「ひぃん…もうみんなってば、乱暴すぎるよ…」
ヘルメット団を追撃しようとしていた少女達三人を何とか抑えることに成功したユメは、疲れた様な顔でそのように言葉をこぼした。
「襲ってきたのはあっちですし……イベント戦だったのではないんですか。」
「ユメの優しさは美徳だと思うが…敵対してくる相手には、多少の抵抗はやむなしというものだ。」
「うぅんそうかも知れないけど……でもそれにしたってやりすぎなような気が……」
「ん。ユメ、それは違う。私たちは襲われた側、応戦は実に正当なもの。やりすぎなんてことはない。」
「シロコの言う通りです。イベント戦は常に全力でやらないと足元をすくわれて、ポイントを逃してしまいますよ。」
「シロコちゃんと少女ちゃんまで……うーん皆がそう言うってことは……そうなの…かなぁ?」
少女たちの言い分にユメの思考回路が暴力装置共にむしばまれて、良くない勘違いをしそうになっていた。
この場に過去のユメの知り合いが居たら、おいバカやめろ!というかもしれない。
いや、もしくは三人に混ざって最もしっかりしてくださいと小言をいうかもしれないが、この場にいない為確かめようがないことだ。
「とにかくあのような連中がいるのならば、あまり単独での行動は控えた方がいいだろうな。」
「ん。みんなで遊びたかったから問題ない。また来たら返り討ちにする。」
「よーし!何はともあれ折角のバカンスなんだもん。切り替えて楽しんじゃおう!」
「それじゃあ、先ずはどうするんですか。私海に行きたいです。」
「海かぁ~うん、いいね!水着も着て来たし皆で泳ごうよ。」
「ん。釣り竿も持ってきたから釣りもできる。」
「そうだな、この際テントはヘリの傍に立てることにして、このリゾートを満喫するとしよう。」
「はい。それじゃあ海に向かって出発です。」
そうして少女たちは海岸の方へと移動していた。
少女たちの目の前には、真っ白の砂浜にどこまでも続く綺麗な青い海が広がっており、初めて見る景色に少女の顔は太陽のように輝いている。
「わぁ~~✨すごいです。広いです。綺麗です。」(たったったっ)
「あっ!少女ちゃーん!待ってよーー。」(たったったっ)
「本当に綺麗なところだな……」
「ん。天気もいいし…来てよかった。」
「ああ…その通りだな。」
少女とユメは目の前の光景に完全に浮かれてしまい二人で海に向かって走り出しており、サオリとシロコは持ってきたレジャーシートやパラソルなどの設置を始めた。
それから少しして、少女とユメが一通り波打ち際ではしゃぎ終わり、少し落ちついた頃何やら遠くの方で銃声が鳴り響いてきた。
「ん。銃声……さっきの奴らかな?」
「かもしれないが……この音は、戦闘をしているのか……」
「あっそう言えば、さっき戦った時私達のことをあいつらの仲間か、とか言ってました。」
「うーん……そう言えば、確かにそんなことを言っていたような……」
「つまりこの島には、私たちやさっきのパーティー以外にも他パーティーが来ているということですね。」
少女の言葉に他三人が……特にサオリが考え込むように腕を組んだ。
サオリは、経験上この様に複数のグループが争い合っている状況というものには慣れているため、自分たちが巻き込まれた際の対処法も心得ている。
サオリは、少女たちにこの島にいるグループのことを把握するために、先ほど戦闘が起こっていた場所の偵察に向かうことを提案した。
少女、ユメ、シロコの三人はこういう時のサオリの判断が正しいことを熟知しており、何よりサオリのことを信頼しているため、すぐさま準備を整えて行動に移った。
タンクであるユメは持ってきていた盾を装備し先頭に立ち、少女はアポカリプスを周囲に展開しユメをサポートしながらUFGを構え、何時でも飛び出せるように準備する。
シロコは後方で支援ドローンを待機させて、もしもの場合何時でも撤退できるようにワープゲートの生成準備をし、サオリは陣形の中央に立ち、戦闘が起きた際に直ぐに指揮を取れるように気を張り巡らせている。
互いに何か相談することも無く一瞬で陣形を整え、互いに課せられた役割を果たせるように準備を終える。
ここまでスムーズな行動ができるのは、彼女たちが日々(サオリによる訓練で)研鑽を積んでいることと彼女たちの間にある確かな信頼関係が有ってこそだろう。
陣形を整えた少女たちは、ゆっくりと戦闘音が聞こえてきた岩場の方へと移動する。
既に戦闘音自体は鳴りやんでいるが、油断せずに警戒を続けて目的地へと歩を進めていく。
実際今の彼女たちの相手は、そこらのヘルメット団どころか、ゲヘナの風紀委員会ですら手に余ることになるだろう。
そんな少女たちが目的地に着くと、そこにいたのは……
“あれ?……そこにいるのは……少女ちゃんたち?どうしてここに?”
「え!?本当ですね!な、なぜこの島にいるんですか!?」
「うぅ……釣竿…………ん。あれ、少女ちゃんたちも来てたの?」
こちらを見て驚いたように目を丸くしている先生と、水着姿のアヤネと、壊れた釣竿を手に落ち込んでいる水着姿のシロコであった。
「?????」
少女は、いや他三人も先生たち同様に何故ここにいるのかが分からず、首を傾げるのであった。