もう一人の勇者   作:Katarina T

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少女、約束です。

ホシノがユメの胸の中で泣き出して、しばらく経ったころ…………ようやくホシノが落ち着きを取り戻して、ユメから離れる。

 

ホシノは泣きすぎて瞼が少し腫れているが、その表情は今まで見たことがない程スッキリとしていたが、同時に少し恥ずかしそうにしていた。

 

「ユメ先輩、すいません。沢山泣いちゃって、その……服とか汚しちゃって。」

 

「全然いいよぉこのくらい気にしないで!それよりもう大丈夫かな?何ならまだ抱き着いてていいよ。」

 

「はい。なら私もホシノを抱きしめます。ヒーリングクエスト開始です。」

 

「うへっ!いや、ホント大丈夫だから!もう十分元気になったよ!?」

 

ホシノが、詰めよって手を広げて抱き着こうとしている少女を止めるように体の前で手を振るう。

 

流石にこれ以上は、ホシノも恥ずかしいらしい…

 

まあ、今までのやり取りを思えば今さらと言えばそうかもしれないが…

 

そんな少女たちに、サオリと別世界のシロコ、対策委員会の皆が近寄ってきた。

 

「どうやら、話しは済んだようだな。」

 

「ん。ホシノ先輩も落ち着いたみたい。…良かった。」

 

「うへ~心配かけて、ごめんねぇ。おじさんもう大丈夫だよ~。」

 

「ん。見れば分かる、何時もよりスッキリした顔してる。」

 

「本当ですね☆こんなに嬉しそうなホシノ先輩見たことがないですから☆」

 

「でも、ホシノ先輩があんなに泣くなんてね。」

 

「うん。意外だったよね。」

 

「うぅできれば忘れてくれると、おじさん嬉しいんだけどな~」

 

ホシノは、恥ずかしそうに、頬を搔きながら苦笑いを浮かべている。

 

そんな風に皆で話していると、ユメが何か思い出したのか、少女たちの輪から外れ、先程自身が持っていた買い物袋を漁り始めた。

 

「えっと…あっあった!あった!」

 

ユメは一枚の紙を取り出すと、少女たちの方に戻ると、手に持った紙を広げて、見せつけてきた。

 

「ユメ、それは何ですか。」

 

「ふっふっふ……これはねぇ、じゃーーん!」

 

ユメが持ってきたのは、アクアリュウムのポスターだった。

 

「それは、アクアリュウムのポスターじゃないか。」

 

「そうだよっ何でも近々出来るらしくてね!ポスターを配ってたの!」

 

ユメは、楽しそうにはしゃぎながら、ポスターを抱えている。

 

「前に皆で行ったことが楽しかったから、また行きたいなって思って、貰ってきたんだ!」

 

「いい考えですね。ホシノたちも一緒に皆で行きましょう。」

 

「うへっおじさんたちも!?」

 

「はい。フレンドならイベントに一緒に参加するのは、当然です。」

 

「そうだね!その方が絶対楽しいよ!じゃあホシノちゃんこのポスターあげるね!」

 

ユメが持っていたポスターをホシノに差し出し、ホシノが戸惑った様子でポスターとユメを見た。

 

「え、……いいんですか?折角貰ってきたのに……?」

 

「勿論だよ!出会えた記念と皆で行く約束としてね!」

 

ホシノは、ゆっくりとユメからポスターを受けとると、大事そうに……いつかを思い出しているように眺めた。

 

「ん。それじゃあ今から計画を立てるべき。」

 

「ん。そうだね。だったら、まず行く日を決める。」

 

「ちょっシロコ先輩たち、気が早いって!」

 

「そうだな。まずは場所の確認と移動手段の手配からだ。」

 

「いえ、そう言う意味じゃないかと…」

 

「うふふ。皆でお出かけなんて、とっても楽しみです!先生もそう思いませんか?」

 

"あれ、私も行っていいのかい?"

 

「もちろんです。仲間は多ければ多い方がいいですから。先生もおばあさんも一緒です。」

 

「おやおや、私もかい?参ったねぇ。」

 

「いいねぇっおばあさんも一緒に行こうよ!」

 

 

(ワイワイワイワイ!!)

 

 

 

皆が思い思いに、考えを口ずさみ予定を立てていく。

 

そこに在るのは、未来を歩む少女たちとそれを見守る大人たちの明るい笑顔

 

それを眺めていたホシノは……

 

 

「ホシノ!ホシノは何処を見て回りたいですか。」

 

「ホシノちゃーん!見て見てこのアクアリュウムスッゴい大きな水槽が有るんだって!今から楽しみだね!」

 

 

 

「…うへへおじさんも楽しみだよ~」

 

少女とユメに誘われるまま、嬉しそうに皆の輪に混ざっていく。

 

 

「そうです。私良いこと思い付きました!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………空が夕日で赤く染まる頃、アビドス校舎の屋上にホシノと先生が並んで話をしていた。

 

"本当に良かったのかい?"

 

「ん?何が先生?」

 

"あの子達とあのままお別れしたことがだよ"

 

 

あの後、長い間話し込んでしまい、いい加減帰らないとまずい時間になったので、別世界のシロコのワープでアビドス校まで帰ってきていた。

 

他の皆はもう家に帰って行き、先生とホシノだけが最後まで残っていた。

 

"てっきりホシノは、あの子達をアビドスに入れると思ってたんだけど"

 

「うーん……そうだねぇ…それはやめとくよ先生。」

 

ホシノは、先生の言葉を聞きゆっくりと話し始める。

 

「本当は、あの子達皆、アビドスに来てもらいたかったけど…あの子達はちゃんと自分の意志で今を、前を向いて進んでる。そんなあの子達をおじさんの我が儘に付き合わせる訳にはいかないよ。」

 

まあ、来てくれるんならスッゴく歓迎するけど、と言いながらホシノはフェンスの外を眺める。

 

「それにもう会えない訳じゃない……またねってちゃんと約束もしてきたからね。」

 

"そっか…"

 

さてっ、とホシノは、話し終えたのか屋上の出入口まで歩いていく。

 

その途中で、急に立ち止まり、先生の方に振り返ると真っ直ぐと先生の方を向いて、まるで宣言でもするかのように話しかけた。

 

「…先生、おじさんも……ううん。…私もこれからは、ちゃんと前を向いて歩いて行くよ。…だから、見守っていてね…先生。」

 

ホシノはそう言うと今度は止まることなく、屋上から出ていった。

 

 

先生は一人夕日に染まった空を見ながら…本当に満足そうな顔を浮かべて今日の出来事を振り返っていた。

 

 

 

 

 

 

"あっ!少女ちゃんにヒフミたちのこと伝えるの忘れてた!!"

 

 

 

………大丈夫なんだろうか、この人…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、ホシノの家

 

 

 

ホシノは自室のベットより目を覚ました。

 

よほどぐっすりと眠っていたのか、まだ若干眠そうにしている。

 

寝ぼけ眼を擦りながら、いつものように壁に貼り付けたポスターに目を向ける。

 

そこには、一度自分の手で破いて、ユメ先輩が繋ぎ合わせてくれた“アビドス砂祭り”と書かれたポスター……その隣にもう一枚、綺麗に貼られたアクアリュウムのポスターが飾られていた。

 

 

 

その後、ホシノは朝の支度を済まし、今日も後輩の待つアビドス校に向かう……その時一瞬だけ棚の上に置かれた写真が視界に入った。

 

そこにあるのは、ユメと短髪で仏頂面なホシノの写真と……

 

 

 

「行ってきまーす。」

 

 

 

駄菓子屋の目の前で撮ったみんなとの集合写真が飾られていた。

 

 

 

その写真には、アビドス対策委員会のメンバーと先生、サオリと別の世界のシロコと駄菓子屋のおばあさん、そして…………

 

 

 

……中央に少女とユメに挟まれたホシノの姿があった。

 

 

 

写真の中のホシノは誰よりも嬉しそうに、幸せそうな眩しい笑顔をしていた。

 

 

 

「……うへへ♪」

 

 

 

誰のメモロビが見たい

  • 少女ちゃん
  • 梔子ユメ
  • 錠前サオリ
  • 砂狼シロコ(テラー)
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