もう一人の勇者   作:Katarina T

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少女、片付けミッション。

少女たち、アビドス校の皆と先生を加えたパーティーは、これからの予定について話し合っていた。

 

「ん。やっぱり人数も増えたし食料の確保が急務…早速釣りに行ってくる。」

 

「あっやっぱりそっちのシロコ先輩もそういう感じなんだ……そう言えばこっちのシロコ先輩は釣り成果はどうだったの?」

 

セリカの言葉にこの世界のシロコが思い出したようにハッとすると、何故か落ち込んだように狼耳が下を向いてしまった。

 

「えっと…どうしたの一体?」

 

「あーそれがね〜セリカちゃん……」

 

アヤネが釣りを始める直前にジャブジャブヘルメット団と名乗る集団とワカモという生徒に襲われて、それを撃退した時釣竿が壊れてしまったことを説明した。

 

「…ということがあったの。」

 

「またあの連中!ホントしつこいわね!」

 

「サオリ、ジャブジャブヘルメット団ってもしかして此処にきて初めてエンカウントした…あのパーティーですか。」

 

「話を聞いていると、その可能性が高いな…ワカモという生徒のことは知らないが…」

 

「えっ!あなたたちも奴らに襲われたの!?どんだけ見境ないのよあいつら!」

 

「こうなって来ると益々単独の行動は控えた方がいいだろうな……先生たちと合流できたことは幸運だったな。」

 

「ん。私はやっぱり釣りに行きたい。さっきも言ったけど、人数が増えたから食糧確保がもっと必要になったし……さあ一緒に行こう私。」

 

「……ん。でも釣り竿……」

 

「大丈夫…こんなこともあろうかと予備の釣り竿もちゃんと持って来た。これを使えばいい。」

 

「ん!流石私!準備がいい…じゃあ早速出発する。」(ダッ!)

 

「ん。善は急げ…皆大物期待してて。」(ダッ!)

 

そう言い残すと、シロコ二人は釣り道具を片手に走り去ってしまった。

 

「わー。シロコたち早いです。もうみえなくなっちゃいました。」

 

“ハハハ……よっぽど釣りがしたかったんだね。”

 

「いや、多分サバイバルがしたいだけよ。あの二人……」

 

「まだ話の途中だったんだが……まああの二人なら何とかなるだろう。最悪シロコのワープで切り抜けられる。」

 

少女たちは、シロコのことは一先ず置いて、まず初めにこのリゾート施設の片付けを終わらせることにした。

 

サオリが全体の指揮を取ることで皆が効率的に作業を進めることが出来たため、片付けや設備の修理は順調に進んでいった。

 

中でも少女は凄く張り切って作業をしていた。

 

「あ、少女ちゃんお疲れ様。照明交換ありがとね。」

 

「はい。ミッションクリアです。次は何処に向かえばいいですか。」

 

「あっじゃあこっち手伝ってくれない?この廃材を外に運びだしたいの。」

 

「分かりました。任せて下さい。」

 

「少女ちゃんよく働くね~私関心しちゃうよ~」

 

「うふふ、頑張り屋さんですね☆」

 

“それだけ早く終わらせて、皆と遊びたいんじゃないかな。”

 

「そっか~それじゃあ私ももう少し頑張りますか~……それにしてもあの玉便利だね。」

 

ホシノの視線の先にはアポカリプスのバリアを台替わりにし、多くの廃材をまとめて運んでいる少女の姿があった。

 

その他にも高い所の修理にはUFGで近付いて、アポカリプスのバリアを足場替わりに作業を行ったり、先ほどのように荷物運びの台替わりに使ったり、四機に全てにモップを装着させ一気に床の掃除をしたり、邪魔な倒木や岩などは、フルチャージのレーザーで文字通り消し飛ばしたりと……とにかく大活躍のアポカリプスであった。

 

“うーん……何だかいいのかなあんな使い方で……”

 

…………用意したリオは泣いていいかもしれない。

 

 

その後も順調に作業を進め、リゾート施設の片付けも終盤に差し掛かって来た頃、サオリがアヤネに話しかけてきた。

 

「そう言えばアヤネ、ここに来た時ヘリが故障して墜落したと言っていたな。」

 

「えっ、はい、そうですけど……」

 

「良ければそのヘリを見せてもらえないだろうか……もしかしたら修理できるかもしれない。」

 

「本当ですか!?」

 

「ああ…ヘリの状態にもよるが、修理に使えそうな資材をさっき見つけたからな。……君たちに世話になっているんだ、このくらいさせてくれ。」

 

「そんな世話になってるだなんて……私たちの方も助かってますし……でもありがとうございます。今、案内しますね。」

 

「ありがとう。……少女ちゃん達は、

 

「ユメ、ホシノ見て下さい。さっき部屋でこんな装備を見つけました。」

「少女ちゃん……なにそのお面…なんか不気味だね……」

「これは、隠されたレアアイテムに違いありません。早速装備します。」

「うへ~ちょっと、少女ちゃんには似合わないんじゃないかな。」

「私はいいと思いますよ☆ちょっと不気味でカッコイイです♪」

“この島で昔使っていたものかな。”

「ああっもう!皆!遊んでないで手伝ってよ!」

 

 

楽しそうだな。仕方ない、私達だけで行くとしよう。」

 

「あはは……そうですね。」

 

サオリは、少女達に少しこの場を離れることを伝えると、アヤネの案内のもとヘリの墜落現場までやって来た。

 

サオリはヘリの状態を調べると、幸いなことに見た目ほど酷くなく、少し時間はかかるだろうが問題なく修理を行うことができることが分かった。

 

その事にサオリが安堵し、アヤネの方を向くと、アヤネが少し落ち込んでいることに気が付いた。

 

「どうした……そんな顔をして?ヘリなら修理には時間がかかるだろうが、問題なく行えるだろうから心配する必要はない。」

 

「あ、いえ……確かにヘリのことは気掛かりでしたけど……そうではなく……」

 

サオリは、アヤネの方をじっと見つめ静かに話の続きを待った。

 

アヤネは、少し迷いつつもぽつりと話し出した。

 

「何だか……自分が情けなくて……」

 

「……情けない?……アヤネがか?」

 

「はい……実はこのヘリ、私が用意したものなんです……」

 

アヤネはこの島までやってくる前のことや来た時のことをサオリに話し出した。

 

アヤネ曰く、

 

このヘリは自分たちアビドス復興対策委員会の皆が毎月の借金返済をしながら、余ったお金をコツコツ貯めてようやく購入できた努力の結晶であること。

 

しかし、そんなヘリが出発前にちゃんと点検したにもかかわらず突如として故障してしまい、墜落させてしまったこと。

 

自分の運転がもっと上手ければ、ヘリを墜落させることも無かったかもしれない。いやそもそももっとちゃんと購入するヘリを選んでおけば、故障など起こさずにこの島にこれたかもしれない。

 

 

そんなもしもを想像してしまいアヤネは若干自己嫌悪気味に話を終えた。

 

サオリとアヤネは近くの倒木に腰掛けており、アヤネの話が終わると同時にサオリが口を開いた。

 

「それで……自分のことを情けなく思ってしまった……ということか……」

 

「はい……セリカちゃんやシロコ先輩たちは私は悪くないって言ってくれたんですけど……どうしても少し考えてしまって……」

 

「……………………。」

 

「……………………。」

 

二人の間に若干重い沈黙が流れた。

 

このままではいけないと、アヤネが話題を変えようとする前に、サオリが話し出した。

 

「私はアヤネのその考え方を否定するつもりはない。」

 

「………え?それはどういう………。」

 

サオリの言葉に少し目を丸くしているアヤネに向かいサオリは続きを話し出した。

 

「誰にだって迷い、後悔することはある

 ……………あの時こうして居れば良かった。

 ……………もっといい選択があったんじゃないか。

 ……………自分がもっとしっかりしていればまた違ったんじゃないか。

 なんてことをな………私もそうだったからな。」

 

「サオリさんもですか……?」

 

「ああ…何度も騙されて後悔して…………過去の己を憎んだりもした。」

 

サオリはゆっくりと何かを思い出すように瞬きをして再度話し出す。

 

「……今も時折後悔することもある………だが、昔とは少し考え方が違うんだ。」

 

「それはどういう風にですか?」

 

「………例え後悔するような事が有っても、その責任を自分一人で感じても……

 

 ………………私はそれを次に生かそうと思ってるんだ。

 

 私には……失敗しても助けてくれる頼れる仲間がいる………………

 

 私はそんな奴らの為に失敗も…後悔も…責任も……次に活かせる糧に変えようと………そう思っている。」

 

「次に活かす……糧………。」

 

サオリの言葉に何か考えるように下を向いた

 

そんなアヤネの肩にサオリは手を置きながら話し続ける。

 

「アヤネ…お前がいま感じている責任は…………お前が自分の仲間のことを思っている何よりの証拠だ。

 ……………だからこそ、そんなアヤネの想いを情けなく感じる必要はない。

 ……きっと次に活かせる糧にできるさ。」

 

「…そうでしょうか?」

 

「保証は出来ない………だが、私はそう思っている。」

 

「…………はい、分かりました!私も次に活かせるよう頑張って見ます!」

 

アヤネはそう言いながら立ち上がった。

 

その顔はもう、普段のアヤネらしい表情に戻っていた。

 

それを見てサオリも安堵し、立ち上がると「そろそろ戻ろう。余り遅くなると、先生たちも心配する」と言いながら、リゾート施設の方へと進んで行こうとすると、

 

 

「あっあの!話を聞いてくれて、ありがとうございました!!」

 

 

アヤネがお礼を言いながら頭を下げて来たので、サオリは「気にする必要はない。」とだけ返すと、今度こそリゾート施設の方へと足を進めた。

 

アヤネも置いて行かれないように、サオリの後をついて行った。

 

 

 

………………その後帰って来た二人が先ほどより少し仲良くなっていることに少女たちは不思議に思っていた。

 

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