「おばあさん。これはここにおいていいですか。」
「うん?あぁそこでいいよお嬢ちゃん。」
ホシノたちとアビドス校を守ったり、駄菓子屋で話したり、ホシノと友達になったり、新しい約束をしたりと、忙しい一日を終えた翌日の朝少女たちは、いつものように駄菓子屋のお手伝いをしていた。
「毎度すまないね。お嬢ちゃん達に手伝わせてちまってさぁ。」
「いえ、いつもお世話になっているので、手伝うのは当然です。」
「ん。サオリの言う通り当たり前のこと。」
「そうですよ!おばあさんには本当に色々助けて貰ってるんだから、気にしないでくださいね。」
「フフフ、そう言ってもらえると助かるよ。あ、お嬢ちゃんそれは、もう使えないから外に捨てといてくれ。」
「はい。分かりましたおばあさん。私行ってきます。」
少女はガラクタの入った箱を持って、お店から少し離れたゴミ捨て場に運んで行った。
『……………………。』
そんな少女の様子を、少し離れた位置から一機のドローンが観察していた。
少女が、ガラクタをゴミ捨て場に捨てた帰り道、突然少女に声が掛かる。
『………少しいいかしら……。』
「…………?誰ですか?」
少女が振り向くと、そこには少女を観察していたドローンが浮かんでいた。
『突然ごめんなさい。ただ貴方と話がしたかったの………』
「……?私とですか。えっと……あなたのユーザー名は何ですか。」
『…………ごめんなさい、今は、まだ言えないわ。』
「それはどういう…」
『私のことはいいから、少し聞いて…………私は貴方のことを知っている。』
ドローンから発せられる謎の声の言葉に少女が驚いて反応する。
「それは、本当ですか。」
『…………ええ、私は貴方が何者で何のために生まれて来たのかを知っているし、今まで貴方が行ってきたことも知っているわ…………その上で聞かせて…………』
少し間を置いて、謎の声の主は少女に問いかけた。
『あなたは、自分が何者なのか知りたい?』
その問いに対し、少女は少し悩んだように首を傾げたが直ぐにドローンに向き直り、
「うーん。あんまり興味は無いですね。」
はっきりとそう答えた。
『それは、何故かしら?』
ドローン越しから少し困惑した様子な声が聞こえて来た。
それに対し、少女は自信満々に話し出す。
「だって、私の役職は私が決めたいからです。」
『っ!?』
少女は胸を張りながら、堂々と続ける。
「私は私自身のこと何一つわかりません。けど私のことは、私が決めて良いことを私は覚えています。」
少女は、力強い意志の宿った目をしながら、はっきりとした声で宣言する。
「だから、私のことは私がちゃんと決めます。これは私に課せられた私だけの重大クエストです。」
『…………そう…………そうね、貴方ならきっとそう言うと思っていたわ。……少女ちゃん。』
「はい。それに私には、とっても頼りになる仲間たちとフレンドがいるので、何の心配もありません。」
少女の言葉を聞き、ドローン越しからでもわかるほど、安心した様子な声色で再度少女に話し掛ける。
『ありがとう。とても貴重な意見だったわ。
…………そんなあなたに一つ頼みたいことがあるの。』
「頼みたいこと?クエストですか。」
『ええ、クエストよ。内容は…………あの子に会って欲しいの。』
「あの子ですか。」
『ええ。………私が傷つけて、危険にさらしてしまった…………あの子の………“大切な仲間”を取り戻して欲しいの……私の考えでは、貴方にならそれが可能なはずだから…………』
少女は、一体何の話か理解できなかったし、果たして自分に何が出来るのかも分からなかった。
………しかし少女の答えは決まっている。
「はい。分かりました。そのクエスト必ず成功させて見せます。」
少女は力強くそう言うと、両手を握り頷いた。
その姿に満足そうに言葉を発した。
『ええ。期待しているわ………報酬は前払いよ。』
ドローンから一枚の紙が少女に渡される。
どうやらその紙は地図のようで何処かの廃墟の一画に目印が付けられていた。
『その場所に行ってみなさい。きっと貴方の助けになるものが在るはずだから。』
謎の声の主は、そう言うともう用事は済んだとばかりに、ドローンの高度を上げて行く。
少女は飛びさって行くドローンに向かって大きな声でこう言った。
「あの!いつか貴方も一緒に冒険しましょうね!」
ドローンは、そのまま飛びさって行った。
『……ええ。いつの日か必ず…また会いましょう、少女ちゃん。』
少女は、飛んで行ってしまったドローンの方向をしばらく眺めた後、手に持った地図をもう一度確認した。
そこにあると言う“何か”とさっき言っていた会わなきゃいけない“あの子”。
まだ見ぬモノと新しい出会い。
少女は新たな冒険の予感に胸を高まらせながら、足早に駄菓子屋へと戻っていった。
誰のメモロビが見たい
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少女ちゃん
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梔子ユメ
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錠前サオリ
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砂狼シロコ(テラー)