もう一人の勇者   作:Katarina T

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少女、依頼失敗…?

少女たち……万事屋フェリクスと先生が互いになぜここにいるのか分からず、困惑しながら見つめ合って固まっていると、カイザー営業職員が勝ち誇ったような口調で先生達に向かって話し出してきた。

 

「ふはは!素晴らしいタイミングだ万事屋!こいつらは、そんじょそこらのチンピラ共とは格が違うぞ!さあ先生、覚悟して貰おうか!」

 

少女達と先生の様子が目に入っていないのか、まくしたてる様にそう言いきると、今度はお祭り運営委員会とアビドスの方を指さしながら少女たちに指示を出してきた。

 

「さあ、やれ!万事屋!あの身のほど知らずの馬鹿どもに変に首を突っ込むとどうなるのかを教えてやれ!」

 

 

 

「………ん。分かった………」

 

 

 

カイザー営業職員の言葉に一番最初に反応したのは、意外にもシロコであった。

 

シロコはゆっくりと自身の持っている銃を構えると、標的に狙いを定めて躊躇なく引き金を引いた。

 

(ドガガガガガガガッ!!)

 

シロコは銃弾だけでなく、いつの間にかドローンを召喚し、そこから数発のミサイルも一緒に発射した。

 

放たれた銃弾とミサイルは、シロコの狙い通りの場所に飛んでいき…………

 

 

ドオオオオォォォン!!!

 

「「「「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」」」」

 

 

カイザー営業職員たちの方で着弾……大爆発を起こした。

 

シロコの攻撃により、数名のカイザーのオートマタが吹き飛んで行く。

 

突然の攻撃にその場にいた全員が言葉を失って唖然としている中、攻撃したシロコ本人だけは冷静に次の行動に移っていた。

 

シロコはカイザーの群が動揺し、行動が出来なくなっている隙に自身が持っている銃をノノミのミニガンに持ち替えると先ほどのとは違い今度はなるべく広範囲にダメージが入るように弾幕を放った。

 

勿論弾丸の軌道上に対策委員会やお祭り運営委員会の皆が入らない様にうまい具合に調節されており、カイザーの兵力だけを次々と無力化していく。

 

流石にこれだけ攻撃されていたら、カイザー側も応戦しようと武器を構えるが…………遅い。

 

カイザーのオートマタが銃を構えた頃には、既にシロコはワープゲートでカイザー軍の真後ろまで移動しており、がら空きの背中に容赦なく銃弾とミサイル、果てには手榴弾の雨をお見舞いしていく。

 

更にシロコの攻撃はそれだけではなく………ホント一体どこから呼んできたのかシロコの上空に無人のヘリがいつの間にか飛んでおり、そこからシロコの援護として、機関銃やミサイルがカイザー兵に向かって飛んでいきカイザー兵の被害がさらに加速していく。

 

一対軍隊という本来なら戦うまでもなく、勝敗が分かり切っているはずの戦にすらならないであろう戦闘は…………たった一人が雑兵どもを蹴散らしていく、まさしく無双ゲームのような絵面に成り代わっていた。

 

 

 

一方他のフェリクスメンバーはというと、シロコが突然予想外(ある意味当然)の行動を始めてしまい完全に置いてけぼりを喰らっており、いつもならこんな時でもシロコと一緒に敵に向かって行く少女ちゃんやシロコの行動を止めてくれるユメやサオリも偶然にも先生にあった事やその先生達が相手しなければならない敵だった事、何よりヘルメットで顔こそ見えていないが、シロコが過去一のやる気で暴れていることなど、とにかく一瞬のうちに起こった事が衝撃的過ぎて、脳の処理が追いついておらず、未だ固まって動けずにいる。

 

それに動けずにいるのは、少女達だけでなく、先生側もそうであった。

 

……まあ無理もない事だろう。

 

何せ突然攻撃を仕掛けられたかと思ったら、攻撃してきた張本人が今度は自分たちの敵………()いては味方であるはずの兵達も蹂躙しているのだから…………(しかもものすっごいやる気を漲らせながら…………)

 

お祭り運営委員会からしたら、何が何だか分からない………というか普通に考えて意味不明で怖いことであり、ただ黙ってその蹂躙劇を見守ることしか出来ず、シズコはどうすればいいのか本気で分からなくなり呆然としていた。

 

対して、対策委員会の方は蹂躙してる者の正体が、身に着けているヘルメットやその戦い方から別世界シロコであることを直ぐに見破り、サオリから依頼が入ったことを聞いていたことで、なんとなくだが状況を察することができた為、シズコ達とは違い直ぐに正気に戻っていたが、今も目の前で繰り広げられているシロコの暴れっぷりに参戦すべきか、このまま大人しくしておくべきか悩んでいた。

 

すると、今まで黙っていた対策委員会側のシロコが、手に持っていた銃を構えなおしたかと思うと、先ほどカイザーのオートマタとやり合っていた時よりも瞳にやる気を漲らせながらこう言い始めた。

 

「っん!向こうの私凄い…負けてられない……私も行く!」

 

そう言い切ると、他の対策委員会の皆が何か言うよりも先に(ダッ!)と戦場に駆け出して行ってしまい、そのシロコを追うように他の対策委員会も戦闘に参戦していった。

 

「……あなたは………」

 

「ん。共闘する……一緒に頑張ろう。」

 

「……分かった。背中は預ける。」

 

シロコだけでも、十分カイザーの兵を圧倒していたところに、対策委員会の皆まで加わったことにより、戦闘はより一方的なものになってしまい、完全にカイザー側に勝ち目はなくなってしまった。

 

カイザー営業職員は、漸くショックから立ち直ったのか、未だ戦闘せず立ち尽くしている少女たちに向かって怒声を浴びせて来た。

 

「万事屋ぁぁっーーーー!!!これは一体どういうことだ!!戦う相手は我々ではなく向こう側だろうがぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

カイザー営業職員は先程までの余裕を完全に失っており、ただただ少女たちに向かって喚き散らしている。

 

まあ、確かにカイザー側の意見は至極当然のものではあるのだが…………少女たちも現状を飲み込めていないため、言ってもしょうがないことである。

 

確かにここに来てからの………もっと言うならカイザーの名前がでてからのシロコの機嫌は悪いの一言ではあったため、万が一にはシロコ以外の三人の内、誰かがシロコを抑えて置き、その間に他の二人で敵の相手をしなければならないとは考えていたのが、まさか開幕躊躇なくカイザー側に襲い掛かるなんて予想できるはずもなく、おまけに敵が先生という事もあって、少女たちがシロコを止めるタイミングを逃してしまったことは仕方ない事である。

 

「ど、どうしよう……G1ちゃん……」

 

「どうする……G1?」

 

ユメとサオリが少女を見ながら、今からどうするのか訪ねてくる。

 

ユメは今の現状に慌てており、焦りながら少女に向かって声を掛けてくるが、サオリの方は反対に落ち着いていた。

 

この様な時、本来ならサオリは率先して、指示を飛ばし事態を収束しようとするのだが…………今のサオリは、この後の展開をある程度予想ができているのか、特に慌てた様子もなく少女の言葉を待っている。

 

二人の視線に少女は、落ち着くように一息付くと、迷うことなく言い放った。

 

 

 

 

勿論。シロコ達の援護に向かいますよ二人とも。

 

 

 

少女はそう言いながら戦闘準備を進めていき、ユメとサオリも少女の言葉に同意するように、カイザー兵達の後ろに回り込むように移動していく。

 

それに対し、カイザー営業職員は拳を強く握り締めながら少女のことを睨み付けており、更に怒りの籠った怒声を張り上げてきた。

 

「き、貴様一体どういうつもりだ!!私は貴様らの依頼人だぞ!!ただの飼い犬の分際でこの私にかみつくというのか!!」

 

「確かに依頼を受けたことは認めるが…………我が仲間が貴様らを敵としてみた以上、この我にとっても貴様らは敵以外の何物でもない………依頼などどうでもよいことよ。」

 

「おのれェェ………万事屋、貴様には商売人としてのプライドはないのか!!」

 

「あいにくではあるが、我にとってそんなもの………仲間の意志の前では心底ちっぽけなものよ!」

 

カイザー営業職員の怒声に全く怯む事なく言い切る少女に、カイザー営業職員は「ぐぬぬぬ…………」と唸り声を上げていると、後ろから来たオートマタに残りの兵力が後わずかであることを告げられた。

 

「ぐっちくしょう!」

 

“あっ逃げた。”

 

オートマタの報告を聞いたカイザー営業職員は、最早どうにもならない事をさとり、逃げる選択を取ることにしたのか、近くに待機させておいたヘリの中に逃げ込んだ。

 

「くそっ!こうなったら撤退だ!今すぐヘリを出せ!」

 

「は、はい!」

 

カイザー営業職員を乗せたヘリが上空へと飛行して行くと、ヘリのドアからカイザー営業職員は、地上にいる少女たちを見下ろしながら、憎々し気に言い放つ。

 

「アビドスにシャーレ、百夜堂そしてこの私にかみついた万事屋………!

 今回は大人しく引き下がってやる。

 だが、覚えていろ………!次に会った時は………!」

 

ヘリの中から尚も見苦しい負け惜しみを喚き散らしているカイザー営業職員であったが……そんなものお構い無しに、既に少女の準備は完了している。

 

「何をわめいておるのか知らぬが…………我がこのまま帰すはずが無かろう………。」

 

少女のすぐ目の前で4機のアポカリプスが、連結しエネルギーを最大までチャージし、標準をヘリに定めている。

 

少女はゆっくりと上空に浮かんでいるヘリに向かって、指さしながら一言呟いた。

 

 

 

「ではな……光よ……。」

 

 

 

「………………へぇっ?。」

 

ちゅどぉぉぉぉォォォォォォン!!!!

 

少女の言葉に合わせて放たれたごん太レーザーは、見事ヘリに直撃………………

 

 

 

 

………………カイザー営業職員は、汚ねぇ花火となった。

 

 

 

 

「ふぅ……。取り敢えずこれでいいんですかね。先生」

 

少女が被っていたヘルメットを脱ぎながら、先生の方を向いてきた。

 

“………まあ、一件落着………なのかな?”

 

先生はそう言いながら一通り辺りを見渡すと、どうやら残っていた他のオートマタ達も既に撤退しているようで、(ヘルメット団の子達は気付いたらいなくなってた)全員銃を下している。

 

“取り敢えず何があったのか説明しなくちゃだね…………お互いに。”

 

「そうですね。情報共有は大事です。では、先生行きましょう。」

 

少女は先生の手を引きながら、皆の方へと足を運んで行った。

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