もう一人の勇者   作:Katarina T

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少女、お願いします

「ふっううぅん。」

 

「ふわぁぁ~~。」

 

少女とアリスが目を覚ますと目の前に心配そうに二人の様子を伺っているゲーム開発部のメンバーがいた。

 

「あっ!二人が目を覚ましたよ先生!アリス、少女ちゃん大丈夫?」

 

いち早くモモイが二人の安否を確かめる様に声をかける。

 

「はい!問題ありません!今のアリスは絶好調です!」

 

「私もです。寧ろ無事に任務完了したことや新しい仲間を迎えたことで、いつも以上に力がみなぎってくるくらいです。」

 

少女とアリスは被っていたアポカリプスを外しながら元気よくモモイに返事をした。

 

モモイとミドリ、ユズの三人は二人が無事に目を覚ましたことに、安堵のため息を吐きながら、肩にかかっていた力を抜いた。

 

そんな中少女にリオが話しかけてきた。

 

『少女ちゃん、その様子だと、どうやらうまくいったようね。』

 

「もちろんです。リオのおかげで私に新しい妹ができました。」

 

『私じゃないわ……貴方とアリスが起こした奇跡よ。』

 

「そんなことありません!リオ会長が力を貸してくれたお陰でアリスは大事な仲間を取り戻せたんです!」

 

「アリスお姉ちゃんの言う通りです。私とアリスお姉ちゃん、そしてリオの力が有ってこそ起こせた奇跡なんです。」

 

『……アリス……少女ちゃん……そうね。貴方たちがそう言ってくれるなら、きっとそうなんでしょうね。』

 

少女とアリスの言葉をリオは穏やかな口調で肯定した。

 

すると横で聞いていたモモイが会話に参加して来た。

 

「ねえねえ!いい加減何をしたのか教えてよ!私たちさっきから何が何だかさっぱりなんだけど!?」

 

どうやら、いよいよ我慢の限界だったようで、気になっていたことをリオと少女に問いただしてきた。

 

「そうですね。モモイ達にもちゃんと紹介しないといけませんねアリスお姉ちゃん。」

 

「勿論です!そうと決まれば早速……」

 

そう言ってアリスが瞬きをすると、瞳の色が青から赤に代わった。

 

【はぁ…どうしても挨拶をしなければなりませんか………】

 

「勿論です。ほらほら恥ずかしがらずにお願いします。」

 

「えっ!?アリスどうしたのいきなり!?」

 

「い、いや違うよお姉ちゃん!この子ってもしかして!」

 

「う、うん前みた時と同じ……」

 

「じゃっじゃあもしかして貴方は!?」

 

モモイ達の動揺を見ながらアリスから切り替わったケイが自己紹介を始めた。

 

【仕方ありません。お察しの通り私はアリスの中にいるサポートAI………いえ、アリス姉さんと少女姉さんの妹であるケイです。】

 

「「「ケイちゃん!!!」」」

 

モモイ達は驚きで目を丸くさせながら、ケイを見ており完全に混乱状態になっている。

 

「ケイちゃん!えっ!ホントのホントにあのケイちゃんなの!でも消えたって聞いてたけど、生きてたの!?」

 

「お姉ちゃんちょっと落ち着いて!でも、一体何が……それにアリスちゃんや少女ちゃんの妹ってどういう?」

 

「うぅぅ何だか……分からない事が増えちゃったよぉ………」

 

【…………そうですね。では、一つ一つ説明をしていきましょう。いいですねリオ会長。】

 

『ええ。勿論いいわよ。』

 

 

ケイとリオはモモイ達や先生に分かるようにリオはケイを復元させるために準備をしていたことや少女ちゃんの事、ケイは復活してからアリスの深層意識での出来事を説明しだした。

 

モモイ達は少女ちゃんの正体のことで驚いた様だったが、特に何か思うことはないようであった。

 

一通り説明を聞き終えたあと、少女が気になったことがあるらしくケイに話しかけた。

 

「そういえばケイ。さっきアリス姉さんと少女姉さんって呼んでましたけど、お姉ちゃん呼びじゃないんですか?」

 

【………ええ。何だかお姉ちゃん呼びは恥ずかしいので、……………それに姉さん呼びの方がしっくりきますからこれからはアリス姉さん、少女姉さんと呼ばせて下さい。】

 

「うーん…分かりました。ケイがそう呼びたいなら私は問題ありません。」

 

「アリスも大丈夫です!お姉ちゃんでもお姉さんでもドンとこいです!」

 

“あっ案外アリスとケイの切り替えはスムーズなんだね。何だか……凄い違和感………”

 

「それは…慣れるしかないね……先生、皆。」

 

モモイの言葉に先生とミドリ、ユズの三人は少し困ったような笑顔で頷いた。

 

 

 

ケイの紹介もひと段落付いたころ、少女がリオに向かって話しかけた。

 

「あっそうですリオ。今回のリオからの依頼は無事にクリアしたってことでいいんですよね。」

 

『ええ、その通りよ少女ちゃん。貴方は間違いなく私が抱いた希望通りに依頼を果たしてくれたわ。改めて本当にありがとう。』

 

「えへへ、リオにそう言ってもらえて嬉しいです。それじゃあリオ、私クエストクリアの報酬が欲しいです。」

 

『ふふ、そうね。無事に依頼を果たしてくれたのだから当然ね。何でも言ってもらって構わないわ。私に叶えられることならちゃんと叶えて見せるから。』

 

リオの言葉に少女は「本当ですか。それじゃあ、」と笑顔になりながら、嬉しそうに今回のクエスト報酬について話そうとしている。

 

周りの皆もそんな少女の様子を微笑ましそうに眺めながら、少女が一体どんなお願いをするのか気になって耳を傾けていた。

 

リオや先生、ゲーム開発部の皆は新しい武器とかゲーム機とか、もしかしてアバンギャルド君みたいなロボットでも欲しがるのかと予想していたが…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私はリオにミレニアムに帰って来てほしいです!」

 

少女の願いは全く違うものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『……………………ぇ。な、少女ちゃん今なんて………』

 

その場にいた全員が少女の願いに言葉を無くしていた。

 

それもそうだ、ここまでの奇跡を起こした少女の願いが…………………

 

「私は今日ミレニアムを見て回って分かりました!この場所がどんなに楽しくて、賑やかでとっても素敵な場所であるのかを!リオが大切にしていた、守ろうとしていたこの場所の事が私はとっても大好きになりました!」

 

自分のためなどではない………全くの他人のため……………

 

「そんな素敵な場所だからリオに帰って来て欲しいんです!誰よりも頑張って、考えて、そしてミレニアムを大切に思っているリオにここにいて欲しいんです!!」

 

目の前の仲間のことを考えた………………心の底からの思いだったのだから。

 

 

 

「だからリオ帰って来てください!そして私の仲間になってください!!」

 

 

 

『少女ちゃん………私は………』

 

「大賛成です!!アリスもリオに帰って来て欲しいです!!」

 

【まあ、複雑ではありますが、姉さん二人がこう言っているので私も帰って来ることに賛同します。】

 

「すっごくいいじゃん!リオ会長帰って来たらユウカも喜ぶよ!」

 

「そうだけど、それよりも先にいなくなった事についての説教が先だろうね。」

 

「あはは……確かにその通りかも…………」

 

 

皆の会話を聞きながらリオはどう返答すべきか迷っていると、少女が再び話しかける。

 

「リオはまだ自分のことが許せないんですか。」

 

『…………私は選択を間違えて、貴方の姉や妹を危険にさらしたわ………だから「私は」』

 

リオが言い終わる前に少女が割り込んで言葉を紡ぐ。

 

「私は、リオのやった事は詳しくは知りません……でもリオの守りたいという想いは本物だって信じています。…………リオが自分のことを許せないというなら、許せるようになるまで、私が何度だって力を貸します。」

 

少女は真っ直ぐな声でリオに優しく声を掛ける。

 

 

 

「リオ……戻って来て下さい。そしていっぱいお話しましょう。私、リオのことたくさん知りたいです。」

 

 

『……………………それが貴方の願いなの?』

 

「はい!これが今、私にとって一番の報酬です!」

 

 

リオは少しの間黙っていたが、やがてゆっくりと口を開いた。

 

『報酬というのならしょうがないわね。………分かったわ、近いうちに戻るとするわ。』

 

“リオッ!”

 

「やったね!」

 

リオの言葉に先生やゲーム開発部の皆は嬉しそうにしているが、少女とアリスが納得の言ってないように口を出した。

 

「近いうちじゃなくて、明日がいいです!私が迎えに行きますから明日戻って来て下さい!」

 

「はい!アリス知ってます!こういう時こそ善は急げで早めな行動が大事なんです!!」

 

“えっと…二人とも流石にそれは急すぎるんじゃ……”

 

『………全く、かなわないわね。……………勇者達がそう言うんだったらしょうがないわ……………明日戻ることにするわ。』

 

“リオ、いいのかい?”

 

『ええ。何とかして見せるわ。………あの子達が起こした奇跡に比べたら大したことないもの。』

 

 

 

先生とリオが話していることを聞きながら少女は大きくバンザイをしながら、嬉しそうに声を上げた。

 

「ぱんぱかぱーん。これにて無事に依頼終了です!」

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