少女とアリスは、何が起きたのか分からず混乱しているケイに、少女ちゃんがアリスのバックアップであることや少女ちゃんに搭載されていた復元機能を使ってケイを復元させることに成功したことなどを伝えた。
「なるほど……話は大体理解しました。」
「おお!早いですね!流石ケイです!」
「本当です。どうやら不具合なく復元できたようで、良かったです。」
「ええ、第二の王女…いえ、少女ちゃん。私は至って正常に作動出来ています。心配には及びません。…………ところで一ついいでしょうか。アリス、少女ちゃん。」
「「何ですか?」」
「……いい加減離れて下さい。動きづらいです。」
少女とアリスはケイが目を覚ましてからずっと抱き着いており、説明中の時ですら全く離れようとしなかった。
ケイも二人に抱き着かれていることが嫌なわけではないようだが、流石に三人で団子状態になっていては動きにくいうえに、何となく会話するのに適してないと考えたようだ。
少女とアリスは不満そうではあったが、一先ずケイの言う通り離すことにした。
ケイは二人が離れると、改めて少女とアリスに向き直り頭を下げてお礼を述べてきた。
「改めてお礼を申し上げます。私を復元して頂いて本当に感謝してもしきれません。」
「もう!硬いですよケイ!アリス達の間でそんな堅苦しい言葉遣いしなくていいじゃないですか!」
「アリスお姉ちゃんの言う通りですよ。もっと砕けた感じで話してください。」
「し、しかし私はあくまで貴方達をサポートするAIで……「「そんなこと関係ありません!」」」
ケイの言い分を完全に無視して少女とアリスは自身の思いを語り出す。
「ケイはもうアリス達の大事な仲間なんです!ですから遠慮なんて必要ありません!」
「はい。私もケイはもう大切な仲間と思っています。例えケイがどれだけ否定してもこれだけは絶対に譲れません!」
「い、いえ私は………」
未だ往生際悪く、何か話そうとしているケイをほっといて、少女とアリスの会話は盛り上がっていく。
「あっそうです。私いいこと思いつきました。」
「お!またもや少女ちゃんの閃きです!今度はどんなアイディアを思いついたんですか?是非とも聞かせて下さい!」
「はいアリスお姉ちゃん。いっその事ケイも私達の姉妹にしてしまうというのはどうでしょう。」
「うぇっ!?少女ちゃんそれは流石に了承できまs「それはいい考えですね!」………。」
最早ケイの言い分など全く耳に入っていないようで、ケイも否定する事を完全に諦めていた。
…………何よりその言葉にケイ自身も嬉しく感じていたのだから。
「アリスと少女ちゃんとケイの三姉妹………これはもう最強姉妹の誕生間違いなしです!」
「はい。どんな戦闘もイベントもクリアできる自信があります。これ以上ない最高の選択肢だと思いませんかケイ。」
「…………はぁ。最早何を言ってもしょうがないようですね。諦めるしかなさそうです。」
「はい!諦めてアリス達の姉妹になって下さい!ちなみにケイは一番下の末っ子さんです。」
「あれ。私よりも下なんですか。」
アリスの言い分に少女が小首をかしげている。
てっきり自分が一番下になると思っていたようで意表を突かれたようだ。
アリスは少女とケイに向かって胸を張りながら説明してくる。
「はい!確かに目が覚めたのはケイの方が早いですが、すでに少女ちゃんは沢山のイベントを積んでレベルアップしています!ですので未だレベル1のケイに色々教えなければなりません!」
「なるほど、理解しました。私が初心者プレイヤーのケイにイベントの進め方を伝授するということですね。」
「その通りです!頼みましたよ少女ちゃん!勿論アリスも二人のお姉ちゃんとして精一杯色んな情報を提供して、支えていきます!」
「おお。アリスお姉ちゃん頼りになります。」
「いえ!アリス、少女ちゃんちょっと待ってください!レベル1!初心者プレイヤー!私がですか!?」
「はい!そうです!これからケイにはドンドンレベルアップして貰いますから楽しみにしていてください!……あっ!後アリスの呼び方はアリスお姉ちゃんで、少女ちゃんの事は少女お姉ちゃんと呼んでくださいね!」
「……………………。分かりました。アリスお姉ちゃん……少女お姉ちゃん。」
ケイは完全に諦めてアリスと少女ちゃんの言う通りにすることにした。
……………しかし、アリスと少女ちゃん、そしてケイ自身も気づいていないようだが、アリスと少女ちゃんをお姉ちゃん呼びした時のケイの表情は………
アリスと少女ちゃん以上に嬉しそうであった。
「よし。これで、クエストは無事に達成です。ぱんぱかぱーん。リオからの依頼クリアしました。」
少女はリオからの依頼を果たすことが出来て、嬉しそうに飛び跳ねている。
そんな少女を見ながらケイはアリスに問いかけた。
「アリス…お姉ちゃん、私の復元をあの生徒会長が依頼したんですか?」
「はい!その通りです!リオ会長がケイを助けることを少女ちゃんに依頼して助ける事にも協力してくれたんですよ!」
「そうなんですか。俄かに信じられませんが……もしそうであるならお礼を言う必要がありますね。」
「はい。きっと喜びますのでここから出たらリオに言ってあげて下さい。」
「………ええ。必ず。」
少女の言葉に少し笑みを浮かべて頷いたケイは、そのまま少女に尋ねてきた。
「ところでここはアリスの深層意識のようですが…………一体どうやって出るのでしょうか?」
「それは、アリスも気になっていました。少女ちゃんどうするんですか?」
「ああそれは、あれを使います。」
少女は部屋の中央を指さしながら応えた。
アリスとケイは少女が指さした方へと視線を向けると先程まであった台座が無くなり、代わりに……………
アリスの使っているレールガン……………ひかりのつるぎが置かれていた。
「なるほどそういうことですね!それなら行きますよ!少女ちゃん!ケイ!」(ダッ!)
「えっ…ちょっとアリスお姉ちゃん待って下さい。まだ説明が……」
「ほらほら遅れちゃダメですよケイ。」(グイグイッ)
「少女お姉ちゃんも!もう少し説明をって引っ張らないでください!」(ズルズル)
少女たち三姉妹が皆でひかりのつるぎを握るとアリスが一人話し出した。
「何だか……あの時を思い出します…………」
それはゲーム開発部の皆に自分の存在を肯定され、なりたいものになっていいと教えられた時………
アリスが勇者になりたいと、心の底から願った始まりの物語。
「アリスお姉ちゃん。」
「…………アリス。」
「あの時アリスは自分が勇者になりたいと思ってこのつるぎを抜きました…………でも今は。」
アリスは少女とケイを真っ直ぐ見ながら自身の思いを詰め込んだ言葉で宣言した。
「アリスは………アリス達は三人で勇者になって見せます!!!行きますよ二人とも!!」
「はい!!」
「ええ!」
「「アリスお姉ちゃん!」」
三人の勇者たちはひかりのつるぎを抜きながら、力いっぱいに叫んだ。
「これがアリスたちが起こす初めての一撃です!」
「「「光よ!!!!!!」」」
その瞬間、部屋全体が光に包まれ、少女とアリス、ケイの三人は現実へと戻って行った。