もう一人の勇者   作:Katarina T

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少女、穏やかな時間

シロコ二人の会話が、一段落付いた頃を見計らって、先生は別世界のシロコに声を掛けた。

 

“やあ、シロコ。元気そうで良かったよ。”

 

「先生……ん。元気にしてる。」

 

シロコは、まだ少し気まずそうに先生と対策委員会の皆を見ていた。

 

流石に、あれだけのことがあったのに直ぐに打ち解けることは難しいのか、中々話し掛けることが出来ずにいた。

 

 

対策委員会の皆も心配していたが、別世界のシロコの境遇を知っているため、なんと声を掛けるべきなのか少し困っている様子だった。

 

先生が何とか、場を取り持とうと声を掛ける前に、横から明るい声が、聞こえて来た。

 

 

 

「シロコ、もしかしてこの人たちって、シロコが前話していた人たちですか。」

 

「ん。そうだよ。」

 

「やっぱりそうなんですね。でしたら、たくさん話をしなければいけませんね。友好イベントで好感度上昇です。」

 

「そうだねぇ、おじさんもシロコちゃんたちといっぱいお話したいよぉ。」

 

「はい。私もシロコとサオリのいい所を一杯知ってほしいです。」

 

「うん?私もか、少女ちゃん。」

 

「もちろんです。サオリもシロコも私のパーティメンバー、大事な仲間なんですから、二人についてたくさん知ってほしいです。」

 

“ふふ。うん、たくさん話そう。”

 

その様に明るく話し始めた少女によって、その場の雰囲気が良くなっていき、先程までより、話しやすい空気になった。

 

それを見越して、カウンターより、おばあさんが声をかけてくる。

 

「……っふふ。そう言うことなら、今日はもう店じまいにするかねぇ。お嬢ちゃんたち、この店を好きに使うといいさ。」

 

「いいんですか。おばあさん。」

 

「ああ。せっかくの友好イベント?なんだろう………だったら、しっかり楽しんでおきな。」

 

「わーい。ありがとうございます。なら早速行きますよ皆。」

 

少女はそう言うとシロコとサオリ、二人の手を取って奥に並べてある机の方に向かっていった。

 

対策委員会の皆も各々おばあさんにお礼を行った後、その後に続いて行った。

 

最後に残った先生は、再度おばあさんに向きながら、お礼を伝えている。

 

“本当にありがとうございます。でもよろしいのでしょうか?”

 

「なぁに、どうせここにはあんまりお客も来ないからねぇ。気にしなさんな。………ただ今一人にお使いを頼んでいるけど、帰って来たら人が多くて、驚きそうだねぇ。」

 

“あはは……本当に突然大人数で押しかけてすいません。”

 

「それこそ、気にするようなことじゃないさ………ここは駄菓子屋、子供たちが集まって来てくれるのは、大歓迎さぁ………それにいきなり人を連れてくるのは、いつものことさね。」

 

“その連れてくる子って…………”

 

「ああ……あのお嬢ちゃんさ。」

 

おばあさんが、談笑している少女たちの方に視線を向け、つられるように先生も彼女たちの方を見る。

 

 

 

そこには、全員が笑顔で笑いあっている光景があった。

 

日常であった何気ないことから、週末に何をして過ごしたのかや、最近ハマっていることなど…………

 

…………本当に大したことの無い普通の学生たちの姿。

 

………別世界のシロコが少し寂しそうになると、少女がすかさずフォローに入り、それに合わせてホシノが構いに行き、アヤネが行き過ぎた行動をしないようにそれとなく注意する。

 

………サオリがその天然故に何処かずれた発言をすれば、それにシロコが同調していくのをセリカが止め、ノノミがそのことをほほえましそうに見ながら笑う。

 

 

……………………そんなごくありふれた………どこにでもあるような普通の(大切な)時間であった。

 

 

 

その光景を、先生は嬉しそうに眺める………

 

…………彼女たちが自身の内にある暗いものを受け入れ、今をちゃんと生きようとしている姿を目に焼き付けるようにジッと……

 

 

“何だか…………自分が情けなく思えてきますね。”

 

「うん?なんでさ………」

 

“いえ、私は先生であるというのに、何だか彼女たちに貰ってばかりな気がして”

 

実際サオリのことも別世界のシロコのことも、先生である自分が何とかしなければならなかった…………しかし、結果的に二人に居場所を作ったのは、あの名前の無い少女だ。

 

あの少女のことだって、もっと早く見つけて話を聞いてあげたかった………しかし、少女はいつの間にか一人で寂しさを乗り越えて前を向いていた。

 

 

そのことがとても嬉しく、同時に自分が何もしてあげられなかったことに、先生は情けなく感じてしまった。

 

居場所が分からなかったなんて、理由にもならない、私は彼女たちの先生なのだから…………辛いとき、悩んでいる時は、寄り添ってあげなきゃ行けなかったのに…………

 

 

そんな様子の先生におばあさんがため息を吐きながら、声を掛ける。

 

「はぁ……馬鹿だねぇあんた。」

 

“…………ぇ、いきなりですね。”

 

「いきなりなもんかい。そもそもねぇあんたは自分のこと何だと思ってるんだい。」

 

“え、えっと……先生です。”

 

「そうだろう……神様や仏様でもなく、あんたは先生さ。だったら目の前の生徒のために一生懸命何かしてやってる…………少なくともお嬢ちゃんを探しにこんな所まで足を運んだあんたは、よくやっていると思うよ。」

 

“し、しかし………私は結局………”

 

「それにねぇ……あんたあの子たちのこと甘く見すぎさね。」

 

おばあさんの強い視線が先生を捉える。

 

先生は息を飲んで、おばあさんの言葉を聞いた。

 

「確かにあの子たちは、不安定なところがある……そこは認めるし、支えなきゃいけないというのも理解できる…………だけどね、あの子たちは何も独りぼっちじゃないんだよ。」

 

“………っ!?”

 

おばあさんの言葉に先生はハッとする。

 

そう彼女たちは、いつだって一人じゃどうしようもないときは、互いに支え会うことが出来る。

 

そんな優しく強い生徒であることを先生は思い出していた。

 

「あの子たちは強い………一人じゃどうしようもない時、ちゃんと手を取って挙げられる…………そんな意志がちゃんとある…………だったら大人であるあたしらがしなくちゃいけないのは、一方的に助けることだけじゃない…………時にはただ見守ってあげることも必要なことなんじゃないかい。…………少なくとも過ぎたことを悔やんで、情けなく思っている暇なんて在りはしないよ…………先生。」

 

おばあさんの言葉に先生は、顔をしっかりあげ、頷いた。

 

“ええ…………全くその通りですね。”

 

それを見ておばあさんは満足そうに息をはいた。

 

「ふぅ……少し話しすぎちゃったかね。付き合わせてごめんねぇ、歳を取るとつい話が長くなって困るよ。」

 

“いえ、大変貴重なご意見ありがとうございます。”

 

「ハハハ。そんな堅苦しくしなくていいよ。…………ほれっあんたさん、呼ばれているみたいだから行ってきな。」

 

 

先生が先程まで談笑していた皆の方を向くと、全員が先生の方を見ており、シロコやセリカが手招きをしていた。

 

「先生。何やってんの。早く来なさいよ!」

 

「ん。先生どうかしたの?」

 

“何でもないよ。今行くから。”

 

先生はもう一度おばあさんに軽く会釈すると、少女たちの方に歩いて行った。

 

そこから、先生を加えて、少女たちはより楽しそうに談笑を続けていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな中、唐突に駄菓子屋の扉が開かれた。

 

「おばあさん、お使い済ませてきたよ!でも何でお店もう閉まっているの?って凄い人の数!?」

 

「あっユメお帰りなさいです。クエストは無事成功しましたか。」

 

…………そこには、おばあさんからのお使いを済ませたのか買い物袋を下げていたユメが、人の多さに驚いて立っていた。

 

 

 

 

 

 

「…………………………………………え。」

誰のメモロビが見たい

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