『ホシノ先輩!少女ちゃん!無事ですか……ってええ!?何があったんですか!』
“ああ………アヤネかい………うんこっちは大丈夫だよ…………ていうか、もう片付いちゃったよ。”
突然のワカモとヘルメット団の襲撃より少し経ったころ通信機からアヤネの焦った声が聞こえて来た。
どうやら先ほどの警報や向かってくるホバークラフトを目撃したから、急いで準備を整えた後、ヘリに乗って駆けつけてくれたようで、上空には修理を終えたヘリが滞空していた。
ヘリにはアヤネの他にも対策委員会の皆や少女のパーティメンバー全員が乗って来ていたようで、続々とヘリから地上に降りて来た。
「……ん。助けに来たけど………」
「うわー………」
「あはは……遅かったみたいですね…………」
降りて来た対策委員会の皆は、言っている内容こそ違えど、皆アヤネと同じ感情を抱いていた。
“あっ皆も来てくれてありがとう。”
「ん。それはいいけど………先生いったい何があったの?」
対策委員会の皆を代表して、シロコが先生に問いかけると、先生は砂浜に
“うん。まあ………見ての通り終わったよ。”
先生たちの居る砂浜はそれはもうひどいことになっており、島から伸びていた砲塔や機関銃は根こそぎへし折られており、至る所に銃撃戦や爆破痕があり、所々地面がえぐれている。
極めつけは、打ち上げられたホバークラフトであり、最早原型が辛うじて残っているレベルでボロボロに大破した状態で浜辺にひっくり返っていた。
戦闘というか戦争でも起こったのかと錯覚してしまうくらいの状況をこの短時間で作り出した張本人たちはというと、
「ぱんぱかぱーん。戦闘終了。私たちの勝利です。」
「ふわぁ~久し振りにハッスルし過ぎちゃったよ~」
少し離れた所で無邪気にはしゃいでいたり、あくびをかいたりしていた。
少女の近くには、襲って来たラブを含めたヘルメット団の子たちが砂浜に倒れており、ある者は余りの恐怖で震え、ある者は余りの理不尽さに涙し、ある者はやっぱりこうなったかと達観した顔で空を眺めていた。
…………完全に地獄絵図とかしてる方向に少女パーティーは気にした様子もなく二人を労いに行き、先生と対策委員会の皆は、見ないよう目を逸らしながら何が起こったのか話していると、先生に向かってワカモが多少ふらつきながらやって来た。
対策委員会の皆が警戒する中、先生は手で皆を収めるとワカモの方に近付いた。
“……………ワカモ。”
「申し訳ありません、あなた様。私が至らないばかりに………。」
ワカモは、心から申し訳なさそうに先生に頭を下げ、肩を落としている。
「ですが、このワカモ、絶対に諦めません………!必ずあなた様を…………!
私にお時間をください。今度こそ、今度こそ必ず………!」
だが、ワカモはここで終わるような子ではないようで、既に気持ちを切り替えて次の計画を立てようとしていた。
そんなワカモに先生は、落ち着かせながら話しかける。
“ワカモ、それは誤解だよ。私は大丈夫だから………”
「…………え。…誤解…………とは、どういう………。」
先生の言葉にワカモは困惑しながら、身に着けていたキツネのお面を外しながら、先生を見た。
そんなワカモに先生は近付いて、頭を撫で始めた。
「……………っ!?せ、先生……!?」
“大丈夫。ワカモの気持ちは、ちゃんと受け取ったから。……あと水着姿とっても可愛いよ。”
「………。…………。」
その様な先生の行動と言葉にワカモは何も言うことなく、固まってしまう。
「………あら?」
“……あら………?”
少しの間が空くとワカモは現状を正しく認識したのか、はたまたただ単に恥ずかしくなったのか、顔をドンドン赤くしながら、
「し、し…………。」
「失礼いたしましたーーーーー!!」
遂に限界がきたようで、そう言って先生から全力で逃げ去って行った。
「…………結局なんだったのよ!?」
セリカの発した言葉は、この場にいる全員の総意であるように感じられた。
ワカモと先生が会話をしている頃、少女側はと言うと、ユメやサオリ、シロコの少女パーティーと合流した少女とホシノは、先ほどの戦闘についての話を済ましていた。
「ええ……それじゃあ少女ちゃんとホシノちゃんだけで、全員やっつけちゃったんだ。うん、すごいよ二人とも!」
「……先ほどホバークラフトで接近しているのが見えたので、急いでヘリでの迎撃を用意していたんだが……必要なかったようだな……」
「ん。二人とも流石。」
「えへへ、ホシノが私に合わせてくれたおかげです。」
「いやいや、少女ちゃんが頑張ってくれたおかげだよ~」
少女とホシノはお互いに戦闘での活躍をたたえ合った。
そんな二人を見ながら、ユメは何やら考え込むように、頬に指を当てていた。
「う~ん…何だか最強タッグって感じだなぁ……嬉しいけど、なんか寂しいよ~」
「そう言うな、二人での連携とは違うが、私たちには私たちなりのチームとしての連携があるだろう。」
「ん。寂しがらなくていい。私達はいつも一緒にいる。」
「うわ~ん!サオリちゃん!シロコちゃん!ありがとう!」(ダキッ!)
「……一体何やってるんですか……ユメ先輩。」
「アハハ。皆、仲良しですね。」
ユメが二人の言葉に嬉しくなり抱きついているのを、ホシノは呆れたように、少女は嬉しそうにしながら見守っていた。
するとユメに抱きつかれているサオリが、思い出したかのように、少女に向かって話しかけた。
「ああそうだ、忘れるところだった。少女ちゃん……先ほど仕事の依頼が入ってな……残念だがバカンスはここまでだ。」
「えええ。そうなんですか…………」
サオリの言葉に露骨にガッカリとした少女は、肩を落として表情を少し暗くしてしまう。
すると、横で見ていたホシノが少女の頭を撫でながら、優しく話しかけた。
「そんな顔しなくてもいいんだよ少女ちゃん。」
「ホシノ……でも…」
「なぁに名残惜しいなら、また今日みたいに皆で何処か遊びに出掛けようよ。私も少女ちゃんたちと行きたいところいっぱいあるんだからさ。」
「そうそう!ホシノちゃんの言う通り!また皆でお出かけしよう!その時今日以上に楽しめればいいんだよ少女ちゃん!」
「…………はい。そうですね。今回のイベントはここで終わりますが、また新しいイベントがありますよね。私、今から楽しみにしておきます。」
ホシノとユメの言葉でいつもの調子を取り戻した少女は、もう既に次のイベントに思いを馳せて想像を膨らませていた。
そんな少女の姿に安心した表情を浮かべたサオリは、一呼吸置くと、少女達に指示を出し始めた。
「さて………それでは早速準備を開始するか………少女ちゃんたちは先にホテルに行って持って来た荷物を纏めておいてくれ、私は先生達に事情を説明した後で向かう。」
「はーい。サオリよろしくです。………ではホシノ、また会いましょう。」
「じゃあねっホシノちゃん!また遊ぼうねっ」
「今回のバカンスは、本当に楽しかった………ホシノ先輩、またね。」
サオリが先生の方に向かって行くと、少女とユメとシロコはそれぞれホシノにお別れの言葉をいい泊まっていたホテルに荷物を取りに向かった。
ホシノはそんな三人の姿が見えなくなるまで手を振っていた。
「うん………またね……」
少女たちが、ホテルから荷物をヘリには運び終わった頃、少女は少し気になったことをサオリに聞いていた。
「そう言えばサオリ、随分突発的にクエストが発生したようですが、目的地はいつものブラックマーケットですか。」
「いや、いつものような依頼だったら、断っていたんだが…………どうやらその依頼人があのチケットの送り主らしくてな………集合場所もこの近くの島のようだったから断るのもどうかと思ったんだ。」
「へえー世の中すっごい偶然だね…………まあ色々あったけど、こんなに楽しい所に招待してくれたお礼も出来るし、受けるのは賛成だよ!」
「そうですね。私もユメの言う通りだと思います。ところでサオリ、依頼人はいったい誰なんですか。」
「それ、私も気になってた………サオリ、誰。」
「ん。ああ、それは………