少女との衝撃的な出会い(戦闘と口調のギャップが原因)を終えて、何とか少女たちと対策委員会の皆との会話が穏やかに行えそうになったので、少女の後ろにいる二人の方に目を向ける。
まあ、一人はまだ分かる。オペラハウスでも一緒にいたから、そのまま少女と一緒に此処に居ることは理解出来る。
ただもう一人のこの子が、此処にいる理由が分からない……
……先ほどの戦闘やさっきチラッと話した時の言動から、あの子であることは確信しているが……何故少女たちと一緒に居るのかが本当に分からない。
(一体、何があったんだろう…?)
とはいえ、見た限り三人とも楽しそうにしてる以上、心配する必要は無さそうだ。
……いや、此処は素直に安心しておこう。
ある意味、件の少女以上に心配していた子が、今楽しそうにしていることが分かったんだから。
対策委員会の皆もあの子のことが気になっているのか、じっと視線を向けている。
「っん。も、もう用は済んだ。G1、G3早く戻ろうっ!」
「お、おいG4!いきなりどうした!?っておい、引っ張るな!」(ガシッ)
「あれ、G4どうかしたんですかってうわっ」(ダキッ)
「そ、それじゃあ私たちはこれで、さようなら。」
そう言いながら、G4と呼ばれた少女は、私たちの視線から逃げるように、少女を抱き抱え、G3…サオリの手を引きながら、いつか見たような黒いモヤの中に姿を消した。
それを見ていた私含め、対策委員会の皆は…
「「「「"待って。(!)(~)"」」」」
迷わず、彼女達を追って、モヤの中に飛び込んだ。
(((((ドシンッ)))))
……モヤの抜けた先には、少し大きめな広場にポツンと建っている、ヒフミと少女を探しに来たとき、少女のことを聞きに来た駄菓子屋の前にいた。
「いった~急に飛び込んだせいで、尻もちついちゃった。皆大丈夫?」
「ん。皆ちゃんと居るみたい。」
「此処は、何処なんでしょ~。」
私と一緒に飛び込んだ対策委員会の皆も、どうやら全員居るみたいで、セリカが着地をミスして尻もちをついていること意外は平気そうに、辺りを見回していた。
そんな私たちに、駄菓子屋の方から此方に向かって歩いてくる二人の人影があった。
「うん?先生…アビドス校の生徒たちも…ついて来たのか?」
「まだ、クエストが終わって無かったんでしょうか。でしたら話を聞いて、フラグを建てなければなりません。」
やって来たのは、先ほどのアリスそっくりの少女とサオリの二人だった。
二人は、被っていたヘルメットを腕に抱え、立ち尽くしている私たちの下にやってきた。
“うん。少し気になったこともあるし…………用事もあったからね。”
「用事ですか。やはりクエスト進行中ということですね。」
「いや、違うから。そもそもさっきから言ってるクエストって何なのよ?」
「あはは……取り敢えず自己紹介をしましょうか。」
アヤネの提案に目の前の少女がいの一番に手を挙げて応えた。
「はい。そうですね。メンバー紹介は大事です。では、私たちから言います。先ずこちらはサオリです。とっても強くて、賢くて頼りになる、私のパーティメンバーです。」
「…錠前サオリだ。よろしく頼む。」
「…………先生、あの子って……」
“大丈夫だよホシノ。サオリは悪い子じゃないから”
エデン条約時に戦った相手であることに気づいたホシノが、小声で問いかけてくる。
私はサオリが本当は優しい生徒であることを知っているため、ホシノに大丈夫と返すと少し引っ掛かる様子だったが、それ以降は何も言わなかった。
どうやら、ホシノはサオリを信じてくれたようだった。
「そして私ですが、少し事情があって、名前がありません。ですのでどうか、少女ちゃんと呼んでください。」
「「「名前がないッ!?」」」
「うーん。これには、おじさんも驚いちゃうなぁ。」
「ん。どういうこと?」
やっぱりヒフミが言っていた通り、この子には名前がないみたいで、それを聞いた皆も驚いている。
当然私も驚いているが、それよりも目の前の少女が、それに一切悲観的にならず、明るい雰囲気を発しており、ヒフミやモモイから聞いていたよりも、ずっと明るく元気そうな姿に安堵していた。
(“きっとこの子は、私が思っているよりもずっと強い子なんだろうな”)
私が少し一人で考え込んでいる間に、皆の自己紹介も終わったらしい。
対策委員会の皆は、少女に名前が無いことを心配しているようだったが、少女自身の明るさを見て、一先ずそっとしておくことにしたらしい。
「ん。ねえもう一人、一緒にいた人は、何処に行ったの?」
シロコがずっと気になっていた、助けに来ていたはずなのにこの場にいない、あの子の居場所を少女に問いかけた。
「………?シロコのことですか。」
「ッ!そう。私たちはあの子と話がしたくて追って来た。」
少女の口から回答が出された。
やはりもう一人は別の世界のシロコだったらしい。
「シロコなら、ここに来るのと同時に慌てて駄菓子屋に入って行ったが。」
「はい。何やら急いでいた様子でした。」
「へぇそっかぁ……じゃあ駄菓子屋さんに行ってみよう。」
「ん。急いでいく。」
「あ!シロコ先輩待って下さい。」
「あらあら~皆元気ですねぇ。私たちも急ぎましょうか先生!」
“うん。そうだね。”
皆で一緒に駄菓子屋の中に入ると、少女ちゃんがカウンターに座る猫のおばあさんに話かけに行った。
「おばあさん。私です。」
「おやおや。いらっしゃいお嬢ちゃん。今日はまた、随分と大人数だね。」
「はい。新しい出会いをして私のコミュレベルもグングン上昇中です。それはそうと、おばあさん、シロコはどこですか。」
「うぅん?あの子ならいきなり入って来たかと思ったら、奥の方に引っ込んで行ったよ。」
「分かりました。私連れてきます。」
そう言うと少女ちゃんは、駄菓子屋の奥に入っていった。
対策委員会の皆は、少女ちゃんが戻るまで駄菓子屋の中をあちこち見て回っていた。
しばらくすると、奥の方から何か言い合う声と、引きずる様な音が聞こえて来た。
「そう抵抗しないでください。シロコに会いたがっている人がいるんですってば。」
「っん!でも、私は……あ、引っ張らないで………」
部屋の奥から、少女に引きずられて別世界のシロコがやって来た。
シロコは、やって来たことに気づくと、直ぐに近寄っていき、話しかけた。
「ん。久しぶり、元気そうで良かった。」
「…………ん。そっちも元気そうで安心した。」
二人のシロコは互いの再会に嬉しそうに微笑んでいる。
「学校を守ってくれて、ありがとう。」
「気にしないで、あの場所は私にとって今でも守りたい場所だから。」
「ん。そうなんだ。そう言えば、そのマフラーは?」
「ん。これ…………これは……仲間がくれた。大切なもの。」
「…ん。とってもよく似合ってる。」
「ありがとう…」
別世界のシロコが首に掛かった碧色のマフラーを優しく撫でる。
その姿をシロコは優しい眼差しで目の前の少女を見ていた。
「新しい居場所、出来たんだ。………良かった。」
「………ん。ちょっと強引な勇者と仲間達のおかげ………」
二人のシロコはそう言いながら笑いあっていた。
私や他の対策委員会のメンバー、それと少女とサオリとおばあさんは、ただじっと楽しそうにしている二人を見守っていた。
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少女ちゃん
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梔子ユメ
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錠前サオリ
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砂狼シロコ(テラー)