少女がヒフミと無事に再会し、そこへ現れた少女を探していたモモイ含めたゲーム開発部。
ついに出会った"名無しの少女"と"勇者見習いのアリス"
見た目がそっくりな二人は今……
「ムーーーーッ!」
「ウーーーーッ。」
何やら唸りながら、互いに自分そっくりな顔をにらみ合っていた。
どうしてこうなったんだろう……
時はゲーム開発部がオフィスに突撃してきた頃にさかのぼる。
ゲーム開発部の皆が部屋の中に入ってくるのと同時に、先頭のモモイが先生に向かって大声で声を掛ける。
「先生!!あの子が来るって連絡があったから急いで駆けつけたよってなんか人が多い!」
急に入って来て声を掛けてきたモモイに部屋で談笑を楽しんでいた少女たちは驚き、ゲーム開発部の方に視線を向けた。
視線を向けられたモモイは、予想よりも大勢の人がいたことに驚いたようで少し動きが固まってしまった。
そんなモモイの後ろから、ミドリが声を掛けてきた。
「もう、だからお姉ちゃんいきなり入ったらビックリさせちゃうでしょう。はぁ……皆さんお騒がせしてすみません。」
「いや~やっとあの子に会えると思ったら居ても立っても居られなくなっちゃって。」
そう言いながらモモイは、アハハ………と頭の後ろを掻きながらミドリの小言を受け、改めて少女たちの方に視線を向けると、
「あああーーー!いたーーーー!!」
「っ!?」(ビクッ)
少女とバッチリ目が合い、指さしながら大声をあげた。
指さされた少女は体を少し跳ねさせ驚いているが、モモイはお構いなしに少女の方に走り寄っていく。
「ああもう、やっと会えたよ!すっごく探したんだからね!でも元気そうで安心したよぉ~」
急に走り寄って来たかと思ったら、少女と親しそうに会話を始めたモモイに少女のパーティメンバーは戸惑っているが、今まさに彼女たちよりも混乱しているのは、話しかけられている少女であった。
少女はモモイのことは勿論覚えているし、また会えたことは本当に嬉しく思っているのだが、
あの時…………モモイと初めて会った時考えてしまったことが脳裏をよぎる…………
ユメやヒフミのおかげで大丈夫だと頭では分かってはいるのだが、それでもそう簡単に忘れることが出来ないトラウマとなってしまったあの出来事のせいで、少女は上手く言葉が出せずにいた。
「あっそのえっと…」
少女は何とか会話をしようと、言葉を探すが………いつもなら簡単に見つかるはずのそれが中々出てこず、ただ慌てて何かを伝えるように手を動かしているだけだった。
モモイはそんな様子の少女の両手を優しく包むと少女の目をしっかりと見て話しかける。
「大丈夫だよ!ゆっくりでいいから!ほら、先ずは大きく深呼吸をして落ち着いて!」
「は、はい。……すぅーはぁーすぅーはぁー………」
「どうっ落ち着いた?」
「……はい。私の混乱状態は解除されました。ありがとうございます。」
「えへへ、それなら良かったよ。」
少女が落ち着いたことを確認するとモモイは少女の手を離し、自己紹介を始めた。
「改めて……私は才羽モモイ!よろしくね!少女ちゃん!!」
「はい!よろしくです!モモイ!」
少女は嬉しそうに笑いながら、返事を返すことが出来た。
少女とモモイの自己紹介が済んだことを確認すると、後ろにいた他のゲーム開発部の皆も少女の方に歩み寄って来た。
「へぇほんとにアリスちゃんそっくり……私は才羽ミドリ、よろしくね少女ちゃん。」
「えっと…わ、私は花岡ユズ……会うことが出来てとっても嬉しいよ。」
ミドリとユズもモモイと同じように少女に自己紹介をしていき、互いに出会えたことを喜び会った。
……そして最後の一人……他のゲーム開発部のメンバーより興奮した様子で瞳をキラキラと輝かせた女の子……
アリスが少女の目の前にやって来た。
「わぁ✨初めまして!私はアリスです!あなたのことを聞いてずっと会いたいと思ってました✨」
「少女ちゃんそっくり!?」
「これはどういうことなんだ?」
「ん。これには流石に驚いた。」
アリスの姿が余りにも少女そっくりなことにユメたちは驚きの声を上げ、先生とヒフミも知っていたことではあったが、まるで鏡写しのような二人が並んで立っていることに不思議な光景だと感じていた。
そして相対している少女はやはり自分と同じ顔が目の前にいることに動揺…………
「わぁ✨私そっくりです。私も会えてとっても嬉しいです✨」
することもなく、アリス同様に瞳をキラキラとさせていた。
そこから少女たちは、ゲーム開発部の紹介を交えて、先ほどの談笑の続きをすることにした。
ユメたち少女のパーティメンバーは最初こそ少女そっくりなアリスに困惑していたが、それも僅かな間であり、ゲーム開発部が全員いい子たちであることが分かると直ぐに警戒心を解いた為(もとよりあんまりなかったが)、打ち解けるのに時間はかからなかった。
何より少女が、これまで見たことがない程嬉しそうにはしゃいでおり、モモイ達との会話を楽しんでいる様子だった。
モモイ達も彼女たちが持っている善性の人柄や少女とずっと話がしたかったということもあり、少女と少女が紹介したユメたちと直ぐに打ち解けることが出来た。(因みにユズは、打ち解けはしたがやはり人の多いところは苦手なのかどこからか出したダンボールに隠れている。)
中でも自分と同じ見た目ということも相まってアリスの少女への懐きかたが凄く、出会ってからずっと隣に居座っている。
そんな楽し気な空気の中モモイが何気なく呟いた。
「いや~それにしても少女ちゃんの仲間って皆スタイル良くて綺麗だね!」
「えへへそうかなぁそんなことないと思うけどなぁ」
「いやいやそんなことあるって!ねえミドリ!」
「確かに、全員綺麗で、何というか大人っぽい」
「はい。ユメもサオリもシロコも、皆っ皆っ、とっても優しくて頼りになる最高のパーティメンバーなんです。」
モモイとミドリの言葉に嬉しくなったのか、少女は立ち上がると胸を張りながら応えた。
それを横で見ていたアリスも急に立ち上がると、少女に向かってこう言った。
「それなら!アリスのパーティメンバーだって、皆優しくて凄い最高のパーティメンバーです!」
そこには、何故かちょっとした対抗心が見え隠れしており、少女のことを凝視していた。
アリスの言葉に少女もアリスの方を向くと、少しムッとした表情でアリスに言い返した。
「いいえ。私のパーティの方が皆強くて頼りになる最高のパーティです。」
「違います!アリスのパーティの方が楽しくて明るい最高のパーティです!」
アリスも少女に負けじとそう言い返す。
そこから始まったのは、どっちのパーティの方が最高なのかという……
……………少女とアリスによるパーティメンバー自慢合戦。
やれ、こんなところが優しいだの、あんなことを知ってて凄いだの、そんなことだって出来るだの…………
とにかく自分のパーティメンバーがどれだけ最高かを言い争っていた。
先程までの楽しそうな雰囲気とは打って変わり、若干険悪そうな空気になってはいるが話の内容が内容なだけに先生は止めるべきか、見守るべきか悩んでいた。
………いや、他の子たちの為にも止めた方がいいのかもしれない。
少女とアリスの言い合いを傍で聞いている彼女たちのパーティメンバーは、完全に褒め殺しにあっており、全員言葉を発することなく、ただ黙って座っていた。
本来なら関係のないヒフミも……少女が話題をふった事により巻き込まれて同様に少女とアリスの褒め殺しにあっていた。
少女とアリス……二人の純粋であり、全く噓偽りのない、心の底から思っていることが伝わって来る真っ直ぐな褒め言葉の数々……
そんな物を傍で聞かされ続けているこの状況…………ハッキリと言おう……
…………めちゃくちゃ恥ずかしいのである!?
パーティメンバーにとって嬉しいを通り越して、完全に罰ゲームになってしまった少女とアリスによる自慢合戦は数十分という長い時間を掛けようやく一区切りついたのか…………話終えた二人は、今度は互いの顔を間近でにらみ合いながら唸り声をあげていた。
…………そして冒頭に戻る
しばらくにらみ合っているとアリスが唐突に言い放つ。
「このままじゃ埒が明きません!こうなったら勝負して決着をつけるしかありません!」
「はい。どうやらその様ですね。望むところです。」
少女とアリスがいよいよ本格的に決着をつけようと言葉を交わす。
“ちょっと二人とも落ち着いて!”
「流石にそれはダメだよ!もっと穏便に!」
「しょ、少女ちゃん喧嘩はダメだよ!」
流石にマズイと感じたのか、先生と復活したモモイとユメが少女とアリスを止めるように声を掛ける。
しかし、アリスは三人の声を無視して、背中に担いだレールガンに手を伸ばす…………
「このスマパラで勝負です!!」
こともなく懐に入れていたゲーム機を少女に見せつけた。
(((ズザァァ――――――)))
止めようと動いていた三人は盛大に転び、オフィスの床に転がった。
少女は見せ付けられたゲーム機を前に真剣な表情でアリスに話しかける。
やはりゲームで勝敗を決めるのは嫌なのかと身構えた他のメンバーたちであったが…………
「私……やったことがありません。」
「アリスが教えてあげます!」
「ならいいです。ありがとうございます。」
(((((ズルッ)))))
少女とアリスの平和な会話に身構えていたパーティメンバーは、全員力が急速に抜けてしまい、ソファーに体を預けてしまう。
「それじゃあ善は急げです!行きましょう!」
「はい。早速出発です。」
そんな皆を置き去りに、アリスと少女は互いに手を繋ぐと、足早にテレビが置かれてある部屋へと走って行った。
……残された皆は、何だか疲れた様子でひとまず休憩を取るのであった。