もう一人の勇者   作:Katarina T

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少女、アビドスへ

少女たちは、いつものようにおばあさんから紹介して貰ったバイトやお使いを済ませて、ブラックマーケット内を散策していた。

 

その時シロコが、何か考え込むように黙って俯いていることに気がついた少女は、シロコの前に移動し、話しかける。

 

「シロコ、さっきから何を考え込んでいるんですか。」

 

「ん。……なんでもない。」

 

「いや……そんな顔をして、何もないわけないだろう。」

 

「はい。今のシロコからは、何やら不安そうな雰囲気を感じます。言ってみて下さい。私たちはもう仲間なんですから、遠慮はなしです。」

 

少女の言葉に、シロコは少し迷ったが、諦めて話し始めた。

 

「ん。実はさっき、おばあさんが言ってたことが気になって…」

 

「それって、ヘルメット団の抗争が増えているって話ですか。……確かアビドス自治区での戦闘が、特に激化してるってことでしたけど。」

 

「ん。私は、ここにくるまで、アビドス自治区に居たから、少し心配になって…」

 

「なに?そうだったのか…それは、確かに気になるだろうな。」

 

「ん。……でも私のワガママで、皆を危ないことに巻き込むわけには、「じゃあ、さっそく行ってみましょう。」」

 

シロコの言葉を遮りながら、少女がそう提案してきた。

 

「ん。でも、少女ちゃんさっき、おばあさんも危ないから気を付けろって……それに、これは私のワガママだし…」

 

「仲間が困っているのに、私はじっとなんてしてられません。だから、これはシロコだけじゃなくて、私のワガママでもあります。」

 

「ふふふ。そうだな…それなら私も、私のワガママで付いていくとしよう。」

 

どうやら、少女とサオリは既にアビドスに行く気満々のようで、少女は端から見てもわかるくらいやる気を漲らせており、サオリは、自身の銃の調子や持って行く武器を頭の中で考えている。

 

シロコもそんな二人の様子に、嬉しそうに顔を緩ませていた。

 

「じゃあ、さっそく準備です。まずユメは……あれ。」

 

そう言えばここには、少女、サオリ、シロコの三人しかおらず、もう一人の仲間である……ユメの姿がなかった。

 

少女がそれに気付き頭に?を浮かべていると、横からサオリが口を挟んできた。

 

「忘れたのか少女ちゃん…ユメはおばあさんから手伝いを頼まれて、今駄菓子屋の方に行っているだろう。」

 

「あ、そうでした…ユメは今個人クエストの真っ最中でしたね。」

 

どうやらユメは、おばあさんのお手伝いが長引いており、合流できていないようだ。

 

「ん。それならまた後日にすればいい。」

 

「シロコ……」

 

「大丈夫。そんな直ぐに、何か起こるわけでもない。」

 

「まあ、準備するものもあるからな。明日ユメも含めて話をすればいいさ。」

 

シロコとサオリがそう言うと、少女たちは再びブラックマーケット内の散策を続けて行った。

 

しかし、どうやら予期せぬ事態は、唐突に起こるようで、少女たちの耳に、前から歩いてくる二人のヘルメット団の会話が聞こえてきた。

 

「そう言えば知ってるか、リーダーが遂にアビドス校を落とすらしいぜ。」

 

「ああ、知ってる知ってる、確か今日の昼頃に攻めこんで一気に制圧するんだっけか?」

 

「そうそう、何でも今回は秘密兵器も用意してるらしいから、絶対うまく行くってよ。」

 

「お!マジか!散々抵抗してきたあいつらも今日で年貢の納め時かっアッハハ!」

 

「ホントにその通り「今の話、どういうこと。」っグエ…」(ッドン)

 

そんな会話を聞き、シロコが話していたヘルメット団の一人を壁に叩きつけ、胸ぐらを掴みつつ問い詰める。

 

「な、なんだお前!」

 

「動くな。大人しくしてろ。」

 

(ガシッバタ)

 

もう一人の方もサオリに地面に伏せられ拘束される。

 

「な、何なんだよお前ら…いきなり!」

 

「質問に答えて、さっき話していたのは、どういうこと?」

 

ヘルメット団は、虚勢を張って抗議するが、眼前でこちらを睨み付けているシロコの迫力に負けて、知ってることを全て話した。

 

 

どうやら、ヘルメット団は新しい拠点を確保するため、前々から在校生の少ないアビドス校を襲っていたらしい。

 

そして、今日まさに全兵力と秘密兵器を使いアビドス校を攻め落とそうと計画していた。

 

何故アビドス校に固執するのかは、以前のカタカタヘルメット団と彼女達はライバル関係であったらしく、彼女達が落とせなかった学校を落とすことで、自分たちの方が優れていることを証明するためだとか……

 

「こ、これで全部だ…も、もう知ってることは何もない。」

 

「ん。本当にこれで全部?」

 

「ほ、本当だ、信じてくれよ…」

 

「……ん。わかった…じゃあおやすみ」(ドガッ)

 

「グエッ」(バタン)

 

 

シロコはヘルメット団を気絶させると、手を握り締めていた。

 

表情は下を向いているため分からないが、とても怒っている雰囲気を発していた。

 

「……どうやら、のんびりしている暇もないようだな。」

 

「ん。今すぐ向かわないと。」

 

 

サオリの言葉にシロコが同意し、顔を上げる。

 

其処には、今度こそ守り抜きたいという強い意志が感じられた。

 

 

「はい。突発クエスト開始です。アビドス自治区に……アビドス校を守りに行きましょう。」

 

少女三人は、急いで準備を整えるために走り出した。

 

(ん!今度こそ……絶対、失わせない!)

 

……大切なものを守るために

誰のメモロビが見たい

  • 少女ちゃん
  • 梔子ユメ
  • 錠前サオリ
  • 砂狼シロコ(テラー)
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