もう一人の勇者   作:Katarina T

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少女、私も会いたいです。

「少女ちゃん本当にすごかったよ!何なのそれ!」

 

ユメが興奮したように少女に詰めよって行く。

 

少女は堂々と胸を張ってユメの質問に応えた。

 

「ふっふーん。これぞ選ばれし者にのみ扱える伝説の武器………光の宝珠:アポカリプスです。」

 

「わー!すっごいかっこいい!よかったね少女ちゃん!」

 

「はい。これで私はもっと強くなれます。」

 

少女とユメがその様に談笑している少し後ろで、サオリが何やら考え込んでいた。

 

「どうしたのサオリ?」

 

「…シロコか、いやなに、件の人物が何故少女ちゃんにあんな武器を渡して来たのか気になっただけだ。」

 

「…………ん?それは少女ちゃんが言っていたように、頼み事に対するお礼だからじゃないの?」

 

「だとしても何故銃火器のような武器ではなく、わざわざあんなドローンのようなものを…………私にはあの武器には戦闘以外に何か別の目的がある気がしてな。」

 

「別の目的?………それって一体?」

 

「さぁな………今はまだ何とも言えない…………私の気にし過ぎという可能性だってあるしな。」

 

「ん。そんなに気になるんだったらさっきのロボットにでも聞けばいい。」

 

そう言いながらシロコが先程のロボットの方に視線を向けると、既に役目を終えたからなのか完全に機能停止しており、動く気配が無かった。

 

「見ての通りだ。これでは聞きだすのは無理だろう。」

 

「…………ん。確かにそうだね。ならどうするの?」

 

「………見守っておくしかないだろうな。もしもの時は私たちが少女ちゃんを支えよう。」

 

「ん。そうだね。」

 

サオリとシロコはそう結論付けると、未だはしゃいでいる二人の方に向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………少女が新たな力を手に入れて早くも数日が経ったある日のこと

 

「もう!ホシノ先輩もう少しちゃんとして!」

 

「うへ~セリカちゃぁん、私はいつだってちゃんとしてるよぉ~」

 

「だったら先ずは起き上がって下さい!」

 

「うぅぅんそれは出来なそうだねぇ~だって心地いいんだもん。」

 

「ああ!もう!」

 

「まあまあセリカちゃん落ち着いて。誰だって休むことは大事だよ!」

 

「ユメさんがそうやって甘やかすから、ホシノ先輩が調子に乗るんですよ!」

 

「ひぃん…ご、ごめんねセリカちゃん……ついね。」

 

「うふふふいいじゃないですか☆偶にはみんなでお昼寝なんて☆あっセリカちゃん良ければ私の膝空いてますよ~」

 

「行かないから!!」

 

 

現在少女たちは、アビドス校に遊びに来ていた。

 

少女たちがアビドス校の中に入ると、すぐさまホシノとシロコが出迎えてくれて、対策委員会の部室へと案内された。

 

対策委員会のみんなは、少女たちの来訪に大歓迎であり、再会を喜びあった。

 

それからは、各々好きに談笑したり、何処かに出掛けて行ったりと平和な時間を過ごしていたのだが、ユメの膝の上で昼寝をしているホシノの姿が余りにもだらけすぎていたため、セリカが注意していた。

 

 

 

そんな部屋に学校の修理に向かっていたアヤネとサオリが入ってきた。

 

「皆さんただいま戻りました。」

 

「あ、お帰りなさいアヤネちゃん☆修理の方は大丈夫でした?」

 

「ええ。問題なく済みましたよノノミ先輩。サオリさんがとっても手際よく作業を進めて頂いたので随分楽に終わりました。」

 

「別に大したことはない。……偶々バイトで経験があっただけだ。」

 

「いえ、それでもとても凄い技術でした。本当にお手伝い頂いてありがとうございます。」

 

「………私が役に立ったのなら良かった。」

 

「ふっふっふっ…サオリちゃんは、本当に色んな事を知ってる凄い子なんだよ。」

 

「な~んでユメ先輩が自慢気なんですか?」

 

「あれ、そう言えばシロコ先輩たちは何処に………」

 

アヤネがこの場に二人のシロコがいないことに気が付いたようで、首を傾げた。

 

それにノノミが外を指さしながら応える。

 

「シロコちゃんたちなら、さっき二人でライディングをして来るって出ていきましたよ☆何でもどっちがより遠くまで行くことができるか勝負するそうです。」

 

どうやらシロコは、この世界のシロコと一緒にライディングをしに行っているようだった。

 

それを聞いてセリカが慌てたようにノノミの方を向いた。

 

「ちょ!何で止めないんですか!そんなのやらせたら中々帰ってこないわよあの二人!下手したら夜まで帰って来ないかもしれないじゃない!」

 

「さ、流石にそこまで遅くはならないと思うよセリカちゃん…………多分。」

 

「にゃはは。まあシロコちゃんたちだもんねぇ。…………それにしてもぉよく起きないね少女ちゃん。」

 

先程から黙っていた少女ちゃんは、どうやらホシノの抱き枕にされていたようで、ホシノの腕の中にいた。

 

初めのうちは、ホシノに抱きしめられながらみんなとの会話を楽しんでいたようだが、ホシノの体温とユメの膝の柔らかさに段々と眠くなっていき、気づいた時には夢の世界を冒険していた。

 

「ふふふ☆普段はあんなにはしゃいでいるのに、眠っている時はこんなに穏やかな顔をしてるんですね。とっても可愛いです♪」

 

「それにしてもこんなに騒いでいるのに、よく起きないわねこの子。」

 

「少女ちゃんいつも一度寝たら朝までぐっすりだからね。」

 

「そうだな。あのように即座に体を休めることが出来るのは、見習いたいところだ。」

 

「えっと…そう言う話でしょうか?」

 

「まあいっつも頑張っているみたいだし、こういう時くらいゆっくりさせてあげなきゃねぇ~というわけで私もおやすみ~」

 

「ってホシノ先輩また!」

 

 

その様に話しているとまたもや部室の扉が開いて、シロコ二人と先生が入ってきた。

 

「あれ、シロコ先輩たち随分早かったですねって先生?どうされたんですか突然?」

 

アヤネが予想よりもずっと早く帰って来たシロコに驚いていると、後から入ってきた先生を見て更に驚いたように声を漏らした。

 

「ん。何でも少女ちゃんに用があるとかで連れて来た。」

 

“あはは…突然来ちゃってごめんね。少女ちゃんたちが今来ているって聞いたから、シロコのワープで運んでもらったんだ。”

 

「ん。私はタクシーじゃない。」

 

 

どうやら何か少女に用事があった先生は、アビドスに少女がいることを知りわざわざやって来たらしい。

 

「そうなんですねっそれじゃあ………少女ちゃん起きて!少女ちゃんにお客さんだよ!」

 

「うにゅ…………わたしにですか~。」

 

ユメに起こされた少女はホシノの腕の中から抜け出すと、寝ぼけまなこを擦りながら立ち上がると、ふあぁぁぁっと大きなあくびをした。

 

そんな少女に先生は向き合い自身の用事を話し出した。

 

“ごめんね。せっかく気持ち良く寝ていたのに起こしちゃって……”

 

「いえ……問題…ありません…よぅ…………ただ、きどうしきるまで………もう少し待ってくださぁい。」

 

少女は体をグググっと伸ばすと、完全に目が覚めたようで先生に向き直った。

 

「ふっうぅぅん。はい。起動完了です。先生お久しぶりです。用事って何ですか。」

 

“うん、久しぶり………実は君に会いたがっている子がいるんだ。”

 

「私に会いたい子ですか。」

 

“うん。君も知っているヒフミだよ。”

 

「っ!?ヒフミですか!?」

 

“うん。君のことをとっても心配してる……だから出来れば会って欲しいんだ。”

 

 

少女は先生の言葉を聞き、少し表情を暗くして俯いてしまう。

 

どうやらあの時考えてしまったことが頭をよぎっているようだ。

 

「少女ちゃん大丈夫?」

 

そんな少女の様子を心配してユメが声をかけてくる。

 

少女は俯いていた顔を上げ、ユメや皆の顔を見渡す。

 

皆が少女のことを心配そうに見つめている。

 

「大丈夫ですよユメ。」

 

少女はゆっくりと瞬きをしてユメに自分は大丈夫だと伝える。

 

 

そうあの時とは違いとっくに少女は独りぼっちじゃなくなっていた。

 

確かに未だ自分の名も役職も自分にはない…………しかしそれよりももっと大切なものを少女は手に入れていた。

 

 

大切な仲間や友達…………例え自分が間違った選択をしてもきっと自分を止めてくれる

 

 

…………そんな心から信頼できる人を少女は手にしていた。

 

 

 

だから……少女はもう迷わない………

 

あの時交わした、大切な約束を果たすために、少女は先生に向き直り、いつものように元気に返事を返した。

 

 

 

「はい。私もヒフミともう一度会いたいです!会ってまた一緒に冒険したいです!」

 

“………うん。ありがとう。ヒフミも喜ぶよ。”

 

 

 

……少女ははじめての冒険仲間との再会を心の底から楽しみに感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………そしてこれが、少女にとって特別な出会いのきっかけになるのであった。

 

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