少女たちに連絡がくる少し前、色々な事情があってシズコたちお祭り運営委員会の子たちと一緒に各地のロストパラダイスリゾートの島々を巡っていた先生は、最後の島で今回のリゾート狩りというアビドス対策委員会や、気づいていないが少女たちも巻き込まれた騒動の原因であるカイザー営業職員と互いの主張をぶつけ合っていた。
カイザーは相変わらず甘い言葉で生徒を騙し、利益を得ようとシズコたちに新たな取引を持ち掛けてきたが、シズコたちのお祭りを思う純粋な心を動かすことはできなかったようで、カイザーの提案をきっぱりと断った。
シズコたちの説得が無理と判断したカイザー営業職員は心底バカにしたような口調で、先生とお祭り運営委員会に向かって話しかけた。
「全く本当に理解出来ぬことだよ………この様なチャンスをそんな下らない理由で棒に振ってしまうとは…………まあいい。ここで怒ったところで滑稽なだけでしかない。そちらがその様な態度なら、こちらもヘルメット団の名をもって『リゾート狩り』をするだけだ。ラブ、全員集めろ!」
カイザー営業職員は余裕たっぷりの口調で自身の隣にいる何処かで見覚えのある生徒…………少女たちに散々な目にあわされたラブに向かって指示を出した。
「あはは!その言葉を待ってたよ!………全員集合!」
(((((ダッダッダッダッダッダッダッ!!!!)))))
ラブの号令で、一体何処に潜んでいたのか大量のカイザーのオートマタ兵やヘルメット団が武器を構えて、先生とお祭り運営委員会を取り囲んだ。
「あわわわわ!もも、ものすごい数ですよ!?どうしましょう、主殿!?」
「まあ、お祭りと言えばお祭りなんですけど……どうします?社長。」
「みんなで、お祭りするの?」
余りの敵の数の多さに、イズナは慌ててしまい、ウミカはシズコに指示を仰ぎ、チセは……まあお祭りのことを考えていた。
「と、とにかく後退しながら逃げ道を……!」
流石にこの人数で相手できる数ではないことを察してシズコは一旦この場を離れようと皆に指示を出した。
……しかし、そうはいかないとばかりに数人がシズコたちの後ろに回り込んでくる。
“まずい!囲まれ………た?”
先生が後ろに回り込んだ人物を確認すると、そこにいたのは………
「よ~し、作戦成功。」
「これ、成功したの!?ていうか、本当にこれでいいの!?」
「それだけすごい作戦だったってことですよね~☆」
「ん。『
水着姿で顔に覆面を被っている対策委員会の皆だった。
“…………。”
「……………………えっ?えええええ!?」
余りの登場の仕方に先生は言葉を失い、シズコは驚きのあまり絶叫している。
実は今回の騒動にカイザーPMCが関わっていることが分かった時、アビドスの子たちが解決に協力してくれると言ってきており、先生たちとは別行動で各地の島々を巡って貰い、最後の島であるここで合流することになっていたのだ。
その際ヘルメット団との戦闘が予想されると考えて、ホシノ達から何やら策があると事前に聞かされていたのだが…………流石にまさかの展開過ぎる。
しかし、混乱しているのは何も先生たちだけではなかった。
「……ちょっと、何してんの?早くあいつらの退路を塞ぎなって!」
ラブはまだホシノ達の正体に気付いていないのか、少し困惑しながらも指示を出している。
そんなラブにカイザー営業職員が戸惑ったような声色で話しかけて来た。
「…………待て。ラブ………。貴様が言っていた腕の立つ新入りというのは、まさか……」
「新入りがどうした?」
本当に何が起こっているのか理解できていないラブの下にホシノが近づき覆面をぬいで見せた。
「うへぇ~。」
「ぶーーーっ!!ああ、ああんたは…………!あの時の………ばっバケモノピンクッ!」
「…………。」
「………あらあら。」
「あ、先生。蝶々………」
「あ、アビドスだと……!何故貴様らがここに!?ラブ、これはどういうことだ!?」
カイザー営業職員が大声でラブに問いかけるが、ラブからの返事が一向に来ない。
カイザー営業職員が不信に思いラブの方に視線を向けると、
「ああわわわわああああわわわわあああ…………」(ガタガタガタガタ)
「ラブー!どうしたというんだ一体!?」
ラブは白目を向いて、ガタガタとその場に倒れて震えているだけだった。
いや、正確にはラブだけでなく、周りにいたヘルメット団の子たちもホシノの姿を見た途端「ギャー――!!」と絶叫する者や気絶するものへたり込んでしまい泣き出してしまう者などが続出していた。
「先生………一体ホシノさんは、あの子たちに何をしたんですか…………」
“あはは……………聞かない方がいいよシズコ”
どう見ても尋常じゃない様子のラブ達をみて、シズコとカイザー営業職員………それ以外のこの場にいる人達は一体何が起こっているのか分からずただ困惑するしかなかった。
唯一事情を知っている先生は…………あの時の光景を思い出しながら、ただただ彼女たちのことを不憫に思うことしか出来なかった。
「くっ本当にどうしたというのだ!いやそもそもなぜここにアビドス連中が………私はあくまで騒動を起こす問題児のみを選んで使用権をまいたはず……。貴様ら一体どうやってここに来たというのだ!?」
“それは、セリカがチケットを当てたからで…………そういえば、セリカがどこでチケットを当てたのか聞いてなかったね”
「えっ?どこって………柴関ラーメン屋で大将がやってたくじで、だけど……。」
「「「…………。」」」
“そういうことだったんだ。”
そう、今回アビドス組が関わってしまったのは本当に偶然のことであり、カイザー側は何一つ介入していないのである。
カイザーからしたらとんだ不運なことではあるが、やっていることがやっていることであるため全く同情することができない。
そして反対にお祭り運営委員会からしたらとても幸運なことであった。
何せ対策委員会の皆が先生を一緒に連れてきたおかげで、今回の騒動にいち早く気づくことができ、早めに対策を打つことが出来た上に、単純な戦力としても心強い。
対策委員会のというかホシノのおかげで相手のヘルメット団はほぼ全員が戦意喪失しているこの状況………既に勝負は決まったも同然なほどであった。
“よしそれじゃあ、百鬼夜行とアビドスの共同作戦スタート!”
「「「「「「「「おー!」」」」」」」」
先生の言葉に皆が元気よく声を上げる。
しかし、カイザー営業職員はこんなにも劣勢な状況で有っても、今尚余裕の雰囲気を崩さなかった。
「ふん!もう勝ったつもりか!だが生憎こちらもこの様な場合の備えはしっかりしているのだよ。おい!あいつらに連絡を取れ!奴らにこの馬鹿どもを駆除させるんだ!」
カイザー営業職員は近くにいた部下にそう指示を出すと、先生達との戦闘に移っていった。
そして……戦闘開始から少し経つと、先生達の方向に無数のレーザーやミサイル、手榴弾が叩き込まれた。
“っ!?皆よけて!”
「「「「「っ!?」」」」」
ドォォォッガッッアアアアアアアアアアアン!!!!
先生の咄嗟の指示で全員が直撃こそ避けたものの、余りの爆風で陣形が崩れて、若干のパニックを起こしてしまう。
「やっと来たか……ふははこれで貴様らは終わりだ。」
“一体何が……”
先生が攻撃を着てきた方向に視線を向けると、その先には黄緑色のヘルメットを被った4人のヘルメット団が戦場にやって来たところだった。
「こちらG3戦場に到着、先制攻撃に成功。これより作戦を………えっ?」
「どうしたのG3…………っん?」
「二人ともどうし…………ひぃえ!?」
「皆、何をしているのだ。何か問題でも………………????」
“………………。”
先生と突然現れた4人のヘルメット団とが互いに顔を見合わせて固まってしまいその間に奇妙な空気が生まれる。
…………そしてまるで打ち合わせでもしたかのように、全員が一斉に言葉を発した。
「「「「“なんでここにいるの(だ)(ですか)?”」」」」