「まあ立ち話もなんだ座りたまえ。」
少女とサオリが部屋に入るとカイザー営業職員がそう言いながら目の前に置かれているソファーに座るよう勧めた。
少女とサオリは促されるままソファーに腰かけると、早速依頼の内容について尋ねるため、少女がカイザー営業職員に話しかけた。
「先ずは初めましてと言っておこうか、カイザー営業職員よ……我がこのチームのリーダーであるG1だ。早速ではあるが、依頼の内容について聞こうか。」
「ほう…。来て早々に報酬の話ではなく依頼内容の確認とは、聞いていた通りそこいらの不良共とは違うらしいな。」
「…………そちらは我らの事を馬鹿にしているのか。」
「いやいや、ほめているのだよ。君たちが噂通り優秀な人材だという事をね………どんな依頼も確実に達成する、とても腕の立つ集団だと聞いているよ。いやはや実に素晴らしい!諸君らならしっかり役に立ってくれるだろう。」
「過剰な世辞などいらんよ………それよりも要件を話すがよい。こちらも暇ではないのでな。」
「そうだな。無駄なお喋りはこの辺にして本題に入ろうか…………君たちにやってもらいたいのはこの島にやってくるであろう害虫共を駆除してほしいのだよ。」
「………害虫……か。」
「そうとも、我々カイザーコーポレーションは信頼の上で実にクリーンな営業を心掛けているのだが、成功者を妬む馬鹿どもはどこにでもいるものでねぇ………かく言うこのオクトパスバンクにも、この素晴らしいリゾート企画を邪魔しようとしている輩がいるのだよ。君たちには万が一その馬鹿どもが、この島にやって来た際の駆除を頼みたいのだよ。」
「………つまり我らにこの島を…延いては其方を守ってほしいということであるな。」
「ああ、その通りだよ。」
「…………分かった、その依頼受けようではないか………」
「…………いいのか、G1?」
「ああ、護衛任務なら偶にあるからな……かまわないだろう」
「話が早くて助かるよ。……ではよろしく頼むぞ、
その後部屋に案内したオートマタに見送られるような形でその施設を後にした少女とサオリが、ユメとシロコが待機しているヘリまで向かっている途中で、サオリが少女に話しかけきた。
「なあ…少女ちゃん…」
「なんですか、サオリ。」
「先程依頼主が言っていた万事屋フェリクスとは、一体何なんだ。」
「さあ…………あっそう言えば前におばあさんが私たちのチーム名を聞いてきたことがありました。その時は私とユメの二人だけだったので、特に思いつかず保留にしていたのですが…………」
「人数が増えたので勝手に名付けて、伝え忘れていたっと言ったところか…………時折おばあさんは、適当というかいい加減になることがあるな。」
「いいじゃないですか。私はこのパーティー名とっても気に入りましたよ。ぱんぱかぱーん。万事屋フェリクス結成です。」
「……結成とは、違うと思うのだが…………まあ、いいか……」
自分たちのパーティーに名前が付いたことに少女は、喜んでおり直ぐにユメとシロコに伝えに行きたそうな雰囲気を放っており、サオリは少女が言っていることが何か違うような気がしつつも少女の嬉しそうな様子を見て、細かいことは気にしなくてもいいと思い、言葉を飲み込んだ。
少女とサオリが、ユメとシロコの下に戻って来ると…………
「シロコちゃ~ん…よしよ~し、いい子だね~」
「うぅぅん……ユメの手、気持ちいい………撫でるの上手い………」
ユメがシロコの頭を絶賛撫でている真っ最中であった。
「…………何をしてるんだ。お前たちは………」
「あっ少女ちゃん、サオリちゃんお帰り~」
「二人とも無事に帰ってきて……安心した。」
「ああ、問題なく依頼人との話はすんだが……改めて聞くがさっきから何をしてるんだ……」
少女とサオリに話しかけている間も、依然ユメの手はシロコの頭にのせられており、撫でることを辞めずにいた。
「いや~最初は、少女ちゃんと同じ様にシロコちゃんの機嫌を取ろうと思って、やってたんだけど…………シロコちゃんの犬耳がモフモフで触り心地よくって……ついつい、やめるタイミングを見うしなっちゃってね……」
「その気持ち私分かります。シロコの犬耳はモフモフで柔らかくって……ずっと触っていたくなる魅力を持ってます。私も何時もその魅了にあらがうのに苦労します。」
「……いやだとしても、私たちが別行動をとってから、今までずっとやっていたのだろう…………流石にどうなんだ。というか撫でられてるシロコはいいのか。」
「私は問題ない。……ただ私の耳は狼耳…………決して犬耳じゃない」
「気にするところはそこなんだな………」
「折角ですし、サオリもシロコの頭を撫でてみるといいです。そうすれば私たちの気持ちが分かるはずですから。」
「ん……。サオリ撫でる………?」
少女の発言にシロコも乗っかるような形で、若干期待のこもった眼差しでサオリの事をじっと見る。
サオリはシロコの視線を受けて一瞬撫でようかと思ったが、今はそれよりも情報の共有を済ませる方が先だと考え、「私は……また今度な」と言い、シロコの申し出を断った。
その後、少女たちは今回の依頼の詳しい内容の説明とブリーフィングを行う為に、用意してある待機場所に移動した。
少女たちが待機する場所は、島の入口より反対方向にあるやや大きめの民家を改造したテラス付きの喫茶店のような場所であり、中の内装もリゾート島の雰囲気に合うようにデザインされている。
「な、何だか待機場所にしてはおしゃれな所だね……普通の喫茶店みたい………」
「ここが、セーブ地点なんですか。」
「……間違いない……ここだ……」
外も中も普通の喫茶店であったことに全員が場所を間違えたのでは……と思ったがサオリが渡されていた地図を再度確認し、この場所で間違いないことが分かると、少女たちはその建物の中に入り適当な席に腰かけた。
「それにしても、ずっと思ってたけど、この島あんまり人がいないね………人が集まりそうな施設はいっぱいあったけど………ここだってこんなにおしゃれなんだし、普通に喫茶店をすればお客さん来ると思うんだけどなぁ………」
ユメはこの島に来てから、自分たち以外の生徒や観光客の姿がないことが不思議なようで、小首をかしげていた。
「未だ開発途中だからというのもあるのだろう……どんな理由があるにしろ、私たちのやることは変わらないさ………」
「この島の防衛クエストですね。」
「ああ、私たちの役目は万が一この島に敵が攻めてきた際に敵を追い返すことだ、それ以外の事は今気にする必要はないだろう…………」
「……さっさと終わらせて帰りたい…………」
「シロコちゃん……よっぽど今回の依頼嫌なんだね……」
「ん!」
その様な雑談を交えながら、今回の依頼内容のおさらいをして時間を潰していると、少女の持っていた端末から連絡が入ってきた。
それは少女たちに立ち向かうべき敵が現れた合図だった。
「どうやら…我々の役目を果たす時のようだな…皆行くぞ。」
少女がヘルメットを被りそう言うと、建物から外へ出ていく。
他メンバーもヘルメットを被りながら少女の後を黙ってついていく。
外に出た少女たちは、戦闘音が鳴り響いている場所……今戦場となっているであろう場所に向かって気を引き締めつつ向かって行った。
果たして……少女たちの向かう先に待ち受けている敵とは…?