もう一人の勇者   作:Katarina T

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少女、新しい仲間

オペラハウスでの騒ぎから翌日の朝…………少女はいつものようにボロアパートの一室で目を覚ました。

 

「あっ少女ちゃんおはよう………昨日は大変だったね…………」

 

ユメが起きた少女に気づき、挨拶をしてくる。

 

ユメも疲れが残っているのか、いつもより声に元気がない。

 

あの爆発の後、オペラハウスは崩壊……アランチーノ確保も失敗し、便利屋たちの依頼もパーになってしまった。

 

全員無事に脱出出来たとは言え、散々な結果に終わってしまった。

 

………ただ爆発騒ぎを聞きつけたヴァルキューレ警察学校の捜査のおかげで、アランチーノ含めた犯罪組織のほとんどが捕らえられ、ギャング連合が事実上の終わりを見せたことはいいことなのかもしれないが、少女にそれを知るすべは無かった………………

 

「あの後、おばあさんからも怒られちゃったね…」

 

「はい…少し怖かったです……」

 

 

 

………オペラハウスより無事に逃げ切った少女たちは、爆発のせいで汚れてしまったドレス姿で通りを歩いていた。

 

サオリはどうやら先生と便利屋のみんなとラーメンを食べに行くようで、少女たちも誘われたが、今回オペラハウスに行ったことをおばあさんに言っていなかったことを思い出し、その日は話もそこそこに、少女とユメは急いで帰宅した。

 

先生はずっと少女たちのことを気にしていたが、あまりに慌てて帰って行ったため、結局ゆっくりと話をすることが出来なかった。

 

…………帰宅後、当然おばあさんからは、危ないことに勝手に首を突っ込んだことを怒られ、二人は小一時間正座で説教を受ける羽目になった………

 

 

 

 

「過ぎたことを悔やんでいても、前には進めません。今は今日のことを考えましょう。」

 

「それもそうだね!…よし、準備万端いこっか!」

 

「はい。今日はおばあさんからのお使いクエストです。それでは出発です。」

 

少女とユメは、朝の支度を済ますと、ヘルメットを被りブラックマーケット内にくりだした。

 

 

 

…………おばあさんからのお使いクエストを無事に達成した少女たちは、意外な再会を果たしていた。

 

「ここにいたか……探したぞ少女ちゃん。」

 

少女たちを探していたサオリが、声を掛けてきた。

 

「サオリです。特殊エンカウント発生です。」

 

「あっサオリちゃん昨日ぶりだね!」

 

少女たちもサオリと会えたことに嬉しそうだ。

 

「サオリは、私たちを探していたのですか。」

 

「ああ……昨晩のことで改めて謝罪したい………すまなかった」

 

突然サオリは少女たちに向かって頭を下げて来た。

 

謝罪される理由が、全く分からない少女とユメは困惑し、慌ててサオリの頭を上げさせる。

 

「ちょ、ちょっと待って、謝られているわけが分からないよ?」

 

「はい。サオリが私たちに謝ることはありません。顔をあげて下さい。」

 

「いや………昨晩の任務は、私の行動により、失敗してしまった………折角私のことを頼ってくれたのに、私はその期待に応えることが出来なかった…………お前たちへの償いのために私に出来ることなら何でもしよう………遠慮なく言ってくれ。」

 

サオリはどうやら、オペラハウスでの任務が失敗したことを、自分の責任だと思っているようで、そのことについて少女たちに謝罪してきていた。

 

ユメは、あの時のことは、不幸な事故としか考えておらず、全く気にした様子もなく話しかける。

 

「なあんだ…そんなことか……気にしなくていいよ。あの時のことは、サオリちゃんのせいじゃないんだし、私たちも気にしてないよ…………ねっ少女ちゃん!」

 

ユメは少女の方を向くと、少女は被っていたヘルメットを脱ぎ、真っ直ぐサオリの方を向いた。

 

 

 

 

「それじゃあサオリ!私たちの仲間になって下さい!」

 

 

 

少女は、サオリに向かいハッキリとした声でそう言った。

 

「な、仲間? 一体どういうことだ……?」

 

「少女ちゃん?」

 

いきなりのことでサオリとユメは頭に?を浮かべている。

 

少女は、そんな二人を置き去りして、更に言葉を続ける。

 

「はい。実は私とユメは今、自分探しの大冒険の真っ最中なんです。」

 

少女はサオリに、自分には名前がないこと、何のために生まれたのか分からないこと、自分の役職を探していることを話した。

 

少女と一緒にユメも自分が記憶を失っており、名前以外何もないこと、記憶を取り戻すために手がかりを探していることを伝えた。

 

 

 

「まさか…………そんなことが…………」

 

一気に出されたとんでもない事実に流石のサオリも戸惑っており、言葉を無くしてしまう。

 

「はい。ですからサオリにも手伝ってほしいんです。」

 

「…………どうして、私を仲間にしたいと思ったんだ………」

 

「だって………何だか私と同じような気がしました。」

 

「…………っ!?」

 

少女はサオリがギャング少女たちに騙された時(勘違いだが)一瞬何処か自分と同じように何処か迷子になっているような雰囲気を感じ取っており、ほっとけなくなっていた。

 

…………いや、それ以前に少ない時間ながら少女は、サオリのことをとても好きになっていたのである。

 

 

「それにサオリは、私では考えられないようなことを思い付くことが出来る、とっても凄い戦士です。ですから、一緒に冒険したらきっと楽しいと思いました。」

 

「そうだねっ!私もサオリちゃんが一緒にいてくれると、とっても心強いよ!!」

 

少女二人の視線がサオリを真っ直ぐ見つめる。

 

その視線にサオリは…………

 

(…………仲間………か………)

 

思い出すのは、かつてのメンバーの姿、苦しい時、辛いときずっと傍にいた大切な“家族”………

 

…………何故か全く似ていないはずの二人の姿が………重なって見えた。

 

(この二人となら、もしかしたら………)

 

不思議とサオリの中に湧き出すそんな考え………

 

それは、少女たちとの任務が楽しかったからなのか、少女が自分のために真剣に怒ってくれたからなのか

 

…………それとも、初めて自分にも友達と呼べる者が出来たからなのかは分からない

 

しかし、サオリの答えは決まっていた。

 

 

「…………それが、お前たちへの罪滅ぼしになるのなら、私もお前たちの冒険についていこう。」

 

少女の手を握りながら、ハッキリとそう答えた。

 

「はい。これからもよろしくですサオリ!ぱんぱかぱーん。サオリが仲間に加わりました。」

 

「わーい!やったねっ少女ちゃん!サオリちゃんもこれからよろしくね!」

 

「………ああ……よろしく頼む。」

 

少女は、サオリとユメの手を握りながら、大きくバンザイをする。

 

新たな仲間を加えた少女パーティは、楽しそうに駄菓子屋へと戻っていった。

 




ああ……疲れた………
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