もう一人の勇者   作:Katarina T

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少女、残酷な真実

お使いを終え、駄菓子屋に入って来たユメの下へ少女が嬉しそうに駆け寄っていく。

 

「ユメ、お帰りなさいです。お使いクエストは無事に成功しましたか。」

 

「あっ少女ちゃんただいま。うん、勿論クエストは無事成功させてきたよ。」

 

「それは良かったです。ぱんぱかぱーん、ユメが無事クエストを成功させました。」

 

少女とユメが楽しそうに話していると…

 

 

 

「ユメ先輩!!」(ガタッ)

 

 

 

当然、今まで黙っていたホシノが勢い良く立ち上がると、ユメの方に急いで近づいていく。

 

 

 

「ユメ先輩!ユメ先輩ですよね!生きていたんですか!生きていたのなら、何で姿を見せてくれなかったんですか!今まで何処にいたんですか!何とか言ってくださいユメ先輩!!」

 

ホシノがいつもとは全くの別人のような表情でユメに詰め寄っていく。

 

 

 

その姿はまるで、迷子の子供のようで、無くしていたものをようやく見つけられた時の様に、もう二度と無くさないように、必死でユメに話しかけている。

 

そんなホシノの姿に、その場にいた全員が言葉を失い、固まってしまう。

 

声をかけられているユメ本人ですら、何がなんだか分からずにいた。

 

そんな中…少女がホシノを落ち着かせながら問いかけた。

 

「ホ、ホシノ落ち着いて下さい。いきなりどうしたんですか。」

 

「どうって、だってユメ先輩が目の前に……いや、それよりも少女ちゃんは何でユメ先輩のことをしってるんだ。」

 

「えっと…ユメは私のパーティメンバーで…」

 

「それじゃあさっぱり分からない!ちゃんと説明して!」

 

ホシノが今度は少女に詰めよっていくと、今度はユメがホシノを押さえて止めに入る。

 

「ちょっと、ちょっと本当に待って、全然状況が分からないよ!」

 

 

「っ!?分かりました…少し落ち着きます…」

 

ユメの言葉に少し冷静さを取り戻したのか、ホシノは息を整えた。

 

たが、次の瞬間にまた、冷静さを失くすことになる。

 

「もしかして、ホシノはユメのことを知っているんですか。」

 

「…?どう言うことですか?」

 

 

「その子は今…記憶を失っているんだよ。」

 

おばあさんが、ホシノにとって最も残酷な真実を告げる。

 

「おばあさん…」

 

「どう見てもその子はユメちゃんの知り合いさね。だったら、どのみち知らなきゃいけないことだよ。お嬢ちゃん…」

 

……おばあさんは、ホシノに全てを伝えた。

 

数週間前に、少女がボロボロの状態のユメを連れてきたこと。

 

そこから、少女とパーティーを組んで一緒に居ること。

 

……そして名前以外の全ての記憶がないことを

 

 

その場にいた全員は、何も言うことが出来なかった……

 

先ほどまでの楽し気な空気は、完全に消え去り、重く暗い空気が部屋中に漂っている。

 

そんな中、ホシノが下を向いた状態で、話し出した。

 

 

「ウソですよね……」

 

「ホシノ?」

 

「ウソって、いつもの冗談だって言ってください!!アビドスで過ごしたことも!一緒に宝さがししたことも!毎日大変だったけど…それでも!毎日が楽しかったことも!何もかも忘れてしまったなんて……ウソだって言ってください……」

 

 

ホシノの顔からポタポタと雫がこぼれ落ちていく。

 

手のひらを強く握りしめ、体を震わせながら、辛い現実を必死に否定しようとしている…

 

しかし、目の前の先輩は思い出すことはなく、先程までと同じように困惑した表情を浮かべるだけだった。

 

 

「…だったら…私はいったいなんのために………まだちゃんと謝れてもいないのに…………っ」(ダッ)

 

 

 

ホシノは、零れる涙を拭うこともせず……駄菓子屋から外へ走り出して行った。

 

 

 

「「「「“ッホシノ(先輩)!?”」」」」

 

今まで黙って事の成り行きを見ていた、先生を含めた、対策委員会の皆がホシノの後を追おうとすると、それを止めるように声が掛かる。

 

「ちょっとお待ち。あんた達。」

 

それはおばあさんだった。

 

「何おばあさん!私たち今すぐホシノ先輩を追いかけないと!」

 

「追いかけてどうするつもりさね。」

 

「決まってます!連れ戻すんです!」

 

「…………やめておきなさい。今はそっとしておかなくちゃいけないよ。」

 

「で、ですが!」

 

「あの子の抱えているものをあんた達はちゃんと理解してるのかい?」

 

「「「「っ!?」」」」

 

おばあさんの言葉に対策委員会の皆が固まる。

 

そう誰一人理解してないのだ、ホシノとユメの関係を…………いまどういう気持ちでいるのかを…………

 

「今のあの子には、一人で考える時間が必要さ、だからあんた達はここで帰って来るのを待っておやり。」

 

 

…………………おばあさんの言うことは一理あり、言う通りにした方がいいのではないか、

 

対策委員会の皆や先生の頭にその様な考えが浮かんでいた。

 

 

しかし、一人の少女だけは、全く考えを変えないまま、迷うことなく走り出していた。

 

 

 

 

「嫌です!私はホシノを放っておけません!」

 

 

 

少女はそう言うと、おばあさんの制止を振り切り、ホシノの後を追っていった。

 

 

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