少女の拠点にアリスを招いた翌日の朝、先に目が覚めたアリスは未だ寝ている少女を起こしていた。
「少女ちゃん!目覚めの時です!さあっ新たな冒険に行くために起きてください!」
「うにゅ、ふっあぁぁ~あ、ありすおねいちゃん……おはよう……です。」
寝ぼけまなこをこすりながら少女は布団から体を起こし、アリスに挨拶をした。
まだ若干眠そうにしている少女に向かってアリスは元気よく話しかけた。
「少女ちゃん!おはようございます!早速ですが今日はミレニアムに一緒に行きましょう!」
「………ふぇ?」
その後、朝食や朝の支度を済ませた少女とアリスは、ミレニアムサイエンススクール区内を並んで歩いていた。
「ユメたちも一緒に来られたら良かったんですけど…………」
「ユメ先輩たちは今日、どうしても外せないクエストを受注していたのでしょうがないですね。」
「はい。でも残念です。」(ショボーン…)
「はい。アリスも残念です。ですが!下を向いていては行けません!また次の冒険の時たくさんいいとこを教えられるように情報収集すればいいのです!」
「はい。アリスお姉ちゃんの言う通りです。イベントに参加出来なかったユメたちの分まで、私がイベントポイント集め頑張って見せます。」
「その意気です!…あっそろそろ到着ですよ!」
アリスの指さす方に、ミレニアムサイエンススクールのロゴマークが飾られた入口が見えてきた。
少女ははやる気持ちを抑えきらずにアリスの手をグイグイと引きながらミレニアムに入って行く。
アリスはそんな少女に向かって自信たっぷりにこう言った。
「今日は昨日のお話しのお礼にアリスの仲間たちのことをいっぱい紹介しますね!!」
「わーーい。とっても楽しみです。アリスお姉ちゃん、早く行きましょう。」✨
「はい!善は急げ!ガンガンいこうぜで行きましょう!」
少女とアリスは揃って駆け出し、ミレニアム内の探検を始めた。
…………そしてこれがミレニアム最大の危機の始まりだった。
場面は変わりシャーレオフィスにて、先生はいつものようにシャーレに持ち込まれた仕事を片付けていた。
昨日少女たちのおかげで、多くの書類が片付いた為、いつもより余裕がある様子の先生は、ふと昨日の出来事を振り返っていた。
“少し心配だったけど皆仲良くなってくれて良かったなぁ………それにしても少女ちゃんはアリスと一体どんな関係が………いやよそう、そんなこと関係なくあの子も私の大切な生徒の一人だ……”
先生が自身の中でそのように結論付けた時、モモトークの着信音が鳴り響いた。
見ると送り主はモモイのようで、何処か慌てたような文章でこう書かれていた。
『先生!!助けて!!』
『今ミレニアムが大変なの!!』
『とにかく早く来て!!』
その文を読んで只事でない事を悟った先生は、すぐさま支度を済ませるとミレニアムへと駆け出した。
“まさかミレニアムで何かあったのか!!いやっ考えるのは後だ!とにかく今はモモイの下に向かわないと!!”
先生はミレニアムに着くと取り敢えず、銃撃音や爆発音が聞こえて来ないことに安堵し、そのままモモイがいるであろうゲーム開発部の部室に向かった。
“モモイ!大丈夫かい!!”
先生が勢い良くゲーム開発部の部室に入ると、思った通りモモイがそこにいた。
モモイは先生が来たことが分かるとすぐさま先生の方へ駆け寄って行った。
「先生!来てくれたんだね!」
“当然だよ!それでミレニアムが大変って一体何があったんだい?”
「そうだよ!今ミレニアムで大変なことが起こっているの!」
モモイはかなり慌てた様子で話しており、何を伝えたいのか全く分からなかった。
先生は一先ずモモイを落ち着かせようとゆっくりと話しかけた。
“落ち着いてモモイ。何があったのかゆっくりでいいから教えてくれないかい?”
「落ち着いている場合じゃないよ!アリスと少女ちゃんが!」
モモイの言葉にまさか二人に何かあったのかっと先生は考え、モモイに二人の安否を確認しようと声を掛ける。
が、その前にモモイから全く予想外の言葉が飛び出してきた。
「アリスと少女ちゃんがミレニアム生全員を褒めまくっているの!!」
“…………え??”
少女はアリスの案内の下ミレニアム内を探索して直ぐに青髪の生徒と出会った。
「あら、アリスちゃんと……えっ!?アリスちゃんそっくりな子がいる!?」
「あ!ユウカ発見です!ユウカ、この子はアリスの妹の少女ちゃんです。」
「え?アリスちゃんって妹がいたの?ていうか少女ちゃんって一体何?」
青髪の生徒…ユウカはアリスそっくりな少女がいることに驚き、続くアリスの説明で尚更意味が分からなくなって混乱したが、アリスによる少女の説明を何とか理解して、落ち着きを取り戻した。
そんな中ユウカに会ってから黙っていた少女が話し出してきた。
「…………??アリスお姉ちゃん、妖怪が現れました。」
「誰が妖怪よ!って何だか前にも似たようなこと言われたわね。」
少女の言葉にユウカは既視感を覚えて、ほんとに見た目以外もそっくりな子だなあと思っていると、アリスが少女の言葉を否定するように話し出した。
「そうです!ユウカは妖怪なんかじゃありません!」
「そうなんですか。」
「はい。確かに怒ると怖いですし、口うるさいことを言って来ることも多いです。」
「うぐっ…アリスちゃん…」
アリスの言葉に若干ダメージを受けているユウカを無視してアリスは少女に続ける。
「それでも、いつも皆のことを考えて頑張ってくれている、とっても優しい人なんです!!」
「アリスちゃん………」
アリスの言葉にユウカが言葉を失うように呆然としている横で、瞳を輝かせた少女がアリスに向かって話し出した。
「わぁ~そうなんですか。それならユウカは妖怪じゃなくて妖精みたいな人ということですか。」
「えっ!?ちょっと少女ちゃんいきなり何を!?」
「その通りです!ユウカは妖精のようなきれいな人です!」
「アリスちゃんまで!?」
少女とアリスの言葉にユウカが戸惑っているが、二人の少女の勢いは止まらない。
アリスは、少女に自分の大好きな人のことを知って貰おうと捲し立てるように話していく、
少女はアリスの言葉を聞きながら興奮したように、はしゃぎながらユウカのことを褒めていき、
それに嬉しくなったアリスが少女に向かって更にユウカの良い所を教えていく。
衰えるどころかドンドンヒートアップしていく少女二人による早瀬ユウカの褒め殺し大会は、
……ユウカが限界を迎えるまで続いた。
その後も少女二人は、行く先々で出会った友人の良い所をアリスが少女に紹介し、少女がそれに合わせて最高の反応をし、嬉しくなったアリスが更に続けてもっと褒めていくという…………昨日行った自慢合戦よりも火力の高い攻撃を無差別に打ち込んで行った。
それによってミレニアム生徒では、顔がとんでもなく赤くなって人前に出てこれなくなる者や、あまりの羞恥心でダウンする者が続出していき、ミレニアムは若干のパニックを起こしていた。
その様な現状をモモイから聞かされた先生は少し遠い目をしながら一言呟いた………
“………平和だなぁ…………”
先生の言葉を肯定するように外からちゅんちゅんと鳥の鳴き声が聞こえてきた。