もう一人の勇者   作:Katarina T

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少女、団らんです。

少女がシロコを連れて(半ば強制的に)アパートに帰ると、買い物を済ませて先に帰っていたユメが、エプロン姿で出迎えてきた。

 

「あっ少女ちゃんお帰り。もう、何処に行ってたの………ってその子は…」

 

「ん。えっと、こんばんは……」

 

ユメは少女が連れて来たシロコに気づくと驚いたように、少女に問いかけた。

 

「んん?少女ちゃんどういうこと?」

 

「はい。このお姉さんの名前はシロコです。たまたま見付けたので連れ帰ってきました。」

 

「つまり…お客さんってこと?」

 

「そうです。」

 

「そっかぁいらっしゃい!シロコちゃんゆっくりしてってね!」

 

「ん?わかった?」

 

玄関先で話していた三人のもとに、サオリも用事を終えたようで帰ってきた。

 

「……?お前は…?」

 

「あっ。サオリお帰りなさいです。このお姉さんはシロコで、お客さんです。」

 

「…なるほど、客人か…ゆっくりしていくといい……」

 

「さっ皆入って入って!晩御飯の用意済んでいるから、早く手を洗ってきてね。」

 

少女たちに押されるように、シロコはアパートの中に入っていく。

 

「ユメ、今日のごはんは何ですか。」

 

「ふっふっふ…今日はねぇ、寒いからお鍋にしちゃいました!」

 

「鍋か…旨そうだな。」

 

「わーい。みんなで食べるお鍋楽しみです。」

 

「そうだね。シロコちゃんも遠慮しないで食べていってね!」

 

「……ん。……ありがとう。」

 

少女たちは、手を洗い終えると、リビングに集まり大きめなテーブルの上に置かれた鍋を、囲むように座った。

 

「そろそろいいかな、じゃあみんな手を合わせて、」

 

 

「「「いただきます。」」」

 

「………いただきます…」

 

少女たちは各々箸をとって、鍋の具材を食べ進めていく。

 

「うーん。美味しいですユメ。私の空腹ゲージが満たされていきます。」(モグモグ)

 

「ああ。温かくて美味しいな。」(モグモグ)

 

「えへへ、喜んでくれて良かったよ。ほら、シロコちゃんもじゃんじゃん食べて。よそってあげよっか、何がいい?」

 

「えっと…じゃツミレで…」

 

「この白菜もとっても美味しいです。シロコ、シロコ食べてみて下さい。……はい、あーんです。」

 

「……ん。あ、あーん。」(パクり…モグモグ)

 

箸が進んでないシロコにユメが具材をよそい、少女が箸で白菜を取りながらシロコの方に差し出してくる。

 

シロコは少し迷いながらも、口を開けた。

 

「……ん。美味しい。」

 

「はい。みんなで食べるととっても美味しいです。」

 

「ふふふ。いっぱい食べてね……はいっシロコちゃん!」

 

「ん。ありがとう。」

 

「サオリ。うどんを入れましょう。そうすればこのお鍋はもっとレベルアップします。」

 

「なに?そうなのか……わかった、確か冷蔵庫にあったな。取ってこよう。」

 

 

……そうして皆は楽しそうに鍋を囲んだ。

 

(……ん。温かくて…とってもおいしい…)

 

 

 

 

 

 

少女たちは鍋を食べ終えた後、ユメが鍋を片付けながら、少女たちに話しかける。

 

「さて、お腹いっぱいで眠くなっちゃう前にお風呂入ってきてね。」

 

「はい。準備完了、お風呂に突撃します。」

 

「シロコちゃんも今日は遅いし泊まっていってよ。」

 

「ん。…でも迷惑じゃ…」

 

「そんなことはありません。むしろ嬉しいです。」

 

少女たちの言葉に押され、シロコはその日、少女たちの拠点に泊まっていくことになった。

 

 

 

 

……………その後少女はお風呂に入りに行き、ユメは鍋の片づけで台所に向かい、シロコは一人ソファに腰かけていた。

 

そんなシロコに………サオリが話しかけてきた。

 

「………どうかしたのか、浮かない顔をして。」

 

「ん。何でもない。」

 

「そうか………」

 

サオリはシロコの隣に腰かけながら、話を続けた。

 

「深くは聞かないが…………何か悩んでいるなら聞かせてくれないか…………私もお前のことは少し気になっていたからな。」

 

「あなたも…………私を」

 

「ああ………いつも一人で何かを悩んでいるようだったのでな…………私と同じで………」

 

サオリの言葉にシロコは少し口を閉ざしたが、やがてポツリと一つだけ呟いた。

 

「私は…………これからどうすべき…………いや、どうしたいんだろうって…………ずっと悩んでる。」

 

「…………そうか、お前もか…………私もだ。」

 

「あなたも?」

 

シロコはサオリの方を向きながら、首をかしげる。

 

対するサオリは、少し目を閉じている。

 

「ああ…………迷ってばかりで、何一つ見つけられていない。」

 

サオリがシロコの方に視線を合わせて続けた。

 

「…………だが、明日には進める。」

 

「…………っ!?」

 

「お前が何をしてしまったのかは私には分からないが…………してしまったことを悔やんでいることは私にも分かる…………それで自分に納得出来ていないことも含めてな…………」

 

サオリはシロコから目を離さず、真剣に告げる。

 

「…………だから、いま分からなくても明日にはわかると信じて、前に進むしかないんだ。…………以前の私は明日など期待していなかったが…………今ならそう言える。」

 

「それは…………どうして?」

 

 

シロコの問にサオリは表情を少し崩すと、少し呆れるような口調で応えた。

 

「っふ、先生に教えられたというのもあるが…………近くにいるやつのせいかもな。」

 

「ん。少女ちゃんのこと?」

 

「ああ………名前も出身も分からないというのに誰よりも前を見て、前進している。そんな姿を見せられたからかもしれん。」

 

「そうなんだ………」

 

「…………今すぐは無理かもしれないが…………お前にもきっと前を向くことが出来るようになるさ。」

 

(ん。そうだと……いいな。)

 

 

 

 

 

 

 

「お風呂から帰還しました。サッパリです。」

 

「少女ちゃん髪はちゃんと乾かさないと、風邪ひいちゃうよ。」

 

「少女ちゃんの髪は長いからな……乾くには時間がかかるだろう。ほら、乾かしてやるからこっちにこい。」

 

「サオリ、ありがとうございます。」

 

少女は、サオリにドライヤーで髪を乾かして貰ったあと、ついでとばかりに寝るのに邪魔にならないように髪をまとめ上げてもらった。

 

「ほら、これで寝るのに邪魔にならないだろう。」

 

「わーサオリ上手です。よくやっていたのですか。」

 

「昔から姫っ…………家族にな。」

 

「だからこんなに上手なんですね。」

 

少女はまとまった髪を揺らしながら、楽しそうにはしゃいでいる。

 

その様子を見ていたシロコにユメがブラシを持ってやって来た。

 

「じゃあ、シロコちゃんの髪は私がしてあげるよ。」

 

「ん。いいの?」

 

「もっちろん!サオリちゃんよりかは下手かもだけど、自信あるから任せて。」

 

ユメはシロコの長い銀髪をブラシで梳きながらまとめていく。

 

シロコは気持ちいいのか……少し目を細めて、狼耳をぴく付かせていた。

 

 

 

 

 

「それじゃあ寝る支度も済んだことだし、そろそろ寝るわけだけど…………シロコちゃんは何処で寝ようか。」

 

「確か予備の布団があったはずだ。それをリビングにひいたらいいんじゃないか。」

 

「そうしよっか。シロコちゃんもそれでいいかな?」

 

「ん。私は大丈夫。」

 

しかし、それに少女が待ったをかけてきた。

 

「それじゃあダメです。」

 

「え?少女ちゃんダメって何がダメなの?」

 

ユメが少女に問いかけると、少女は胸を張りながら応える。

 

「こういう時は、みんな一緒に寝ることが大事なんです。」

 

「なに?そうか?そういうものか?」

 

「そういうものなんです。ですので皆の布団を敷いて一緒に寝ましょう。」

 

「ん。でも、四人だと流石に狭いと思う。」

 

「私はいい考えだと思うなっ!何だかお泊り会って感じでワクワクしてきたよ!」

 

「では、各自布団を持って集合です。」

 

少女たちは自分の部屋から、自身の布団と予備の布団を持ってリビングに引いた。

 

元々狭いリビングに4人分の布団がぎゅうぎゅうに並べられた。

 

「ん。やっぱり少し狭い。」

 

「細かいことはいいんです。さっ全員一緒に寝ましょう。」

 

シロコは少女にせかされ、真ん中の少女の隣に寝かされた。

 

ユメとサオリも自身の布団にもぐりながら、最後に電気を消した少女が布団に潜っていった。

 

「「「おやすみ…」です。」なさい。」

 

 

 

薄暗い部屋の中に確かにある人の温もりを感じながらシロコは目を閉じた

 

「…………ん。おやすみなさい。」




何か………平和だなぁ
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