もう一人の勇者   作:Katarina T

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少女、再会する

「シャーレ到着です。さあ皆、さっそく入りましょう。」

 

「ん。少女ちゃん少し落ち着く。」

 

アビドス校で皆とお泊り会をした翌日、少女は先生との約束通りシャーレにやって来ていた。

 

少女は初めて訪れたシャーレの建物に興奮してるのか興奮を一切隠しもせずはしゃいでいる。

 

そんな様子の少女の肩をシロコが抑える。

 

シロコ自身ここに来るのに抵抗があるからなのか、来る途中ずっと少女の傍から離れなかった。

 

そんな二人から少し遅れてユメとサオリもやって来た。

 

「うわぁビルが多いし、人も賑わっているんだね此処って!サオリちゃんは来たことあるんだっけ?」

 

「ああ…先生の当番で何度か。だからオフィスの場所は把握している。こっちだ、付いてきてくれ。」

 

少女たちはサオリの案内のもと先生の待つオフィスへと進んでいった。

 

…………するとそこには、

 

 

“うぅぅん。仕事が…………終わらない”

 

 

書類の山に埋もれた先生の姿があった。

 

 

「先生。大丈夫ですか。」

 

先生の姿を確認した少女が一番に近寄っていき、先生の無事を確認した。

 

他の皆も少女に続き先生が突っ伏している机の傍まで移動した。

 

“う、うん?あ…少女ちゃんたちか、もう約束の時間だっけ?”

 

先生も少女たちに気づくと机から体を起こした。

 

先生は、傍から見ても疲れていることが分かるくらい疲弊しており目の下に若干隈が出来ていた。

 

昨日と明らかに違う様子に少女たちも困惑し、理由を問いかける。

 

するとどうやら、シロコにシャーレへ送られたあと、ヒフミ達に明日の約束の話や予定の調節を行っているとすっかり遅い時間になっており、まだ今日の分の仕事が何一つ片付いていなかった為徹夜で仕事をしていたらしい。

 

別に次の日に回せばいいのではとも思うが、こういう時に限って提出期限が間近の書類が多く、そう言うわけにも行かなかったようだ。

 

 

少女たちは、それならばと先生の仕事の手伝いを買って出た。

 

初めは、不慣れなことの為、苦戦することも多かったが、少女ちゃんがスポンジのように業務内容を理解していき、更に少女たちの見事な連携であっという間に書類の山が片付いてしまった。

 

余りに早く仕事が片付いたことに、このままシャーレ専属の生徒になってくれないかな。と割と本気で先生が考えていると…………オフィスの扉が開き、慌てた様子の生徒が一人入って来た。

 

「はぁはぁっ先生!遅れました!少女ちゃんは………っ!?」

 

入って来たのは、どうやらヒフミだったようで、余程急いできたのか少し息が上がっている。

 

ヒフミは息を整えると部屋の中を見回し、お目当ての人物を見つけたようで少女の方で視線が止まる。

 

 

 

「少女ちゃんっ!」

 

「ヒフミ。」

 

 

少女を視界に入れた途端、ヒフミが少女の下に走り寄っていく。

 

そして少女の傍までやってくると、少女の手を握りしめて安堵の息を吐き出した。

 

「はぁ~少女ちゃん、やっとまた会えました…」

 

「ヒフミ、久しぶりです。また会えてとっても嬉しいです。」

 

「私も会うことが出来て嬉しいですよ。……先生から聞いていましたが、本当に元気そうで安心しました。」

 

ヒフミの心底安心した顔を見て、少女が申し訳なさそうに頭を下げる。

 

 

 

「ヒフミ…ごめんなさい。」

 

「えっ?急に何ですか?」

 

 

 

急に謝られたことにヒフミが戸惑っていると、少女が頭を下げたまま話を続けた。

 

「私……ヒフミから逃げていました。ヒフミが私のこと探してくれてること知っていたのに……私のこと心配してくれていたのに……私は勝手に怖がってヒフミに会うことから逃げてしまいました。ですから本当にごめんなさい。」

 

少女は頭を下げ続ける。自分勝手な都合で困らせてしまった相手に対して、せめて誠実でありたいと思ったから……

 

……いや、これは単純に少女がヒフミに謝りたいと思っただけであろう。

 

 

 

「少女ちゃん、頭を上げて下さい。」

 

 

 

ヒフミは未だ頭を下げ続けている少女に向かいゆっくりと話しかける。

 

少女はヒフミの言葉を聞くと、顔を上げヒフミと視線を合わせた。

 

「いいんですよ少女ちゃん。私は気にしてません。」

 

「ど、どうしてですかヒフミ。…私は…。」

 

「先生から聞きました……私を傷つけてしまうことが怖かったんですよね。」

 

先生は少女が抱えている胸の内をおばあさんから聞いており、そのことをヒフミにも伝えていた。

 

「私は、私のことを思って行動してくれたあなたを怒ったりしません。」

 

ヒフミは少女に向かって優しい口調で自分の考えを教えた。

 

そして一度言葉を区切ると今度は若干恥ずかしそうに、しかしはっきりとした目を向けながら話し続ける。

 

「そ、それに少女ちゃんは私のこと傷つけてしまうと言ってましたけどっ、舐めてもらっては困ります!わっ私は覆面水着団のリーダーファウストなんですからっそう簡単に傷ついたりしません!!」

 

「ファウスト?覆面水着団?それがヒフミのジョブですか?」

 

「えっ!いやっそのぉ……とっとにかく私はそう簡単に傷ついたりしませんし、少女ちゃんが心配することなんて何にもないんです!」

 

ヒフミはまくし立てるように言い終わると、少女に向かい手を伸ばす。

 

少女も伸ばされた手の意味を理解し迷うことなくその手を取った。

 

「ですから少女ちゃん。また私と一緒に遊びに行きましょうね!」

 

「はい。もちろんですヒフミ!」

 

…………そして、二人の少女はもう一度あの時と同じ約束を交わした。

 

 

二人の会話がひと段落付いたことを確認すると、先生を含めた他のメンバーも会話に参加してきた。

 

少女は、ヒフミに自分のパーティメンバーを嬉しそうに紹介していった。

 

途中サオリがいることに若干戸惑っていたが、先生から事前に聞いていたことや少女ちゃんがサオリのことを信じ切っている様子の為、ヒフミもサオリのことを信じることにしたらしい。

 

互いの自己紹介もひと段落つくと、少女たちはオフィス内に備え付けられたソファーに座り皆でのんびり談笑し始めた。

 

「そういえばヒフミちゃんってグッズを買うためにブラックマーケットにまで行ったんだよね!すごいなぁ……よっぽどペロロ様のこと好きなんだね!」

 

「はい!ペロロ様はとってもかわいいんですよ!ユメさんもそう思いませんか!?」

 

「えっう、うんそうだね……私も可愛い?と思うなぁ。」

 

「はい。この摩訶不思議なモンスターもよく見ると可愛く思えてきます。」

 

「ふむ。以前も見たがこの生物は一体何なんだ…………カバなのか?」

 

「ペロロ様はカバでも、摩訶不思議なモンスターでもありません!!鳥ですよ!鳥!!ほらここに立派な羽があるじゃないですか!?」

 

「ん。よく分からない。先生…トリニティではああいうのが流行ってるの?」

 

“う、うーん……まあ好きな物は人それぞれで違うからね。…………あっそう言えば少女ちゃん。実はもう一組少女ちゃんに会いたがっている子たちが”

 

 

先生がそう言い終わる前にまたもやオフィスの扉が勢い良く開け放たれ、一人の生徒が入ってきた。

 

先ほどのヒフミ以上に、勢い良く入って来た桃色の輪っかを浮かべた女の子が、入って来るのと同時に先生に話しかけた。

 

「せんせーい!!あの子が来てるって本当!!」

 

「はぁはぁ…もう、お姉ちゃん急ぎすぎ。」

 

「まっ待ってよ~二人とも」

 

その女の子の後ろから続くように、見た目がそっくりな緑色の輪っかを浮かべた女の子と赤い長髪で黄色の輪っかを浮かべた女の子

 

そして…………

 

 

「先生!おはようございます!アリスっ、件の少女に会うためにやって来ました!」

 

少女と見た目が瓜二つの女の子が入ってきた。




遂に出会ってしまったか………なんか……長かったな…………

次回「少女パーティVS勇者パーティ」
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