もう一人の勇者   作:Katarina T

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少女、浜辺の語らい

少女たちが楽しい時間を過ごした後、花火のゴミなどの片づけを済ましていたら、もうすっかり夜になっていた。

 

少女ちゃんチームやアビドス校の皆が疲れて寝てしまっている中、先生は一人夜の浜辺へと散歩にやって来ていた。

 

昼間の皆が騒がしく遊んでいた時とは違い、先生一人だけの夜の海は波の音がザザァ……と鳴るのみで静かで落ち着いた雰囲気を作り出していた。

 

そんな浜辺を夜風を当たりながら先生が散歩していると、突然背後から声をかけられた。

 

「ここにいたんだねぇ~先生。」

 

“ホシノ………?”

 

声を掛けて来た方に先生が視線を向けると、そこにはホシノが立っており、先生に向かって軽く手を振りながら近寄ってきた。

 

“ホシノ寝てたんじゃないの?”

 

「ん?いや暑くて目が覚めちゃったんだよね……。そしたら先生の姿が見えなかったから探しに来たんだよ~。こんな夜遅くに何してたの?」

 

“ホシノでも寝苦しくなることってあるんだ…………私は、風に当たりに来たんだよ……ここが一番涼しいからね。”

 

「ああ~確かにそうだね。海風が通って気持ちいいや………。それじゃあ私も涼んでいこうかなぁ~」

 

ホシノはそう言うと先生の隣に並び、砂浜に二人揃って腰を落とした。

 

 

 

ザザァ……………ザザァ…………………

 

少しの間二人は特に会話をすることなく夜風を浴びながら、海を眺めていると……ホシノが小さく呟くように声をこぼし始めた。

 

「……先生。………今日は本当に楽しかったね……………。」

 

“ホシノ………?”

 

先生は何処かいつもと違う雰囲気のホシノが気になり、ホシノの方に視線を向けた。

 

視線を向けられたホシノは、変わらず海の方を見ながら言葉を続けた。

 

「シロコちゃんも、ノノミちゃんも、セリカちゃんも、アヤネちゃんも、皆………本当に楽しそうに笑えてた……………私も」

 

先生は何も言わずにただ黙ってホシノの話に耳を傾ける。

 

「………先生、前に水族館に行った時ね…私、自分一人がこんなに楽しんでいいのかなって思ってた……………

 

 先生はその時、余計な心配だって言ってくれたけど、あの時の私はそう思えなかったんだ……

 

 何も守れなかった私が、幸せな青春を送ってもいいのかなって……

 

 シロコちゃん達を……アビドスを守ること、

 

 それしかもう自分にはないんじゃないかって…………勝手に思ってた…………今思えば本当に馬鹿だよね。」

 

ホシノは、ゆっくりと言葉を続けながら目線を少し上に向けた。

 

まるで昔の光景を眺めるように夜空の星を眺めて、今日の思い出を振り返っていた。

 

「でもね……今日とっても楽しかったんだ……対策委員会の皆と先生…………少し驚いたけど、ユメ先輩、少女ちゃん、もう一人のシロコちゃん、サオリちゃん……………皆と過ごしたことが。

 

 その時ねやっと分かったよ……なんであの時自分一人がって思ったのか……………

 

 ……私の幸せはね、先生…………皆と一緒にいることだったんだよ

 

 私一人じゃなくて、皆と見たかったから、ああ言ったんだよ。」

 

“そっか………それじゃあ今度は皆で行こうか。”

 

「ふへへっ期待してるよ先生♪

 

 ……………………。

 

 先生、私今が本当に幸せなんだ………

 

 アビドスの借金の問題だってまだ解決してないけど、そんなことを一切考えずに思いっ切り楽しんだ、今日みたいな日があることが……まるで奇跡みたいで今でも信じられないくらいだよ………。」

 

ホシノはそう言うと持っていたクジラのぬいぐるみを抱きしめながら少し俯いて、話し続ける。

 

「でも、幸せ過ぎて少し怖くもあるんだ……こんな夢のような時間がいつか覚めるんじゃないかって、もしかしたらまた何か有って今の幸せな時間が幻のように無くなっちゃうんじゃないかって………

 

 …………また、無くしてしまうんじゃないかって…………そう、思っちゃうんだよね……………。」

 

“ホシノ…………それは、”

 

「な~んて、こんな事突然言われても困っちゃうよね~。忘れていいよ先生。今言ったことは夏の夜の海だから言った単なる気の迷いだったってことで~。」

 

先生が何か言う前にホシノがその様に言い会話を有耶無耶にしようとする。

 

それでも先生は、先ほどの発言が気になり、ホシノに話しかけようとするが、その前にホシノに声を掛ける人物がいた。

 

無くなったりなんかしないよ。ホシノちゃん。

 

「っ!?……ユメ先輩。」

 

ホシノが驚いて声の方に視線を向けると、ユメがこちらに向かって歩みよって来ていた。

 

ユメは「よいしょっと」と言いながらホシノの隣に腰かけると、二人に視線を向けながら会話に参加して来た。

 

「二人して夜の浜辺でなに話してたのかな~。私も混ぜてよホシノちゃん。」

 

「………ユメ先輩さっきの話。」

 

「うん。偶然だったけど、聞いちゃった。」

 

「そうですか……。」

 

「その上でもう一度言うけどね………ホシノちゃんが心配してる事になんて絶対にならないから、安心していいよ!」

 

「………どうして、そう言いきれるんですか。…………何が起こるかなんて、分からないじゃないですか………」

 

ホシノは、先ほどよりも不安げな顔になり、クジラを抱きしめる力を強くしながら、ユメに問いかけた。

 

ユメはそんなホシノの方をしっかり見つめながら、はっきりと話し始めた。

 

「だって私達は一人じゃないからね。」

 

「……………え?」

 

「ホシノちゃんにも、私にも仲間がいるでしょ、危ないとき、不安なとき、寂しいときに傍にいてくれる………そんな大切な仲間たちが………」

 

「それは……」

 

ホシノは思い出す。

 

かつて自分一人が犠牲になればと考えて、勝手に行動した挙句、大人に騙されて捕まって、それが原因で取り返しのつかない事になってしまっていたことを…………

 

そして、そんな馬鹿な自分を助けに来てくれた対策委員会の皆と先生のことを。

 

「私も前に今のこの時間が幸せで、まるで奇跡みたいでいつか消えちゃうんじゃないかって思ったことがあったんだ………」

 

ユメも少し前のことを思い出す。

 

記憶を失って、これからのことに不安しかなかった自分をパーティーに誘ってくれた時を。

 

オペラハウスで少女と話した、何度でも自分をパーティーに誘うと言ってくれたことを。

 

「………確かに今が幸せだと、この時間がいつか終わることが不安になることもきっとある。

 

 もしかしたら、これから本当に大変なことが起こってしまう事があるかもしれない。

 

 けどね………ホシノちゃん、私達は一人じゃないの………傍でこうして手を握ってくれる人がちゃんといるの。」

 

そう言いながら、ユメはホシノの手を優しく握る。

 

ホシノは握られたユメの手を握り返しながら、ユメと視線を合わせる。

 

ユメはずっと優しい安心させる穏やかな笑みを浮かべながら、ホシノの方をジッと見つめていた。

 

「これから何が有っても、それだけは忘れちゃダメだよ。自分一人で、解決できない事でもこうして手を取り合えば解決出来ないことなんて何にもないんだから………

 

 ………それに私達には、いざとなったら頼りになる大人や勇者様だっていてくれるんだから!」

 

「ですよね先生!」と先生に向かって声を掛けて来たユメに、先生は自信の籠った声で堂々と“勿論!いつだって力になるよ!”と返した。

 

先生の返事に嬉しそうに頷くとユメは再度ホシノに向き直った。

 

「ほらね!先生だってこう言ってるんだから、何にも不安に思うことなんてないんだよ。」

 

「…………ふへへ♪そうですね。

 

 ……うん。本当にその通りです。」

 

ユメの言葉に今度は先ほどの無理した顔でない、心の底から安心したような表情になると繋いだ手を離さないまま再び夜空を見上げた。

 

先生もホシノの様子に安堵し、同じ様に星を眺める。

 

「それにしても、どうして突然こんな話をしてるの?」

 

「えっ!それはその……………真夏の夜の海だからですよ。ね、先生!」

 

“そうだね。「ここだけの話」ってやつかな。”

 

「ああ…なるほどいいですね。それじゃあ、もう少しだけしましょう「ここだけの話」!」

 

「ま、まだやるんですか………私、もう恥ずかしいんですけど…………」

 

「ええ……私もっとホシノちゃんと話たいんだけどなぁ~。」

 

“まあいいんじゃないかな。せっかくの真夏の夜の海なんだし。”

 

「先生も………しょうがないですね。」

 

その後少しの間、先生とホシノとユメの三人は真夏の夜の海で「ここだけの話」を楽しむのだった。

 

 




その頃の勇者さん

   ( ˘ᵕ˘ )zzz
|  ベット  |

遊び疲れて熟睡中…………

今回、少女ちゃん全く出てこんかったな。
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