屋と戦闘になる少し前…………

 

少女たちは、サオリの連絡を受けて自分たちのいた部屋から、合流地点である階段へとやって来ていた。

 

「サオリちゃん、まだ来てないね………」

 

「多分、もう直ぐ到着すると思いますが………」

 

少女たちがサオリと護衛対象を待っていると、少ししたら何やら人ひとり入れるくらい大きな荷物を背負っているサオリがやって来た。

 

「すまない…待たせた。」

 

「ううん、そんなに待ってないよ。」

 

「戦士よ…ご苦労であったな……ここからは我々も力を貸すとしよう。」

 

「ああ……私は依頼人をこのまま地下駐車場まで連れていく………少女ちゃん達には、追ってくる連中の相手を頼みたい。」

 

「……?それは構わないが、その依頼人は何処にいる?」

 

傍から見てもサオリ一人であり、その他に人物がいるようには見えなかった。

 

「ああ……依頼人はここにちゃんといる。」

 

サオリは背負っていた袋を少し開けると、そこから依頼人である…ドン・アランチーノが気を失っている状態で顔を覗かせていた。

 

「ええ!?サオリちゃんなんで依頼人を袋に入れているの!?」

 

「効率を重視した結果だ……これなら守りながらでも移動が格段に速くなる。」

 

サオリが自信満々にそう言ってくる。

 

これにはさすがの少女たちも引いてしまう…………

 

「なるほど……いい考えだな………流石、歴戦の戦士だ……」

 

「ホントにそうだよ!サオリちゃん頭いいんだね!ナイスアイディア!!」

 

…………こともなくサオリの行動に感心したように、二人してサオリを褒めていた。

 

「では……私はこれより移動する。二人とも後ろは任せるぞ。」

 

「任せておけ、先へは誰一人として、通さんよ。」

 

サオリは、褒められたことに若干胸を張りながら、アランチーノを入れた袋を再び背負う。

 

「ああ……最後にもう一つ…………敵の追ってくる連中の中にあの“便利屋68”がいる。注意してくれ…」

 

そう言い残し、サオリは地下駐車場に急いだ。

 

その後、少女は、サオリが地下駐車場まで護衛対象を連れていくまでの間の時間稼ぎのため、護衛対象を狙っている生徒たちの撃退を行いつつサオリからの連絡を待つことにした。

 

 

 

…………時は戻り、今少女たちは便利屋と先生との戦闘を切り上げ、サオリの待つ地下駐車場に急いでいた。

 

「サオリちゃん、無事についたみたいで良かったね。」

 

「はい。これで、護衛クエストもクリア目前です。」

 

少女とユメはこのまま無事にクエストが終わると信じており、肩の力を少し抜きながら、目的の場所に到着した。

 

「でも、さっきの子たちスッゴい強かったよね。危ない場面が何度もあったもん。」

 

「はい。個々のステータスも相当高かったです。それに連携と指揮がうまく噛み合っていました。」

 

「ホント大変だったね…でもこれでいよいよイベントも終わりだし…もうひと頑張りだね。」

 

「はい。必ずクリアしてみせます。」

 

少女は、胸の前で両手を握りながら、張り切っている。

 

ユメも少女の様子を微笑ましそうに見ながら、気を引き締める。

 

そんな少女たち二人に、未だにアランチーノが入った袋を背負った、サオリが合流してきた。

 

「どうやらお互い大事なく役割を果たせたようだな…戦士よ…」

 

「サオリちゃん!お疲れさま!怪我してない?」

 

「ああ…問題ない。其方のほうは…ふっ、聞くまでも無かったな。あの便利屋相手に無傷とは……本当に心強いな。」

 

「それは、此方も同じこと、そなたの柔軟な発想力と即断即決の行動力があったからこそ、此度の任務が達成されると言うものよ。」

 

「そうそう、サオリちゃんがすっごく頑張ってくれたおかげだよ!……ところで此処には、誰も居ないみたいだけど、他の護衛の人はどこにいるの?」

 

駐車場内は、少女たち以外の人影はなく、車も一台も止まっていなかった。

 

「……どうやらまだ来ていないらしい。到着するまで、此処で依頼人を守るしかない。」

 

「なるほど、つまり防衛クエスト…ということだな。」

 

「ああ。その通りだ少女ちゃん…幸いにもこの地形での戦闘は、私が得意とするものだ…なんとかなるだろう。」

 

「期待しているぞ…戦士よ…」

 

「こちらこそ。」

 

「二人とも頑張ろうね!」

 

 

 

しばらく、少女たちが周囲を警戒していると、そこへ先生を連れた便利屋68たちが、追い付いて来た。

 

「あっさっきの人たちもう追い付いてきたの!?」

 

「想定よりも速いな…これは此方も全力で対処しなければなるまい…」

 

「ああそうだな…ってまて、なぜ先生が便利屋と一緒にいる?BDはどうした?」

 

“BDよりも優先すべきことが出来たからね。それよりカヨコの言った通りだったね”

 

「…………待って?アランチーノは一緒じゃなかったの?…………それとサオリの背負っている袋は何かしら。」

 

「まさかとは思うけど……もしかしてアランチーノをその袋の中に入れて運んだの…………?」

 

「……?そうだが、何か問題でも?」

 

「「「「“……………………?”」」」」

 

便利屋と先生が言葉を失い、固まってしまう。

 

それもそうだろう、どこの世界に護衛対象を気絶させた上に、袋に詰めて運ぶ護衛がいるのだ…………完全に誘拐する側の行動だそれは…………

 

おまけにそれに対し、何の疑問を持っておらず、何がおかしいのか心の底から理解できていないようで、サオリは急に黙ってしまった先生たちに困惑してしまう。

 

「た、確かにいい方法かもしれませんが……」

 

「あっはは!何それ大胆すぎる~」

 

「いや、いいわけないでしょ。完全にアウトだから。…………ハア、そこの二人もなんで指摘しなかったの………」

 

カヨコはあまりにもあんまりな行動に呆れており、その行動を止めなかった理由を少女二人に問いただしたが、

 

「え?何かおかしかったのかな?すっごくいい方法だと思うけど…………?」

 

「ああ。これ以上ない最良の選択であったと思うぞ。」

 

残念ながら…………あの子たちもあちら側(天然ボケ要員)だ……

 

「え?あの子たちもなの…………正気なの……もしかしてあたしの方がおかしいの…………」

 

「落ち着いて社長、気持ちは分かるけど…………相手のペースに飲まれないで。」

 

“あはは…………あんまり悪い子たちじゃなさそうだね…………”

 

先生は、少女たちが善良よりな性格…………少なくとも悪い子たちではなさそうなことに安堵していた。

 

そんなカオスな空間に、複数台の黒い車が続々と入ってきた。

 

(ブブゥウン…キキィィ)

 

「ちょうどいいタイミングだ………」

 

どうやら、アランチーノを救出するための主力部隊であるらしく、その人数はかなりのものであった。

 

迂闊に動くことのできない先生と便利屋のメンバーは、取り敢えず、様子を見ることにした。

 

 

 

車がサオリたちの前で停車し、そこから大勢のギャング少女たちが出てくると、

 

((((ガチャガチャ))))

 

何故かサオリ達に向かい銃を構えた。

 

「動くな!すでに包囲されている!!」

 

「命が惜しけりゃ、大人しくボスを返しやがれ!!」

 

 

 

「…………なん、だと?」

 

「ひぃん……どういうことなの?」

 

「……………………???」

 

サオリと少女たちは、何故銃口を向けられているのか理解できていないらしく、困惑している。

 

「どうやら何か誤解をしているようだな。」

 

「聞いてくれ、私たちはお前たちの敵ではない。」

 

「そうだよ。こうして依頼人?をちゃんと連れて来たんだから!……ほら!」

 

ユメはそう言いながら袋に入ったアランチーノを見せつけた。

 

「何をバカなこと言ってんだ!!どう見ても誘拐してるだけじゃないか!!」

 

「バカにするのも大概にしろ!」

 

「…………?誰もバカになどしていない。これは、移動の効率を上げるための措置だ。おかげでお前たちとも合流できたじゃないか?」

 

「んなこと信じられるか!!」

 

サオリたちとギャングの少女たちとの会話は全くと言っていいほど、通じておらず、寧ろどんどん誤解が強まっている様子だった。

 

「こうなっては、埒が明かない。ここは直接本人に証言してもらおう。」

 

サオリは、アランチーノを起こそうとした…………殴って…………

 

「コイツボスを殴ったぞ!!」

 

「サオリちゃん!いくら何でも殴るのはよくないよ。」

 

「いや、殴ってなどいない………起こそうとしただけで………」

 

「もう我慢できねえ!相手はたった三人だ!!全員構えろ!!」

 

「やっちまえ!!」

 

ギャング少女たちは遂に堪忍袋の緒が切れたのか、一斉に少女たちに銃を構え、襲い掛かってくる。

 

「な、なぜだ!?どうしてそうなる!?…………まさか!私はまた騙されたのか…!!………上手く利用され捨てられるなんて…………」

 

どう考えてもサオリの自業自得なんだが…………

 

今まで黙ってサオリたちのやり取りを聞いていた少女は、グレランをギャング少女たちに叩き込み吹き飛ばすと、先ほどまでの“裏モード”の口調ではなく、いつもの口調に明確な怒気を含ませて言葉を発した。

 

「…………許せません…………大事な仲間を騙して、裏切って、最後には捨てるだなんて……」

 

少女は、短い付き合いではあったが、サオリがとても頑張って依頼をこなそうとしていたことを理解していた。

 

だから、少女はサオリのことを信用していたし、勝手だが、大切な仲間とも思っていた。

 

そんな仲間がこんな酷い仕打ちを受けることに少女は、今まで見せたことがないほどに怒りながら、ギャング少女たちにこう言い放った。

 

「……私は絶対にあなたたちを許しません!」

 

少女の蹂躙劇が幕を開けた。

 

 

 




…………なお、どう考えても理不尽な逆恨みな件
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